脳と発達
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19 巻, 2 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 多田 啓也
    1987 年 19 巻 2 号 p. 90
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 小林 登
    1987 年 19 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    乳児行動の定量的研究は, 健常な乳児の行動発達の経過を明確にする上にも, また微細な行動障害の早期発見の方法の開発を促進する上にも発展が望まれるものである.しかしながら, 乳児行動を定量的に評価する方法論は未だに限られている.
    本稿は, 著者らが行ってきたコンピューター画像解析法を用いた乳児行動研究 (1.母親の語りかけと新生児の体動のエントレインメントに関する研究, 2.母子間の表情の相互作用に関する研究, 3.サーモグラフィを使った乳児の情緒反応に関する研究) を紹介し, 乳児行動の定量的研究の方法論の可能性を示唆したい.
  • 中村 晴臣
    1987 年 19 巻 2 号 p. 97-105
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Leukodystrophy (LD) をミエリン脂質代謝の酵素異常に基づくと考えられる群と, 発生異常が考慮される群とに分け, その光顕並びに電顕的特徴を述べるとともに, 髄鞘の脂質染色と塩基性蛋白免疫染色とを比較し, 各疾患の病理発生の一面に言及した.特にadrenoleukody-strophyの病巣部での髄鞘再生, 家族性sudanophilic LD, 那須病, 移行型Pelizaeus-Merz-bacher (P-M) 症候群などでのミエリン脂質の異常, 先天型P-M症候群での髄鞘形成の遅延, Alexander病での髄鞘形成の異常などを述べた.
  • 小澤 高将
    1987 年 19 巻 2 号 p. 106-107
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 和田 義郎
    1987 年 19 巻 2 号 p. 108-109
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 埜中 征哉
    1987 年 19 巻 2 号 p. 110-117
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ミトコンドリア異常の診断はほぼ全例生検筋の形態学的, 生化学的分析によっている.ミトコンドリア異常は形態学的にはragged-red fiber (RRF) の存在で確かめられるが, 生化学的に異常が決定した例でも70%前後にしかRRFは存在しない.すなわちRRFがないからといってミトコンドリアの機能異常は否定できない.RRFは電子伝達系の異常に出現し易く, 特にComplex I (NADH-CoQ reductase) 欠損に典型的なものが多く出現する.RRFの頻度と重症度は関係ない.RRFの有無にかかわらず全例で筋線維の大小不同 (タイプ1線維にも), タイプ2線維萎縮, タイプ2C線維の増加など筋原性変化を認めた.
  • 横地 健治
    1987 年 19 巻 2 号 p. 118-124
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    例の自験例を呈示し, ミトコンドリアサイトパチーの臨床像の整理を試みた. Kearns-Sayre症候群, myoclonus epilepsy with ragged-red fibers (MERRF), mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis and stroke-like episodes (MELAS) の3筋脳症候群のほかに, 各種ミトコンドリア基質の利用障害, 呼吸鎖の異常があり, 多様な筋脳症状の組み合わせを呈する.自験例のうち, 3例はcytochrome c oxidase欠損症で, Leigh脳症が疑われた. 3例はNADH-CoQ reductase欠損症で, 2例はMELASの像をとった.他の1例は, 周生期脳障害に続発する脳性麻痺の像をとった.診断のための臨床検査では, 血中および髄液中乳酸値が有用と思われた.
  • ピルビン酸脱水素酵素複合体 (PDHC) 欠損症
    宮林 重明, 成沢 邦明
    1987 年 19 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々の経験した8例のピルビン酸脱炭酸酵素 (PDC, E1) 欠損症を中心に臨床的, 生化学的分析, 治療, 出生前診断について検討した.これらの結果よりPDC欠損症はLeigh脳症と密接な関連性をもち, 残存活性が低い場合におこると考えられる.また残存活性の高い例では, 熱不安定性を認めることが多く, 酵素の質的異常を示すと思われる.ミトコンドリアの形態学的異常は5例全例に認めず, いわゆるミトコンドリアミオパチーの形はとらないと考えられた. 治療は高脂肪食療法, vit. B1大量療法などがあるが効果は十分とは言えない.しかしdichloroacetic acid sodium salt (DCA) 投与療法は今後十分に検討されるべきであろう.羊水培養細胞の酵素活性測定により, 出生前診断を可能にした.
  • 呼吸鎖の異常, チトクローム-c酸化酵素欠損症とNADH-CoQ還元酵素欠損症
    小林 正紀
    1987 年 19 巻 2 号 p. 132-139
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    呼吸鎖異常の6例 (NADH-CoQ還元酵素欠損症3例と, チトクローム-c酸化酵素欠損症3例) に行ったin vivoとin vitroの臨床生化学的アプローチについて述べた.in vivoの検討では, 髄液中乳酸, 軽度運動負荷による血中乳酸, 乳酸/ピルビン酸比および飢餓試験による血中3-水酸化酪酸/アセト酢酸比の測定は呼吸鎖障害を診断するのに有用であった.また, 好気的前腕運動負荷テストによる血中ヒポキサンチンの測定によりエネルギー産生障害をみた.in vitroの検討は, 筋生検よりミトコンドリアを分離し, ピルビン酸酸化能, TCA回路機能, 呼吸鎖の各酵素を測定し, 障害部位をより詳細に診断した.
  • Carnitine palmitoyltransferase欠損症
    杉山 成司
    1987 年 19 巻 2 号 p. 140-149
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Carnitine palmitoyltransferase (CPT) 欠損症には臨床的, 生化学的heterogeneity があるため, 最終の生化学異常を診断する前の臨床的アプローチが必要となる.私達は自験例 2 例において, 1) 自転車エルゴメーター負荷試験および, 2) 空腹試験での血清CK値の変動, 3) 前腕阻血運動負荷試験での血中乳酸, アンモニア, ヒポキサンチン値の変動, 4) 長鎖・中鎖脂肪食負荷試験でのケトン体産生能について検討した結果, CPT欠損を含むエネルギー代謝異常症の非観血的診断方法として, これら一連の負荷試験が有用であると考えられた.更に, 患児の経時的観察や日常生活の指導の点からも有益と考えられた.ただ判定に際しては, 総合的に行う必要がある.
  • 家系分析の立場から
    安田 徳一
    1987 年 19 巻 2 号 p. 150-156
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ミトコンドリアの遺伝は母性遺伝と細胞浮動に集約される.受精機構により, 子のミトコンドリアは母親由来のものだけである.したがって母親がミトコンドリア異常であれば子は娘, 息子を問わずミトコンドリア異常になると予想される.しかしミトコンドリアは各細胞内に多数存在するため, 体細胞分裂の際親細胞から娘細胞へ確率的に伝わる (細胞浮動).この結果, 母親由来のmtDNA変異遺伝子が細胞内から消失あるいは固定することになる.ミトコンドリア異常の臨床症状の多様性はおそらくこの細胞浮動で説明できよう.家系分析の例としてミオクロナスてんかんの家系を取り上げ, 簡単な尤度法で母性遺伝を示して今後の研究を考察した.
  • ミトコンドリア異常に対する遺伝子工学的検討
    石井 尚吾
    1987 年 19 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 1987/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    母性遺伝を示すミトコンドリア異常症2家系4症例についてミトコンドリア遺伝子の分子遺伝学的検討を試みた.
    RFLPの検索・RNaseAマッピングでは変異は認められなかったが, チトクロームC酸化酵素欠損症患者のミトコンドリア遺伝子の一つにチトクロームC酸化酵素サブユニットIIのアミノ酸変異を伴うと考えられる塩基置換が認められた.しかし病的意義は明らかでなく正常にも認められる多型の可能性が高い.
    母性遺伝を示すミトコンドリア異常症に関しては, 今後ミトコンドリア遺伝子を十分に解析する必要がある.
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