食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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45 巻, 3 号
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報文
  • 渡辺 博夫, 佐竹 敦子, 城戸 靖雅, 辻 章夫
    2004 年 45 巻 3 号 p. 107-112
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    キャリアタンパクにヘモシアニンを用いた免疫原によるラサロシド(LLC)とセンジュラマイシン(SDM)に対するモノクローナル抗体を調製した.これらの抗体を用いてLLCとSDMの酵素免疫測定法(ELISA)およびイムノクロマトグラフ法による簡易分析キットを確立した.LLCおよびSDMのELISA法の検出限界は0.1 ng/mLおよび0.05 ng/mLであった.ニワトリの肝臓および筋肉中のLLCおよびSDMは80%メタノール抽出液を緩衝液で10倍希釈することにより定量することができた.定量限界はLLCは10 ng/g, SDMは5 ng/gであった. 簡易分析キットの緩衝液およびニワトリ筋肉の抽出液による検出限界はLLCは50 ng/mLおよび125 ng/g, SDMは50 ng/mLおよび100 ng/gであった.
  • 田中 啓子, 本井 博文, 工藤 由起子
    2004 年 45 巻 3 号 p. 113-119
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    損傷O157の検出に適した増菌培養条件を検討した.ボイルスパゲティ中の凍結損傷O157は6時間の増菌培養後,ボイルスパゲティ中の加熱損傷O157,レタスおよびニンジン中の次亜塩素酸による損傷O157は18時間の増菌培養後に選択分離培地によって検出できた.さらにPCR法によりそれぞれ検査開始後12時間以内,24時間以内に陽性検体を判定できた.培養条件はノボビオシン加mEC 42℃ 培養よりTrypticase soy broth (TSB) 42℃ 培養が適していた.麺からの凍結損傷O157の検出にはTSB 42℃ 6時間培養後にPCRを行う方法が,麺からの加熱損傷O157および野菜からの次亜塩素酸損傷O157の検出にはTSB 42℃ 18時間培養後にPCRを行う方法が最も効果的なスクリーニング法であると考えられた.
  • 穐山 浩, 五十鈴川 和人, 張替 直輝, 渡邊 裕子, 飯島 賢, 山川 宏人, 水口 岳人, 吉川 礼次, 山本 美保, 佐藤 秀隆, ...
    2004 年 45 巻 3 号 p. 120-127
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    特定原材料である牛乳タンパク質測定のELISA法の確立のために10機関による検証評価試験を行った.カゼイン,β-ラクトグロブリンおよび牛乳タンパク質を測定する3種類のELISA法とも同時再現性はおおむねCV値10%以下と良好であった.10機関で牛乳標準溶液を添加した5食品の各食品抽出液を分析した際の平均回収率は,3種類のELISA法とも数種類の食品抽出液を除きおおむね40%以上であった.しかしカゼインキットでは,回収率が極端に低いソースの抽出液の場合,抽出液のpHを中性に調整した後に測定すると回収率が改善された.また牛乳エライザキットでは,クッキー,シリアル,パスタソースの抽出液において,回収率が低かったが,プレート上の抗体量を増加させることにより改善された.3種類のELISA法の検出限界は,測定溶液の濃度で1 ng/mLであった.
  • 穐山 浩, 五十鈴川 和人, 張替 直輝, 渡邊 裕子, 飯島 賢, 山川 宏人, 水口 岳人, 吉川 礼次, 山本 美保, 佐藤 秀隆, ...
    2004 年 45 巻 3 号 p. 128-134
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    特定原材料である小麦タンパク質測定のELISA法の確立のために10機関による検証評価試験を行った.グリアジンおよび小麦タンパク質を測定する2種類ELISA法とも同時再現性はおおむねCV値10%以下と良好であった.10機関で小麦標準溶液を添加した5食品の各食品抽出液を分析した際の平均回収率は,2種類ELISA法ともおおむね40%以上であり,併行再現性の相対標準偏差は,それぞれ16~26.9%,3.7~36.2%であり,室間再現性の相対標準偏差はそれぞれ21.6~38.5%,29.7~53.8%であり,ELISA測定としては実用上支障がないと考えられた.小麦エライザキットのプレートに結合した抗体量を増加した結果,回収率が低かったシリアルで添加回収率が改善された.2種類ELISA法の検出限界は,測定溶液の濃度で1 ng/mLであった.
  • 堀江 正一, 村山 三徳
    2004 年 45 巻 3 号 p. 135-140
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)を用いた豚筋肉および肝臓中のカルバドックス代謝体,キノキサリン-2-カルボン酸(QCA)およびデスオキシカルバドックス(Desoxy-CDX)の定量法を検討した.前処理は,メタリン酸 -メタノール(7 : 3)で抽出し,Oasis HLB,ついで酢酸エチルによる液-液抽出により試験溶液を調製した.LC/MS条件は,QCAはネガティブ,Desoxy-CDXはポジティブモードが適していたため,ネガティブ/ポジティブモードを併用した.移動相は酢酸(0.01%)とアセトニトリルを用い,グラジエント溶出とした.本法による2.5あるいは5 ng/g添加時の回収率は豚肉,豚肝臓ともおおむね70%以上,検出限界は両物質とも1 ng/gであった.
  • 植松 洋子, 平田 恵子, 鈴木 公美, 飯田 憲司, 鎌田 国広
    2004 年 45 巻 3 号 p. 141-145
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    既存添加物ユッカ抽出物中の比色法により測定される成分をGC/MS, TLCおよびオンカラム注入GCを用いて探索した.比色法で使用されたものと類似したアニスアルデヒド試薬を発色試薬として用いたTLCで検出されたスポット中の成分をGC/MSで分析したところ,数種類のサポゲニンが検出された.サルササポゲニンとスミラゲニンが主なサポゲニンで,オンカラムGC法を作成して測定したところ,両者の合計はユッカ抽出物中約0.9%であった.GC法で測定された総サポゲニンは約2%で,比色法による測定値と近い値を示した.
  • 野口 玉雄, 高谷 智裕, 荒川 修
    2004 年 45 巻 3 号 p. 146-149
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    1990年から2003年にかけて,日本各地の囲い養殖(網生簀養殖,陸上養殖)場から養殖トラフグ計4,515尾を採取し,肝臓,ならびに一部の個体については筋肉,皮,内臓,生殖巣などの毒性を調査した.食品衛生検査指針・理化学編のフグ毒検査法に準じてマウス毒性試験を行ったところ,いずれの検体からも全く毒性は検出されなかった.また,一部の肝臓につき,フグ毒(tetrodotoxin, TTX)〔(M+H)+=m/z 320〕を対象として液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を行ったが,いずれの個体からもTTXは検出されなかった(0.1 MU/g未満).この結果,囲い養殖で無毒の餌を用いて飼育された養殖トラフグは無毒であることがわかった.
ノート
調査・資料
  • 柿本 芳久, 苗床 義隆, 原 弘幸, 宮武 信, 佐藤 新, 龍口 久子, 高畠 良一, 矢本 亮介, 條 照雄
    2004 年 45 巻 3 号 p. 165-174
    発行日: 2004/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    8試験所において,6種類の野菜・果実試料を用いて共同試験を行い,得られたデータを解析し,すでに報告した野菜・果実中残留農薬の多成分一斉分析法の評価を行った.各試験所で試料に対して0.1 μg/g(GC/MS分析農薬)および0.5 μg/g (HPLC分析農薬)になるように139農薬を添加し,回収率を求めた.統計的解析を行った結果,本分析法で十分な精度で定量可能な農薬は111農薬であった.また,スクリーニング分析であれば,118農薬が分析可能であった.8試験所における検出限界の中央値は,0.001~0.041 μg/gであった.検量線(0.5~5 μg/mL)の相関係数の中央値は0.983~1.000であり,ほとんどの農薬について良好な直線性を示した.
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