1. カンショ白糖製造工場のうち, 重油を燃料として使用している4工場を選び, 糖液の精製に使用する炭素飽充ガス (煙道ガス) の組成の実態調査を行った.
2. ガスサンプルについて二酸化炭素, 酸素および一酸化炭素の分析を行った. 二酸化炭素は8~12%, 酸素は3~9%の範囲内で含まれていた. 一酸化炭素は1工場より微量 (7.1ppm) 検出しただけであった.
3. 食添規格“二酸化炭素”の遊離酸および還元性物質 (リン化水素, 硫化水素および還元性有機物) の試験を行った結果は4工場とも合格した.
4. 蒸留水に通気して調製した液状サンプルを用いてイオウ酸化物の試験を行った. 二酸化イオウは全く検出されなかった. 硫酸態の三酸化イオウも 2.9ppm以下であった.
5. ガラス繊維ロ紙に捕集したダストサンプルについて多核芳香族炭化水素, ヒ素, カドミウムおよび重金属の試験を行った. 多核芳香族炭化水素は3, 4-ベンゾピレンとして0.6~2.3μg/m
3のごく微量検出されたのみであった. ヒ素およびカドミウムは全く検出されなかった. 重金属については鉛および水銀は検出されず, 工場によってごく徴量のクロム, マンガン, ニッケルまたは銅を含む場合があった.
6. 工場の使用している燃料の種類と煙道ガスの微量成分の間には関連性は認められなかった. カンショ白糖工場の炭酸飽充ガスは, 二酸化炭素含量は低いが, 有害性物質をほとんど含まず, 衛生化学的に優れた品質のものであると結論することができる.
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