胎児中大脳動脈血流はIUGR (intrauterine growth retardation) やそれに伴う胎児仮死の状態で拡張期血流速を上昇させることが知られている.収縮期ドプラシフト (
S) と拡張期ドプラシフト (
D) より計算されるresistance index (
RI) は
RI= (
S-D)/
Sで計算され, 上記状態では
RIは低値を示すことになる.同じ状態で下行大動脈・臍帯動脈の
RIは高値を示すため, 胎児中大脳動脈の特異性の機序の解明が求められていた.そこで,-2SD以下のIUGR例の胎児採血と血流計測を24時間以内に行い, 血液ガス・酸塩基平衡と胎児中大脳動脈血流との関係を求めた.胎児中大脳動脈
RIは血中酸素分圧と正の相関を示し, 呼吸性のアシドーシス・高炭酸ガスの存在下で修飾され, たとえ低酸素下でも低値を示さないことがわかった.
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