食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
57 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
ノート
  • 佐々木 隆宏, 田原 正一, 山嶋 裕季子, 宮川 弘之, 植松 洋子, 門間 公夫
    2016 年57 巻3 号 p. 67-71
    発行日: 2016/06/25
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー

    食品を透析処理して得られた溶液を酢酸エチルと硫酸ナトリウムを用いる液液抽出で精製後,GC-FIDで定量,GC-MSで確認分析するプロピオン酸(PA)試験法を開発した.種々食品にPAが0.2 g/kgとなるよう添加し,本法で定量した結果,回収率は98.9~104.4%であり,また,GC-MSでは標準品とピーク保持時間およびMSスペクトルパターンの一致が確認できた.さらに,保存料として使用基準のあるパン,洋菓子,チーズに最大限使用量となるようPAを添加し,本法および通知法で回収率を求めた結果,本法で98.2~99.5%,通知法で91.0~92.0%であった.なお,本法は0.1 g/kgまで定量および確認分析が可能であった.

  • 志田(齊藤) 静夏, 根本 了, 手島 玲子, 穐山 浩
    2016 年57 巻3 号 p. 72-75
    発行日: 2016/06/25
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー

    GC-MS/MSを用いた加工食品中の殺鼠剤テトラメチレンジスルホテトラミン分析法を開発した.テトラメチレンジスルホテトラミンを試料から無水硫酸ナトリウムで脱水しながら酢酸エチルで抽出し,アセトニトリル/ヘキサン分配およびグラファイトカーボン/PSA積層ミニカラムで精製した後,GC-MS/MSで定量した.加工食品10食品(赤ワイン,インスタントラーメン,うなぎ蒲焼き,餃子,チーズ,白菜キムチ,バター,ハンバーグ,ピザおよびレトルトカレー)を用いて,添加濃度0.1 mg/kgで5併行の添加回収試験を行ったところ,真度85~96%,併行精度(RSD) 7%以下の良好な結果が得られた.いずれの食品においても選択性に問題はなかった.これらの結果から,本法は加工食品中の高濃度のテトラメチレンジスルホテトラミン分析法として適用できるものと考えられた.

調査・資料
  • 吉成 知也, 大西 貴弘, 寺嶋 淳
    2016 年57 巻3 号 p. 76-79
    発行日: 2016/06/25
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー

    わが国においては2015年に乳中のアフラトキシンM1について規制値0.5 μg/kgが設定された.イムノクロマトキットを用いた検出法が公定のスクリーニング法に採用され,使用できるキットの基準が示された.市販のアフラトキシンM1検出用のイムノクロマトキットが基準を満たすかを確認するために,アフラトキシンM1が含まれていない乳と100~700 ng/kgの7濃度となるようにアフラトキシンM1を添加した乳を用いた添加回収試験を実施し,4種の市販キットの性能を評価した.2種の定性用キットの結果においては,いずれのキットもアフラトキシンM1が含まれていない乳を陽性と判断せず,さらにアフラトキシンM1を500 ng/kgの濃度で添加した乳の判定はすべての結果において陽性であった.2種の定量用キットの結果においては,アフラトキシンM1が含まれていない乳の測定値は全て100 ng/kg未満で,さらにアフラトキシンM1を500 ng/kgの濃度で添加した乳を測定した際の回収率はすべて70%を上回り,また検出限界値はいずれも100 ng/kg以下であった.これらの結果から,4種の市販キットは基準を満たしており,乳中のアフラトキシンM1のスクリーニングに使用可能であることが示された.

feedback
Top