ゲノムプロジェクトでヒト遺伝子の数は2万数千と, ショウジョウバエなどと大きな差がないことが明らかにされた.今後, この遺伝子情報が臨床の場で, さまざまに利用されることが推定される.取り上げなければならない課題は,(1) 遺伝情報の特性と遺伝学的検査の妥当性や有用性,(1) ガイドラインもしくは法的な対応の整備,(3) 遺伝カウンセリングの整備,(4) 遺伝情報の管理と遺伝的差別防止策の検討など, 多岐にわたっている。問題はそれらが科学としてだけでなく, ELSI (ethical, legal, socialimplication;倫理的, 法的, 社会的問題) の立場で論及されることの重要性である.2003年10月, ユネスコは遺伝情報の管理に関し, その誤用を避け, 人権を守ることを目指して国際宣言を行った, その基本姿勢は平等, 公正, 連帯である.
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