食品衛生学雑誌
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18 巻, 6 号
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  • 丸山 武紀, 牛草 寿昭, 兼松 弘, 新谷 勳, 今村 正男
    1977 年 18 巻 6 号 p. 487-492_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ビタミンAおよびβ-カロチンの高速液体クロマトグラフィー (HSLC) による簡便な定量法を確立した. 内標準物質としてピレンを試料に添加し, 不ケン化物を抽出, HSLC用移動相と同一溶媒に溶解し注入する. 検出器には波長可変検出器を用いて318nmでビタミンAとピレンを, 次いで453nmに替えてβ-カロチンを検出した. 未精製油では不ケン化物の妨害のためプラス誤差を生じるが,精製油での添加回収率はビタミンAで96.5~103.4%,β-カロチンで93.5~95.5%であった.
  • キモトリプシノーゲンとキサンテン系色素の相互作用
    城戸 浩三, 渡辺 忠雄
    1977 年 18 巻 6 号 p. 493-499_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    キサンテン系色素の光増感作用に基づく, 生体内酵素の不活性化の機構を明らかにする目的で, 前報においてキモトリプシンをとりあげた. 今回はその前駆体であるキモトリプシノーゲンについて同様に検討した結果, キサンテン系色素は, 暗所ではキモトリプシノーゲンの活性化を阻害しなかったが, 光照射下では阻害した. キモトリプシノーゲンに対する色素の結合数および結合エネルギーについてローズベンガルを中心に37°, 15分間の反応条件で検討した結果, 暗所においても光照射下と同様に強い結合性や親和性がみられた. 暗所でキモトリプシノーゲンと色素は強い結合性があるにもかかわらず, キモトリプシノーゲンの活性化阻害がみられないのは, 失活機構として, 光照射による活性中心の破壊のみが考えられる.
  • マスフラグメントグラフィーによる塩化ビニル樹脂中の微量塩化ビニルモノマーの測定
    馬場 二夫
    1977 年 18 巻 6 号 p. 500-503_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    PVC製品中のVCMをマスフラグメントグラフィーによって測定し, 従来のGCによる測定法に比べ20倍以上感度よく, かつ他の化合物との誤認あるいは妨害を受けることなく定性, 定量ができた.
    本法によりTHFに溶解した市販の食品容器など15検体についてVCMを測定した結果, GC法では検出しなかった14検体中6検体に0.12~0.60ppm検出し, 他の8検体は0.05ppm以下で本法によっても検出されなかった. 1ppm以上検出したのは1974年に充てんされた食用油用ボトルの20.4ppm 1検体だけであった.
  • 溶媒蒸気による塩化ビニルモノマーの気化抽出法の検討
    馬場 二夫
    1977 年 18 巻 6 号 p. 504-508_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    硬質PVCを密閉した容器中で少量の溶媒を加えて加熱すると, 溶媒蒸気によって材質中に残留するVCMのガス化抽出が促進される. この現象を材質中VCMの定量前処理法として応用することを検討した. 操作の概要はPVC切片20~500mgを容量10mlの試験管に入れ, 溶媒 (例えばクロロホルム) 0.1mlを添加しシリコンゴム栓で密せんし, オーブン中で100°, 30分間加熱後試験管内のガスを素早くガスシリンジで採取し, GCまたはGC-MSによってVCMを測定する. 本法でのVCM測定値はTHF溶解法による測定値とよく一致した. この前処理法によればGCによっても材質中0.01ppmレベルのVCMが定量でき, 測定時間の短縮もできた.
  • ウレイド化合物のニトロソ化速度に及ぼす有機酸類の影響について
    山本 都, 山田 隆, 谷村 顕雄
    1977 年 18 巻 6 号 p. 509-515_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    クエン酸, 酒石酸, リンゴ酸, トリカルバリル酸などの有機酸類が, ヒダントイン酸 (HA), メチル尿素 (MU) などのウレイド化合物のニトロソ化速度に及ぼす影響について検討を行った. pH 2.5, 37°の条件で, これらの酸は, HA, MUのニトロソ化速度を促進し, その促進効果は, カルボキシル基あるいは水酸基を多く持つ酸ほど大きかった. クエン酸を添加したときのHAと亜硝酸塩の反応速度は, HA, 亜硝酸塩, クエン酸それぞれについて1次反応であった.
  • 有吉 敏彦, 天田 登, 吉武 早苗, 山田 英之
    1977 年 18 巻 6 号 p. 516-523_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    妊娠ラットの異なった妊娠時期に塩化カドミウムを1回又は連続皮下投与した時に, カドミウム (Cd) の母体内分布と胎仔への移行, 胎盤での存在状態を妊娠18日目のラットで検討した. (1) Cdの母体内分布はいずれの妊娠時期にCdを投与しても肝, 腎に多く, 投与量のそれぞれ約36.5~39.9%, 1.5~3.3%であった. 脾, 心, 子宮にも血中より高いCdが認められた. (2) 母体に投与されたCdの胎仔への移行は著しく少ないが, 羊水中にもCdは検出されCdの胎盤通過が示唆された. (3) 胎盤中のCd濃度は妊娠15日目投与が0日目投与に比べ著しく高く, 又総投与量がほぼ等しい場合は, 連続投与の方が1回投与より胎盤に多く分布した. (4) 胎盤細胞下画分においては核, 上清画分にCdが多く分布し, 上清画分では分子量約2~3万のタンパク部分にCdが存在した.
  • モルモット消化管におけるN-ニトロソジメチルアミンとその前駆物質の吸収
    石綿 肇, 水城 弘子, 谷村 顕雄, 高橋 惇, 大森 義仁, 村田 敏郎
    1977 年 18 巻 6 号 p. 524-528_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    結紮したモルモット胃および小腸からのN-ニトロソジメチルアミン, 亜硝酸塩, 硝酸塩, ジメチルアミンの吸収について実験した. N-ニトロソジメチルアミンは胃と小腸の両者において吸収され, その速度は小腸で大であった. 硝酸塩およびジメチルアミンは共に胃では吸収されず, 小腸において吸収された. これらの化合物の吸収はいずれも一次指数曲線を示した. 亜硝酸塩は胃において二次指数曲線をを示し, 小腸においては一次指数曲線を示して吸収された. 亜硝酸塩は胃内容物中で一部分解されるが, その速度は吸収速度より小であった.
  • 新村 寿夫, 高村 二三知, 時枝 利江, 山羽 力
    1977 年 18 巻 6 号 p. 529-536_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    合成洗剤の安全性研究として, 各種洗剤によるヒト赤血球の溶血性および赤血球の解糖に及ぼす影響をin vitro で検討した. 高希釈血液の50%溶血は7~73ppmの洗剤で生じたが, 血液の2倍希釈に当たる低希釈血液の50%溶血には, 約100倍高濃度の洗剤を必要とした. この溶血性の強さは洗剤の表面張力低下作用とほぼ平行関係にあった. またあらかじめ赤血球を洗剤で処理しても, 解糖に影響は見られなかったが, 溶血した赤血球の解糖は陰イオン性洗剤により50~70%阻害され, 非イオン性洗剤により30~100%促進された. この阻害は解糖系酵素と陰イオン性洗剤が複合体を形成したため, また促進は非イオン性洗剤によるアルドラーゼ活性の促進が寄与していると思われた.
  • 島田 清弘, 馬田 三夫, 務台 方彦, 鈴木 昭, 小沼 博隆
    1977 年 18 巻 6 号 p. 537-546_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ビフィズス菌を含有する発酵乳の生菌数測定法の確立を目的に検討を行い, 次の結論を得た. 試料の段階的希釈に用いる希釈水は0.1%酵母エキスおよび0.1%コーンスチープリカーが優れていた. 測定用の培地は, 変法 Rogosa およびBL寒天培地が適し, 培養にあたっては, 嫌気ジャー, ガスパックおよびパウチ法のいずれかを用いて嫌気培養することが必須であった. 一般のビフィズス菌は, 上記の条件で37°で48~96時間培養すると, 直径0.5~3.0mmの菌集落を形成した. ビフィズス菌の菌集落のみを形成する選択培地とBCP加プレートカウント寒天培地を用いてビフィズス菌と乳酸菌の混在するカルチャー中から両菌を分別して測定する方法を確立した.
  • 海産魚類の部位別セレニウムおよび水銀含有量
    板野 一臣, 佐々木 清司, 岡村 一弘, 立川 涼
    1977 年 18 巻 6 号 p. 547-552_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    生活様式の異なるカツオとサワラを試料として, セレニウムと水銀の部位別含有量を調べた. セレニウムは2魚種とも内臓と血合肉が普通肉より高く, 普通肉において腹部は背部より高かった. 水銀はカツオにおいて普通肉が全部位中で最も高いが, サワラではそうでなかった. 水銀は2魚種とも普通肉において体長の増大とともに増加したが, セレニウムは一定か減少した, ほぼ同年令の5種類の試料を用いて魚種間の両元素の部位別含量比較を行った. 普通肉の水銀含有量の差は大きいが, セレニウムでは小さかった. しかし, 肝では両元素とも著しい差であった.
  • 熊谷 洋, 佐伯 清子
    1977 年 18 巻 6 号 p. 553-556_1
    発行日: 1977/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    水蒸気蒸留により魚介類中のアルキル水銀 (以下R-Hgと略記) を留出させ, 留液中のR-Hgをじん速かつ高感度で定量する方法を検討した. すなわち, 試料を著者らが検討した水蒸気蒸留法で処理し, 留液中のR-Hgを銅イオン共存, アルカリ性下還元気化法で積分器の付属した非燃焼式原子吸光装置で定量する. この方法における, 10回の反復測定の変動係数は1.9%, 添加回収率は平均97.6%であった. また, 積分器を利用できない場合は, 還元気化反応時の液温を40°にすることにより濃度法によって定量できる.
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