脳と発達
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24 巻 , 2 号
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  • 小川 昭之
    1992 年 24 巻 2 号 p. 105-117
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    生体活動現象 (脳波, 筋電図, 心拍変動, 姿勢動揺など) に多次元自己回帰モデルを適用することによって, 動的高次活動性や, 一次, 二次要素波活動性の周波数や時間パターンがパワースペクトル, インパルス応答, 周波数応答から求められた.これら活動性によって「脳」や「心拍・呼吸」システムの制御応答が明らかにされた.これら活動性の変化に伴って, 発育脳の情報処理活動, つまり発育に伴って脳波のエントロピーが減ずることが明らかにされた.情報理論の分野において発展した最近の数理科学の進歩は瞠目に値する.今後, この方面の研究が進めば, ヒト小児の行動や正常・病的発育脳のメカニズムが一層解明されるであろう.
  • 生田 房弘
    1992 年 24 巻 2 号 p. 118-126
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ドラマチックな発育をとげつつある胎児脳における病巣修復機序は, 成熟した正常な脳内におけるそれらとは著しく異なった特異性をもっている.その理由は胎児脳の解剖学的特徴の中に求めることができると思う.その第1は脳形成に不可欠な細胞の移動運動にとって, なくてはならぬはずの広い細胞外間隙が胎児脳内には元来存在している点であろう.また, 胎児脳では成熟脳と異なり, 細胞と細胞が接着せず, フリーに相互移動できる状況にあることもまた重要と考えられる.これによって壊死細胞は成熟脳と異なって “正常状態のまま” で容易に除去されてしまう.なお, 成熟脳における病巣修復に決定的な役割を果たしているアストロサイトは胎児脳内においてはなお形成されていないか, 分化の途上にあることなどから, 成熟脳に対比すれば, アストロサイトーシスがみられないかあっても著しくわずかなため, いわゆる奇形的な脳組織を形成することで病巣修復過程を完了している.
  • 赤池 弘次
    1992 年 24 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    例題の処理を通じて, 統計的データ解析の進め方の要領, および統計モデルの利用法を説明する.さらに, 情報量基準AICによる統計モデルの客観的な比較の実現と, 複雑なデータの解析のためのベイズモデルの実用化について論じる.最後に, 有効な統計的データ解析の推進のためには, 各分野の専門家と統計学研究者との共同研究が必要であることを指摘する.
  • 奥山 和男, 高嶋 幸男
    1992 年 24 巻 2 号 p. 134-135
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    This symposium was focused on pathogenetic analysis on dynamic changes of intracranial pathology in the perinatal period and pervention of fetal and neonatal brain damage. New and valuable results were reported in topics of cerebral blood flow dynamics in the fetus and neonate, imaging modalites in the fetus and neonate, metabolic parameters, neurophysiological function, and pathological analysis.
  • 千葉 喜英, 村上 雅義
    1992 年 24 巻 2 号 p. 136-139
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胎児中大脳動脈血流はIUGR (intrauterine growth retardation) やそれに伴う胎児仮死の状態で拡張期血流速を上昇させることが知られている.収縮期ドプラシフト (S) と拡張期ドプラシフト (D) より計算されるresistance index (RI) はRI= (S-D)/Sで計算され, 上記状態ではRIは低値を示すことになる.同じ状態で下行大動脈・臍帯動脈のRIは高値を示すため, 胎児中大脳動脈の特異性の機序の解明が求められていた.そこで,-2SD以下のIUGR例の胎児採血と血流計測を24時間以内に行い, 血液ガス・酸塩基平衡と胎児中大脳動脈血流との関係を求めた.胎児中大脳動脈RIは血中酸素分圧と正の相関を示し, 呼吸性のアシドーシス・高炭酸ガスの存在下で修飾され, たとえ低酸素下でも低値を示さないことがわかった.
  • 田角 勝
    1992 年 24 巻 2 号 p. 140-146
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    未熟児・新生児における脳循環障害は, 脳室内出血, 低酸素性虚血性脳症, 脳室周囲白質軟化症などの疾患において重要な意味を持っている.超音波ドプラ法による脳血流速度の測定は, ベッドサイドで安全に簡便に繰り返し行うことができ, 広く臨床応用され数多くの脳循環動態に関する報告がなされている.脳血流速度は脳血流量, 脳血管抵抗, 血管径などにより影響されるが, 各種病態におけるそれらの変化を把握することは脳循環障害の予防や治療につながると考えられる.
  • 堀本 直幹, 小柳 孝司, 中野 仁雄, 植田 浩司
    1992 年 24 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    成人においては, 諸種の動作と個々に対応する制御中枢との間に機能的な連携があることはすでに周知のことである.しかしながら, ヒト胎児では, 中枢神経系の機能がいかなる形で動作に表現されてくるのか, いまだ明らかにされていない.このような主旨に沿って, 本研究では眼球運動, 口唇運動, 呼吸様運動ならびに四肢の運動を指標として, 動作のパターンが正常例の当該妊娠週数のそれから逸脱した3症例を紹介し, これらの症例をモデルにヒト胎児の動作の異常と制御中枢における病変部位との対応について考察を加える.
  • 門井 伸暁
    1992 年 24 巻 2 号 p. 152-158
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1985年からの5年間で在胎35週未満の低出生体重児生存例399名において一連の頭部超音波検査を行い, 嚢胞形成性脳室周囲白質軟化14例 (3.5%), 嚢胞形成は認められなかったが持続性高エコー域が出現した4例 (1%) を発見し, 神経学的評価により全例に痙性麻痺を認めた.新生児期の超音波所見では異常を認めなかった10例 (2.5%) にも痙性麻痺が出現し, 磁気共鳴画像診断で,(1) 脳室周囲白質にT2信号強度異常増加域の出現,(2) 脳室周囲白質容量の減少,(3) 脳梁の菲薄化,(4) 脳室拡大と壁の不整などの脳室周囲白質病変の存在が示唆されたので脳室周囲白質軟化 (periventricular leukomalacia: PVL) と診断した.以上より, 当科における
  • 吉岡 博, Maria D Papadopoulos, Donald P Younkin, Britton Chance, 光藤 伸人, 沢 ...
    1992 年 24 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ヒトの脳のリン核磁気共鳴スペクトロスコピー (MRS) をとれば, 脳のエネルギー代謝やリン脂質代謝の動態が非侵襲的に, かつin vivoで観察できる.また, phosphocreatineに対する無機リンの化学シフトから脳組織のpH (pHi) も同時に計算できる.本稿ではMRSによる子宮内発育不全, 呼吸窮迫症候群, 新生児痙攣, 新生児仮死における脳エネルギー代謝の変化について述べ, 胎児・新生児脳障害の予防の可能性について考察した.
  • 早川 文雄
    1992 年 24 巻 2 号 p. 164-168
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    早期産出生児の中枢神経損傷を把握すべく, 経時的脳波記録および聴性脳幹反応からなる神経生理学的検討を行った.その結果, 早期産児の脳損傷には次の2つの受傷様式が存在すると考えられた.第1は著しい脳機能抑制が短期間に生ずる場合で, 児は深部白質損傷を受傷し, 痙性麻痺といった運動障害を残す.このような児は回復期脳波でdisorganized patternを呈した.第2は軽微な脳機能抑制が2週間以上にわたり遷延する場合で, 頭部超音波上に異常所見を呈さず, 知的発達障害の懸念を残す.このような児の回復期脳波にはdysmature patternを認めた.以上のように, 早期産児脳障害の解明・把握の目的で, 神経生理学的検査は有用であると考えられた.
  • 水戸 敬
    1992 年 24 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1970年から1989年の20年間にトロント小児病院にて剖検された新生児2,515例について, 成熟度および死亡時日齢別の神経病理所見の5年毎の経時的変化を検討した.経時的に頻度が減少していたのは髄膜炎, 核黄疸, 脳室上衣下出血/脳室内出血およびそれにともなう小脳出血であった.脳室上衣下出血/脳室内出血の頻度は全てのGradeで減少しており, 未熟児・早期新生児死亡例での減少が顕著であった.脳梗塞の頻度には変化がみられなかった.頻度が増加していたのは選択的神経細胞壊死, 脈絡叢出血で, とくに成熟児の生後2週目の死亡例の増加が目立った.最近の周産期医療の進歩は目覚ましいが, 今後の課題として, 低酸素性虚血性神経細胞壊死, 脈絡叢出血, 脳梗塞の病態解明と予防があげられる.
  • 折居 忠夫, 橋本 隆
    1992 年 24 巻 2 号 p. 174-175
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Peroxisomes in higher animals had been considered as a fossil organelle. But, the discovery of peroxisomal fatty acid β-oxidation system in 1976 revived a great deal of interest. In the last decade, peroxisomes have been shown to have an important role in the lipid metabolism. In accord with this progress, the presence of peroxisome diseases has been established. The peroxisomal disorders recognized at present comprise 12 different diseases, with neurological involvements in 10 of them. Recent studies have identified at least eight complementation groups in peroxisome-deficiency disorders, and indicated that currently used clinical categories do not represent distinct genotypes.
  • 橋本 隆
    1992 年 24 巻 2 号 p. 176-180
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ペルオキシソームには過酸化水素を生じるオキシダーゼとカタラーゼが局在する.高等動物にはそれ以外に特記すべき代謝の存在が見出せなかったことから化石的オルガネラと考えられてきた.1976年このオルガネラに脂肪酸酸化系が見出され, ペルオキシソーム研究の新しい展開が始まった.ペルオキシソーム脂肪酸酸化系の生化学, この系の諸酵素の分子生物も明らかとなった.またコレステロール, 胆汁酸, プラスマローゲンなどの生合成にもペルオキシソームが重要な役割を持っていることも明らかとなった.
  • 藤木 幸夫
    1992 年 24 巻 2 号 p. 181-185
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ペルオキシソーム生合成機構の解明へ向けて, 近年, 構成蛋白質の局在化シグナルの検索が行われ, C-末端アミノ酸配列Ser/Ala-Lys/Arg/His-Leu-COOH (SKLmotif) がペルオキシソーム移行シグナルの1つとして見出されるに至っている.Zellweger症候群患者由来細胞に種々の生化学的異常が類似したペルオキシソーム欠損性動物変異細胞が分離され, それを用いたペルオキシソーム欠損症の一次的病因究明やオルガネラ形成に必須な諸因子の解明が試みられている.最近, その成果としてペルオキシソームの形成および生化学的異常をすべて補正する35kDaのペルオキシソーム膜蛋白質 (peroxisome assembly factor-1, PAF-1) の遺伝子がクローニングされた.
  • 高嶋 幸男, 宝道 定孝, 亀井 淳, 長谷川 元宏, 水戸 敬, 鈴木 康之, 前田 卿子
    1992 年 24 巻 2 号 p. 186-193
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ペルオキシソーム生成異常であるZellweger症候群とneonatal adrenoleukodystrophyは同じペルオキシソーム欠損であるものの, 病理所見は異なる.前者では神経細胞移動異常が強く, 後者では広範な髄鞘形成不全が主要な所見である.発達的免疫組織化学的検索から, 髄鞘形成不全はオリゴデンドログリアの発達と関連すると考えられる.神経細胞移動異常の機序は不明であるが, 血管内皮細胞とラジアルグリアは在胎20週の胎児でも陽性に染まり, ペルオキシソーム病では内皮細胞は染色されないので, これらとの関連性を検討する必要がある.
  • 鈴木 康之
    1992 年 24 巻 2 号 p. 194-197
    発行日: 1992/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Zellweger症候群, 新生児型adrenoleukodystrophy, 乳児型Refsum病はいずれも生後早期から精神運動発達遅滞, 筋緊張低下, 肝腫大, 特徴的顔貌を認めるペルオキシソーム欠損症である.これらの疾患では複数のペルオキシソーム局在酵素が障害されるが, 特に脂肪酸β-酸化系酵素の障害は病態発現の中心と考えられている.また抗カタラーゼ抗体を利用してペルオキシソーム病の診断, 免疫組織化学的解析が可能である.ペルオキシソーム欠損症の成因は未だ不明であるが, 細胞融合による相補性解析により, 少なくとも8種の相補性群が見出されており, 極めて遺伝的異質性が強いと推測される.
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