日本透析医学会雑誌
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28 巻, 9 号
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  • 第39回日本透析医学会シンポジウムより
    前田 憲志, 鈴木 芳樹, 中井 滋, 田畑 勉, 大橋 宏重, 中尾 俊之, 中本 雅彦, 河辺 満彦, 海津 嘉蔵, 荒川 正昭
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1205-1211
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 湯浅 健司, 福森 知治, 西川 宏志, 山本 省一, 山本 晶弘, 竹中 章, 寺尾 尚民
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1213-1217
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    鉄飽和指数 (FeSI) 16%未満の血液透析患者にクエン酸第一鉄ナトリウムを投与し, その有用性とともに, 鉄欠乏を把握するに適切な指標を検討した.
    エポ併用群では鉄補充に伴いHbの有意の増加がみられ貧血が改善されたが, 鉄単独群ではHbは変化せず, 鉄が造血に有効に利用されていないことが示唆された. フェリチン (Frt)<50ng/mlの群がFrt≧50ng/mlの群より投与3か月後のΔHbが大であった. またエポ投与例においてはエポ反応不良群 (鉄投与前Hb≦8.5g/dl) でのみ有意な貧血の改善を認めた. 赤血球恒数からみると, 低色素性小球性貧血を示したのは2例 (6%) に過ぎず, 多くは正色素性正球性貧血 (68.7%) であった. 鉄剤投与3か月後にHbが1g/dl以上増加した反応例は10例 (32%) にみられ, 低MCV, 低MCHの2例のみならずMCV, MCH正常の6例 (6/20), 高MCV正MCHの1例 (1/6) などMCV, MCHが低くなくても有効な症例が存在した. 透析患者の鉄欠乏状態はMCV, MCH, Fe, FeSIのみからは把握しがたくFrt値の変動の観察が必要で, 血清Frt値50ng/ml未満では鉄欠乏にあることが示唆された.
  • 須賀 昭信, 城嶋 和孝, 河村 英文, 山内 雅文, 内山 浩一, 竹本 雅彦, 青木 明彦, 内藤 克輔, 山田 輝城, 山田 孟
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1219-1224
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    本研究では腎移植と透析療法間における骨代謝に対する影響の違いを調べる目的にて, radiographic absorptiometryの一方法であるdigital image processing method (DIP法) を用いて測定した骨塩量および骨代謝パラメーターを腎移植患者と透析患者間において比較検討した.
    対象は山口大学泌尿器科にて経過観察中で移植後6か月以上経過し移植腎機能良好な腎移植患者27名 (腎移植群) と, 岩国中央病院にて血液透析施行中の透析患者26名 (透析群) であり, 年齢, 性別, 治療期間には両群間において有意差を認めなかった. 各群における骨塩量 (ΣGS/D, MCI) と各骨代謝パラメーターとの相関をみると, 腎移植群においては有意な相関関係は認めなかったが, 透析群においてはΣGS/Dと透析期間, Al-P, またMCIと透析期間, C-PTH, Al-Pとの間にそれぞれ有意な相関関係を認めた.
    両群間での骨塩量の比較では, ΣGS/Dは腎移植群では2.61±0.33mmAl, 透析群では2.30±0.52mmAlであり, 腎移植群において有意に高値であった (p<0.05). MCIは腎移植群では0.352±0.083, 透析群では0.343±0.072であり, 両群間に有意差は認めなかった. さらに移植歴または透析歴5年以上の長期subgroup間での比較では, ΣGS/Dは長期腎移植群では2.56±0.25mmAl, 係は認めなかったが, 透析群においてはGS/Dと透析期間, Al-P, またMCIと透析期間, C-PTH, Al-Pとの間にそれぞれ有意な相関関係を認めた.
    両群間での骨塩量の比較では, ΣGS/Dは腎移植群では2.61±0.33mmAl, 透析群では2.30±0.52mmAlであり, 腎移植群において有意に高値であった (p<0.05). MCIは腎移植群では0.352±0.083, 透析群では0.343±0.072であり, 両群間に有意差は認めなかった. さらに移植歴または透析歴5年以上の長期subgroup間での比較では, ΣGS/Dは長期腎移植群では2.56±0.25mmAl, 長期透析群では2.07±0.46mmAlであり, 長期腎移植群において有意に高値であった (p<0.01). また男女別subgroup間における比較では, ΣGS/D, MCIともに両群間に有意差は認めなかったが, 閉経後女性を除いたsubgroup間での比較において透析群女性のΣGS/Dが有意に低値であった (p<0.05).
    以上のことからDIP法を用いた検討では, 透析患者の骨塩量は腎移植患者に比べ低下しており, 原因として二次性副甲状腺機能亢進症の影響を受けている可能性が示唆された.
  • 雨宮 守正, 草野 英二, 上野 幸司, 小藤田 敬介, 近藤 雅雄, 浅野 泰
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1225-1230
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者では血中ポルフィリン濃度が高値を示し, 晩発性皮膚ポルフィリン症 (PCT) 様皮膚病変などに一部関連する可能性が指摘されている. 我々はハイパフォーマンスメンブレン透析 (HPM-HD) と通常膜透析 (RHD) による血中ポルフィリン除去能の比較, および血中ポルフィリン蓄積とアルミニウム・鉄代謝との関連を検討した.
    PCT合併例1名を含む維持血液透析患者55例 (男40例・女15例) で, HPM-HDとRHDを行い透析前後の血中総ポルフィリン濃度・ウロポルフィリン濃度を測定し, 透析によるポルフィリンの除去を検討した. また血清アルミニウム・鉄・フェリチン濃度を測定しポルフィリン蓄積との関係を検討した.
    結果は, 1) 血液透析患者では健常者に比べウロポルフィリンを主体とする各種ポルフィリン分画の増加が認められた. 2) HPM-HDはRHDに比べ高いポルフィリン除去能を示した. 3) HPM-HDはPCT合併例においても高いポルフィリン除去能を示し, 皮膚症状の改善をもたらした. 4) 総ポルフィリン濃度とアルミニウム濃度の間に正の相関を認めた.
    以上より慢性維持透析患者では, ウロポルフィリンを主体とする血中ポルフィリン濃度の増加が認められ, ハイパフォーマンスメンブレンは血中ポルフィリンの除去に有効で, PCT合併例の皮膚症状の改善に寄与すると考えられた.
  • 患者の受け止め方と透析量からの検討
    大平 整爾, 阿部 憲司, 長山 誠, 長山 勝子, 上巻 敦子
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1231-1238
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析時間の短縮 (5時間を4時間) を試験的に施行した. 施行に当たって, これまで得ていた透析量を維持するために以下の諸点を考慮した: 1) 透析液量は変更しない, 2) 血流量を増加した, 3) 透析器の表面積を増大した, 4) 食事内容を個々に再検討した, 5) 患者の不安を軽減するために, 個々の症例が1回の血液透析で耐えられる最大除水量を理解せしめ, これを越える場合には透析時間の延長があり得ることを周知徹底した. 12か月の試行の結果は以下のごとくであった: 1) 患者は概ね, 時間短縮を歓迎したが, 何らかの自覚症の出現や検査値の悪化を懸念する患者も存在した, 2) BUN, 血清Cr, P等に有意な上昇を認めなかった, 3) Kt/V, TACBUN, PCR等の検討では大半の症例が短縮後も透析量不足とはならなかった, 4) 少数の水分・塩分管理不良者および心機能不全者では4時間透析では目標の除水量が行い得ない場合が生じた, この中にrestless leg syndromeの悪化を呈した症例が1例認められた, 5) 時間短縮に伴って降圧剤の増量を要した症例は11% (5/47) に止まった, 6) 血流量が増大しその分幾分, 血液透析の効率が高まったことの影響は12か月の試行期間では出ていない.
    しかし, Kt/Vが同一であっても透析時間の長短によって患者の長期的予後には差異が生ずる可能性は極めて高い. 今後の問題として長期的に注意深く患者を観察していきたい.
  • 栗山 哲, 小林 英之, 菊地 隆秀, 杢保 敦子, 小村 香與子, 吉田 裕明, 友成 治夫, 川口 良人, 酒井 紀
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1239-1244
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析療法に導入される腎不全患者数は年々増加の一途をたどっている. 本研究では保存期慢性腎不全患者でerythropoietin (EPO) 治療が進行性の腎機能低下を遅延させうる可能性があるか否かを観察, 検討した.
    血清クレアチニン (Cr) 濃度1.9-5.6mg/dl, ヘマトクリット (Ht) 値30%以下の外来通院の保存期腎不全患者において週1回6,000IUのEPOを静注投与し腎機能等の変化を観察した. 16週間にわたる観察期間でHtは26.2±7.3%から34.9±3.4%と有意に上昇した (n=22, p<0.001). EPO治療開始前と終了時の血清Cr濃度, 内因性クレアチニンクリアランス (Ccr) の比較では22例中13例で不変ないしは軽度増悪 (増悪群), 9例で改善 (改善群) を認めた. 治療前の尿蛋白排泄量は改善群で増悪群より有意に少なく, またCcrは改善群で増悪群より有意に高値を示した. EPO治療によるHt上昇度は改善群で有意に高かった. 年齢, 原因疾患, Ht, 血圧等に両群で差異を認めなかった.
    以上, 保存期腎不全では, EPO投与によって腎機能が改善する患者群が存在する. これらの患者群では治療開始前の尿蛋白排泄量が比較的少なく, 血清Cr濃度が低値で, Ccrが相対的に良好である特徴が認められた. これらのことから中等度以上の腎性貧血 (Ht30%以下) を呈する腎不全では比較的早期にEPO治療を開始することで残腎機能がより保持され, 透析導入時期を遅延しうる可能性が示唆された.
  • 市丸 喜一郎, 田中 孝夫, 村本 陽子, 天ヶ瀬 洋正
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1245-1250
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析者のC型肝炎の実態と透析施設内での輸血外感染の可能性について検討した.
    対象はCAPD 6例を含む維持透析者264例と保存血清による検討の42例であった. HCV抗体 (抗体) 検出は第2世代のEIA法を, HCV-RNAおよびgenotype決定にはpolymerase chain reaction法を用いた.
    維持透析者の抗体陽性率は25.8%, 抗体陽性例のRNA陽性率は61.8%, うちgenotype II型は73.8%であった. 透析期間別 (献血者の抗体検査導入時期) にみると, 透析1年未満群 (第2世代キット), 1-4年群 (第1世代キット) の抗体陽性率はそれぞれ19.5%, 20.0%と両群に差はみられず, その多くが透析導入前からの持ち込み症例と考えられた. また, 透析4年以上群 (肝機能チェック) との間にも有意の差はみられず, 透析15年以上の群との間にはそれぞれ有意の差がみられた (抗体陽性率46.9%). 抗体およびRNA陽性例の輸血既往率は各79.4%, 83.3%と極めて高かったが, 抗体陽性例の20.6%には輸血歴がなかった. 非輸血97例の14.4%は抗体陽性で, そのうちRNA陽性例はすべてgenotype II型であった.
    保存血清による検討および1年間の観察では, 輸血既往のない症例の年間抗体陽転率は各0.3%, 1.1%/1人であった.
    まとめ: 維持透析者のC型肝炎の罹患率が極めて高いことは透析導入前の持ち込み症例だけでなく, 献血時のチェック漏れや原因不明の輸血外感染の蓄積によるものと考えられ, その感染経路の解明と対策が急がれる.
  • 島田 誠, 直江 道夫, 石原 理裕, 内田 博仁, 船橋 健二郎, 門脇 昭一, 田澤 和之, 吉田 英機
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1251-1257
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は65歳, 女性. 咳嗽, 発熱を主訴に約5か月にわたり肺炎, 気管支炎の診断のもとに加療を行っていたが, 腎不全を併発, 血液透析を行ったが2日後に強度の血痰を伴う急性呼吸不全を起こし, 急死した. 死亡直前に行った検査のうち血中抗基底膜抗体が陽性を示したため, 死後Goodpasture症候群と判明した. そこで今回我々は, Goodpasture症候群と症状との解析, また血液透析等との関連について検討してみたところ, 治療として約79%の症例で血液透析を行っており, そのうち約50%で死亡し, 先行症状として微熱を繰り返すような上気道感染が多いことが分かった. また生存例では, パルス療法またはセミパルス療法が有効であると思われた.
  • 中山 晋二, 松島 弘幸, 松島 宗弘, 名倉 良一, 相馬 隆臣, 青田 正樹, 伴 敏彦, 澤西 謙次
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1259-1263
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は45歳, 男性. 14年前から慢性血液透析中で, 現在は週3回, 1回5時間の慢性血液透析中であった. 平成6年1月26日, 自宅にて排便中に突然左前胸部痛が出現し近医を受診. 両側大腿-足背動脈の拍動が微弱であり, 解離性大動脈瘤を疑い当院心臓血管外科に緊急入院となった. 入院後, CTおよび経食道エコーにて解離性大動脈瘤と診断され, 同日, 緊急で胸部下行大動脈人工血管置換術, 左大腿動脈右大腿動脈バイパス術を施行した. 術中診断にてDeBakey type IIIb. 術前管理は補液と降圧剤による血圧管理のみで, 術中に人工心肺と並列して血液透析を施行した. 術後はICUに入室し集中管理を行った. 術後数日は意識障害を認めたが, その他には問題なく術後経過は順調であった.
    本症例のように, 長期透析患者の死亡原因の約半数を占める心血管系の合併症に対する手術は近年積極的に行われつつある. しかしその死亡率は未だ高い状態にあるが, 今回, 我々は慢性血液透析中に発症した解離性大動脈瘤の1例を経験し延命し得た. そこで, これまで本邦にて症例報告された慢性血液透析中に解離性大動脈瘤を合併した症例をまとめ, 比較考察した. これまでには慢性血液透析中に解離性大動脈瘤を合併した症例で発症後直ちに緊急手術を施行し救命し得た報告はなく, 特に本症例では手術中に人工心肺と並列して透析を行えたことが効果的であったと思われた.
  • 平田 純生, 田中 一彦, 上野 和行, 和泉 智, 坪田 貴子, 浜沢 三恵子, 松月 奈美, 堀内 延昭, 山本 忠司, 小坂 英俊, ...
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1265-1268
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    disopyramide (DSP) 投与により副作用の発現と, 時に効果不十分で不整脈をおこすCAPD (continuous amburatory peritoneal dialysis) 施行中の1症例を経験した, 当初外来にてDSP 100mg分1を投与されていたが, コントロール不良のため入院し, 200mg分2に増量された. 増量後に視覚異常が現われたため減量したが視覚異常は続いた. また, 眼のかすみからくる嘔気から食欲不振となったため, この時点で血中濃度のモニタリングを開始した. 測定結果より最高血中濃度 (2.87μg/ml) が高いため副作用が発現し, 最低血中濃度 (0.75μg/ml) が低すぎるため不整脈が発現したものと考え, DSPの血中濃度の変動を少なくするためDSP 100mg分2の投与に変更した. 変更後, DSPの最高血中濃度は2.52μg/ml, 最低血中濃度は1.31μg/mlとなり, MND濃度は1.24-1.58μg/mlと一貫して高値であったが副作用なくコントロールできるようになった.
  • 大河原 晋, 斎藤 幹郎, 矢作 友保, 田部井 薫, 浅野 泰
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1269-1272
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    蛋白分解酵素阻害薬, メシル酸ナファモスタット (nafamostat mesilate; NM) により高カリウム (K) 血症をきたした2症例を経験したので報告する. 症例1は, 51歳, 女性. 原発性アミロイドーシスより腎不全をきたし, 平成元年5月より血液透析導入となった. 同年9月19日より慢性膵炎急性増悪のためNM 150mg/日を投与したところ, 血清K値が4-5mEq/lから, 翌朝に7.0mEq/l, 翌々日に7.2mEq/lまで上昇した. その後膵炎症状が軽快したため, 21日後にNMを中止したところ, 22日には血清K値の低下を認め, その後, 以前と同様の推移に復した. 症例2は, 76歳, 男性. 平成5年12月10日, 解離性大動脈瘤 (Stanford A, 早期血栓閉塞型) を発症し, 降圧療法にて保存的治療を施行中であったが, 12月19日肺炎を併発したため, イミペネム/シラスタチンナトリウム2g/日投与を開始したところ, 急激な腎機能悪化を認め, 同剤を中止するとともに血中からの薬剤除去を目的に12月22日より持続血液濾過透析を開始した. 抗凝固剤としてはNM 30mg/時を使用した. その後, 徐々に血清Kの上昇を認め補液からのK投与を中止し, さらに透析液流量を増加させたが, 血清K値はさらに上昇した. 12月23日持続血液濾過透析を中止し, NM投与も中止したところ, 翌日より血清Kの低下を認め, その後も上昇を認めることはなかった. 症例1, 2ともNM投与が血清K上昇の原因と思われたが, 症例1は無尿状態で, 血清Kの上昇にNM, およびその代謝産物の腎でのK排泄に対する作用の関与はないと思われた. 症例2では, NM投与中のKバランスの検討では体内よりおよそ110mEqものKが透析により除去されていた. 以上より2症例とも高K血症の原因としてNM, およびその代謝産物の腎外性K調節系への関与が強く疑われた.
  • 藤森 明, 内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 吾妻 眞幸, 橋本 幸枝, 堀川 聖三郎
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1273-1277
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    後天性腎嚢胞に稀な組織型を有する腎癌を合併した透析歴25年の症例を経験した. 患者は47歳男性. 1993年12月, 腹部膨満感や全身倦怠感, 食思不振を主訴に入院. 右胸水を認め, 穿刺細胞診にて悪性細胞が証明されたため, 癌性胸膜炎と診断した. CTにて肝臓に多発性の転移性腫瘍を認めたが, 原発巣は不明のまま, 1994年1月に死亡した. 剖検により左腎原発の腎癌が認められ, 肝, 脊椎, 右横隔膜および右胸膜に転移がみられた. 組織所見よりsarcomatoid renal cell carcinomaと診断した. 長期透析患者に発生した腎癌であったが, CTなどによる原発巣診断が困難で, また組織学的にも貴重な症例と思われたので報告する.
  • 加藤 満利子, 湯村 和子, 中村 紀子, 中村 修, 平野 信, 須藤 祐司, 荒井 純子, 二瓶 宏
    1995 年 28 巻 9 号 p. 1279-1285
    発行日: 1995/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性, 急速進行性腎炎により1990年3月より血液透析療法を施行している. 透析開始2年後より, 右眼痛を伴った眼球運動障害を示した. 脳血管造影で右内頸動脈の海綿静脈洞領域の狭窄を呈し, Tolosa-Hunt症候群を疑い, ステロイド薬投与し, 疼痛および脳神経障害の改善を認めた. 最近, Tolosa-Hunt症候群と血管炎との関連を示唆する報告もあり, 本例は興味深い症例と考えられた. 血液透析導入の原疾患が急速進行性腎炎であったこと, 以前肺出血の既往もあり, Wegener肉芽腫症の部分症として, Tolosa-Hunt症候群を示した可能性が考えられた.
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