先天性水頭症の発生学的見地, 臨床管理上の主要点, そして, 病態の経時性を重視した新たな分類法 [Perspective Classification of Congenital Hydrocephalus (PCCH)] を用いて, 新生児水頭症の予後を分析した.
新生児期 (生後4週まで) に診断された水頭症70例を対象とした.PCCH分類Stage II (ニューロン発達段階: 胎生22~31週に相当) は, 6例 (Dysgenetic 1例, Secondary 5例), Stage III (ニューロン発達段階: 32~40週に相当) は, 5例 (Primary 1例, Dysgenetic 1例, Secondary3例), そして, Stage IV (満期出生の新生児) は, 59例 (Primary 9例, Dysgenetic 44例, Secondary 6例) あった.結果において, Stage II-IIIの未熟新生児水頭症では, 影響を受ける脳側のニューロン成熟段階は, cell migration-axonal maturationの時期にありながら, 前者の3例, 後者の2例にIQ, DQ85以上の良好な予後が得られた.同じニューロン発達段階にある同時期の胎児水頭症と比較してこれらの結果は, 明らかに良好であり, 未熟児ながらも出生後には水頭症の脳へ及ぼす影響は軽減されるものと思われた.そして, その最大の理由は, 出生を境に水頭症病態が子宮内高圧性水頭症から, 大気圧下に頭蓋縫合の離開した低圧性水頭症へ移行することにあると考察した.
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