食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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51 巻, 1 号
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報文
  • 井之上 浩一, 吉見 幸子, 日野 知証, 岡 尚男
    2010 年 51 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2010/02/25
    公開日: 2010/03/06
    ジャーナル フリー
    LC/ESI-MS/MSを用いた畜水産食品中のアバメクチン,8,9-Z-アバメクチン,エマメクチン,8,9-Z-エマメクチン,イベルメクチン,エプリノメクチン,ドラメクチン,モキシデクチン(8種類)の残留一斉分析法を開発した.畜水産試料(10種類)にアセトン-0.5%アンモニア水溶液を加え,ホモジナイズ後,イソオクタンにより抽出し,n-ヘキサンで脱脂を行った後,LC/ESI-MS/MS測定を実施した.定量法には,絶対検量線を用いて,検出限界 0.02~1.5 ng/mL および定量限界は 0.1~5 ng/mL であった.イオン化効果の影響を検討した結果,牛肝臓において,30%以上の抑制効果となったため,希釈法により,解決した.いずれの試料において,平均回収率70.8~117.1%の範囲であり,併行精度および室内精度において,15%以下であった.
  • 村田 美穂子, 杉山 寿美, 上田 愛子, 石永 正隆
    2010 年 51 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2010/02/25
    公開日: 2010/03/06
    ジャーナル フリー
    一日当たり350 g以上の野菜を使った食事中の硝酸塩および亜硝酸塩の含有量を調査した.野菜使用量は女子大学生の作成した献立A(20日分)で350±2 g,料理本を参考に作成した献立B(20日分)は457±77 gであった.硝酸塩含有量は,献立Aで321.0±139.3 mg(範囲104.2~636.9 mg), 献立Bは245.7±90.7 mg(範囲140.1~507.3 mg)で,ADIを超えたものは,献立Aは16試料,献立Bで13試料あった.亜硝酸塩含有量は,献立Aで1.2±0.3 mg(範囲0.7~1.8 mg)で,いずれもADI以下であったのに対し,献立Bは2.8±0.9 mg(範囲1.3~4.6 mg)であり,6試料がADIを超えていた.さらに,女子大学生対象の野菜の調理法に関する認知度調査では,硝酸塩の多い野菜は,80%以上が「ゆでたり煮たりして食べる野菜」として認識していた.
  • 杉本 直樹, 多田 敦子, 末松 孝子, 有福 和紀, 齋藤 剛, 井原 俊英, 吉田 雄一, 久保田 領志, 田原 麻衣子, 清水 久美子 ...
    2010 年 51 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 2010/02/25
    公開日: 2010/03/06
    ジャーナル フリー
    天然着色剤として広く用いられているコチニール色素の主成分であるカルミン酸の絶対定量に定量NMR(qNMR)を応用した.各社より試薬カルミン酸が販売されているが,その純度が正確に値付けられていないため,この市販試薬を定量用標準品の代用品としてHPLCにより定量した場合,信頼性の高い分析値は得られない.そこで,我々は国際単位系(SI)にトレーサブルな絶対定量法の1つとして,NMRスペクトル上に観察されるシグナル強度がその核のモル量に正比例することを原理としたqNMRを開発している.qNMRによるカルミン酸の絶対定量を以下のように行った.認証標準物質フタル酸水素カリウムを用い,qNMR標準液中の基準物質2-ジメチル-2-シラペンタン-5-スルフォン酸-d6ナトリウム塩(DSS-d6)の濃度校正し,カルミン酸のフェニルプロトンとDSS-d6のメチル基に由来する9つのプロトンとのシグナル強度比より,コチニール色素製品および試薬製品中のカルミン酸の含量(純度)をカルミン酸カリウム塩3水和物として絶対定量した.その結果,コチニール色素製品および市販試薬中に4.6~30.5%および25.3~92.9%含有されていることを明らかとした.qNMRによる絶対定量は,1測定当たりの所要時間が約10分と極めて迅速であり,測定対象の化合物と同一の定量用標準品を必要としないだけでなく,SIにトレーサブルな分析値を導く点が優れている.また,qNMRは,あらゆる有機化合物の絶対定量にも応用可能であり,分析値の信頼性向上のための重要な1つのツールとしてなりうるものと思われる.
ノート
調査・資料
  • 高橋 邦彦, 石井 里枝, 松本 隆二, 堀江 正一
    2010 年 51 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2010/02/25
    公開日: 2010/03/06
    ジャーナル フリー
    コメ加工品の遺伝子組換え食品検査において,PCR検査でDNAが抽出されていることを確認するための内在性DNAが検出されなかった検体(ビーフン)があった.そこで,コーンスターチおよびコメを原材料とするモデル加工実験(コメ粉含有率0,2,5,10%)を行い,コメ粉含有量と加工度が内在性DNA検出へ与える影響を調べた.加工モデル実験試料はコメ粉とコーンスターチを水とともに混合し,加熱,蒸気および加圧の各加工処理により作製した.加熱および蒸気処理ではコメ粉含有率2%で,加熱加圧処理ではコメ粉含有率10%でコメ内在性DNAが検知された.100%コメ粉を用いた加工モデル実験試料から,加熱加圧処理によってDNAが著明に分解することが示された.
  • 清水 えり, 布藤 聡, 増渕 友子, 峯岸 恭孝, 笠原 正輝, 穐山 浩, 手島 玲子, 日野 明寛, 真野 潤一, 古井 聡, 橘田 ...
    2010 年 51 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2010/02/25
    公開日: 2010/03/06
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換え食品(GMO)検査を行う際に,サンプルの保存や希釈など,さまざまな場面でディスポーザブルのポリプロピレン製マイクロチューブ(以下,チューブと略す)を使用するが,チューブの種類によりPCR後の定量値に大きな影響を与える可能性がある.複数のチューブを用いて検討した結果,一部のチューブにDNAの吸着やO.D. 260 nmに吸光のある溶出物が見られることが明らかとなった.本検討で,我々はチューブへのDNAの吸着を見いだし,DNA検査に好適なチューブを適時選択可能とした.
  • 長島 裕二, 又木 功, 豊田 真秀, 中島 博司, 津本 欣吾, 嶋倉 邦嘉, 塩見 一雄
    2010 年 51 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 2010/02/25
    公開日: 2010/03/06
    ジャーナル フリー
    フグの安全確保に資するため,天然トラフグ(試料魚No. 1,No. 2)から採取した卵を人工受精させ,屋内水槽施設(50日間)および海面生簀(48日間または38日間)で飼育したトラフグ仔稚魚のテトロドトキシン(TTX)含量を調べた.トラフグNo. 1のTTX含量は受精卵では13.0 μg TTX/gで,孵化直後67.6 μg TTX/gに上昇したが,その後漸減し孵化後98日目に0.28 μg TTX/gまで低下した.一方,1個体当たりの総TTX含量は受精卵から孵化後30日目までは0.01~0.03 μg TTXを維持したが,50日目に0.63 μg TTXとなり,海面生簀飼育中に顕著に増加し98日目に4.80 μg TTXとなった.トラフグNo. 2はNo. 1に比べTTX含量はやや低かったが,種苗生産中のTTX含量変化はトラフグNo. 1と同様の傾向を示した.
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