食品衛生学雑誌
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34 巻, 1 号
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  • 宮田 秀明
    1993 年 34 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
  • 有毒担子菌類の食品衛生学的研究 (第1報)
    角田 光淳, 井上 典子, 青柳 康夫, 菅原 龍幸
    1993 年 34 巻 1 号 p. 12-17_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ベニテングタケに含まれる化学的に不安定なイボテン酸 (IBO) 及びその脱炭酸生成物である幻覚性中毒物質・ムシモール (MUS) の分析法を開発した. 試料にメタノールを加え, ホモジナイズしてIBO及びMUSを抽出, ろ過した後, 水で希釈しHPLC用試験溶液とした. 分析カラムは逆相系のC18 IRICA RP-18Tを, 対イオン剤はドデシル硫酸ナトリウムを用いた. この方法の検出限界はIBOとMUS共に約1ppmで, 添加回収率は共に98%以上で, 平均偏差は0.8以下であった. ベニテングタケ中にはIBOが258~471ppm, MUSが18~27ppm含まれ, 両物質の濃度比は約15:1であった. 9種14銘柄の市販食用キノコ中には両成分共に含まれていなかった.
  • 有毒担子菌類の食品衛生学的研究 (第2報)
    角田 光淳, 井上 典子, 青柳 康夫, 菅原 龍幸
    1993 年 34 巻 1 号 p. 18-24_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    生殖世代期のベニテングタケ中あイボテン酸 (IBO) 及びムシモール (MUS) の濃度 (平均x: ppm) は菌傘部 (IBO x: 519, MUS x: 30) が最も多く, 菌基部 (IBO x: 290, MUS x: 20), 菌柄部 (IBO x: 253, MUS x: 17) の順で, 全体では (IBO x: 343, MUS x:22) であった. 両物質の濃度は子実体の成熟に伴って, 菌傘部は増加後減少し, 菌栖部は漸次減少, 菌基部は増加傾向を示し, 全体ではほぼ一定であった. 孤立子実体中及び群生子実体中の両物質の濃度及び成熟に伴う濃度変化は同じ傾向を示し, 採取地による違いは認められなかった. また子実体の大きさによる濃度への影響も認められなかった. 濃度変動は生育環境による固体差と考えられた. 子実体の重量は成熟に伴い, 菌基部の約5~7倍に増加したが, IBO濃度はほぼ一定であった.
  • 角田 光淳, 井上 典子, 立花 光雄, 青山 光雄
    1993 年 34 巻 1 号 p. 25-31_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    銅クロロフィル (CuCL), 銅クロロフィリン (CuCN), 鉄クロロフィル (FeCL), 鉄クロロフィリン (FeCN), クロロフィル (MgCL) 及びクロロフィリン (MgCN) を分別定量する操作性の良い分析法を開発した. CL錯体は微アルカリ性, CN錯体は微酸性下において, 混合溶媒比酢酸n-ブチル (n-BA)-EtOH-水 (10:40:60, v/v) の近傍でn-BA層に分配し, n-BA層を水洗し脱水後, 試験溶液とした. n-BA-EtOH-水は金属クロロフィル (MeCL) 及び金属クロロフィリン (MeCN) を効率よく分別抽出できるもっともよい組み合わせであった. 有機性の金属シクロヘキシル酪酸塩を標準とし, Cu, Fe及びMgを原子吸光分析した. 平均回収率はCuCL: 88%, CuCN: 87%, FeCL: 64%, FeCN: 80%, MgCL: 79%及びMgCN: 87%であった. 食品41試料中各金属を0.1ppm以上検出した延数はCuCL: 29, CuCN: 30, FeCL: 3 FeCN: 6, MgCL: 33及びMgCN: 5であった.
  • 前田 忠男, 岡野 千恵, 三宅 叡, 澤 潤一
    1993 年 34 巻 1 号 p. 32-37_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    乳及び乳製品中のコリン含量を市販のコリン発色試薬を用いて酵素法により定量する方法を開発した. 試料を6N塩酸で加水分解, 中和後, 妨害となる過酸化水素をカタラーゼで分解し, 活性炭素で脱色することによって透明な試験溶液を得た. この試験溶液を市販の調製済み試薬で発色させることによって簡便で精度の良い定量法とすることができた. 本法の検量線は塩化コリン標準溶液2~20μg/mlの範囲で良好な直線性を示し, 繰り返し測定の変動係数は2.2%, 回収率は96%以上であった. 本法は従来法と比較して, 簡便で精度よく, しかも3時間弱の短時間で分析ができるなどの点で優れている. 本法を用いて牛乳, 人乳, 調製粉乳, 乳製品中のコリン含量を測定した.
  • 武田 由比子, 神蔵 美枝子, 柴田 正, 伊藤 誉志男, 義平 邦利
    1993 年 34 巻 1 号 p. 38-44_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    食用赤色40号 (R-40) の副成色素のうち, 低スルホン化副成色素のクレシジンスルホン酸アゾβ-ナフトール塩及びクレシジンアゾシェファー塩, 高スルホン化副成色素のクレシジンスルホン酸アゾG塩及びクレシジンスルホン酸アゾR塩のHPLCによる定量法を検討した. ODSカラムを用い, 移動相は酢酸アンモニウム溶液-メタノール混液 (100:0) から (0:100) までの直線濃度勾配法で, R-40と4種の副成色素は良好な分離を示し, 515nmで検出下限は0.4ng (感度0.005AUFS, S/N≧5) であり, 色素検体中0.02%の微量定量分析が可能となった. 入手した試料中, 低スルホン化副成色素は0.28%~1.31%, 高スルホン化副成色素は0.14%~0.60%検出された.
  • 山下 健司, 坂口 寛, 青木 勤, 中野 淑雄, 西田 政司, 瀬戸口 毅
    1993 年 34 巻 1 号 p. 45-49_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    毒性不明であるシッポウフグ雌雄合わせて52個体の部位別毒性をマウス法で検討し, その結果をHPLCによるテトロドトキシン量と比較検討した. マウス法とHPLCとの測定値はよく一致し, 相関係数r=0.996を示した. 肝臓と卵巣はすべて有毒で, 最高毒力は, それぞれ2,400MU/g, 3,000MU/gであった. 皮は, 52個体中1個体無毒で, 最高毒力は, 76MU/gであった. 精巣は, 34個体中4個体が弱毒, 最高毒力は, 22MU/gであった. 筋肉は, 1個体 (15MU/g) を除きすべて無毒であった.
  • 浅川 学, 宮澤 啓輔, 野口 玉雄
    1993 年 34 巻 1 号 p. 50-54_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    1992年4月, 広島湾産養殖マガキ, ムラサキイガイ及びアサリから高い麻痺毒性が検出された. これらをそれぞれ80%エタノール (pH 3.5) で抽出し, 脱脂後, 限外ろ過, 活性炭及びSep-Pak C18カートリッジ処理した. HPLC分析した結果, マガキ, ムラサキイガイ及びアサリに含まれる麻痺毒はいずれもゴニオトキシン-1 (GTX1) を51~55% (mol%) 含む麻痺性貝毒 (PSP) であることが判明した. その他にGTX2,3,4, 更にムラサキイガイ及びアサリには微量のサキシトキシン (STX) が検出された. また, プロトゴニオトキシン-1,2 (PX1,2) も1.6~4.5% (mol%) 含まれることが明らかとなった.
  • 吉川 賢太郎, 村田 由美子, 稲垣 勝裕, 村尾 良介, 寺下 隆夫, 獅山 慈孝
    1993 年 34 巻 1 号 p. 55-62_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    四訂日本食品標準成分表に追加された食品と新設された調理加工食品をHPLCで糖類 (単糖類及びその二糖類) 測定を行い, 食品糖類成分表を作成した. また通常摂取すると思われる料理を作り, 食品糖類成分表を用いて算出した糖の推定値とHPLCで定量した実測値を比較した. その結果は果糖, ブドウ糖, ショ糖が強い相関を示し, 本成分表は十分に実用性のあることが分かった. 24時間思い出し法を用いて, 大阪在住の男女大学生各70名の食事調査を行い, 本成分表を用いて一日の糖類摂取量を推定した. その結果, 大阪在住の男子大学生の果糖, ブドウ糖及びショ糖の一日摂取量はそれぞれ12.3±11.0g, 16.0±11.2及び37.9±23.9gであり, 大阪在住の女子大学生の場合には, それぞれ7.0±5.4g, 9.4±5.5g及び22.8±15.1gであった.
  • 佐藤 昭子, 寺尾 通徳, 石橋 美也子
    1993 年 34 巻 1 号 p. 63-67_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    液体培地及び魚肉 (アジ, カツオ) ホモジネート中における V. parahaemolyticus に対するニンニク抽出液の抗菌作用を検討した. ニンニク抽出液を20, 10及び5%添加した培地に供試菌を約105/ml個接種し, 経時的に生菌数を測定した結果, 15分, 30分及び1時間以内に供試菌は死滅した. 同濃度のニンニク抽出液を添加した無処理のアジ魚肉ホモジネートに, 供試菌を約105/g個接種した場合, 30分後の生菌数は約102, 104及び104/g個であった. カツオの魚肉ホモジネートを用いて同様の実験を行った結果, アジ魚肉に比べ抗菌効果はやや低下したが抗菌作用が認められた. ニンニク抽出液を-20, 4, 25及び37°で120時間保存し, 抗菌活性を測定した結果, 4°以下では安定していたが, 25°以上では24時間後, 活性は徐々に減弱した.
  • 梅垣 敬三, 池上 幸江, 市川 富夫
    1993 年 34 巻 1 号 p. 68-73_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    農薬を中心とした16種類の有機塩素系化合物の肝臓DNA損傷作用を雄マウスを用いて検討した. DNA損傷は, DNA鎖切断の測定, DNA中の8-ヒドロキシデオキシグアノシン (8-OHdG) 量の測定により行った. 化合物の投与条件はLD50 (文献値) の1/5量を1日1回, 5日連続経口投与とした. その結果, 化合物投与による8-OHdG量の増加はいずれの化合物においても認められなかった. 一方, DNA鎖切断は, 弱いながらもトリクロロエチレンとペンタクロロフェノール投与において検出できた.
  • 河村 葉子, 引地 志香, 丸山 浩治, 内山 貞夫, 斎藤 行生
    1993 年 34 巻 1 号 p. 74-79_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    雑豆, あん製品, キャッサバ粉などに含有されるシアン配糖体であるリナマリンを酵素分解することなく抽出・精製後, TMS化してFID-GCで定量する分析法について検討を行った. その結果, 精製において調製の煩雑なイオン交換樹脂の代わりにNH2型固相抽出カートリッジを用いることなどにより簡便化した. またGC/MSによる確認法を検討した. 本法を用いて輸入雑豆, 国内産雑豆, あん製品及びキャッサバ粉中のリナマリン量を調査した. 本法と従来法による定量結果を比較したところよく一致した.
  • 河村 葉子, 引地 志香, 丸山 浩治, 内山 貞夫, 斎藤 行生
    1993 年 34 巻 1 号 p. 80-83_1
    発行日: 1993/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    製あん工程におけるバター豆及びベビーライマ豆中シアン化合物の消長をリナマリン量及び遊離シアン量の測定により明らかにした. 原料豆及び各工程試料に含有されるシアン化合物の大部分はリナマリンであった. リナマリン量及び遊離シアン量の消長は2種の豆で同様の傾向を示し, いずれもつけ込み工程, さらし工程で大きく減少するが, 加熱工程においてはあまり減少しなかった. また最終製品であるあん中のシアン残存率は両者とも0.3%であった.
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