食品衛生学雑誌
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54 巻, 2 号
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総説
ノート
  • 岸 映里, 油谷 藍子, 尾崎 麻子, 新矢 将尚, 加田平 賢史, 大嶋 智子, 清水 充
    原稿種別: ノート
    2013 年54 巻2 号 p. 111-116
    発行日: 2013/04/25
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づき,ホウレンソウのウラン(U)含有量を定量した.はじめに,マイクロ波分解装置を用いる有効性を検討し,マニュアル法と同等の定量値が得られることを示した.短時間で試験溶液が調製できることから,緊急時に対応するためには非常に有効であると考えられた.また,ICP-MS測定の際に2種類の内標準元素(TlまたはBi)が示されているが,低濃度のUを定量する場合は,よりUに近い感度変化を示すTlを用いるほうが望ましいと考えられた.ただし,試料によっては微量のTlやBiを含有するものがあるため,あらかじめ試験溶液中のそれらの量を確認する必要があることがわかった.平成23年4~5月に購入したホウレンソウ9検体のU含有量を定量したところ,いずれも10μg/kg以下であった.
  • 市橋 大山, 青柳 直樹, 佐藤 千鶴子, 内野 栄治, 伊藤 八十男, 桂 英二
    原稿種別: ノート
    2013 年54 巻2 号 p. 117-120
    発行日: 2013/04/25
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    北海道における日常食中の放射性セシウム(134Csおよび137Cs)量について調査を行った.札幌市およびその近郊に住む成人から提供を受けた1日分の食事(陰膳方式)を灰化して試料とした.測定にはGe半導体検出器を用いた.本調査における日常食中の放射性セシウムの最大値(平均値)は,2011年7月1.0 Bq/人・日(0.24 Bq/人・日),11月1.3 Bq/人・日(0.30 Bq/人・日),2012年2月3.9 Bq/人・日(1.0 Bq/人・日),そして7月0.34 Bq/人・日(0.12 Bq/人・日)であった.本調査における放射性セシウムの最大値3.9 Bq/人・日の食事を1年間摂取し続けたときの預託実効線量は0.022 mSv/年であった.
  • 小泉 美樹, 風間 大吾, 小林 浩
    原稿種別: ノート
    2013 年54 巻2 号 p. 121-126
    発行日: 2013/04/25
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    この調査では,農産品や地下水に存在するPb-214やBi-214の濃度状況や地域性,また,これらの濃度から計算される人への影響を求めることを目的とした。
    地下水中のPb-214やBi-214の検出濃度は土壌岩石組成により説明することができた。この結果から,地下水は地質の影響を反映していることが確認された。農産物への移行は,土壌岩石組成や種類,生育環境等,様々な要因が複雑に関与しており,地質要因を基に検出濃度を推定することはできないと考えられた。
    Pb-214やBi-214の検出濃度はいずれの試料も低く,年間の内部被ばくに対する影響は小さいと考えられる。
調査・資料
  • 上村 勝, 高梨 嘉光, 木原 顕子, 都竹 豊茂, 三井 良雄
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年54 巻2 号 p. 127-130
    発行日: 2013/04/25
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータを使用し食品中の放射性セシウムのスクリーニング検査を実施した.検査は,250 Bq/kgをスクリーニングレベルとし,このレベルを超える検体は外部検査機関に依頼してゲルマニウム半導体検出器による確定検査を実施することとした.さらに,スクリーニングレベルに達しない検体についても,その一部をゲルマニウム半導体検出器による確認検査を実施した.市内流通食品および学校給食や保育所給食に使用する食材を対象として495検体を検査した結果,確定検査が必要な検体は認められなかった.確認検査の結果においても,暫定規制値を超える検体は認められなかった.
  • 鍋師 裕美, 堤 智昭, 五十嵐 敦子, 蜂須賀 暁子, 松田 りえ子
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年54 巻2 号 p. 131-150
    発行日: 2013/04/25
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    放射性物質汚染が予想される地域産食品の流通段階での買い上げ調査を実施した.NaI(Tl)シンチレーションスペクトロメータによるスクリーニング検査と,ゲルマニウム半導体検出器付γ線スペクトロメータによる確定検査を行った.1,427試料中,暫定規制値であった500 Bq/kgを超過した試料数は6であり,全調査数に対する割合は0.4%であった.食品群ごとの放射性セシウム検出率から,今後も監視を継続すべき食品群は,栗・ギンナンのような果実,原木シイタケを中心としたきのこ類,山菜類,海水魚と考えられた.
  • 宮崎 仁志, 加藤 陽康, 加藤 友香里, 土山 智之, 寺田 久屋
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年54 巻2 号 p. 151-155
    発行日: 2013/04/25
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    東海地域の一日摂取量に基づいて名古屋市内で食品を購入し,調製したマーケットバスケット方式によるトータルダイエット試料について,ゲルマニウム半導体検出器付きガンマ線スペクトロメータにより放射性セシウム(Cs)濃度を測定し,被ばく線量を算出した.福島原発事故前の2006年に調製した試料から放射性Csは検出されなかった.事故から5か月後の2011年8月に調製した試料のうち,3群(砂糖,菓子類),8群(その他野菜,海藻,きのこ類)および10群(魚介類)から放射性Csが検出された.1年5か月後の2012年8月に調製した試料では,8群および10群からCs-137のみが検出された.放射性Csによる預託実効線量は,2011年が0.0015 mSv,2012年が0.00016 mSvであった.
  • 宮崎 仁志, 土山 智之, 寺田 久屋
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年54 巻2 号 p. 156-164
    発行日: 2013/04/25
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    当市では2011年3月に発生した福島原発事故を受けて,ゲルマニウム半導体検出器付きガンマ線スペクトロメータにより,市内を流通する食品の放射性物質検査を開始した.2011年3月30日から2012年10月31日までに300検体の検査を行った.暫定規制値および2012年4月から施行された基準値を超えた検体はなかった.放射性ヨウ素(131I)は緑黄色野菜およびその他の野菜7検体から検出された.放射性セシウム(134Csおよび137Cs)は60検体から検出された.検出された食品群は,米・加工品,いも・加工品,種実類,緑黄色野菜,その他の野菜,生果,きのこ類,生魚介類,魚介加工品,畜肉,牛乳・乳製品およびその他の嗜好飲料であった.
  • 吉田 栄充, 長浜 善行, 竹熊 美貴子, 三宅 定明, 野本 かほる, 高野 真理子
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年54 巻2 号 p. 165-171
    発行日: 2013/04/25
    公開日: 2013/05/15
    ジャーナル フリー
    平成24年4月1日の新規格基準値施行より10月末日までに,埼玉県衛生研究所に搬入された流通食品170検体の検査結果を概説した.検査は,ゲルマニウム半導体検出器を用いて行い,放射性セシウムが基準値を超えた食品はなかったものの,埼玉県産の原木シイタケ(生)で74 Bq/kg,抹茶で84 Bq/kgと基準値に近い食品が確認された.
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