日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
30 巻, 11 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • From current concept in 42nd Annual Congress of The Japanese Society for Dialysis Therapy
    Raymond M. Hakim
    1997 年 30 巻 11 号 p. 1269-1275
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 吉澤 英子, 越智 文美, 加瀬 公一郎, 横山 裕彰, 岩田 次郎
    1997 年 30 巻 11 号 p. 1277-1282
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の慢性C型肝炎に対するinterferon α-2b (以下IFN) 療法の薬物動態の結果から, IFNが透析により除去されることを報告した. 今回, 透析膜のIFN除去作用のうち吸着に注目し, 各種透析膜に対するIFNの吸着特性を比較した. 透析膜には, 再生セルロース膜 (RC) であるTFU 10HとAM-FP-15, セルローストリアセテート膜 (CTA) であるFB-130UGA, ポリメチルメタクリレート膜 (PMMA) であるB1-1.3Hおよびポリアクリロニトリル膜 (PAN) であるPAN-13DXの4素材, 計5種類を用いた. 細断した透析膜をIFNを含むブドウ糖液中に添加し, 溶液中のIFN力価を経時的に測定したところ, FB-130UGA, AM-FP-15, PAN-13DXおよびB1-1.3Hはいずれも膜試料添加後5-10分で速やかにIFN力価が低下し, 60分後にはそれぞれ10.9%, 55.0%, 65.8%, 91.4%の低下が認められ, 透析膜へのIFNの吸着性はB1-1.3H>PAN-13DX>AM-FP-15>FB-130UGAの順に高く, TFU 10Hでは吸着を認めないことがわかった. また, ブドウ糖液中におけるIFNの透析膜への吸着性は, 膜素材の疎水性および膜構造が大きく関与していると考えられた.
  • 浜田 明子, 飯塚 美伸
    1997 年 30 巻 11 号 p. 1283-1288
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    当院血液透析患者 (以下, 透析患者) 25例を対象に, ガス検知管 (Gastec社製No. 3 La) を用いて口腔内アンモニア濃度を測定し, BUN, 血中アンモニア濃度との関係およびガス検知管の有用性について検討した.
    対象は男性16例, 女性9例の計25例 (平均年齢57歳, 平均透析期間74か月) で, 合併症として8例に肝障害, 6例に糖尿病がみられた. 重篤な肝, 腎疾患のない92例を対照群とした.
    透析前の口腔内アンモニア濃度 (AV±SD) はHD患者では23.8±25.6ppmで, 対照群の2.7±1.7ppmより著明に高値であった. 透析前の口腔内アンモニア濃度はBUN濃度と有意の相関を示したが, 血中アンモニア濃度とは相関を示さなかった. 透析後, 口腔内アンモニア濃度は8.2±9.6ppmと低下したが, BUNおよび血中アンモニア濃度とは相関を示さなかった. 合併症の違いによる口腔内アンモニア濃度に差はみられなかった.
    透析患者ではBUN濃度に相関して口腔内へアンモニアの排泄亢進が認められ, 本法による口腔内アンモニア濃度の測定は簡便で, 透析患者の状態把握に有用であると思われた.
  • 松本 義弘, 小野 丞二, 酒井 謙, 水入 苑生, 長谷川 昭
    1997 年 30 巻 11 号 p. 1289-1293
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎症による慢性腎不全透析患者の生命予後は一般に不良である. この糖尿病患者における栄養状態の改善を透析方法から目指す工夫として生体適合性膜である積層型のポリアクリロニトリル膜 (polyacrylonitril) (AN69膜) を用いた血液透析を行うことにより, 血清albumin値に改善が認められるか否かを検討した.
    対象はinformed consentの得られた安定した残存腎機能のない糖尿病性腎症透析患者 (NIDDM) 9例とし, 最初にクプロアンモニウムレーヨン膜 (cuprammonium rayon) による血液透析を6か月間行い, 引き続いてAN69膜に変更しさらに6か月間観察した. この期間透析時間, 透析液流量, 処方内容, 食事指導内容に変更はなかった.
    AN69膜に変更後, 血中β2-microgloburin (β2-MG) 値はCu膜で36.0±10.5mg/l, AN69膜では29.0±8.0mg/l (p<0.05) と有意に低下し, 血清albumin値はCu膜で3.68±0.27g/dl, AN69膜では3.91±0.22g/dl (p<0.05) と有意に増加した (n=9). この間体重の増減, body mass index, %クレアチニン産生速度, protein catabolic rate (nPCR) の増加はなく, Kt/Vurea, HbA1cにも変化はなかった.
    従ってこのnPCRの変化を伴わない血清albumin値の上昇は, AN69膜の生体適合性による蛋白合成能の改善に起因するものではないかと推測された.
  • 塚本 正樹, 加藤 周司, 岡本 昭夫, 川崎 達也, 山本 晃之, 米山 聡嗣, 立川 弘孝, 井田 和徳, 寺田 幸治
    1997 年 30 巻 11 号 p. 1295-1301
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析患者に合併した心不全の重症度や予後評価に対する, MIBG心筋シンチグラフィーと心エコー図の有用性につき, 比較検討した. 32例 (男性17例, 女性15例, 平均年齢58±16歳) の慢性血液透析患者を対象とした. MIBG心筋シンチグラフィーは4時間後のplanar像から心臓縦隔比 (H/M) を算出, またBull's eye表示を用いて15分から4時間後までの心臓全体のクリアランス (MC) を算出した. 肺のクリアランス (LC) はplanar正面像より算出した. 心エコー図で左室拡張末期径 (LVDd), 左室内径短縮率 (%FS), 心室中隔壁厚と左室後壁壁厚の平均 (WT), 左室流入血流の拡張早期最大流速と心房収縮期最大流速の比 (E/A) を算出した. 対象32例をNYHA胆度以下の軽症群とIII度以上の重症群に分類した. また, 1年半の経過観察中に入院を要する心不全の増悪をきたした経過不良群と入院の必要のなかった経過良好群に分類した. NYHA II度以下の軽症群を同様に経過不良群と経過良好群に分類した. 各2群間で心筋シンチ, 心エコーの各パラメーターを比較した. 透析期間, 透析条件には差がなかった. MIBGシンチでは重症例, 臨床経過不良例, 軽症心不全群の中での臨床経過不良例ともにH/MとLCが低下していた. 心エコー図では, LVDdが重症度を反映したが長期予後評価には有用ではなく, 他のパラメーターも, 重症度予後評価において有用とはいえなかった. 心不全の重症度, 予後推定にはMIBG心筋シンチグラフィーの方が心エコー図より, 有用であった.
  • 鎖骨下静脈, 大腿静脈留置時のカテーテル管理をも含めての対比より
    菊池 洋, 甲斐 浩治, 望月 貞二, 中尾 博徳, 米村 睦子, 外牧 洋之, 池田 佐恵子, 西 正夫
    1997 年 30 巻 11 号 p. 1303-1307
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    右内頸静脈に透析用ダブルルーメンカテーテルを留置して血液浄化を行う上での問題点をカテーテル管理も含めて検討した. 対象と方法; 内頸静脈にQuintonダブルルーメンカテーテルを留置して血液浄化を行った39名 (シャント不全7名, 慢性腎不全透析導入25名, 急性腎不全透析導入5名, 肝不全4名) で動脈誤穿刺, 挿入部の疼痛, 挿入部の感染, 腫脹, 出血, 発熱 (除く急性腎不全, 肝不全), 脱血不良, 返血不良, 自然抜去の有無を調べた. 挿入部の消毒とダブルルーメンカテーテルのヘパリンロックは1回/日行った. 結果; 使用ダブルルーメンカテーテルは43本, 留置2-102 (平均20.4) 日で血液浄化を2-45 (平均11.5) 回, 計495回行い脱血不良が2名 (2本) にみられたがその他はみられなかった. 結論; 右内頸静脈への留置は大腿静脈や鎖骨下静脈留置に比しカテーテル管理の手間が少ないにもかかわらず両者への留置で報告されている問題の発生が少なく第一選択となり得る可能性があると思われる.
  • 各種鉄剤の比較検討と血中PTH値への効果
    柴田 昌典, 内山 秀男, 福島 光夫, 谷口 信吉, 宇佐美 一政, 川島 司郎
    1997 年 30 巻 11 号 p. 1309-1313
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    鉄欠乏を伴う腎性貧血の患者にerythropoietin (rHuEPO) と同時に3種類の静注用鉄剤, フェジン® (含糖酸化鉄剤), ブルタール® (コンドロイチン硫酸鉄), フェリコン® (シデフェロン) を投与し, その効果を比較検討した. 貧血の改善効果は, 3剤ほぼ同等であったが, 血中副甲状腺ホルモン値がフェジン®によってのみ約20% (p<0.05) 低下した. 副甲状腺機能亢進症を合併する鉄欠乏患者にはフェジン®の投与が望ましく, 副甲状腺機能低下症の症例にはブルタール®あるいはフェリコン®を投与すべきであろう.
  • 久木山 厚子, 田上 典郎, 宮本 哲明, 松岡 潔, 有薗 健二, 早野 恵子, 福井 博義, 後藤 倶子
    1997 年 30 巻 11 号 p. 1315-1318
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    最近合併症として糖尿病性末梢神経障害を呈している維持透析患者が多くみられ, その対応に苦慮する場合も多い. 私たちは治療に難渋した糖尿病性神経障害に対し腰部持続硬膜外ブロックを施行し, 著効した症例を経験したので報告する. 症例は55歳女性. 82年糖尿病の治療開始. 91年9月糖尿病性腎症による腎不全のため血液透析導入. 導入時より両足のしびれは持続, 血糖のコントロールも不良であった. 95年1月頃より両足関節より末梢部の疼痛を訴えるようになり痛みは夜間増強した. 種々の薬剤を使用するも症状全く改善せず95年11月腰部持続硬膜外ブロックを施行した. 施行後急速に症状改善し約1週間で痛みは完全に消失し, その後現在まで疼痛は再発していない. 今後症例を増やし検討すべきだが, この症例のように他の治療でも効果がないときはこのような交感神経ブロックも試みられてよい治療法と思われる.
  • 安森 亮吉, 松山 和弘, 渡部 純郎, 明石 光伸, 石井 孝典, 友 雅司, 柴田 哲雄, 那須 勝
    1997 年 30 巻 11 号 p. 1319-1322
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    肺深在性真菌症は比較的稀な疾患であるが, 近年のimmunocompromised hostの増加や, 経気管支肺生検などの診断技術や血清学的診断の進歩などによって症例報告が増加している. しかしながら透析患者において肺クリプトコッカス症と確定診断された報告は少なくここに報告する.
    症例は74歳女性. 平成5年8月不明熱の出現あり, その後腎不全に至り, 平成5年10月5日より血液透析導入し週3回慢性血液透析施行中.
    今回, 平成8年4月末より, 右胸痛, 息切れ等あり, 5月13日, 胸部XPにて異常陰影 (多発性結節性陰影) を認め, 気管支鏡下肺生検施行し, 気管支肺胞洗浄液にてクリプトコッカスの出現を認め, また, クリプトコッカス抗原も陽性であった. Fluconazole (FLCZ) にて治療開始し, 3か月後, 胸部XPは改善し経過良好である.
feedback
Top