脳と発達
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33 巻, 2 号
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  • 衛藤 義勝
    2001 年 33 巻 2 号 p. 106
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 岡田 伸太郎
    2001 年 33 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    われわれはヒトKrabbe病のモデルマウスであるtwitcherを用い, 酵素学的, 遺伝子治療的, 病理学的な研究をつづけてきたので紹介する.
    欠損酵素はgalactosylceramidaseであり, われわれの手でクローニングされ, 変異領域もつきとめられた.この知見をもとに, twitcherに対して新生児期から遺伝子治療を試み, 生化学的な改善は得られたが, 臨床的には変化なく, 生存期間も延長しなかった.おそらくベクターの感染能が不十分であると考えられた.
    病理変化はオリゴデンドロサイトを同定することのできる酵素染色法を確立して研究した. 典型的なリソソーム病としての変化とともにアポトーシスによる細胞死を認めた.
  • 赤松 和土, 岡野 栄之
    2001 年 33 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年, ヒト成人脳にも, 多分化能・自己複製能を持つ神経幹細胞が存在することが明らかになってきている.我々が開発した神経幹細胞特異的に発現する遺伝子プロモーターの制御下にGFP蛋白質を発現させる手法や, neurosphere法と呼ばれる細胞培養法を用いることにより, マウスおよびヒト成人脳から効率的に神経幹細胞を濃縮することが可能である.濃縮した神経幹細胞・神経前駆細胞を脊髄損傷モデルラット, Parkinson病モデルラットに移植することにより症状の改善を認めた.神経幹細胞が, 従来不可能といわれてきた神経疾患の治療に対する重要な移植源となる可能性が期待できる.
  • 大塚 頌子, 大坪 宏
    2001 年 33 巻 2 号 p. 121-123
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    There are many differences between children and adult patients regarding the selection of candidates for epilepsy surgery, decision about the timing of surgery, pre- and intra-surgical evaluation and follow-up. A comprehensive approach by an epilepsy surgery team consisting of pediatric neurologists, neurosurgeons and other medical staffs is absolutely necessary for successful surgical treatment of refractory childhood epilepsy and the improvement of the patient's quality of life. The potential risks and benefits of the surgery must be carefully weighed for each child from various aspects. Pediatric neurologists should make a more active contribution to this whole process.
  • O. Carter Snead, 大塚 頌子
    2001 年 33 巻 2 号 p. 124-127
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Twenty five percent of children with epilepsy continue to seize despite best medical management and may be defined as medically refractory. Many children with medically refractory localization- related epilepsy, i.e. seizures which originate in a particular area of brain and secondarily spread to involve other brain regions, may benefit from a variety of surgical treatments including hemispherectomy, corpus callosotomy, focal cortical resection of the temporal lobe, focal cortical resection of extratemporal regions of brain, and multiple subpial resections. A successful outcome from epilepsy surgery is generally defined as a seizure-free state with no imposition of neurologic deficit. In order to achieve these twin goals two criteria must be fulfilled. First, precise localization of the epileptogenic zone in the brain is necessary. The epileptogenic zone may be defined as the region of epileptogenic cerebral cortex whose removal will result in a seizurefree state. Second, one must determine the anatomic localization of eloquent cortex in brain in order to spare these areas during any planned cortical excision of epileptogenic cortex. Several diagnostic measures may be used to achieve a successful surgical outcome. A clinical history to ascertain the earliest symptom in the clinical progression of the seizure (semiology) is imperative as is ictal and interictal scalp EEG, neuropsychological testing, magnetic resonance imaging (MRI), positron emission tomography (PET), single photon emission computerized tomography (SPECT), interictal magnetoencephalography (MEG). In the typical child undergoing evaluation for epilepsy surgery, if the clinical, neuropsychological, EEG, and radiological data are all concordant and point to the same area of epileptogenicity in brain, cortical excision of the suspected epileptogenic zone is undertaken. However, if the data are discordant, and/or the epileptogenic zone resides wholly or in part within eloquent cortex, invasive intracranial monitoring from depth and/or subdural electrodes during a seizure is required to map out the areas of epileptogenicity in brain. The assessment of potential risks and benefits for this type of epilepsy surgery in children involve complex age-related issues, including the possible impact of uncontrolled seizures, medication, or surgery, on learning and development.
  • トロント小児病院の場合
    大坪 宏
    2001 年 33 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    トロント小児病院における小児てんかん外科治療チーム (神経科, 脳神経外科, 神経放射線科, 神経心理学, 精神科, clinical nurse specialist, ソーシャルワーカー) の術前・術中の評価と治療法について紹介する. 我々のチームは, てんかん発作が, 1) 難治性であり, 2) 焦点が局在化している, 3) 脳神経外科手術による治療が可能であり, 4) 術後の障害は最小限に抑えられる, という4点を検討した上でてんかん外科の適応を決定する. 小児の発達を熟知している小児神経専門医が, チームのリーダーとして複数科からの結果を統合し最終決定をする. 小児神経専門医は, てんかん治療チームを牽引して, 小児てんかん外科治療を行うことが重要である.
  • 双極子追跡法を用いた焦点の同定を中心に
    星田 徹, 知禿 史郎, 合田 和生, 本多 誠, 榊 寿右
    2001 年 33 巻 2 号 p. 135-144
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児難治てんかんの外科治療に対する術前と術中評価法について述べる。非侵襲的検査法の中で, てんかんの診断に最も有用なのは脳波ビデオモニタリングである.MRIからの扁桃体海馬体積測定は, 内側側頭葉てんかんの診断に有用であった.頭皮脳波の棘波から双極子追跡法で, 脳内異常電源を等価電流双極子として推定すると, 器質性病変によるてんかんや側頭葉てんかんの焦点同定に役立つ.頭蓋内電極記録との比較で, 焦点部位の差は14mmであった.術中に皮質電気刺激を用いて正確に機能部位を同定し, 合併症を最小限にして, 術後の発作抑制は3/4で良好となった.今後は患者にとってさらに有益な結果が得られるよう, 努力が必要である.
  • 今井 克美
    2001 年 33 巻 2 号 p. 146-152
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳磁図で解析の対象としているのは主に発作間欠時棘波である.優れた時間空間分解能によりてんかん外科の術前検査に有用ではあるが, 発作時の病態解析は発作時脳波・SPECTなどの検査にゆだねなければならない.今回我々はmagnetoencephalography (MEG) と他の検査方法とで乖離を認めた症例を検討した.原点に立ち返るようだが発作症状の詳細な解析が重要であるのは言うまでもない.これら諸検査と臨床所見との統合によりMEG解析の結果が重みを増すことになる.今, 小児神経科医は難治症例についててんかん外科医と積極的に検討会を持つことを期待されている.その積み重ねはその症例のみならず, 次の症例にも役に立つことであろう.このようなてんかん総合診療システムが全国の大学・主要病院に普及することが望まれる.
  • 清水 弘之
    2001 年 33 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児てんかん手術において重要なことは, てんかん発作の抑制と精神運動発達の荒廃を可及的に予防する点にある.今回は14例の乳幼児における半球切除術の経験を報告した.原因疾患はいずれも脳形成異常であった.手術法としては, 前頭弁蓋の切除腔から患側半球の線維を離断する経前頭弁蓋半球離断術 (transopercular hemispherotomy) を用いた.手術結果は75%で著明な発作の改善, 25%で有意な改善が得られた.術後の合併症としては, 水頭症や脳梁の不完全離断などを認めた.術後の残存発作は, 健側脳の潜在性形成異常が原因と推定された.術後発作が改善し発育が促進された症例では, 健側脳の膨隆が見られた.
  • 下村 次郎
    2001 年 33 巻 2 号 p. 159-165
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児のてんかん外科治療における小児科医の役割は, 外科治療の適応となる症例の識別と, 適切な手術時期の判断である.側頭葉および前頭葉てんかん手術例の術前経過を検討すると, 術前に1年以上の発作寛解を認める症例がともに約30%で, 残りは寛解を認めなかった.発作が持続し難治性が明らかな症例では小児期における早期の手術が望ましいとおもわれた.寛解と再発を繰り返す症例では手術時期の判断は難しく, このような症例では, 発作が患児の生物学的および社会的側面への悪影響が明らかであれば, 再発の際には早期の外科治療の検討が必要とおもわれた.
  • 濱 麻人, 古根 淳, 野村 一史, 高田 義章, 松島 善治
    2001 年 33 巻 2 号 p. 166-171
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    左上肢舞踏運動を呈した12歳もやもや病疑い男児例を経験した.脳血管撮影では右内頸動脈終末部に狭窄がありもやもや血管を認めたが左内頸動脈には認めなかった.手術的治療 (EDAS) を受け, その後は舞踏運動は消失している.
    舞踏運動を呈したもやもや病の報告は散見されるが, その原因として反対側の線条体の虚血による障害が推定されている.しかし, 本症例では画像所見上, 線条体病変を認めなかった.また, 本症例は一側のみに内頸動脈終末部の狭窄を認めたため厚生省診断基準によりもやもや病疑い例と診断した.しかし, このような例が後に両側性病変を有する確実例になる可能性があるため, 今後の経過を慎重に観察する必要がある.
  • 竹谷 健, 木村 正彦, 岸 和子, 瀬島 斉, 田草 雄一, 山口 清次
    2001 年 33 巻 2 号 p. 172-177
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    急性散在性脳脊髄炎 (ADEM) の3カ月女児例を報告した.傾眠と哺乳力低下を主訴に受診した.追固視, 聴覚反応がなく, 筋緊張低下を認めた.髄液細胞数および蛋白, ミエリン蛋白の増加, 脳波の徐波化, 聴性脳幹反応 (ABR) の異常を認めた.頭部MRIの所見から, ADEMと診断した.高血圧を認めたため, ステロイドを使用せずγ-globulin大量療法を行った.症状はγ-globulin投与前後に改善して, 発症2年時点で後遺症および再発を認めない.
    ADEMの乳児発症例は非常にまれである.MRIの異常部位は生後3カ月において髄鞘が形成される部位と一致していた.本疾患に対する治療はステロイドが一般的だが, 乳児例やステロイドの副作用が懸念される例, ステロイドの反応が不良な例ではγ-globulin大量療法は試みる価値があると思われる.
  • 安藤 美智子
    2001 年 33 巻 2 号 p. 178-180
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    難治てんかん学童例に, リドカイン (Ld) 点滴静注が著効したので, 後療法としてLdテープを使用した.合併症として皮膚の発赤,-過性のγ-GTPの上昇を認めたが, 1年7カ月間発作消失している.Ldテープは反復して貼り替えれば継続して使用でき, 発作出現時間帯に合わせて貼付時刻, 枚数を調節することにより, 乳児のみでなく幼児, 学童にも有効な抗痙攣薬として使用可能であると思われた.
  • 山下 裕史朗, 久佐賀 晃, 福井 隆一, 吉田 一郎, 松石 豊次郎
    2001 年 33 巻 2 号 p. 181-183
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    注意欠陥多動性障害 (ADHD) 診療における塩酸methylphenidate (MPH) 投与の実態と問題点について, 日本のADHD診療主要48施設にアンケート調査を行い, 32施設 (67%, 回答者: 児童精神科医25名, 小児神経科医7名) から回答を得た.32名中30名がMPHを使用していたが, 2名は, わが国での臨床試験がなされていない, 長期の安全性に確信が持てないなどの理由によりMPHを処方していなかった.6歳未満の小児にも30名中14名が処方していた.処方に際して全員が保護者か本人に承諾を得ていたが, 文書による承諾は1名のみであった.ADHDがわが国ではMPHの保険適応外疾患であることを29名中20名が伝えていた.徐放錠がないため, 昼も処方しているのは31名中28名で, 管理は担任か養護教諭に依頼する, 本人にまかせるなどまちまちであった.諸外国ではMPHの適応症となっているADHDの保険適応を望む意見が多かったが, 就学前の小児への投与や乱用, 流用などの危険性を危惧する少数意見もあった.MPHの使用を含めたADHD診療のわが国のガイドライン作成と保険適応疾患認可に向けた厚生省への働きかけが急務である.
  • 関東地方会 , 北陸地方会
    2001 年 33 巻 2 号 p. 191-197
    発行日: 2001/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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