食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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49 巻, 1 号
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総説
報文
  • 久高 潤, 糸数 清正, 平良 勝也, 仁平 稔, 岡野 祥, 中村 正治, 岩永 節子, 富永 正哉, 大野 惇
    2008 年 49 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    海ぶどうの細菌学的汚染状況を把握し,効果的な衛生対策を確立するために調査・研究を行った.沖縄県内16か所の養殖場で各生産段階や製品など11か所における腸炎ビブリオおよび海洋細菌の汚染実態調査を実施した.調査の結果,養殖海水中の海洋細菌数は,養殖により平均103から106 cfu/mLまで増加した.一方,海ぶどうの海洋細菌数は母藻から出荷の段階,あるいは出荷7日後まで平均107 cfu/gと高い菌数で推移した.腸炎ビブリオは使用海水56%,母藻25%,製品19%から検出されたが,tdh は増菌液,分離株のいずれからも検出されなかった.今回の調査結果を踏まえ,今後,各養殖工程に適した具体的な消毒方法,殺菌装置の評価・改良等についてさらなる検討が必要である.
  • 小口 太一, 大西 真理, 近川 幸恵, 峯岸 恭孝, 児玉 貴志, 穐山 浩, 大野 泰雄, 布藤 聡, 日野 明寛, 古井 聡, 橘田 ...
    2008 年 49 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    除草剤耐性遺伝子組換えトウモロコシGA21系統を分析対象とした新規系統特異的定量分析法を開発した.本分析法では,GA21ゲノム1ハプロイド当たり1か所のみ存在する挿入遺伝子配列と隣接するトウモロコシゲノムの境界部位をPCR反応によって増幅する.さらに,このPCR反応の増幅効率は内在性対照となるトウモロコシSSIIb 遺伝子の増幅効率と極めて近似するため,その内標比は理論値に近い値が得られた.また統計学的な分析値の評価を行った結果,本分析法はわが国の公定法に定められた他のGM定量分析法と同等以上の分析精度を示した.これら特性から,本法は多重リアルタイムPCR法による高効率的GMトウモロコシスクリーニング定量分析法に応用可能であると考えられる.
  • 橋本 博之, 眞壁 祐樹, 長谷川 康行, 佐二木 順子, 宮本 文夫
    2008 年 49 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    食品中の特定原材料(小麦)を検出するためにネステッドPCR法を開発した.加圧加熱食品ではDNAが低分子化し,検出できないことが多い.そこで,加工食品における小麦DNAの検出限界バンド長を検討したところ,加圧加熱加工食品に適用するためにはプライマー対はおおよそ100 bp以下で設定することが必要と考えられた.加圧加熱食品での検出感度を向上させるため,ネステッドPCR用プライマー対を設計した.PCR反応試薬を変更して1回目のPCRを実施し,その反応液を用いて2回目のPCRを実施したところ,通知法では7試料中4試料のみ検出できたが,ネステッドPCR法ではすべての試料で検出可能であった.今回確立したネステッドPCR法は,高度に低分子化した加圧加熱食品のDNAが検出可能であったことから,レトルト食品,ハイレトルト食品を含む加工食品において有効な検査法と考えられる.
  • 松本 ひろ子, 平田 恵子, 坂牧 成恵, 萩野 賀世, 牛山 博文
    2008 年 49 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    アミノ酸系ジペプチド型甘味料であるネオテーム,アリテームおよびアスパルテームのHPLCによる同時分析法について検討した.試料を10%塩化ナトリウム含有0.01 mol/L塩酸を用いて透析膜に充填し,透析外液を0.01 mol/L塩酸として24~48時間透析した.透析外液をOASIS®MCXカートリッジに負荷し,水およびメタノールで洗浄した後,0.5 mol/L塩化アンモニウム-アセトニトリル(3 : 2)混液を用いてカートリッジから溶出した.HPLCによる分析では,カラムにODSを用い,移動相に0.01 mol/Lリン酸緩衝液(pH 4.0)とアセトニトリルの2液によるグラジェント溶出法を用い,検出波長210 nmで測定した.8種の食品に3種甘味料を10および100 μg/gとなるように添加し,添加回収実験を行ったところ,回収率はそれぞれ86~100%,89~104%と良好な結果が得られた.定量限界は3種甘味料とも試料当たり1 μg/gであった.確認のためのLC/MS/MSによる分析法も作成した.
  • 神田 真軌, 草野 友子, 小山内 たか, 牛山 慶子, 竹葉 和江, 坂本 美穂, 林 洋, 井草 京子, 井部 明広, 永山 敏廣
    2008 年 49 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    食肉中に残留するオキシテトラサイクリン(OTC),テトラサイクリン(TC),クロルテトラサイクリン(CTC)およびドキシサイクリン(DOXY)のテトラサイクリン系抗生物質(TCs) 4薬剤について微生物学的スクリーニング,HPLCおよびLC/MS/MSを用いる迅速で精度の高い分析法を構築した.食肉中からTCsを0.01 mol/L EDTA含有マキルベン緩衝液で抽出し,逆相・カチオン交換ミックスモードカートリッジカラムにより精製した.本分析法における添加回収率は, OTC, TCおよびCTC各々0.2 μg/g, DOXY 0.05 μg/gを食肉に添加したとき,76.6~99.0% (CV 1.6~5.4%)であった.微生物学的スクリーニングによりTCsが残留していると推定された食肉13検体について,HPLCおよびLC/MS/MS分析によりCTC(9検体),DOXY(4検体)が同定された.
ノート
調査・資料
  • 杉本 直樹, 多田 敦子, 黒柳 正典, 米田 祐子, 尹 永淑, 功刀 彰, 佐藤 恭子, 山崎 壮, 棚元 憲一
    2008 年 49 巻 1 号 p. 56-62
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル フリー
    グレープフルーツ種子抽出物(grapefruit seed extract: GSE)は既存添加物名簿に収載されている天然添加物である.最近,GSEが食中毒の原因ウイルスとして重要なノロウイルスに対する不活化効果を有することが報告されて以来,食品業界で注目されている.一方,海外において,GSE中に合成殺菌剤である塩化ベンゼトニウム(BZT-Cl)または塩化ベンザルコニウム(BZK-Cl)が検出されることが報告されている.そこで,われわれは,わが国に流通しているGSE製品の実態を早急に確認するため,食品添加物(6社13製品),化粧品配合剤(10社16製品),GSE配合健康食品(4社5製品)および除菌・消臭スプレー(7社7製品)中のベンゼトニウム(BZT)およびベンザルコニウム(BZK)の存否についてNMRおよびLC/MSにより調査した.その結果,41製品中38製品よりBZT(食品添加物からBZT-Cl換算で最高39.1%)またはBZK(食品添加物からBZK-Cl換算で最高13.9%)が検出されたことから,わが国に流通するGSE製品の多くがBZTまたはBZKを含有している可能性が高いと考えられた.
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