E. coli に対するエタノールの殺菌作用への塩類 (NaCl, KCl, LiCl, CaCl
2) 併用効果は, エタノール10%濃度では高濃度 (8~10%) のCaCl
2及びLiClの場合以外では認められなかったが, エタノール20%濃度では, すべての塩類について併用効果が認められ, 塩濃度が高くなるにつれて著しかった. エタノールの殺菌作用への塩類の併用効果の大きさはLiCl=KCl=NaCl<CaCl
2であることが認められた. 殺菌作用を有する溶液の状態を理化学的に調べるため塩類5%添加の20%エタノール水溶液の示差走査熱量測定を行ったところ, 融解サーモグラムは, 複雑な変化が見られた. さらに,
17O-NMR,
1H-NMR のスペクトルからエタノール20%に塩類を加えた溶液では水のOH基プロトンの半値幅の増大, 低磁波側への化学シフトが認められ水分子は動きにくい状態になっていた. これらのことから, 水, エタノール, 塩類との間で複雑な相互作用をおこしていることを示唆している.
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