昭和医学会雑誌
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52 巻, 4 号
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  • ―肝・膵疾患を中心に―
    八田 善夫
    1992 年 52 巻 4 号 p. 369-383
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • ―免疫組織化学的・電顕的検討―
    清水 浩二, 田村 敏則, 高橋 博義, 諸星 利男, 菊池 浩彰, 国村 利明
    1992 年 52 巻 4 号 p. 384-392
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    昭和大学第一病理学教室において1981年から1990年12月までに取り扱った, 剖検材料と外科手術材料計246例を組織分類し, 膵多形細胞癌 (Pleomorphic carcinomas of the giant cell type: PCGC) の16例を選出した.臨床プロトコールを参照して男女差, 年齢, 腫瘍の占居部位, 予後, 及び, 大きさについて検討した, 病理学的検索はいずれの症例も10%ホルマリン固定し, 腫瘍の最大割面の全てを切り出し, パラフィン抱埋後薄切した.薄切標本はHematoxylin-eosin (HE) 染色およびAlcian blue (AB) 染色, Periodic acid Schiff (PAS) 染色, さらにそれらの重染色 (AB-PAS) を行った.免疫組織化学的にはCEA (マウスモノクロナール抗体) , CA19-9 (マウスモノクロナール抗体) , epithelial membrane antigen〔EMA〕 (マウスモノクロナール抗体) , Keratin (ウサギポリクロナール抗体) , Vimentin (マウスモノクロナール抗体) , α-AMY (ウサギポリクロナール抗体) の各抗血清を利用しABC (avidin-biotin-peroxidase complex method) 法にて検索した.また, 電顕的にも3症例の検索を行い以下の結論を得た.1.PCGCは男性11人女性5人で, 発症年齢は平均63.6±11.4歳であり, 腫瘍の主占居部位は頭部: 体尾部: 全体それぞれ8: 7: 1 (人) の割合であった.また, 予後は1年累積生存率18.2%と極めて不良であった.2.病理組織学的には, bizarreな単核や多核の巨細胞を含んだ, 多形性に富んだ比較的大型の腫瘍細胞が無構造びまん性に増殖して, 全症例にcannibalismが認められることが特徴として挙げられた.3.免疫組織化学的に腫瘍細胞は, CEA, CA19-9, EMA, keratinの上皮性マーカーに対して, それぞれ100%, 73.3%, 100%, 90.9%の陽性率を示した.一方, 間葉系マーカーであるvimentinも81.8%の陽性率を示しており, 腫瘍組織の一部に偽肉腫様反応を合併している可能が考えられた.4.電顕的には微小管腔の形成, 微絨毛, 細胞間結合装置が腫瘍細胞に認められ, 本腫瘍が膵管上皮由来である可能性が示唆された.以上より, PCPの大部分の腫瘍細胞は上皮性の性格を保持しており, その起源は膵管上皮由来であると推察した.
  • 三沢 正男, 高木 康
    1992 年 52 巻 4 号 p. 393-400
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    小児は身体的成長が著しく, これに付随する体液中成分の変動も激しい.したがって, 成人で検討した生体内微量成分の基準値を当てはめることは適当でない.今回, 唇裂・口蓋裂, 癩痕など内科的疾患を伴わない小児症例1461例を対象として, 主な血中微量成分 (生化学24成分と血液5成分) の年齢, 性別基準値を検討した.加齢による変動は大きく4つのグループに分けることができた.1つは乳児期に高値であり, これが加齢と共に低下する群で, これに属する項目はAST, ALTを始めとする多くの酵素, カリウム, 無機リン, 白血球数, 血小板数などであった.もう1つの群は, 逆に乳児期に低値で加齢と共に増加する項目で, 総蛋白, BUN, クレアチニン, 赤血球数や酵素のなかではアミラーゼがこの群であった.また, 3つめの群は小児期, 成人期でほとんど変動のない項目であり, ナトリウム, クロールの電解質成分がこの群に属し, 4つめの小児期に特徴的な変動をきたしたものはアルカリ性ホスファターゼ (ALP) であった.ALPは乳児・1歳児期と小学童後期に2つのピークをもつ2相性変動を示し, アイソザイム分析によりこの変動が骨性ALPの変動によることが確認された.白.血球分類の変動も特徴的であり, 新生児・乳児・幼児前期ではリンパ球が優位であり, 幼児後期・小学童期では好中球とリンパ球とがほぼ同じ割り合いとなり, これ以後好中球優位となって成人値となる変動であった.
  • 馬場 正道, 高木 康, 五味 邦英
    1992 年 52 巻 4 号 p. 401-407
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    体液中酵素の異常の1つに, 免疫グロブリンと結合して高分子化したマクロ酵素がある.アミラーゼにおけるマクロアミラーゼは, このマクロ酵素として最初に報告された酵素である.昭和大学病院臨床検査部でアミラーゼアイソザイム分析時に検出されたマクロアミラーゼ13例につき, 結合免疫グロブリンとアイソザイム, さらにS型アミラーゼ阻害抗体を用いた分析法に対する態度などについて検討した.電気泳動で異常分画を示した症例につき薄層ゲル濾過法を行い, マクロアミラーゼと同定できたのは13例であった.これら症例の血清アミラーゼ活性は742±4641U/1と高値であり, アミラーゼ・クレアチニンクリアランス比 (ACCR) は0.95±0.74%と低下し, 高分子となることにより尿中への排泄が低下したことが確認された.また, 臨床診断は肝疾患が6例と最多であり, 糖尿病, 膵疾患が3例と続いた.これらマクロアミラーゼは免疫混合法および免疫電気向流法により結合免疫グロブリンの検索を行った.結合免疫グロブリンはIgA (k) が4例, IgA (λ) が8例, IgG (k) が1例であり, 他のマクロ酵素と異なりIgAに特徴的な偏りが認められた.免疫グロブリンと結合するアイソザイムを再結合実験と酸性解離実験により検索したところ, 6例はS型とのみ, 6例はPとS型両方と, そしてP型のみとの結合は1例だけであった.S型アミラーゼが糖鎖を多く含むことと考え合わせ興味深い結果であった.また, S型アミラーゼと親和性のある12例にS型アミラーゼを加え, 高S型アミラーゼ阻害抗体で分析したところ, 3例でP型アミラーゼが30%以上の高値となった.この原因としては, S型アミラーゼが抗体と結合することにより高次構造に変化を生じたこと, 極めて近い部に両者のエピトープが存在することなどが考えられた.
  • 久岡 俊彦, 鈴木 晟時, 吉本 緑, 坂巻 隆男, 真弓 克彦, 井上 健, 飯野 史郎, 樋口 道生
    1992 年 52 巻 4 号 p. 408-416
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者に併発した難治性の足部広範囲壊疽を治療し, 完治せしめたので, その経験について報告する.症例はNIDDM (Non-Insulin-Dependent Diabetes Mellitus) 女性2例 (59歳と63歳) とIDDM (Insulin-Dependent Diabetes Mellitus) の男性1例 (40歳) の計3例である.いずれの症例も病悩期間が8~13年と長く, 血糖調節も不良であった.足部壊疽の誘因は火鉢による熱傷, 人為的な腓胝剥離および外傷の放置であり, いずれも細菌感染を来し重症化したものである.既往に糖尿病性多発性末梢神経障害を有し, 足背動脈の拍動は良好であったため, neuropathyに起因するものと考えられた.足部の壊疽は足背から足底へ穿通するもの, 踵より下腿下部へ穿通するもの, 足全体に蜂窩織炎を形成するもので, 起炎菌としては, Staphylococcus aureus, Streptococcus viridans, Bacteroides fragilisなどが検出された.治療前の空腹時血糖値は160~500mg/dlであり, HbA1cは11~13%であった.治療としては, 速効型インスリンを1日4回皮下注射し, 血糖値を70~150mg/dlに維持するとともに, 異化を防ぐために, 肥満の有無にかかわらず, 1600Kcal/dayを下廻らない食事を与えた.感染に対しては, 有効抗生剤の投与を行なうとともに, 局所に対しては, 皮膚科に依頼して徹底した壊死組織の除去および排膿に努めた.その結果, 壊疽は3~4ケ月で完治するに至った.以上の成績から, angiopathyを伴わない糖尿病性壊痕は, 強化インスリン療法, 1600Kcalを下廻らない食事, 抗生剤投与のほか, 局所の徹底的浄化を忍耐強く継続することによって, 保存的に完治せしめることが可能であると結論された.
  • 武藤 芳樹, 竹本 達哉, 柴沼 理, 平嶋 正直, 大原 秀治, 前田 征洋, 栗原 稔
    1992 年 52 巻 4 号 p. 417-423
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は49歳女性.特に症状はなかったが, 胃集団検診で右季肋部に異常石灰化陰影を指摘され, ERCP目的で当科入院となった.入院時検査所見では, 総ビリルビンが1.8mg/dlと軽度上昇している以外はすべて正常範囲であった.腹部超音波検査で胆嚢は音響陰影を伴う高エコー領域として映し出され, 経静脈的胆嚢造影, 経皮経肝胆管造影等の検査では胆嚢は造影されなかった.これらにより石灰乳胆汁と診断し, 胆嚢摘出術を施行した.
  • 門倉 光隆, 谷尾 昇, 野中 誠, 山本 滋, Toshihiro TAKABA, 賀嶋 直隆, 深浦 麻人, 中島 宏昭, 櫛橋 民生, ...
    1992 年 52 巻 4 号 p. 424-428
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肺癌に対する治療成績は未だ不良であり, さらに発見時すでに手術適応を得られない症例も数多く経験する.今同, 進行期肺癌に対して術前化学療法を施行後切除し得た1例を経験し, その術剛T因子判定を中心に考察を加えた.症例は62歳, 女性.左上肺野に異常陰影を認め, 諸検査で大動脈浸潤を伴うT4肺癌と診断し, 術前化学療法を3クール施行した.腫瘤陰影は著明に縮小したが大動脈にはなお浸潤が疑われ, 下行大動脈外膜の一部を合併切除し肺全摘を完了した.病理検索では長径5mm以下の小範囲外膜浸潤のみがみられ, 入院時に予想された広範囲浸潤はみられなかった.
  • 西川 順一, 西田 均, 川田 泰司, 野崎 保雄, 千住 晋, 歌橋 和哉, 小貫 誠, 八田 善夫
    1992 年 52 巻 4 号 p. 429-434
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は45歳, 男性.上腹部痛にて他院受診.肝腫瘍を指摘され当科転院.検査上炎症反応, 胆道系酵素の軽度上昇, DUPAN-2高値で, 画像検査では娘結節, 肝門部浸潤を伴う5×5cmの肝腫瘍を認めた.胆道, 膵, 消化管に異常なく, 血管造影上腫瘍は乏血管性で, 生検にて中分化管状腺癌を認め, 肝内胆管細胞癌と診断した.切除不能であり, ADR, MMC, 5-FUの動注化学療法 (IA) を行い, 4週後27%の腫瘍縮小を認めたため, 6週後再度IA, 固有肝動脈にリザーバーによるIAラインを留置し, 9週日よりADR, MMCのbolus injection, 5-FUの間欠的持続IAを行った.10週目50%, 16週目65%縮小し, DUPAN-2も低下し, 8カ月の経過にても新病変の出現なくPRと診断した.近年種々の癌にリザーバー動注化学療法が行われているが, 胆管細胞癌に動注化学療法単独でPRを得た例は稀で, 文献的考察を加えて報告した.
  • ―1例報告とその線維化機序について―
    相沢 共樹, 諸星 利男, 国村 利明, 丸岡 悦子, 布野 健一, 黒木 辰郎, 神田 実喜男, 友安 茂, 鶴岡 延熹
    1992 年 52 巻 4 号 p. 435-440
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Wilson病の肝病変について形態学的に検討したので, 臨床経過を添えて発表した.症例は18歳, 男性.高校検診時に偶発的に肝機能障害を指摘され, 某院にてWilson病と診断されたが, 自覚症状なく積極的治療は受けてなかった.会社検診時に再度, 肝機能障害を指摘され本院に精査目的で入院となった.入院時, Kayser-Fleischer角膜輪, 血清銅低値および低セルロプラスミン血症が認められた.生検された肝組織銅含量は292μg/g.d.wと極めて高値を示した.組織学的に, 乙型肝硬変像を呈し, ロダニン染色にて肝細胞内に銅沈着を認めたが, これらは不規則で一部の偽小葉内に限局してみられた.また伊東細胞が電顕的にも認められ.その周囲には膠原細線維束が多数認められた.すなわち本疾患の線維化進展には, 肝細胞障害に続発して増生した線維芽細胞より形成される二次的線維化以外に伊東細胞より形成される一次的線維化の関与の可能性も示唆された.
  • 坂巻 良一, 金野 真一, 田畑 穣, 小林 和夫, 井出 宏嗣, 高橋 昭三
    1992 年 52 巻 4 号 p. 441-444
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    外傷および既往症のない29歳の女性が後頭部痛および回転性のめまい等を主訴として入院した.入院時の神経学的検査よりWallenberg症候群を疑い, 頭部CTスキャンおよびMRI検査を施行した.CTスキャンでは異常所見は認められず, MRIにより左延髄外側部にhigh intensityareaを認めた.さらにDSAおよび脳血管撮影にて左後下小脳動脈起始部に解離性動脈瘤を認めたため, 当院脳神経外科にて動脈瘤のクリッピング術施行され, 経過良好にて退院した.本症例のようにWallenberg症候群を呈する場合, 迅速なMRI検査で病巣, を確認し, また脳梗塞のriskfactorのない若年者である場合では, 椎骨脳底動脈系の解離性動脈瘤を疑い, DSA, 脳血管撮影を行なうことが必要と考える.若年者のWallenberg症候群, その原因が後下小脳動脈の解離性動脈瘤であったまれな症例を経験したので報告する.
  • GCPに適合した臨床試験の進め方II―医師と患者の信頼関係を築くために―
    1992 年 52 巻 4 号 p. 445-455
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 渡部 琢也, 菊嶋 修示, 丹野 郁, 長谷川 雅一, 下司 映一, 嶽山 陽一, 片桐 敬, 本田 実, 中田 輝夫, 根岸 晶子, 芹山 ...
    1992 年 52 巻 4 号 p. 456-460
    発行日: 1992/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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