食品衛生学雑誌
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6 巻, 6 号
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  • 長沢 太郎
    1965 年 6 巻 6 号 p. 481-488
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    わが国の気候条件は高温, 多湿であり, 加うるに牛乳の消費量が, 天候によりかなり大きく左右されることなどを考慮すれば, わが国における滅菌乳生産の必要性は決して西欧諸国のそれに劣らないものがあるといえよう. また一方上述したように, より合理的な滅菌乳を生産するためには, 乳石および沈殿形成の防止, 風味の改善, 安定性の向上など今後一層の研究が必要であろう. しかしながらこれらの諸問題は本質的に原料乳汁の諸性質に支配される点が多いから, とくにわが国の乳業技術者, 研究者によるこの分野の活発な研究の展開が望まれる次第である.
  • 林 敏夫, 須佐 順子, 藤井 清次
    1965 年 6 巻 6 号 p. 489-493
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    アイスクリームに添加されるNa-CMSの定量を行なうにあたり, CMSを金属塩として分離沈殿するのに適当な金属を検索するため, 14種類の金属塩について検討を行ない, その結果, 銅塩が最も適当であることがわかった. また本実験の場合, タンパク質の除去は沈殿として除くよりも, タンパク分解酵素を用いて行なった方がよい結果が得られた. またこの場合CMSに対する酵素の影響はみられなかった.
    アイスクリーム中のCMSの定量は塩酸・メタノール混液でCMSをタンパク質とともに沈殿させてから脱脂して0.5N水酸化ナトリウム溶液に溶かし, pH 7.4で酵素によるタンパク質の分解を行ない, さらにpH 6で10%硫酸銅溶液を用いてCMSを銅塩として分離したのち10%アンモニア水に溶かし, 水で一定量としてからその1~2mlをとり, アンスロンで呈色させて625mμにおける吸光度を測定し定量した. この場合の回収率は98~102%であった. またアルギン酸と共存する場合のCMSは酵素処理した液を希硫酸でpH 1~1.5とし, 加熱してアルギン酸を沈殿として除いた液からCMSを銅塩としてとりだし, 前と同様に定量した結果, 99~102%の回収率を得た. なお他の食品中のCMSについてもその定量法を検討中である.
  • 除草剤の薄層クロマトグラフィー
    細貝 祐太郎, 川城 巌
    1965 年 6 巻 6 号 p. 494-496
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    現在, わが国で使用される除草剤16種についてTLCを行ない, 13種の展開溶媒によるRf値を報告した.
    また, 発色方法については7種の方法について検討した結果, チノパールのメタノール飽和溶液と紫外線照射によるものはトリアジン系化合物を除くすべてに良好な感度を示すことがわかった.
  • 佐々木 清司
    1965 年 6 巻 6 号 p. 497-502
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    食品中のDHAの検出, 定量に, 一般に利用されている紫外部吸収測定法, サリチルアルデヒドによる呈色法などを使用した場合, 食品によってはDHA以外の物質による吸収や皇色のため, DHAそのものの吸収や呈色が妨害されることがある.
    このような妨害も少なく正確かつ短時間で分析できる方法としてポーラログラフ法による分析を試みた.
    その結果, DHAはpH 6.0で0.1M (CH3) 4NBrを支持塩とした40%アルコール溶液において, 拡散電流を示し, 半波電位は-1.510VvsSCEであった. また濃度と波高との関係は10-4~6×10-3Mにおいて直線関係を示し, 定性, 定量法としてきわめてすぐれた方法であることを確認し, これをはちみつに応用してその実用性を実証した.
  • チタン塩とデヒドロ酢酸呈色物の定量への応用について
    岩原 滋利, 荻野 喜文, 入江 友子
    1965 年 6 巻 6 号 p. 502-505
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    Dehydroacetic acid (DHA) in foodstuffs has been determined by colorimetry with salicylaldehyde. But this reaction was interfered with levurinic acid and pyruvic acid.
    It has been already known that titanic chloride (TiCl3) is used as chromogenic reagent of DHA in paper chromatography.
    The present report deals with the application of this color reaction to quantitative determination of DHA in foodstuffs.
    Aqueous sohition containing 0.1-1.0mg of DHA was transfered into a 10ml flask added 1ml of 1% TiCl3-hydrochloric acid solution, and diluted to the mark with water, and the resulting solution was mixed thoroughly. The absorbance of reaction mixture was determined at 390mμ.
  • III. 粉乳の製造工程における腸球菌群の消長
    橋本 秀夫, 川上 英之
    1965 年 6 巻 6 号 p. 506-510
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    U.H.T. 殺菌を行なっている工場の粉乳製造工程における腸球菌群の消長を追求し, つぎの結果を得た.
    1) 腸球菌群は原料乳中には多数存在するが, U.H.T. 殺菌後は一旦陰性となり, 濃縮乳および粉乳の段階で再び陽性となる.
    2) したがって粉乳中に腸球菌群が存在するのは, 原料乳中の腸球菌群が殺菌に耐えて移行したものではなく, U.H.T. 殺菌後の製造工程部分における再汚染によるものである.
    3) 原料乳には各種の腸球菌が存在したが, 殺菌後の濃縮乳および粉乳から検出されたのはStr. faeciumのみであった.
    4) Str. faecalis, Str. faecalis var. liquefaciensおよびStr. faeciumの3菌種について, 50°における発育性を比較検討した結果, Str. faeciumのみに発育がみられた.
    5) 粉乳に腸球菌群が多いのは, 殺菌後の製造工程部分が牛乳のそれに比べて長いため, その間に汚染を受ける機会が多いからであろう.
  • 藤巻 昌子, 武見 和子, 天野 立爾, 川田 公平, 川城 巌
    1965 年 6 巻 6 号 p. 510-512
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    The authors examined trichloracetic acid extract of cod and Alaska pollack meat as to the substances which might interfere the color reaction of formaldehyde with acetylacetone and found no appreciable disturbance during the course of the determination.
    This method, originally proposed by Nash in 1953, was then applied to the examination of formaldehyde content of the frozen meat of cod and Alaska pollack. The amount of formaldehyde in back muscle of cod was in a range between 2 and 5mg% and in Alaska pollack, 3.7 to 5.7mg%, respectively. However, the formaldehyde content in the back muscle of these fishes was observed lower than that of skin or dark muscle portion.
    No remarkable change was noticed in the amount of formaldehyde in these fishes during cold storage at -20°C for six months. But, a slight increase in the formaldehyde content was shown in the sample of cod muscle after four weeks' storage at -5°C, which had been kept at -20°C for five months prior to store at -5°C.
    A decrease in the amount of formaldehyde was indicated in cod meat when the samples reached a stage of incipient spoilage under a temperature of 16°C and 3°C.
    The authors conclude that formaldehyde occurs spontaneously in the tissues of cod and Alaska pollack.
  • 汲取りし尿中の腸炎ビブリオ類似菌
    小瀬 洋喜, 池田 坦, 古山 嘉美, 高木 勇
    1965 年 6 巻 6 号 p. 513-517
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    Related bacteria to Vibrio parahaemolyticus were isolated from night soli in Japan. Some of them were identified with strains isolated from sea water and fish samples by former investigators. The similarities were observed among them in most biological properties. This finding supports a previous hypothesis about the biocycle of Vibrio parahaemolyticus.
    Recently, pathogenic agents were isolated from the flasherie of the silkworm and they were also regarded as related bacteria to Vibrio parahaemolyticus.
  • ビタミンAおよびβ-カロチンについて
    今村 正男, 新谷 いさお, 兼松 弘, 木下 葉子
    1965 年 6 巻 6 号 p. 518-530
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    市販家庭用マーガリン11, バター1および業務用マーガリン2計14種を試料とし, それぞれ5°と25°に保ち, 12か月にわたり毎月ビタミンA, β-カロチンを測定, 併せてP.O.V., A.V., 色相を測定した.
    1) 3, 6, 9, 12か月のビタミン残存率平均値は5°で98.7, 96.3, 94.2, 92.2%, 25°貯蔵では92.9, 86.2, 80.5, 71.5%であった. またβ-カロチン残存率平均値は5°で99.7, 95.0, 89.7, 78.5%, 25°では91.5, 81.7, 68.0, 57.2%でβ-カロチンの方がやや不安定であった.
    2) 乳製品の存在はビタミンA, β-カロチン保持に好結果を与える. とくに全然含まれていない業務用のβ-カロチンはたちまち破壊された.
    3) 金属の存在および水分含量の多いものはビタミン保持に悪影響を与えとくに25°で著しかった.
    4) P.O.V. 増加順とビタミンA, β-カロチン残存率順位には関連がみられたがA.V. との間にはとくに関連がなかった.
    5) 着色剤としては人工色素の方が安定でとくに低温ではほとんど退色しない.
  • 第1報 発酵乳の製造方法と乳酸菌数保持の関係
    清田 亮夫, 高尾 朔, 外村 佳子, 安川 章
    1965 年 6 巻 6 号 p. 530-533
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    When the fermented milk is diluted, as is done in the manufacturing process, citric acid is generally used to supplement the diluted sour taste. The amount of citric acid to be added increases in proportion to the magnitude of dilution.
    The effect of citric acid on the maintenance of living Lactobacilli in the fermented milk was studied in detaiL Addition of citric acid more than 0.5 per cent caused a great reduction in number of living bacilii, indicating the dilution up to five times preferable.
  • 第2報 カード調製時における酸生成促進法について
    清田 亮夫, 高尾 朔, 外村 佳子, 安川 章
    1965 年 6 巻 6 号 p. 534-539
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    The conditions which promote the acid production in the milk during the growth of Lactobacilli were studies.
    The final acidity produced in the milk increased with the prolonged time of incubation within 72hrs. A supply of yeast extract at a concentration of 1 per cent enhanced markedly the growth of the bacilli and acid production in the milk. An associative growth with Str. lactis had a stimulatory effect on the acid production in the milk.
  • 上田 陽司
    1965 年 6 巻 6 号 p. 540-543
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    われわれ百貨店の商品試験室において, 日常食品の汚染状況を知るのに, じん速性を尊ぶあまり, ややもすればほとんどすべての食品に対して「デ」培地を使用しがちな実情にかんがみ, これが信頼性を再確認するため各種食品108種より得た「デ」平板上の赤変集落8,175株について大腸菌群陽性率およびIMViC系6型の分布状況を観察し, つぎのような成績を得た.
    (1) 本試験において「デ」平板上より得た赤変集落に対する衛生細菌学上の大腸菌群の占める割合はわずかに56.4%であって, 信頼性は低いという結果を得た. したがって簡便さに慣れて, いかなる種類の食品に対しても「デ」培地を使用して大腸菌群の検出を行なう点については, かなり検討の余地があるものと思われる.
    (2) 大腸菌群に一致する4,649株のIMViC-systemによる分類と各食品における各型の分布状況を調査したが, その出現率と由来源との関係については先人の報告にほぼ一致した成績を得た. なおIMViC系6型のいずれにも当はまらない株19.2%を得たが, これらについてはさらに検討を加えたい.
  • (I) Escherichia coliおよびProteus vulgarisに対する溶菌性
    赤司 景
    1965 年 6 巻 6 号 p. 543-549
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    食品汚染菌であるProteus vulgarisおよびEscherichia coliを, それぞれリン酸緩衝液でpH 7.2に調整したペプトン水に接種して供試菌液を調整し, これにそれぞれ0.0125, 0.025, 0.05, 0.1, 0.2%の卵白リゾチームを添加して, 37°で72時間培養し, その培養開始時, 培養1, 24, 48, 72時間後における透過度 (560mμ) を測定するとともに, 培養72時間後における各供試菌体の電子顕微鏡写真を撮影し, 卵白リゾチームのこれら供試菌に対する溶菌作用を調査した.
    その結果によると, 両供試菌株を通じ, 培養72時間後において, いずれの場合もリゾチイム濃度が0.05%のときに最も強い溶菌作用を示し, 以下リゾチーム濃度が0.025, 0.0125, 0.1, 0.2%の順にその溶菌作用は弱くなり, リゾチームの添加量が0.05%より多くても少なくてもその溶菌作用は低下したが, この場合むしろリゾチーム濃度が0.05%より濃い場合の方がかえってその溶菌作用は弱かった.
    また両供試菌株に対する卵白リゾチームの溶菌作用を比較すると, Proteus vulgarisに対する場合よりも, Escherichia coliに対する場合の方が溶菌作用は大であった.
  • 高橋 勉, 池田 陽男, 福田 正彦, 菅野 三郎, 和田 裕, 中岡 正吉, 川名 清子
    1965 年 6 巻 6 号 p. 550-553
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    1. 製造直後のインスタントラーメンについて, 油脂の酸価および過酸化物価の経日変化を追跡したところ, 酸価についてはダンボール保存の場合に比べて実験室の窓側放置の場合若干高くなる傾向があるが最高値は5.1であった. 過酸化物価についてはかなり急速に上昇し, とくに実験室の窓側に放置したものは30日目で100を越すものがあり, すでに臭気を発生していた.
    室温ダンボール保存のものは, 6か月間置いても臭気がほとんど変らず過酸化物価も100以下であった.
    2. 製造直後の製品についての酸価は, 製品の放置によって若干上昇するにしても約5以下であったが, 神奈川県下に起きた食中毒例のインスタントラーメン類の酸価は10~30で異常に高かった. このことは, 食中毒例のインスタントラーメン類の製造時に酸価の上昇した古い揚油を使用した可能性が考えられ, 揚油の品質管理が不良製品を締め出す意味において重要であることを示唆するものである.
  • 津郷 友吉, 慶田 雅洋, 長尾 昭雄, 林 俊雄, 熊井 猛
    1965 年 6 巻 6 号 p. 553-554
    発行日: 1965/12/05
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    FAO乳および乳製品基本法ならびに関連規格・検査法に示されたバター脂肪の酸価測定のための国際標準法について検討した結果, なんら問題になる点は認められなかった. したがって本法はわが国においてそのまま採用することができる.
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