食品衛生学雑誌
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6 巻, 3 号
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  • 食品中のソルビン酸, デヒドロ酢酸, 安息香酸およびパラオキシ安息香酸ブチルエステルの同時定量
    西本 孝男, 上田 雅彦
    1965 年 6 巻 3 号 p. 231-234
    発行日: 1965/06/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    1) ソルビン酸, デン酸カラムヒドロ酢酸, 安息香酸, パラオキシ安息香酸ブチルエステルなどの合成保存料は5% DGS+1%リと水素炎イオン化検出器を用いるガスクロマトグラフィーにより, なんらの前処理なく同時定量が可能であった. アセトアニリドを内部標準物質としピーク高比によるこれらの検量線は0.5~2.5mg/mlの間で直線となり再現性は2.5%以上を示した.
    2) 食品から保存料の抽出法については, アルカリによる抽出液を酸性としたのちエーテル, 石油エーテル混液で抽出する方法をとった. ガスクロマトグラム上の保存料のピークにはほとんど妨害はみられないが, 回収率は食品の種類により47~82%程度であり今後十分な検討を要すると考えられる.
  • 日高 富男, 坂井 稔
    1965 年 6 巻 3 号 p. 235-241
    発行日: 1965/06/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    腸炎ビブリオと海洋細菌および陸棲細菌との無機塩要求性を比較検討した結果は, つぎのごとくであった.
    陸棲細菌は, なんらの無機塩を添加しない基礎培地にでも正常に発育し, 無機塩に対し特異な要求性を示さなかった.
    真正海洋細菌は特異な無機塩要求性を有する. すなわち, 海洋細菌の生育に対し, Na+は必須無機イオンであり, しかも無機塩としてNa塩ばかりでなく, 他の海水主要無機塩であるK-, Mg-, Ca-塩をも同時に必要である. 換言すれば, 海水は海洋細菌の生育に対し浸透圧調節の役割でなく, むしろ無機栄養供給の役割を果たすことになる.
    好塩菌である腸炎ビブリオは, NaClを要求するが他のK-, Mg-, Ca-塩を要求しない. しかもそれらのNaCl要求は, 他の塩類によって変換することができた. すなわち, この菌は見かけ上NaClを要求するが, それは非特異的な浸透圧調節のためである. このような海洋細菌との無機塩要求性の差異から, 腸炎ビブリオは海水に生存するとはいえ, 真の海洋細菌ではなく, 陸棲細菌に近似する菌であると判断した.
  • 宮沢 文雄, 野附 巌, 中野 竜雄
    1965 年 6 巻 3 号 p. 242-248
    発行日: 1965/06/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    1. 東京近郊の酪農家を対象に, 生乳の細菌汚染実態を調べたところ, 機械搾乳によるものは手搾乳によるものよりはるかに高い菌数を示していた.
    2. 搾乳機各部, とくに古いライナーは汚染の中枢をなしている.
    3. 搾乳機の不完全な管理によって生乳に著しい低温菌汚染をきたす.
    4. 塩素剤は牛乳混入によって殺菌効果が低下し, また調製後経時的に有効塩素量が減少する. この傾向は牛乳混入量によって増大する.
    5. 塩素剤の特性を考慮し, 酪農家に実際に応用したすなわちフィールド実験において, 機械搾乳による生乳中の細菌汚染をほとんど完全に防ぐことができた.
  • 乳成分について
    今村 正男, 新谷 いさお, 飯島 紘
    1965 年 6 巻 3 号 p. 249-254
    発行日: 1965/06/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    乳成分の定量法および添加量の実情を調査するためマーガリン76種, 天然バター4種を入手し, 乳固形分, 糖, タンパク, リン, カルシウムの定量を行なったところ, およそつぎの結果を得た.
    1) 糖はベルトラン法, タンパクはミクロケルダール法, リンはリンバナドモリブデン酸法およびカルシウムはEDTAによるキレート滴定法より定量を行なった.
    2) ほとんどの家庭用マーガリンにはかなりの乳成分が添加してあり最高は乳固形分2.75%であった. 平均値でみると家庭用 (カートン) 1.036%, ついで学校給食用, 付マーガリンの順で簡易包装, 業務用は0.325%および0.371%であった.
    3) 糖とタンパクの比率は乳成分の少ないほどレシチンによる影響があり, 付マーガリンにいたっては平均値で糖0.178%に対してタンパク0.272%とむしろ多い.
    4) リンおよびカルシウムは乳固形分の量に応じて検出され, 最高はそれぞれ294.6, 360.4ppmであった. しかしリンはレシチン等からも検出されるのでタンパク同様かなりバランスのくずれたものも見うけられる. その点カルシウムはほとんど乳成分のみに由来するとみられ, それを正確に測定することによって正当な乳成分の添加の場合においては乳成分の添加量を知ることができる.
    5) 試料中とくに大豆粉乳または乳糖を加えたもの, レシチンを比較的多く使用されたものがあり, 糖タンパク, リン, カルシウムの量に著しくバランスのくずれたものがあった.
  • 藤原 喜久夫, 岩村 泰子, 大竹 百世, 菅沼 法子, 野本 ミナミ, 久富 裕子
    1965 年 6 巻 3 号 p. 255-257
    発行日: 1965/06/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    著者らは, 各種有機酸類の腸炎ビブリオに対する殺菌作用を試験管内, ならびに魚肉検体について検討した結果, 試験管内の食塩水溶液中においては, 相当に強力な効果が認められるが, 魚肉中では, 完全な殺菌力を現わしえないことを知った. しかしながら, 十分な食酢の処理を行なえば, 一応安全と思われる程度の菌数にまで腸炎ビブリオの生残菌を減少せしめうることを認めた.
  • 炭酸ガスとの混合剤による殺菌・殺虫効果および酸化エチレンの浸透について
    鶴田 理, 太田 輝夫, 原田 豊秋
    1965 年 6 巻 3 号 p. 258-265
    発行日: 1965/06/05
    公開日: 2010/11/30
    ジャーナル フリー
    実験項目ごとに具体的な要約あるいは考察を加えてきたので, ここでは総体的な見地から実験の内容を取まとめるにとどめる.
    一般のクン蒸を目的として製造された酸化エチレン10に不活性ガスとして炭酸ガスを90の割合に配合した, 種々の条件下で安全かつ容易に使用できる「カポックス10」・「フミスター」の殺菌・殺虫効果は実験結果が示すごとく, 実用的に有効な数値を示している.
    また, 酸化エチレン20に炭酸ガス80の割合を配合した「カポックス20」, 酸化エチレン30に炭酸ガス70の割合を配合した「カポックス30」は, 短時間内で効果をあげる目的で有効成分含量の増加を計ったものであるが, これの使用に際してはガスの物理的性状より, 完全密閉のもとで行なう必要性があることを利用して, 投薬時にクン蒸容器内の空気とクン蒸ガスを置換する方法を用いた. そのため, 必然的に能率的な殺菌・殺虫効果を得ている. このような完全密閉下で行なう, クン蒸ガス置換法によるクン蒸方法は, 一般的な常圧のもとでの場合と比較して, 効果の点からのみでなく, 環境衛生の面からも意義深いものがある.
    「酸化エチレン」ガスが, 物質内への浸透, 吸着する様相を簡便に知る方法を用いて, これらの状態を調べ幾つかの傾向的知見を得たが, さきに指摘したごとく, さらに究明すべき問題点が残されている.
    このほか, 酸化エチレンに混合する不活性ガスの適性の問題については, メチルブロマイドがすぐれた効果を示したことをすでに報告したが, さらに考えられるフレオンガスとの混合体についても検討を加えたいと思っている.
  • 古武 弥三, 小林 太郎, 塚本 新次郎, 矢田 光子
    1965 年 6 巻 3 号 p. 277-281
    発行日: 1965/06/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    1) 近時銅定量衛生試験法として最もよく用いられるつぎの5方法
    1. Cuproine method
    2. Neocuproine method
    3. Bathocuproine method
    4. EDTA-Diethyldithiocarbamate method
    5. Dithizone-Diethyldithiocarbamate methodを比較検討し, Cuproine method, Neocuproine method, Bathocuproine methodの3方法は鋭敏度高く, 操作簡便で一応衛生試験に適するものと認められた.
    2) Cuproine method, Neocuproine method, Bathocuproine methodのなかでもNeocuproine methodとBathocuproine methodは反応実施上の許容pHの範囲が広範で, 他の重金属の影響が少ないので測定実施に便利である.
    しかしながらBathocuproineは高価なので, Neocuproine methodを推奨してよいと考える.
    3) EDTA-Diethyldithiocarbamate methodはEDTAによって妨害金属による影響を除去するはずであるが, 妨害金属の量が多い場合には影響をまぬがれえない.
    4) Dithizone-Diethyldithiecarbamate methodは繁雑で, 正確度も低く, 進歩に取り残された方法であるという感が深い.
    5) 各種のココア生豆およびコーヒー生豆中の銅量を測定したところ, Neocuproine法で前者は45.5~22.5ppm, 後者は36.3~18.5ppmを示し, かなり高い銅量が土壌中より集積されることがわかった.
    6) 原料コーヒー中の銅量は意外に多いにかかわらず, 嗜好飲料コーヒー中に移行する銅量は少なく, 飲料状態のコーヒー液に対する銅のppm量として表わすと, 溶出しやすいコーヒーでも1.5ppmであって, 他のものはさらに低く, 0.14~0.51ppmで2ppmに達するものはなかった.
    7) 嗜好飲料ココアについては, 生のココア豆は焙焼して, 芳香を発生させ, 搾油, 粉砕してココア末として用いられるため, 灰化もしくは壊機測定する場合には2ppm以上に達するものもまれではないと考えられる.
  • 多田 御幸
    1965 年 6 巻 3 号 p. 282-285
    発行日: 1965/06/05
    公開日: 2010/03/01
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