食品衛生学雑誌
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21 巻, 2 号
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  • 大森 茂, 中島 純夫, 細木 睦子, 武口 裕, 岸 信夫, 川越 章善, 青木 襄, 富所 謙吉, 高杉 信男
    1980 年 21 巻 2 号 p. 113-117_1
    発行日: 1980/04/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    GCによって鶏肉中の合成抗菌剤クロピドール (3,5-ジクロロ-2,6-ジメチル-4-ピリジノール) の残留量の測定法を検討するとともに, 市販鶏肉についてその残留量を調査した. 鶏肉31検体中に12検体 (39%) から, 0.04~1.9ppmの範囲でクロピドールが検出された. なお, 高濃度に検出したものにつきMCを行ったところメチルクロピドール (3,5-ジクロロ-4-メトキシ-2,6-ルチジン) と同定されたので, 検出物質はクロピドールと確認した. このように, 残留の危険性が少ないと考えられていた合成抗菌剤が市販鶏肉より検出されたことから, 畜産食品の安全性を確保する上で, 広範囲な実態調査が必要であり, さらに飼料添加物による畜産物汚染について, その原因を追求する必要があると考えられる.
  • 鶏胚の致死を指標とした毒力検定法に関する基礎的研究 (第2報)
    三浦 利之
    1980 年 21 巻 2 号 p. 118-122_1
    発行日: 1980/04/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    14C-アフラトキシンB1 (14C-Af. B1) を5日令の有精卵の気室内あるいは卵黄嚢内に接種し鶏胚, 内卵殻膜, 卵内容物および呼気中への分布と, その代謝を検討した. 各部位における接種1時間後の14C-Af. B1の放射能分布は気室内接種の場合, 卵内容物中に76.0%, 内卵殻膜に15.0%, 鶏胚に8.0%, 呼気中に1.0%, また卵黄嚢内接種では卵内容物中に96.4%, 鶏胚に3.4%, 呼気中に0.2%であった. 同一量の14C-Af. B1を接種したときの鶏胚へのとり込み量 (1時間後) は卵黄嚢内接種 (LD50値=0.89μg/egg) では気室内接種 (LD50値=0.41μg/egg) の2分の1以下であり, これは両者のLD50値とは逆相関を示した. すなわち両接種法による毒性の差は, その取り込み量に依存することがわかった. 鶏胚に取り込まれた14Cの activity は経時的にクロロホルム分画で減少, 0.9%食塩水+メタノール分画で上昇し, クロロホルム分画では14C-Af. B1はすみやかに14C-Af. M1に代謝されることが判明した.
  • ヒト口腔内における亜硝酸塩生成に関する研究 (第2報)
    佐々木 次雄, 俣野 景典
    1980 年 21 巻 2 号 p. 123-128_1
    発行日: 1980/04/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    13人の被験者から採取した唾液を用いて, 口腔内常在菌の硝酸還元活性を調べた. その結果, 硝酸還元速度および亜硝酸生成速度は, 幾何平均 (95%信頼限界) でそれぞれ, 0.94 (0.48~1.85)μg/ml/min, 0.37 (0.20~0.67)μg/ml/minと, 実際の口腔内でのNO2-生成量に比して著しく小さかった. また, 唾液中のNO2-濃度と硝酸還元活性との間には, 有意な相関が認められなかった. これらの結果より, 硝酸還元菌を口腔内における唯一のNO2-生成要因とするには, 疑問がある.
  • 腸管内微生物による食品添加物の代謝に関する研究 (第5報)
    松井 道子, 林 長男, 小沼 博隆, 谷村 顕雄, 倉田 浩
    1980 年 21 巻 2 号 p. 129-140_1
    発行日: 1980/04/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    Sodium cyclohexylsulfamate を cyclohexylamine に変換する菌を含有するサルの糞便を変換性の低いウサギ, モルモットの盲腸内に接種し, さらに変換菌の定着性を強める条件としてサル飼料を投与する方法を併用して変換性の相違の比較, 変換菌の挙動, 飼料と変換菌の定着性の関係などを検討し, 変換菌の検索を最終目的としての実験を行った. その結果, 両動物の cyclohexylamine 尿中排泄量は, サル便注入グループのサル飼料群が最も多くなり, サル由来の変換菌および飼料による影響が明らかに認められた. sodium cyclohexylsulfamate から cyclohexylamine への変換には Clostridium sp., Propionibacteriaceae および Bacteroidaceae が関与しているという結果を得た.
  • 食品中の多核芳香族炭化水素の定量 (第8報)
    白石 慶子, 白鳥 つや子
    1980 年 21 巻 2 号 p. 141-143_1
    発行日: 1980/04/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ベンゾ (k) フルオランテン (BkF) はけい光スペクトルがベンゾ (a) ピレン (BaP) と酷似していることから注目されている. 今回日常食品48検体についてBkFを定量し, その存在量の実態をは握した. BkFは48検体中30検体に検出され, その濃度は0.01~29.9ppbの範囲であった. 同時に定量したBaPは48検体中33検体に検出され, その濃度は0.06~25.6ppbで, 両者ともほぼ同程度の濃度範囲を示した. BaPを検出した検体に限ってみると, 23検体にBkFを検出し, BaPを含む食品はその約70%は同時にBkFを含有することを認めた. BkF (Y) の BaP (X) に対する回帰直線はY=0.73X-0.48, 相関係数は0.83であった.
  • 円谷 啓子, 日高 義雄
    1980 年 21 巻 2 号 p. 144-147_1
    発行日: 1980/04/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    卵白リゾチームは, 食品の保存料として多くの加工食品に使用されている. 特に, 高粘度のエマルジョンに添加したリゾチーム活性は添加量が少なく, かつまた, 食品のもつ高濁度により, 従来の比濁法では測定できなかった. 試料の希釈の必要性などの理由から, さらに高感度のリゾチーム定量法を検討した. 比濁法の定量操作の反応温度を60°, 反応時間を60分とし, また, M/15リン酸緩衝液に0.05%HCO-60®と25mMの塩化ナトリウムを加えることにより, 従来の方法に比べ20倍高い感度となったので, 高粘度のエマルジョン系の食品に添加したリゾチームが定量できるようになった.
  • Shunjiro OGAWA, Yasuhide TONOGAI, Yoshio ITO, Masahiro IWAIDA
    1980 年 21 巻 2 号 p. 148-149
    発行日: 1980/04/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
  • 慶田 雅洋, 吉年 美千代, 白石 賀洋子
    1980 年 21 巻 2 号 p. 150-153
    発行日: 1980/04/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    自動ひょう量装置ならびに計算装置の組み込まれたマイクロ波加熱装置 (TMSチェッカ) を使用して乳などの総固形分を測定した結果について, 公定法 (常圧加熱乾燥法) と比較検討した.
    1. TMSチェッカによるマイクロ波オーブン加熱時間と測定値の関係について調べた結果, 生乳および飲用牛乳では2~2.5分で恒量になることを認め, 調製粉乳還元物, コーヒー乳飲料も含めて, 加熱時間を3分にセットすることに定めた. この条件下ではTMSチェッカによる1試料の測定所要時間は約4分であり, 公定法 (約4時間) の1/60に短縮される.
    2. 同一試料について, 両法による25回の反覆測定を行い, 変動幅, 標準偏差および変動係数を求めて比較した. 繰返し精度は生乳および飲用牛乳では標準偏差で0.10%以下であって, 公定法に比べてそん色なく, むしろ精度は若干良好であるという結果を得た. 調製粉乳還元物およびコーヒー乳飲料では非乳成分および砂糖の存在のために焦げの影響がでて測定精度はかなり落ちるが, この傾向は公定法においても認められ, やはり同一検体についてはTMSチェッカの方が繰返し精度が優れていることが知られた.
    3. 飲用牛乳について両法による測定値の相関係数を求めた結果は0.9804であって, 高い相関のあることを認めた. なお, TMSチェッカは標準試料を用いて, その測定値が公定法と差を生じないよう調整した後, 使用することが必要である.
    4. 公定法は測定者の熟練度, 室内の湿度などにより測定値が影響を受けやすいが, TMSチェッカではこのような危険性は少ない.
    5. 生乳ではミルコテスターとの併用によって無脂乳固形分の測定作業はさらに迅速化される.
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