1) 近時銅定量衛生試験法として最もよく用いられるつぎの5方法
1. Cuproine method
2. Neocuproine method
3. Bathocuproine method
4. EDTA-Diethyldithiocarbamate method
5. Dithizone-Diethyldithiocarbamate methodを比較検討し, Cuproine method, Neocuproine method, Bathocuproine methodの3方法は鋭敏度高く, 操作簡便で一応衛生試験に適するものと認められた.
2) Cuproine method, Neocuproine method, Bathocuproine methodのなかでもNeocuproine methodとBathocuproine methodは反応実施上の許容pHの範囲が広範で, 他の重金属の影響が少ないので測定実施に便利である.
しかしながらBathocuproineは高価なので, Neocuproine methodを推奨してよいと考える.
3) EDTA-Diethyldithiocarbamate methodはEDTAによって妨害金属による影響を除去するはずであるが, 妨害金属の量が多い場合には影響をまぬがれえない.
4) Dithizone-Diethyldithiecarbamate methodは繁雑で, 正確度も低く, 進歩に取り残された方法であるという感が深い.
5) 各種のココア生豆およびコーヒー生豆中の銅量を測定したところ, Neocuproine法で前者は45.5~22.5ppm, 後者は36.3~18.5ppmを示し, かなり高い銅量が土壌中より集積されることがわかった.
6) 原料コーヒー中の銅量は意外に多いにかかわらず, 嗜好飲料コーヒー中に移行する銅量は少なく, 飲料状態のコーヒー液に対する銅のppm量として表わすと, 溶出しやすいコーヒーでも1.5ppmであって, 他のものはさらに低く, 0.14~0.51ppmで2ppmに達するものはなかった.
7) 嗜好飲料ココアについては, 生のココア豆は焙焼して, 芳香を発生させ, 搾油, 粉砕してココア末として用いられるため, 灰化もしくは壊機測定する場合には2ppm以上に達するものもまれではないと考えられる.
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