食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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50 巻, 6 号
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総説
報文
  • 田中 康夫, 高橋 京子, 細井 志郎, 日高 利夫, 中澤 裕之
    2009 年 50 巻 6 号 p. 292-296
    発行日: 2009/12/25
    公開日: 2010/01/09
    ジャーナル フリー
    カレイ中の異臭原因物質2,4-ジブロモフェノール(2,4-DBP)および2,6-ジブロモフェノール(2,6-DBP)の簡便な分析法を確立するため,溶媒で直接抽出する方法を検討した.試料中の2,4-DBPおよび2,6-DBPをアセトンおよびn-ヘキサンで抽出して,抽出液中の夾雑物をできるだけ硫酸で除去した後,窒素気流下で濃縮してGC/MSで測定する方法を確立した.本法での回収率は,カレイの皮および筋肉で2,4-DBPが89.4~96.5%,2,6-DBPが81.4~86.2%といずれも良好な結果が得られたことから,本法は2,4-DBPおよび2,6-DBPの分析に適用できると考えられる.苦情品カレイの分析を行ったところ,2,6-DBPが皮から0.10 μg/g,筋肉から0.01 μg/g検出され2,4-DBPが皮から0.02 μg/g検出された.
ノート
  • 高橋 美津子, 宮澤 眞紀, 桜井 克巳, 渡部 健二朗, 小島 尚
    2009 年 50 巻 6 号 p. 297-303
    発行日: 2009/12/25
    公開日: 2010/01/09
    ジャーナル フリー
    2000~2007年の市販健康茶の実態調査で21製品中にセンノシドを認めたが,葉が変色しているためセンナ葉と断定できなかったものが8製品あった.これらのセンノシド量およびTLCの結果から,センナを加工したものが製品中に使用されていると考えられた.そこで茶や健康茶の製造法を参考に局方センナに焙煎または加湿の加工して検討を行った.その結果,市販健康茶に含まれていた変色した葉は加工センナとの比較によりセンナ葉である可能性が極めて高いと判明した.さらに,加工センナではセンノシドが薬用量検出されたものもあり,これらはマウスによる試験の結果,瀉下作用を有することが判明した.これより,市販健康茶に確認された変色した葉は形態的確認およびセンノシドを含む成分分析結果からセンナ葉に由来するものと断定し,下痢等の被害を含め注意喚起が必要であると考えられた.
  • 長谷川 貴志, 高橋 市長, 西條 雅明, 石井 俊靖, 永田 知子
    2009 年 50 巻 6 号 p. 304-310
    発行日: 2009/12/25
    公開日: 2010/01/09
    ジャーナル フリー
    UPLCによるガラナ含有健康食品中のテオフィリン,テオブロミンおよびカフェインの迅速分析法を開発した.テオフィリン,テオブロミンおよびカフェインは抽出溶媒として水を用い,沸騰水浴上で20分間加熱して抽出を行い,UPLCで分析した.カラムにはAQUITY UPLC BEH C18を用い,10 mmol/L酢酸アンモニウム緩衝液(pH 4.0)-アセトニトリルのグラジエントで分析を行った.添加回収試験の結果,回収率はテオフィリンでは97.6~98.7%,テオブロミンでは97.3~99.7%,カフェインでは97.1~105.4%であり,良好な結果を示した.定量限界は試料中濃度として,10 μg/gであった.本法を市販の健康食品に適用した結果,1製品(錠剤)からテオフィリンが4.45 mg/錠,テオブロミンが5.48 mg/錠,カフェインが139 mg/錠検出された.製品の表示どおりに当該製品を4錠摂取すると,テオフィリンは薬用量の1/10,カフェインは薬用量を超えるため,本製品を摂取することによる健康への影響が懸念される.
  • 上井 恵理, 一色 賢司
    2009 年 50 巻 6 号 p. 311-314
    発行日: 2009/12/25
    公開日: 2010/01/09
    ジャーナル フリー
    Benzyl isothiocyanate (BIT)蒸気を利用した食品保存の可能性をAllyl isothiocyanate (AIT)蒸気と比較して検討した.細菌および真菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)から,BIT蒸気は乳酸菌を含むグラム陽性細菌に対してAIT蒸気よりも高い抗菌効果を示した.グラム陰性細菌および真菌類に対してはAITとほぼ同等の抗菌性を示した.マグロと豚挽肉の一般生菌数および餅に接種したカビに対して,AIT蒸気は抗菌効果が見られたが,BIT蒸気では効果は弱かった.BITの食品保存効果を期待するには,対象食品と作用方法の選択,他の添加物との併用なども含めて,使用条件の検討が必要であると考えられた.
調査・資料
  • 工藤 由起子, 後藤 慶一, 尾上 洋一, 渡辺 麻衣子, 李 謙一, 熊谷 進, 小西 良子, 大西 貴弘
    2009 年 50 巻 6 号 p. 315-320
    発行日: 2009/12/25
    公開日: 2010/01/09
    ジャーナル フリー
    全国地方自治体に行った消費者からの清涼飲料水の微生物に関連する苦情の調査結果において,茶系飲料と果汁飲料で苦情事例が多く,果汁飲料は生産量に比して発生頻度が高いことが判明した.開封前の事例では流通時での容器の破損,開封後では消費者の消費方法が主な微生物汚染の原因になることが示された.汚染微生物の種類としてはカビが多いことが判明し,カビは制御の対象として重要であると考えられた.製造から消費までの必要な対応を考えると,製造工程では中小製造者の支援,流通過程では製造者による容器の破損防止のための運送・販売業者の啓発,消費では適切な消費方法についての消費者の啓発が必要であると思われた.これらの支援および啓発によって,清涼飲料水の苦情を減らすことが可能と考えられた.
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