昭和医学会雑誌
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40 巻, 6 号
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  • 時田 信仁, 岡本 途也, 許 瑞光, 島田 信吾, 調所 広之
    1980 年 40 巻 6 号 p. 647-651
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 増田 弘毅, 工村 房二, 塩川 健
    1980 年 40 巻 6 号 p. 653-667
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    急性虫垂炎のなかには, 粘膜腺窩深部の小窩蜂織炎巣として発症し, これがしだいに拡大して蜂窩織炎性に, さらに壊死・穿孔性に進展する一定のパターンを持った“急性虫垂炎 (Aschoff) ”が存在する.これは非特異的な急性化膿性炎症の典型的な『場』である.この『場』における血管 (特に動脈) 病変を検討した.動脈はまず外膜および内膜炎を呈し, その後炎症は主として外膜側より中膜に波及し, 中膜の水腫性粗開性変性をきたす.さらに好中球が中膜に浸潤し, 血管全層炎となる (発症後1~2日) .この状態がある一定の問続くと, 血管の構築にひずみを生じ, 血管は拡張する.その後も, 若干のものは拡張を続け, ついには動脈瘤を形成する (発症後3日) .内膜肥厚と血栓により内腔は本来の径にすみやかにもどる (発症後3~日1週) .その後瘢痕化し, 動脈硬化性変化と区別できなくなる.これらの変化は非特異的血管炎として一般化できよう.
  • ―感染後30年を経過したと考えられる1剖検例と文献的考察 (354例) ―
    増田 弘毅, 新田 増雄, 中村 直文, 塩川 健, 工村 裕子, 神田 実喜男, 波多野 剛, 野津 立秋, 八田 善夫
    1980 年 40 巻 6 号 p. 669-688
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    1978年, 66歳の独身日本人女性を剖検し, 脳・心・肺・筋肉内に石灰化を伴う小結節を発見した.脳内の小結節を連続切片で検索した結果, 25個の鉤と4つの吸盤を持つ頭節を証明し, 人体有鉤嚢虫症であることがわかった.彼女は戦前満州在住経験があり, 1946年帰国していた.本症は希な寄生虫症で, 日本剖検輯報 (1958-1975) では約33万剖検例中6例 (0.002%) がみとめられるにすぎない.本症の歴史的・疫学的な背影を明らかにするため, 219の文献より354例の本症症例を検討した.その結果, 日本人の本症は3群に分類される.即ちI群―沖繩の本症, II群―海外居住経験例, II群―国内感染例である.II群の大部分は戦前満州で感染したもので, 我々の症例もこれに含まれる.しかし現在では海外との交流が再び盛んとなり, インド・韓国において感染する例もみられるようになっている.
  • 内藤 善文, 丸山 邦夫, 甲斐 祥生, 鈴木 真
    1980 年 40 巻 6 号 p. 689-694
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    4例の腎腫瘍患者に対してGelfoamあるいはmetalic coilを用いる腎動脈塞栓術を術前処置, または保存的治療法として施行した.
    本法のみにより臨床症状の軽減をみた.又全例に微熱と軽度の腰部痛を訴えたが, 重篤なる合併症や副作用はみられなかった.
    腎摘出術を2例において施行したが, いづれも出血量は少なく, 容易に, 短時間で摘出できた.したがって本法は進行した腎腫瘍に対する保存的治療として, あるいは腎摘出術の術前処置として今後期待できる方法であると考えられる.
  • 清水 信介, 小麦 弘子, 村居 真琴, 武重 千冬
    1980 年 40 巻 6 号 p. 695-700
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラットの尾逃避反応の潜伏期を痛覚閾として, 針麻酔の刺激 (針刺激) を与えて鎮痛が発現する動物を選び, モルヒネの特異的拮抗剤のnaloxone 1mg/kgを投与すると, 針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) は完全に拮抗された.この拮抗には典型的な用量―拮抗作用 (dose-response) 関係がみられた.
    セロニン及びカテコールアミン澗渇剤であるtetrabenazine 25mg/kgの投与によっても針鎮痛は完全に拮抗され, この場合にも典型的なdose-response関係がみられた.これらの量のnaloxone, tetrabenazineは痛覚閾に何の変化も示さなかった.この拮抗の持続時間はnaloxneに比して短く, 針刺激を与えている状況下で, 約75分で消失した.
    セロトニンの拮抗剤であるmethysergideは2mg/kgで最大の拮抗を示したが, 針鎮痛に拮抗する値は約80%であった.この場合にも典型的なdose-response関係がみられた.
    以上の結果から針鎮痛には内因性モルヒネ様物質 (MLF) により誘起され, MLFとセロトニン及びカテコールアミン系とは直列的に配列して鎮痛を発現させ, セロトニン系とカテコールアミン系の比は4: 1であった.
  • 蜂須 貢, 武重 千冬
    1980 年 40 巻 6 号 p. 701-706
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    教室の従来の研究によってモルヒネは内因性モルヒネ様物質を遊離し, 作用を現わすことが想定された.この実験的証明のため, ラットの線条体中のmet-enkephalin (m-Enk) およびm-Enkの代謝物tyr-gly-gly (TGG) を高速液体クロマトグラフィーで測定した.0.5mg/kdgのモルヒネの腹腔内投与後摘出した線条体のm-Enk含量は変化しなかったが, TGG含量は3倍に増加した.上記のモルヒネによるTGG含量の増加は中脳中心灰白質 (PAG) 背側部を破壊すると出現しなくなった.20mg/kgのモルヒネでもm-Enk含量には変化はみられず, TGG含量は1.8倍増加した.Carboxypeptidase阻害剤D-phenylalanineの投与後は, モルヒネによるTGGの増加作用は出現しなかった.上記の結果からモルヒネはPAG以下に作用し, PAGから線条体に到る経路を介してm-Enkを遊離し, TGG含量を増加することが想定された.この想定はD-phenylalanineの作用からも裏づけられた.
  • 坂本 浩二, 笠原 多嘉子, 松宮 輝彦
    1980 年 40 巻 6 号 p. 707-714
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    セロトニン前駆物質である5-Hydroxytryptophan (5-HTP) について急性ネコ脊髄反射活動電位の立場より検討を行った.L-5HTP並びにDL-5HTPは共にMonosynaptic reflex (MSR) を上昇させPolysynaptic reflex (PSR) を低下させる.L型はDL型に比較し効果発現までの時間が短く, 効果消失までの時間も短かった.L-5HTPの外頸動脈からの投与は, 前腕正中静脈よりの投与に比較し効果発現までの時間が短く, 効果時間は長かった.Decarboxylase inhibitor (Benserazide hydrochloride, R0 4-4602) は50mg/kg i.v.ではMSR, PSR共に影響を及ぼすが, 25mg/kgi.v.では影響を及ぼさなかった.R04-4602 25mg/kg i.v.前投与L-5HTP 75mg/kgi.v.ではMSRに変化はなくPSRに低下を認めた.R0-4-4602 25mg/kg i.v., L-5HTP75mg/kgi-v.の同時投与では, MSRの低下を認め, PSRの変化は少なかった.L-5HTP75mg/kg i.v.前投与R04-460225mg/kg i.v.では, MSRの上昇はすみやかに抑制され, PSRへの影響は少なかった.
  • 栗本 忠, 岡崎 雅子, 小澤 啓子, 坂本 浩二, 松宮 輝彦
    1980 年 40 巻 6 号 p. 715-724
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    抗腫瘍性物質として開発されたsoedomycinおよびその基剤であるNa2HPO4の一般薬理作用と抗原性について検討した.1) 急性脊髄ネコにおけるシナプス反射, ウサギにおける血糖, 血清cholesterol levelには, soedomycin並びにNa2HPO4は殆んど影響を及ぼさなかった.2) 慢性植込ウサギにおいて, soedomycinおよびNa2HPO4は, 脳波において僅かに睡眠パターンを示し, また, 自発呼吸の抑制を示したが, 心臓に対しては促進傾向を示した.3) 摘出平滑筋標本に対し, soedomycinおよびNa2HPO4は僅かに収縮反応を示したが, その作用は筋に対する直接作用と思われる.4) マウス毛細管透過性に対し, soedomycinは僅かに抑制傾向を示した.5) 種々の抗原性試験においてsoedomycinおよびNa2HPO4は陰性であった.
  • 第VII報脳波及び脊髄反射活動電位への作用
    白石 武昌, 松宮 輝彦, 渡辺 泰雄, 坂本 浩二, 笠原 多嘉子
    1980 年 40 巻 6 号 p. 725-732
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Diisopropyl 1, 3-dithiol-2-ylidene malonate (NKK-105) は肝機能賦活効果が期待され, 薬理学的検討が行われている物質である.今回の中枢神経作用の検索では, ネコ急性, 慢性脳波に物理的に投与可能な最大量まで何ら変化を示さなかった.脊髄反射活動電位には, 100mg/kg (i.v.) 以下では変化なく, 150, 200mg/kg (i.v.) で単シナプス, 多シナプス反射の抑制を認めたが, 投与が血管系に影響を及ぼす条件下で行われた為, 本物質の直接作用とは考え難い.次に一定条件下の抗ethanol作用の有無を検索したが, ネコではethanolによるEEG変化を急性実験で殆んど抑制, 慢性実験で約80%抑制した.慢性実験の一部でEEG抑制と共にethanolの全身症状が現われ, 脳波と行動のdissociationが認められた.ヒトでは連続投与 (7, 14日) による脳波への影響を観察したが, 20mg/kg/day (p.o.) で約75%に抗ethano1作用が認められた.
  • 高場 利博, 吉沢 網人, 虫明 孝康, 山田 真, 坪水 敏夫, 平野 勉, 小林 正樹
    1980 年 40 巻 6 号 p. 733-737
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    房室伝導路が正常である洞機能不全症候群に対しては, 心房ペースメーカーによる治療の方が心室ペースメーカーよりも生理的で, 術後の愁訴も少ない.教室では過去104例のペースメーカー装着例があるが, 初めてJ型電極を用いて経静脈性に心房内固定を行い, その術後経過は良好であった.
    症例はアダムス・ストークス発作が頻発している42歳, 女性で, ヒス束心電図にて洞機能不全症候群と診断し, さらに房室伝導路に異常のないことを確認して, 心房ペースメーカーを装着した.術後は失神発作は消失し, 現在外来通院中である.
    洞機能不全症候群に対する心房ペースメーカーの装着は今後増加してくるものと思われる.
  • 永野 聖司, 工富 道子, 平野 勉, 竹下 光, 野木 孝真, 中西 弘, 高橋 昭三
    1980 年 40 巻 6 号 p. 739-743
    発行日: 1980/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    67歳女性のdiabetic lipemiaについて脂質代謝を主とした考察を行った.インスリン治療とともにPHLAは改善し血清脂質の著明な改善をみた.しかしインスリン治療前のPHLAも正常人と比較して低下していた訳ではなく, 慢性的なインスリン欠乏状態ではPHLAは低下していなくてもin vivoでの生理的なLPL活性の低下が推測された.更に各臓器組織でのトリグリセライドのremoval defectの存在が考えられた.
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