食品衛生学雑誌
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35 巻, 1 号
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  • 津村 ゆかり, 長谷川 新, 関口 幸弘, 中村 優美子, 外海 泰秀, 伊藤 誉志男
    1994 年 35 巻 1 号 p. 1-7_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    そばに収穫後使用された5種の農薬の, 貯蔵及びそば切り加工過程における消長を検討した. 玄そばにDDVP, クロルピリホスメチル, マラチオン, フェニトロチオンを噴霧後, または臭化メチルでくん蒸後, 15°で保存し, 農薬残存量を経日的に測定した. 84日間の観察の結果, 農薬の半減期は13日~124日であり, DDVPは最初は速やかに, 続いて緩やかに減少する2相の片対数曲線を示した. また貯蔵3又は5週間後のそばをそば切りに加工し, 加工の各段階での農薬残存量を測定した. 最終製品のそば切り (ゆで麺) にはクロルピリホスメチル61%, マラチオン40%, フェニトロチオン42%, 臭素21%が残留しており, DDVPは検出されなかった.
  • 近藤 厳, 前川 吉明, 熊谷 昌士
    1994 年 35 巻 1 号 p. 8-12_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    果実中のベノミル及びチオファネートメチル (TM) のHPLCによる迅速同時分析法について検討した. L-アスコルビン酸ナトリウムを加えて磨砕した試料に, メタノール-リン酸塩緩衝液 (1:1) を加えて抽出し, 多孔性ケイソウ土抽出カラム及びアルミナミニカラムでクリーンアップした. 分析はODSカラムと移動相にメタノール-リン酸二水素カリウム溶液 (1:1) を用い, UV検出器 (測定波長: 278nm) により行った. 検出限界は両者とも0.05ppmであった. バナナの果皮, 果肉及びパイナップルに1ppmの濃度で添加して得られた回収率はベノミル80~87%, TM73~81%であった.
  • 杉山 英男, 柴田 尚, 磯村 公郎, 岩島 清
    1994 年 35 巻 1 号 p. 13-22_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    富士山山腹 (標高1,700~2,300m) を中心に採取 (1989~1990年) した野生キノコ中の放射性セシウムの濃度レベル並びに生息基質からの移行について調べた. 富士山山腹ではキノコ中の放射性セシウム (137Cs+134Cs) 濃度は17~1,083Bq/kg生で, 生息基質である土壌の66~531Bq/kg乾と共に他地点より高い値を示した. キノコと生息基質との137Cs濃度比 (湿/乾) は報告のある葉菜, 根菜等の移行係数より100~1,000倍高いレベルにあった. これらの濃度比と生思基質のpHには有意な相関がみられ, 更に生息基質の強熱減量の増加に伴いキノコの137Cs濃度は高くなる傾向が認められており, 移行特性の一部が示唆された. これらキノコ摂取による実効線量当量は, 最大で自然界からの年間被曝線量の2%程度と推定される.
  • 門田 実, 今中 雅章, 小川 登, 熊城 一男, 森 忠繁, 岡 尚男, 猪飼 誉友, 堀江 正一, 鈴木 澄子, 中澤 裕之
    1994 年 35 巻 1 号 p. 23-27_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    鶏肉中のアボパルシン (AVP) の定量法として主成分であるα-AVPとβ-AVPを指標とする分析法を開発した. α-AVPとβ-AVPは分取HPLCで単離し, 確認試料とした. 分離には Cosmosil 5C18-ARカラムを, 移動相は2.5%酢酸, 0.01Mヘプタンスルホン酸ナトリウム溶液 (pH4.0)-アセトニトリル (88.5:11.5), UV280nmで検出した. HPLCとバイオアッセイ間に相関性が認められ (r=0.95, n=24) た. AVPは鶏肉をメタノール-0.2M硫酸 (6:4) でホモジナイズ後, 直ちに1N水酸化ナトリウムでpH3に調整し, 濃縮した上澄液を Sep-pak C18で固相抽出し, 試験液を作成した. AVPの鶏肉今の添加回収率は, 2~16μg/g添加で104~99.5%, 本法における症量限界は, 0.5μg/gであった.
  • 広門 雅子, 平田 恵子, 植松 洋子, 鳩岡 友紀, 風間 成孔
    1994 年 35 巻 1 号 p. 28-33_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    68種の酵素が「化学的合成品以外の食品添加物リスト」に収載されているが, これらの品質規格, 活性測定法は食品添加物公定書に記載されていない. そこで, まずβ-アミラーゼ (β-A) 及びグルコアミラーゼ (GA) についてFAO/WHO, FCC及びJIS等の規格を参考にして, 市販品に適用できる共通の測定条件を検討した. 実験に供した酵素の希釈液は, 若干の試料を除き, 水が適用でき, 又, 基質 (溶性デンプン) の濃度, 反応時のpH, 温度及び時間並びに生成物 (還元糖) の定量法等についても共通条件を見いだすことが出来た. 本法により, β-Aの3試料について5~6回繰り返し測定した結果, 変動係数は2.6~3.6%であった. またGAの2試料について5~6回繰り返し測定した結果, 変動係数は1.8及び4.9%であり, 実用上使用できる良好な結果が得られた. なおβ-AとGAの定量限界はいずれも55U/gであった.
  • 有田 俊幸
    1994 年 35 巻 1 号 p. 34-40_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    小麦粉に残留する収穫後使用農薬のうち, クロルピリホスメチル, フェニトロチオン, マラチオンについて, うどん, 日本そば, 中華めんのゆで時における溶出挙動を調査した. ゆで時間に伴いめん中の農薬含量は減少し, 各めんとも10分以内で溶出速度が低下した. この時点での農薬残留率は, 生めんの添加量に対し, うどんで40~70%, 日本そば70~80%, 中華めん4~5% (マラチオン以外) となり, 中華めんのマラチオンは検出されなかった. めんのゆで過程における農薬の消失量を調査したところ, 生めん中の農薬量に対し60~80%の消失がみられた. 原料粉の農薬含量の多寡は, めんからの溶出割合に顕著な影響は与えなかった. また, ゆで用水の増量によるめんからの農薬溶出の促進効果は少なかった.
  • 中野 益男, 福島 道広
    1994 年 35 巻 1 号 p. 41-45_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    加熱によるラム肉中の多環芳香族炭化水素 (PAHs) の生成について調査した. ラム肉 (200g, 水分65.2%) を炭火500~600°で, それぞれ0, 3, 5, 10, 15, 20分間加熱し, クロロホルム-メタノール (2:1, v/v) で3回抽出して, 脂質成分を得た. この脂質成分からシリカゲルカラムクロマトグラフィー及びTLCにより, PAHを分離・精製し, HPLC及びGC/MSにより同定・定量を行った. その結果, ラム肉中の脂質成分は加熱時間の経過とともに減少した. 総PAH含量は, 通常食される加熱時間3分で最大となり, その後緩やかに減少した. PAH組成はアントラセン・フェナントレン, 9-メチルアントラセン, フルオランテン, ピレン, クリセン, ベンゾ [a]ピレン, ジベンゾ [a, h] アントラセンであった. 生成されたPAHを変異原活性に変換すると加熱時間3分で最大値を不し, その後減少した. また, 加熱によるPAHの生成はラム肉中の脂質成分含量との間に高い相関関係 (r=0.926, p<0.05) が認められた.
  • 最所 和宏, 豊田 正武, 高木 加代子, 佐竹 元吉, 高橋 悟, 山本 裕昭, 葛西 健, 橋本 勢津, 斎藤 行生
    1994 年 35 巻 1 号 p. 46-50_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    平成4年4月岩手県岩泉町の山林において野生ミツバチのはちみつによる神経毒症状を呈する中毒事故が発生した. この食中毒の原因物質を検索するため. 中毒はちみつ中の花粉の鏡検を行ったところ, Aconitum 属植物の花粉と形状のよく一致する花粉の存在が確認され, その出現率は68.3%であった. また, このはちみつをラットに投与すると神経毒症状を呈した. はちみつ抽出物のTLCによりアコニチンと同一のRf値を示す物質の存在か認められ, GC/MSのフラグメントイオンによりアコニチンと確認した. そこで牛薬中のアコニチン系アルカロイドの迅速抽出精製法に準拠して, 中毒はちみつ中のアコニチと系アルカロイドを抽出し, HPLCにより定性・定量を行った. 中毒はちみつ中のアコニチンレベルは10.7ppmであり, この濃度はヒメダカ致死試験による推足値と一致した. 以上より. はちみつによる本食中毒の病因物質はアコニチンと推定した.
  • 畑中 久勝, 安井 陽子, 松下 純雄
    1994 年 35 巻 1 号 p. 51-55_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィー (HPLC) によるウオッカ中のフタル酸エステル (PAE) の直接分析法を開発した. 試料100μlを前処理操作なしで直接クロマトグラフに注入するだけの簡便法であり, 検出限度はフタル酸ジブチル (DBP) が0.005ppm, フタル酸ジヘプチル及びフタル酸ジエチルヘキシル (DEHP) が0.01ppmであった. ウオッカ14試料に応用し, 7試料から0.05~0.25ppmのDBPを検出し, そのうちの6試料からは微量のDEHPを検出した. 本法の検討過程で調べた試薬や器具のPAE汚染実態から, 不注意な前処理操作によるPAE混入の可能性を指摘するとともに, 外国で混入と誤解されたウオッカ中のDBPの由来を考察した.
  • 辻 澄子, 柴田 正, 内堀 伸健, 小林 建夫, 鈴木 宏, 内堀(長谷) 幸子, 室井 順子, 兼田 登, 伊藤 誉志男
    1994 年 35 巻 1 号 p. 56-65_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    生鮮及び加工食品中あオルトリン酸イオン (PO43-) のイオンクロマトグラフィー (IC) による定量法を開発した. 試料を塩酸酸性で抽出し, 炭酸ナトリウムにより中和後, ホウ酸緩衝液 (pH9.0) で定容とし, ろ紙でろ過後, 更に限外ろ過を行い, ICにより定量した. 魚肉製品及びジャガイモへ添加したとき90%以上の回収率が得られた. 本法を用いて各種食品中のPO43-の含有量を測定した. 生鮮食品中の天然由来の含有量はいずれも100mg/kg以上であり, 魚類が2,300~4,500mg/kgと高い値を示した. 加工食品中天然由来の含有量は煮干が最も高く13,000mg/kgであった.
  • 池辺 克彦, 西宗 高弘, 末木 賢二
    1994 年 35 巻 1 号 p. 66-71_1
    発行日: 1994/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    1990年に入手した52~72歳の男性8名, 女性11名の食事から一日金属摂取量を求めた. 19名の金属摂取量の平均値はHg 4.91μg, Cd 22.2μg, Pb 87μg, Cr 25.2μg, Se 120.5μg, As 185μg, Cu 1.11mg, Mn 3.83mg, Zn 7.93mg, Fe 9.14mg, Mg 223mg, Ca 688mg, P 698mg, K 2.21g, Na 4.43g であった. 日本で所要量の設定されているFe及びCaについて本研究の摂取量を所要量と比較したところ, Feは所要量10~12mgに満たず, Caは平均値が所要量600mgを満たしていた.
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