食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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58 巻, 2 号
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総説
ノート
  • 宮崎 仁志, 小野田 絢, 寺田 久屋, 中島 正博
    2017 年 58 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 2017/04/25
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル フリー

    生鮮品および加工品のフグ種を簡便かつ迅速に鑑別する方法を検討した.分析手段として,単独プライマーによるPCR増幅産物の多型を解析するRAPD (random amplified polymorphic DNA)法を用いた.DNAの抽出およびPCRは市販のキットを使用し,増幅産物の検出にはポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いた.40種類の市販のRAPDプライマーにより得られたPCR増幅産物のパターンを検討し,その中から2種類のプライマーを選抜して個々に適切なPCR条件を設定することにより, 8種類のフグ種の鑑別が可能なRAPDパターンが得られた.確立したRAPD法をフグ製品26試料に適用した結果,原料フグ種の鑑別に有効な方法であることが示唆された.

  • 渡邉 敬浩, 林 智子, 松田 りえ子, 穐山 浩, 手島 玲子
    2017 年 58 巻 2 号 p. 80-85
    発行日: 2017/04/25
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル フリー

    多くの魚にはメチル水銀が含まれるが,濃度は魚種によって異なる.そのため,魚種を選び適量を摂食することが肝要である.本研究では,妥当性を確認した分析法を用い,食品として流通していた19種(計210試料)の魚における総水銀およびメチル水銀濃度の実態を調査した.その結果,大型の捕食魚であるメカジキとクロマグロの一部試料において,総水銀とメチル水銀濃度がともに1 mg/kgを超えることが確認された.天然魚と養殖魚との濃度を比較した結果,クロマグロとブリの両魚種で,養殖魚における濃度がより低かった.魚種によらず,総水銀とメチル水銀濃度との間には正の相関があることが明らかとなり,効率的かつ見逃しのない検査には,0.3 mg/kgを閾値とする,総水銀濃度によるスクリーニングが有効と考えられた.

調査・資料
  • 牛山 温子, 赤星 千絵, 大澤 伸彦, 清水 智美, 松島 勇紀, 清水 英明, 橋口 成喜
    2017 年 58 巻 2 号 p. 86-95
    発行日: 2017/04/25
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル フリー

    2014年,川崎市において,チョウセンアサガオ類の根を家庭菜園で栽培したゴボウと誤認したことによる食中毒が発生した.調理済み喫食残品である根の一部では形態学的鑑別は困難であったため,LC-MS/MS分析を行ったところ,調理済み喫食残品からアトロピン,スコポラミンを検出した.喫食残品とチョウセンアサガオ類およびゴボウの,DNAバーコーディングによる遺伝子鑑別を行った結果,喫食残品はキク科ではなくナス科の植物であることが分かった.LC-MS/MSによる分析とDNAバーコーディングによる遺伝子鑑別の結果を併せて,喫食残品はチョウセンアサガオ類と同定した.

  • 千葉 剛, 佐藤 陽子, 小林 悦子, 梅垣 敬三
    2017 年 58 巻 2 号 p. 96-106
    発行日: 2017/04/25
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル フリー
    電子付録

    平成27年4月に事業者の責任により機能性表示ができる機能性表示食品制度が施行された.施行後1年が経過した時点における機能性表示食品の認知度および利用実態について消費者2,060名,医師515名,薬剤師515名を対象にアンケート調査を行った.機能性表示食品を認知している人は消費者81%,医師93%,薬剤師98%であった.しかしながら,その特徴を正しく理解していた人は消費者16%,医師23%,薬剤師44%であった.機能性表示食品を利用したことのある消費者は12%であり,治療目的に利用,通院中,医薬品を併用している人がいたが,医師・薬剤師へ相談している人は僅かであった.一方,医師・薬剤師において,患者から機能性表示食品の利用について相談を受けたのは約8%であり,利用が原因と思われる健康被害の相談を受けたのは約2%であった.

  • 小林 悦子, 佐藤 陽子, 梅垣 敬三, 千葉 剛
    2017 年 58 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 2017/04/25
    公開日: 2017/05/09
    ジャーナル フリー
    電子付録

    高齢者においては健康食品の利用率が高く,利用による被害を避けるためにも適切な情報提供が重要である.近年,情報提供手段としてインターネットが活用されているが,高齢者に対する健康食品の情報提供手段としてインターネットが適切であるか検討した.インターネット調査では,健康食品の情報源,入手経路のいずれにおいてもインターネットの利用率が高かった.一方,紙媒体調査では情報源,入手経路のいずれにおいてもインターネットの利用率は低く,テレビ,新聞,雑誌などメディアに加え専門職や友人などの情報の利用が高く,知人などを介して入手している人も多かった.これらの結果より,普段インターネットを利用していない高齢者に対しては,専門職などとのコミュニケーションを介した情報提供が必要であると考えられた.

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