脳と発達
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39 巻, 6 号
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  • 桃井 真里子
    2007 年 39 巻 6 号 p. 414
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
  • 菊池 健二郎
    2007 年 39 巻 6 号 p. 415-416
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 加代子
    2007 年 39 巻 6 号 p. 417-422
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    遺伝子研究の進歩により, 診療の現場において確定診断としての遺伝子検査が利用され, 発症前診断, 保因者診断, 出生前診断が可能となった.遺伝子情報は個人と血縁者で共通性があり, 診断結果が血縁者へ影響を及ぼす可能性がある.遺伝子情報漏洩の危険性, 遺伝的差別への危惧など倫理的法的社会的問題が生じる危険性もある.このような背景の下に, 小児神経領域の疾患において, 遺伝カウンセリング実施体制の構築が必要である.本稿では, 遺伝カウンセリング実施体制の解説とともに, Duchenne型筋ジストロフィーと筋強直性ジストロフィーにおける遺伝カウンセリングの例を挙げて考察する.
  • 村上 貴孝
    2007 年 39 巻 6 号 p. 423-426
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    肢体不自由養護学校の現状と問題点を, 筆者が出務する養護学校を例に提示し, それによって校医の役割と小児神経科専門医のアイデンティティを考察した.
    肢体不自由養護学校の現状は, 障害原因の多様化と重度化に集約され, この傾向は年々顕著になると予想される. これに対して, 看護師導入などの対策がなされているが, 看護師の役割と立場は学校間で格差がある. 障害の重度化と医療的ケアの質・量の増加は進む一方, 全ての主治医が小児神経科専門医ではなく, 学校側に対する指示の出し方も統一されていない. このことが, 養護教諭, 一般教師や看護師の肉体的・精神的負担を増加させている. そのため, 校医の役割は非常に重要となる.
    校医として日本小児神経学会に求めることは,(1) 通学支援対策の提言,(2) 障害児療育に関する卒後研修・校医研修のさらなる充実,(3) 指示書, 報告書の書式の標準化,(4) 学校における看護師の役割と責務に関する学会としての統一見解を示すことである.
  • 18歳時の歩行能力および進路について
    鈴木 順子, 伊藤 正利, 藤井 達哉, 宮嶋 智子
    2007 年 39 巻 6 号 p. 427-431
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    1977-1986年度に生れ, 就学時 (6歳時) に滋賀県に在住し, 現在19-28歳の痙性両麻痺62例について, 就学後の歩行能力の変化と18歳時の状態を調査し, 18歳時の状態を6歳時の障害程度と比較検討した. 歩行能力は7-9歳頃まで向上するが, 9-11歳頃が最高の状態を示し, その後低下する傾向にあった.18歳時までの独歩獲得は43例 (69%), 杖歩行を含めた歩行の獲得は48例 (77%) であった. 6歳で独歩していたもの (39例; 63%) は18歳でも全例独歩は可能であったが, 痛みや疲れを訴えるものもあった.
    18歳で就職したもの (9例; 15%) は杖歩行以上のものに限られたが, 進学したもの (20例; 32%) には2例の車椅子移動のものがあり, 1例は大学に, 他の1例は専門学校に進んだ. 知的障害の程度と学齢後進路は相関しており, 知的障害がないもの (25例; 40%) は, 留年した1例と職能訓練施設に入った1例以外は進学または就職していた.
  • 吉岡 誠一郎, 須貝 研司, 富士川 善直, 小牧 宏文, 中川 栄二, 佐々木 征行
    2007 年 39 巻 6 号 p. 432-435
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    乳児期に部分皮質形成異常と診断されていたが, 経過中に片側巨脳症に進展した難治性てんかん男児例を報告した.患児は4カ月時に難治性てんかんを発症し, 発達は退行した.4カ月時の頭部MRI検査では, 右前頭葉弁蓋部周囲の部分皮質形成異常と診断された.この皮質形成異常部位は徐々に肥厚, 拡大し, 5年後には右大脳皮質のほとんどを占め, 右半球全体も大きくなり, 片側巨脳症と診断した.最重度精神運動発達遅滞を呈し, てんかん発作のコントロールは困難であった.FDG-PET, 脳血流SPECTでは片側巨脳症側の糖代謝低下と発作時脳血流量増加を認めた.進行性腫大を呈した片側巨脳症の報告は今までになく, 片側巨脳症の病態生理を考察する上で重要な症例である.
  • 平野 恵子, 愛波 秀男, 矢野 正幸, 渡邉 誠司, 奥村 良法, 高橋 幸利
    2007 年 39 巻 6 号 p. 436-439
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    片麻痺, 失語, けいれんなど多彩な症状を呈し, 再発寛解をくりかえした脳炎の1例を経験した. ステロイド依存性で, また, 髄液の抗グルタミン酸受容体抗体が陽性であったことから自己免疫の関与が示唆された. 免疫抑制剤tacrolimusを併用したところ, ステロイドを漸減中止でき, 3年以上経過した現在まで再発なく良好に経過している. これまで脳炎治療におけるtacrolimusの使用報告は少ないが, 自己免疫の関与が疑われる脳炎の治療法としてtacrolimusは有効な薬剤であると考えた.
  • 大見 剛, 中川 栄二, 富士川 善直, 小牧 宏文, 須貝 研司, 佐々木 征行
    2007 年 39 巻 6 号 p. 440-443
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    強い痙直に対してdantrolene sodium (以下dantrolene) 投与中の重症心身障害児に原因不明の発熱が出現した. 慢性硬膜下血腫を認めたため, 頭蓋内感染症を考え抗生剤, 抗真菌薬の投与を行ったが, 発熱は持続した. 薬剤熱を考えdantroleneを漸減中止したところ解熱した.中止後筋緊張が強く嘔吐, 睡眠障害等が出現したため, 家族の同意を得た上でdantroleneを再開したところ再び発熱し, dantroleneを中止することで直ちに解熱した. Dantrolene投与例に原因不明の発熱を認めた場合には, dantroleneによる薬剤熱も鑑別として念頭に置く必要がある.
  • 経時的脳波変化の検討
    端 里香, 中村 彰利, 杉本 健郎, 金子 一成
    2007 年 39 巻 6 号 p. 445-449
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    乳児期発症の若年型歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 (dentatorubral-pallidoluysian atrophy: 以下, DRPLA) 姉妹例の脳波と症状について経時的に検討した.
    第1子は症状の出現・進行が速く, けいれん抑制は困難で, 脳波所見は広汎性高振幅徐波が主であった.第2子は発達遅滞, ミオクローヌスが主体で, 脳波の特徴的所見は全般性両側性同期性棘徐波複合であった.
    本姉妹例のようにCAGリピート数が86および79と一桁の差であっても臨床経過に大きな差が見られた.特に重症例 (本報告の姉) では脳波所見において広汎性高振幅徐波, 早期からの低振幅徐波の出現が認められた.
  • 赤池 洋人, 大澤 麻記, 須貝 研司, 中川 栄二, 小牧 宏文, 鈴木 郁子, 佐々木 征行
    2007 年 39 巻 6 号 p. 451-455
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    学童期にepilepsy with continuous spike-waves during slow wave sleep (CSWS) を伴った22q13欠失症候群の1例を報告した.症例は筋緊張低下, 精神遅滞, 言語消失, 外表奇形, 難治性てんかんを呈した. 7歳時, 終夜脳波でCSWS (spike & wave index=99.2%) を認めた.15歳以降運動退行を呈した.28歳で行った染色体分析で22番染色体長腕の端部欠失が判明し, 22q13欠失症候群と診断した.本症の約3割にてんかんを認めるが, CSWSの報告はなく, 運動退行の報告もない.本例の15歳以降に認めた運動退行の要因として, CSWSを伴うけいれん重積が最も考えられた.本例は発症時期や発症機転の不明な脳梗塞を左側頭後頭葉に認めており, 繰り返すけいれん重積との関連性が示唆された.
  • 難治なけいれん発作をもつ小児に対する予防接種実施に関する多施設共同調査
    伊予田 邦昭, 粟屋 豊, 松石 豊次郎, 永井 利三郎, 田辺 卓也, 栗原 まな, 山本 克哉, 前川 喜平
    2007 年 39 巻 6 号 p. 456-458
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    難治なけいれん発作をもつ小児に対する予防接種基準最終案を検証するため, 全国多施設共同で予防接種後健康状況調査を施行した (112例, 229件, 回答率:52.4%).
    1)観察期間: 日・週単位群で1カ月, 月単位群で2~3カ月程度, 重積症後では, 各々1~3カ月, 3~6カ月程度. 2)接種後1カ月以内の副反応: 身体面は17件 (7.5%; 1件以外すべて発熱), 50%以上発作が増悪した例はわずか4件 (1.7%; 麻疹・インフルエンザ各2件), 計21件 (9.2%) で, すべて外来対応が可能であった. 3)自然罹患入院例: 麻疹2/5例, インフルエンザ3/7例でけいれん重積を合併した. 以上より各種予防接種は安全に実施されており, 主治医(接種医)が“適切”な時期に個別接種を行う本基準案は妥当と考えられる.
  • 片桐 朋子, 山本 敦子, 白井 謙太朗, 渡辺 章充, 荒木 聡
    2007 年 39 巻 6 号 p. 458-459
    発行日: 2007/11/01
    公開日: 2011/12/12
    ジャーナル フリー
    症例は発熱, 全身性強直間代性けいれんが35分間続き入院となった11カ月男児. 速やかに意識障害は回復したが, 左片麻痺を残した. 第3病日, 解熱後全身に発疹が出現し, 突発性発疹と診断した. 左片麻痺は改善傾向であったが, 第4病日に悪化. 拡散強調画像を含めた頭部MRIを施行したが, 異常を認めなかった. その直後から左半身優位のけいれんが群発し, 第7病日に施行した頭部MRI拡散強調画像で右大脳半球の皮質下自質に高信号域を認め, ヒトヘルペスウイルス (HHV) 6による急性脳症と診断した. 本症例ではけいれん再発直前のMRIで正常所見が確認され, けいれん重積で発症し二相性の経過をとる脳症の病態を推測する上で興味深い症例と考えらた.
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