急性期に動眼神経麻痺を伴った遅発型B群溶連菌 (GBS) 感染による細菌性髄膜炎の1例を経験した.
症例は生後25日目の男児で, 来院当日の朝から活力, 哺乳力の低下を認めた. 体温は37℃で, 呼吸は浅表性. 頭部CTで出血は認めず. 髄液は混濁し, 細胞増多を認めた. 培養で血液・尿・髄液からGBSを検出した. 5日目以降覚醒するも, 左眼は開眼せず. 左眼球は外側へ偏位し, 上下内側運動が制限されていた. 内眼筋の障害はなく, 末梢性の動眼神経麻痺と診断した. 抗生剤, 脳圧降下剤, ステロイドを使用し, 第30病日以降は左眼球の内転も可能となった. 画像所見では動眼神経麻痺の病勢に一致して, 左中大脳動脈とその支配領域の血管炎および浮腫を認めた.
新生児髄膜炎におけるステロイド剤の投与は確立されていないが, 本症例では局所的な血管性浮腫の改善に対して有効であった.
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