自動ひょう量装置ならびに計算装置の組み込まれたマイクロ波加熱装置 (TMSチェッカ) を使用して乳などの総固形分を測定した結果について, 公定法 (常圧加熱乾燥法) と比較検討した.
1. TMSチェッカによるマイクロ波オーブン加熱時間と測定値の関係について調べた結果, 生乳および飲用牛乳では2~2.5分で恒量になることを認め, 調製粉乳還元物, コーヒー乳飲料も含めて, 加熱時間を3分にセットすることに定めた. この条件下ではTMSチェッカによる1試料の測定所要時間は約4分であり, 公定法 (約4時間) の1/60に短縮される.
2. 同一試料について, 両法による25回の反覆測定を行い, 変動幅, 標準偏差および変動係数を求めて比較した. 繰返し精度は生乳および飲用牛乳では標準偏差で0.10%以下であって, 公定法に比べてそん色なく, むしろ精度は若干良好であるという結果を得た. 調製粉乳還元物およびコーヒー乳飲料では非乳成分および砂糖の存在のために焦げの影響がでて測定精度はかなり落ちるが, この傾向は公定法においても認められ, やはり同一検体についてはTMSチェッカの方が繰返し精度が優れていることが知られた.
3. 飲用牛乳について両法による測定値の相関係数を求めた結果は0.9804であって, 高い相関のあることを認めた. なお, TMSチェッカは標準試料を用いて, その測定値が公定法と差を生じないよう調整した後, 使用することが必要である.
4. 公定法は測定者の熟練度, 室内の湿度などにより測定値が影響を受けやすいが, TMSチェッカではこのような危険性は少ない.
5. 生乳ではミルコテスターとの併用によって無脂乳固形分の測定作業はさらに迅速化される.
抄録全体を表示