DATを用いるα, β-不飽和アルデヒド (USA) の蛍光定量法が脂質の変質試験として有用であるか否かを知る目的で, 3種の脂肪酸メチルエステル及び4種の食用油脂の自動酸化時における経時的変化を調べ, 過酸化物価 (POV) 及びチオバルビツール酸 (TBAV) と比較した. 食用油脂で, α, β-USA量とTBAVとは相関性が認められたが, 長時間加熱試料油脂で見られたTBAVの低下はα, β-USA量では見られなかった. また, 脂肪酸メチルエステルでは, TBAVのほとんど認められない methyl oleate においても methyl linoleate 同様500μg/g程度のα, β-USAが生成し, α, β-USAの定量は新しい脂質変質の測定法として利用価値のあることが分かった. 予備的な実験によりC
3~C
10のα, β-USA類をHPLCにより分離定量が可能となり, acrolein 以外に crotonaldehyde, 2-pentenal, 2-heptenal, 2-octenal, 2-nonenal を20時間加熱した methyl linoleate から検出できた.
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