昭和医学会雑誌
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54 巻, 1 号
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  • 長谷部 康子, 佐藤 知明, 矢部 伸幸, 小出 良平, 飯島 武, 佐藤 永雄
    1994 年 54 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    両眼性に自然発症白内障をきたすIhara Cataract Rar/f strain (以下ICR/fラットと略) と対照とした正常Wistar系ラット (以下Wistarラットと略) 水晶体の水可溶性タンパク質 (Water-soluble protein: WSP) の4週齢から70週齢までの加齢変動について, 2次元SDS濃度勾配ポリアクリルアミドゲル電気泳動法 (24-D SDS PAGE) を用いて分析した.ICR/fラット, Wistarラットとも2-D SDS PAGE後のポリペプチドスポットは50個以上検出され, そのうち特徴のあった28個のスポットのStainingの加齢変化と2種のラットの相違点について検討した.ICR/fラット, Wistarラットとも加齢に伴う挙動が同じで共通の加齢変動と考えられたスポットは9個, ICR/fラットとWistarラットで異なる加齢変動を示すスポットは11個であった.そこで, 個々のスポットがどのクリスタリン分画に属するかを検討した.共通の加齢変動を示すスポット群9個は, α分画に4個, β分画に1個, γ分画に3個, それ以外の分画に3個属しており, β分画に属するものが少なかった.老化との関連について, これらのスポット群のなかでもpI 5.5, 分子量23.0kDaのスポットがICR/fラット, Wistarラットとも70週齢の個体でのみ検出され, 老化に特徴的なポリペプチドの存在が考えられた.一方ICR/fラットに特有な加齢変動を示す11個のスポット群は, α分画に5個, β分画に4個, γ分画に3個, それ以外の分画に2個属しており, α分画に属するものが高率だった.ICR/fラットにはWistarラットと異なる加齢変動を示すポリペプチド群が存在し, ICR/fラットに特徴的な早期水晶体混濁の原因につながる可能性が示唆された.
  • 木下 賀雄
    1994 年 54 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    皮膚欠損部の修復に有効な手段として近年rapid expansion法が考案され臨床に応用されている.本研究ではguineapigを用いてtissue expander挿入後10分, 15分, 30分, 60分, 90分, 120分の6群における背部伸展皮膚, 特に表皮の超微形態学的変化を経時的に, 光顕と電顕レベルで観察した.伸展持続時間30分群では有棘細胞間の細胞間隙が拡大し, 細胞質突起の伸展とdesmosomeに集積するtonofilamentsの配列の変化が見られた.60分群ではさらに基底細胞の扁平化とともに基底細胞間の細胞間隙の拡大も認められた.さらに60分以上の群では表皮の厚さも減少を示したが, 特に表皮の厚さの薄い部分の菲薄化が目立ち, 一方表皮の厚さの厚い部分ではあきらかな菲薄化は認められなかった.また真皮表層において膠原線維束が密に配列し線維間間隙の狭小化が認められた.90分群ではさらに真皮表層に存在する線維芽細胞の活性化を示す粗面小胞体腔の拡大と小胞の開口放出像の増加傾向が認められた.120分群では基底板に部分的な菲薄化が見られた.表皮細胞の接着装置 (desmosome, hemidesmosome) や膠原線維個々の超微細構造には10分~120分間の伸展皮膚全群において明らかな変化は見られなかった.Rapid expansionにより表皮は急激に伸展され, 60分以上伸展負荷をかけると機械的刺激により表皮に微細構造上変化が見られたが, その変化は表皮細胞のviabilityに影響を及ぼすほどのものではないと思われた.
  • 徳重 広幸
    1994 年 54 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    頭蓋顎顔面に存在するいくつかのgrowth siteは, 相互に関連性を有し, ある一つのgrowth siteでの成長変化は, 解剖学的に離れた他の部位の成長様相に影響を及ぼすと言われているが, 特に篩骨は頭蓋顎顔面の正中に存在し多方向へ影響を与えるgrowth siteと考えられている.臨床的には, 眼窩隔離症では, ethmoid cellの増殖がみられ, 眼窩近接症では, cribriform plateの低成長または, hypoethmoidismが見られる.また, 頭蓋底の成長発育障害をおこすachondroplasiaや鎖骨頭蓋異骨症などの疾患で, 中顔面部の劣成長を生じる事が分かっている.近年発展しているcraniofacial surgeryにより, 頭蓋顎顔面のさまざまな形態と機能の改善が可能となったが, 手術侵襲がその後の頭蓋顎顔面骨の成長に及ぼす影響に関しては, いまだ十分に解明されていない.本研究では, 成長期ラットの篩骨破壊が頭蓋顎顔面骨の成長に及ぼす影響を調べた.生後4週のWistar系ラットを90匹用い, ラボナール腹腔内投与下に前頭骨を5×5mm切除, 開頭し, バイポーラで5秒間, 篩骨篩板 (cribriform plate) 前方部を破壊した.篩骨篩板両側破壊群 (30匹) , 片側破壊群 (30匹) , 未破壊群 (コントロール群30匹) に分け, それぞれ10匹ずつ, 4週, 8週, 16週後に断頭し, 乾燥頭蓋骨を作成した. (1) 実験を行ったラットへの全身影響を把握するために篩骨篩板両側破壊群とコントロール群における体重増加の変化を調べたところ両群ともにほぼ同じ体重増加傾向を示し有意差は認められなかった. (2) 篩骨の破壊程度とその回復状態を調べるために術後30分後と術後16週後の篩骨をH.E.染色を行い組織学的検討を加えたところ, 術後30分後では篩骨篩板上層部の骨破壊像が認められ, 術後16週後では, 篩骨篩板の骨構造の乱れと, 菲薄化が認められ, 破壊の影響が残っているのを確認した. (3) 作成した乾燥頭蓋骨に基準点を決めノギスを用いて計測し, その平均値と標準偏差を求めt-検定を行った.その結果, 両側破壊群では鼻骨上顎骨複合体の前方向への成長抑制がみられ, 片側破壊群では鼻骨上顎骨複合体の破壊側への偏位が認められた.そのほかの骨には影響を認めなかった.これより, 篩骨が鼻骨上顎骨複合体の前方向への成長に影響を及ぼし, その破壊により, 中顔面部の成長障害を起こすことが示唆された.
  • 西村 篤
    1994 年 54 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    角質層は生体と外界の境界に位置し, 体内・対外的な防御機能を果している組織である.この角質層の機能は, 角質細胞と細胞間脂質などの状態で変化する.最近, 正常部や疾患部における角質機能を比較した種々の解析が試みられている.今回, 我々は, 表皮の角化状態を非侵襲的に解析するべく, 植皮部とその周辺健常部及び恵皮部の皮膚表面に水溶性粘着剤付き透明テープを接着させ, 角質細胞を採取した.採取した角質細胞をエタノール水溶液にて溶解分散させ, プロピジウム・アイオダイド (PI) 染色液とフルオレセイン・イソチオサイアネート (FITC) 染色液にて多重染色した後, 光学顕微鏡下で術後2週, 4週, 8週の3回観察し, 角質細胞の有核細胞出現率 (有核率) を求めた.植皮部は健常部に比して有核率が高かった.本来, 無核の角質細胞に有核細胞が高率にみられたことは, 不全角化が強く起こったためと考えた.分層植皮部に比してその恵皮部では有核率が高かった.これは, 恵皮部では表皮が欠損しているので, 防御機構を維持するために分層植皮部に比して強く不全角化が起こったためと考えた.分層植皮部では全層植皮部に比して有核率が高かった.これは, 植皮片は薄いほど早期に血行が再開されるので, それに伴い不全角化も強くそして早期に起こったためと考えた.植皮部と恵皮部の有核率は共に時間経過に伴って低下した.これは, 創傷治癒の過程で植皮部も恵皮部も落ち着いてきたためと考えた.年齢, 性別では有核率に特に差はみられなかった.
  • 坂本 雅昭, 安西 将也, 川口 毅
    1994 年 54 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究は在宅要介護老人をもつ世帯のうち, 今後増加が予想される高齢者夫婦世帯の介護者 (配偶者) の疲労に着目して, その実態を把握することおよび疲労に影響を与える要因を明らかにし, その要因の影響度を数量化することを目的とした.対象は高齢者夫婦世帯988世帯のうち65歳以上の高齢者がいる夫婦世帯であること, 要介護者が運動障害を随伴していること, ならびに要介護者が痴呆症状を呈していないことの3条件を満たした72世帯を調査客体とした.調査員の聞き取りにより, 介護者の基本属性, 介護環境に関する基本的背景要因, 介護内容などの21項目および介護者の疲労を検討するため疲労自覚症状を調査した.さらに, 外的基準を自覚的疲労症状訴え率とし, 介護者の基本属性, 介護環境に関する基本的背景要因, 介護内容などの21項目を説明変数 (アイテム・カテゴリー) とした林の数量化1類による分析を行い次のような結果を得た.1) 疲労のタイプは, 起床時II-dominant型 (精神作業型・夜勤型) , 就寝時ではI-dominant型 (一般型) の傾向を示したが特定し得なかった.2) 起床時と就寝時の疲労自覚症状訴え率に有意差が認められず, 起床時にすでに訴え率が高値であったことから, 介護者は慢性的蓄積型疲労を呈していた.3) 疲労に影響を与える要因は, 介護者の健康状態, 職業の有無, 年齢階級, 介護継続の意志, 排泄介助, 介護期間, 介護時間, 褥創の処置, 体を起こす介助, 寝返り介助などであった.4) 疲労の増加に影響を与える主な要因は, 職業 (有) , 介護継続 (限界) , 健康状態 (病気がち) , 排泄介助 (有) , 介護期間 (3年以上7年未満) , 年齢階級 (70~80歳未満) , 寝返り介助 (有) , 体を起こす介助 (有) , 介護時間 (随時) などであった.以上の結果, 在宅高齢介護者の疲労に影響を与える要因を明らかにし, その影響度を数量化することができ, 今後, 在宅高齢介護者に対する支援ニーズの把握やその対策の企画立案を可能とした.
  • 長野斗 志克, 高良 由紀子, 木崎 宏史, 谷口 重雄
    1994 年 54 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたAMO社製屈折型多焦点眼内レンズを41眼に移植し, 現在使用認可されている回折型多焦点眼内レンズ及び, 単焦点眼内レンズの視機能と比較した.術後6カ月における遠見矯正視力1.0以上の症例は屈折型90%, 単焦点90%, 回折型79%の順であった.同時期の遠見矯正下近見視力0.5以上の症例は回折型81%, 屈折型54%であり, 屈折型レンズは遠見視力優位, 回折型レンズは近見優位な傾向を示していた.また, 術後のアンケートから, 眼鏡をまったく使わない症例は, 回折型61%, 屈折型50%, 単焦点27%であった.グレア症状の自覚に対するアンケートでは, 回折型では30%にグレア症状を訴えていたが, 屈折型では14%であり, 単焦点10%と差は少なかった.遠見視力優位のこの屈折型レンズは従来の単焦点レンズの特性により近く, 臨床上使いやすいレンズと思われた.
  • 秋山 正基, 飯島 正文, 藤澤 龍一
    1994 年 54 巻 1 号 p. 48-54
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    マイトマイシンC処理をしたヒト皮膚由来の線維芽細胞 (post-mitotic human dermal fibro-blast: HDF) をfeeder layerとして, 当教室で樹立した2種類のヒト皮膚癌細胞株 (SSCC-1とSSCC-2) を培養した.SSCC-1は顔面に生じた原発性有棘細胞癌の細胞株であり, SSCC-2は背部に生じた転移性皮膚癌の細胞株で, 原発巣は口腔粘膜上皮の扁平上皮癌である.SSCC-1, 2ともに, 少細胞数からの培養の際に, HDFはfeeder layerとして有用であった.特にSSCC-1では, 増殖速度がHDFの密度に影響された.また増殖形態は, SSCC-1と2では相違が見られ, これはそれぞれの細胞株自体の性質によるものではないかと推察された.
  • ―波形パターン分類と脳卒中機能回復の評価について―
    川畑 博, 若山 吉弘, 三谷 智子, 山崎 勉, 入谷 誠
    1994 年 54 巻 1 号 p. 55-62
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    脳卒中患者での片麻痺歩行を床反力計を用いて歩行解析した.36例の固定期片麻痺患者を対象にAMTI社製床反力計 (1面40cm×180cm, 左右2面, 左右踏み分け式) を埋め込んだ歩行路から得られた床反力波形の垂直方向波形 (Fz波形) と前後方向波形 (Fy波形) について, 過去の報告を参考に波形のパターン分類を行い, 患者のBrunnstrom stage・歩行速度との相関から波形の解釈を試みた.さらに脳卒中の発症年代別にみた時の機能回復についても検討した.次に8例の回復期片麻痺患者を対象に経時的に測定して得られたFz波形とFy波形から回復期に見られる波形について検討した.その結果, (1) Fz波形とFy波形とも過去の報告より数を減らして5つに分類できた. (2) 患側脚のFz波形では50歳以上において上り傾斜の緩やかな波形パターンを呈した症例が多いが, 発症年代別には差は認めなかった.機能的には歩行速度が遅い場合は上り・下り傾斜とも緩やかな波形を示した. (3) 患側脚のFy波形でも発症年代別には差は認めなかった.機能的には歩行速度が遅くなると患側脚波形の制動力が大きかった. (4) 発作後の片麻痺症状の回復期ではFy波形の方がFz波形よりも早期に正常化した症例がみられた.以上の結果から脳卒中患者の歩行動作を評価する際, 床反力計で記録された波形パターンは評価に客観的な指標を与えうると考えられた.
  • 石川 岳, 瀧川 宗一郎, 栗山 節郎, 桜井 茂樹, 梅沢 香貴, 金 陽守, 藤巻 悦夫
    1994 年 54 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    日本鋼管病院に於いて, 過去10年間で踵骨々折78例中3例にアキレス腱付着部裂離型踵骨々折を経験したので報告する.症例1.56歳, 女性.左踵部の強打にて受傷, 踵骨隆起に2.5cmの骨片を有し骨片の末梢が上前方へ中枢が後方への回転々位を認めた.スクリュー固定およびギプス固定を施行した.術後4週より可動域訓練を開始し, 術後8週より部分荷重歩行を開始し, 術後12週より全荷重歩行とした.骨癒合良好で跛行はない.症例2.60歳, 男性.踵部の強打にて受傷, 所謂beak状の骨折を認める.キルシュナー鋼線と軟鋼線による固定およびギプス固定を施行した.術後2週より可動域訓練を開始し, 術後8週より部分荷重歩行を開始し, 術後11週より全荷重歩行とした.現職に復帰している.症例3.45歳, 女性.既往歴にポリオによる尖足位拘縮がある.椅子より転倒し前足部より着地し足関節を背屈強制され受傷, アキレス腱と共に三角形の骨片の上方転位を認める.キルシュナー鋼線と軟鋼線による固定およびギプス固定を施行した.術後3週より足関節底屈20°にてヒール付きギプス固定とし, 全荷重歩行とした.術後8週より短下肢装具を用い, 術後4カ月で装具除去した.ADL上支障ない.文献的には様々の要因が報告されているがアキレス腱の牽引力を上げている例が多く, その他, 直達外力や骨の脆弱性が要因として上げられる.我々の症例では症例1と症例2に於いて直達外力が働き, 症例3において骨の脆弱性が関与し, すべての症例においてアキレス腱の牽引力が働いたと推察された.
  • 相田 貞継, 新井 浩士, 李 雨元, 李 雅弘, 普光江 嘉広, 安藤 進, 清水 喜徳, 村上 雅彦, 草野 満夫
    1994 年 54 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    基礎疾患のない患者で広範な食道残胃カンジダ症をみとめた1例を報告する.症例は56歳男性.6カ月前, 十二指腸潰瘍にて胃切除術施行.悪心, 嘔吐, 胃部不快感にて入院.内視鏡検査施行し, 中部食道から残胃に白苔様小隆起が散在し, 粘膜面は発赤強くカンジダ症が疑われた.生検にてカンジダ菌が検出されたため, nystatinの経口投与開始した.3日目に症状改善し, 約1週間で白苔, 粘膜の発赤所見も消失した.カンジダは常在菌であり, 通常その発症には基礎疾患が存在する.近年.潰瘍治療による低酸状態から食道胃カンジダ症の報告も散見され, 同様の発症機転から残胃のfollow upについても, 同疾患を常に念頭において観察するべきと思われた.
  • 歌橋 和哉, 西田 均, 三田村 圭二, 奥村 邦彦, 金井 弘一
    1994 年 54 巻 1 号 p. 72-76
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は46歳男性, 十二指腸潰瘍にて治療中, 平成3年10月上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚Vater乳頭対側に粘膜下腫瘍を認めた.数度にわたり生検を行ったが組織学的診断は正常十二指腸粘膜であった.平成4年6月より時々黒色便が出現するようになり, 平成4年12月3日より黒色便持続し12月5日来院.緊急内視鏡検査にて粘膜下腫瘍頂部小潰瘍よりの出血を認め, HS-E局注施行により止血した.平成5年1月胃・十二指腸切除術が施行された.腫瘍は2.7×2.0×2.8cm大の管内発育型で, 表面に小潰瘍を伴い, 組織学的には桿状の核を持つ紡錘型細胞の錯綜より平滑筋腫と診断された.下血を反復する十二指腸平滑筋腫に関して若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 津嶋 秀史, 日下部 輝夫, 横山 登, 町田 彰男, 小池 康, 太田 秀一
    1994 年 54 巻 1 号 p. 77-79
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は81歳, 男性.2日前よりの右下腹部痛を主訴に来院.急性虫垂炎の診断で緊急手術となった.虫垂には炎症所見なく, 盲腸の腸間膜対側を中心に, 周囲に硬結を全く触れない限局性の白色の盲腸壁を認め, 回盲部切除術を施行した.肉眼的には周囲に盛り上がりのない, 限局性に打ち抜かれたような約5×4cmの平坦な白色の病変で, 病理組織学的には周囲と境界明瞭な, ほぼ全層攀死に陥った盲腸の巨大憩室炎と診断された.発症から手術まで2日しかなかったこと, また病巣が腸間膜対側であることから, 何らかの虚血性変化も加わったと考えられる盲腸の巨大憩室炎の1例を報告した.
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