脳と発達
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26 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 熊谷 公明
    1994 年 26 巻 2 号 p. 100
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 正利
    1994 年 26 巻 2 号 p. 101-110
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    てんかん発現機構解明への神経生化学的アプローチとして, 実験てんかんモデル動物における脳内神経伝達系の役割の検討, 抗痙攣物質, 痙攣誘発物質の作用機序の解明, てんかん患児における髄液中神経伝達物質の測定とその結果に基づく治療法の開発についてのわれわれの知見を報告した. 今後さらに, 神経生化学的アプローチによって詳細な検討を行っていくことが, てんかんの発現機構の解明および新しい治療法の開発のために必要である.
  • 島田 司巳
    1994 年 26 巻 2 号 p. 111-112
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Hypoxic encephalopathy during the late gestation and perinatal period occupies a large part as a cause of mentally and physically handicaps. An extensive study on the pathogenesis and pathophysiology of the hypoxic brain damage is, therefore, the matter of urgency to minimize the occurrence of handicapped children. The main factors and/or processes relating to hypoxic or hypoxic-ischemic brain damage are (1) structural and functional immaturity of the brain vascular system and (2) a metabolic cascade triggered by hypoxia. As the following metabolic cascade subsequent to hypoxia has been partly made clear;(a) disturbance of the energy metabolism, (b) excessive release of excitatory amino acids and subsequent activation of NMDA and K/Q receptors at the cell membrane, (c) collapse of the membrane ion pump, and (d) increase in turnover of membrane phospholipids.
  • 脳切片を用いた研究
    岡田 安弘
    1994 年 26 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ラット発育期脳 (生後4日, 7日, 10日目脳) および成熟脳から海馬切片を作成し, 静止時におけるエネルギー消費率, 酸素消費率を測定した. さらに神経活動とエネルギー代の相関をしらべるために各切片のSchaffer側枝を刺激し, CA1野の錐体細胞層からシナプス電 (集合電位, PS) を記録した. 4日, 7日, 10日目および成熟脳からの海馬切片のエネルギー消費率はそれぞれ1.09, 2.93, 3.42, 4.75~Pmmol/g DNA/分であり, 酸素消費率は0.13, 0.24, 0.47, 0.80~O2mmol/g DNA/分であり, いずれも脳発育とともにエネルギー代謝率は増大したが, 幼若脳はエネルギー産生をより嫌気的代謝に, 成熟脳はより好気的代謝に依存して行く過程を数量的に表示できた. 各切片を無酸素, 無グルコース条件下においた時の神経活動シナプス電位 (PS) の維持と高エネルギーリン酸レベルの相関から, PSの維持には各切片のATPレベルの維持の他に幼若脳, 成熟脳ともにグルコースの存在が必須であることが明らかとなった.
  • 佐藤 章
    1994 年 26 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    胎児仮死の病態生理は, いまだ完全に解明されていないのが現状である. しかし, 多くの動物実験の結果から, かなり, その病態生理が解明されつつある. 胎児仮死をhypoxiaとacidosisに陥った状態とすると, まず, 呼吸性acidosisから末梢血管の収縮が起こり, 次いで血流の再分配現象が起こり, 脳・副腎・心臓へ多く血流を送るようになる. Hypoxiaがより進むと代謝性acidosisに陥る. この頃には脳内でも血流再分配が起こり, 生命維持のため脳幹部へ多く血流を送るようになる. 次いで, グルタミン酸・フリーラジカル等により細胞膜の脱分極が起こり, 細胞内のCa+イオンが流入する結果, 脳細胞壊死が起こると考えられている.
  • 服部 春生
    1994 年 26 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    興奮性アミノ酸は脳内の主要な神経伝達物質である. その個体発生は発達早期に機能充進状態にある. このことは生理的には, 脳の発達期における軸索・樹状突起形成, シナプス形成などの可塑性に興奮性アミノ酸が重要な役割を果していることを意味している. しかし, 一方ではこの一過性機能充進状態は興奮性アミノ酸による神経毒性にさらされやすいことにもなる. 新生児低酸素性虚血性脳症における興奮性アミノ酸の過剰遊離は動物モデルではよく証明されている. そして, 興奮性アミノ酸受容体の活性化に引き続く神経細胞内遊離カルシウムイオンの増加は細胞障害性酵素の活性化, フリーラジカルの増加などを引き起こし神経細胞死を来す.
  • 桐野 高明
    1994 年 26 巻 2 号 p. 130-135
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    虚血に脆弱な海馬, 線条体, 大脳皮質などの神経細胞は虚血のあとに遅れて細胞死の像が明らかとなる (遅発性神経細胞死). このような部位の神経細胞群では特にグルタミン酸に対する受容体の密度が高いので, 虚血性の神経細胞死にはグルタミン酸の興奮毒性が関与しているのではないかと疑われるようになった (グルタミン酸・カルシウム説). もし神経細胞が細胞死には陥らない程度の虚血にさらされると, ストレス応答を示し, この時期には一時的に虚血に対して耐性を獲得する. このような特徴から, 短時間の虚血による神経細胞死は単純で受動的で急激な細胞の破壊とはいえない. しかし, 虚血後の神経細胞死を決定する機構の詳細はいまだ不明である.
  • 小枝 達也
    1994 年 26 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1. 片麻痺児38名 (右片麻痺21名, 左片麻痺17名) を対象に, その行動特性を「子どもの気質の調査」を用いて調査した. 対照児36名と比較した結果, 右片麻痺児では逃避的, 左片麻痺児では順応性に富むという行動の特徴が明らかになった. これらの行動特性は成人の片麻痺者で知られている行動特性に類似しており, 発育期の脳障害でも同様の巣症状を呈することが示された.
    2. 未熟児出生の痙性両麻痺児18名を対象に, その視覚認知障害と側脳室三角部周囲白質の量との関係を調べ, 有意な相関を得た. また, 実験心理学的検査の結果, これらの視覚認知障害は, 視覚刺激の時間的な物理量に規定されているのではなく, 立体視障害に基づいて生じている可能性が示唆された.
  • 竹下 研三
    1994 年 26 巻 2 号 p. 142-144
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Perinatal asphyxia is a well recognized cause of cerebaral palsy and related disabilities. However, uncertainties exist regarding the degree of asphyxia required to cause brain injury.
    Determination of degree of asphyxia is a simple matter of measuring blood gases and pH. However, the mechanism of asphyxia required to produce cellular damage in a particular individual varies widely, depending not only on depth and duration of the asphyxia but even more on other biochemical changes, especially glucose, excitatory amino acids, calcium activated protein, or the receptor side of ionic channels. The mechanism of delayed neuronal cell death or cell-to-cell connection is also mysterious. The immature brain is not a reduced version of the adult brain. Studies should develop to a wide variety of aproaches to clear the complex interactions between birth asphyxia and anoxic brain damage.
  • 長畑 正道, 前川 喜平
    1994 年 26 巻 2 号 p. 145-146
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    This symposium was forcused on habilitation for children with visual and hearing impairment, speech-language disorder, and hyperkinetic disorder. New and variable approaches were reported in topics of habilitation for these handicapped children by an ophthalmologist, an otorhinolaryngologist, a child neurologist, a speech therapist and an educational psychologist. Many points of these approaches were then discussed.
  • 羅 錦螢
    1994 年 26 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    視覚障害とは原因のいかんを問わず, 眼球, 視路, 視中枢のどこに病変があろうとも視機能に永続的な低下が起こったものを総称する. 通常, 盲と低視力という言葉が使われている.
    医療の面からは, 視覚障害の早期発見法, 眼科医の適確な診断と治療および予後判定が問題となる. また, 生活指導は, 視覚障害の程度によって方法が異なる. 重篤な疾患の早期発見法は一般問診項目として8項目を挙げ, それぞれの項目には障害をきたす疾患が対応している. 視覚障害児発見後の処置として, 医療が必要な場合には育成医療の援助を受けることができる. 障害の判定を遅れないように, ハビリテーションのコースをあゆみ始めさせるべきである.
  • その方法とシステム化に向けて
    田中 美郷
    1994 年 26 巻 2 号 p. 152-157
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    現在の聴覚障害児に対する療育は, 言語習得援助のために残存聴力を積極的に活用することを前提にしている. この場合難聴程度の測定と補聴器の適切な装用指導が不可欠である. 今日では幼児聴力検査と脳幹反応聴力検査の併用により, 乳児に対しても正確な聴力測定が可能である. 私は1973から1991年の問に1,613名の難聴幼児をホームトレーニング方式で指導してきた. これらのうち222名は1歳以下, 481名は1歳, 470名は2歳, 246名は3歳, 104名は4歳, 69名は5歳, 21名は6歳であった. 1983年に, すでに就学している難聴児について追跡調査を行ったところ, 調査できた87名のうち約70%が通常学校に通っていた.
  • 小児科の立場から
    小西 行郎, 小西 薫
    1994 年 26 巻 2 号 p. 158-162
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    言語障害をもつ子供の療育について, その診断から療育の実際, 言語障害児を取り巻く社会情勢, 地域医療機関の取り組み, および保健所の取り組みまで福井県での経験を踏まえて報告した. 診断については医学的診断と発達学的診断の双方の視点が必要であることを強調した. さらに療育の実際については, チームづくりのなかでの医師の役割, 障害に応じたチーム編成などについて述べた. さらにこうした言語障害児の療育を取り巻く社会情勢のなかでの様々な問題点や取り組みについても述べた. 最後に言語障害の療育の原点は単に訓練することではなく, 障害を持つ子の意志をどう捉えるかが大切であることを強調したい.
  • 言語治療の立場から
    北野 市子
    1994 年 26 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児の言語障害は多岐にわたり, 生理学的心理学的発達と環境を巻き込んだ複雑な様相を呈する. 従ってこうした様々な背景をもつ児やその家族と接する言語治療士 (ST) は, 自らのコミュニケーション態度を客観的に見つめ, 調節できる能力を何よりも重要とする. このことを基盤にして, 個々の障害像に適した治療プログラムを設定する技術的能力が求められる. 本論では小児の言語障害を概観し, 言語治療の功罪について考察した. その上で運動型言語発達遅滞児および感覚型言語発達遅滞児の事例を通じて, 言語障害児に対する具体的な関わりを紹介した.
  • 診断概念と薬物治療について
    原 仁
    1994 年 26 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    米国精神医学会の診断基準における多動児診断の変遷, すなわち注意欠陥障害から注意欠陥・多動障害へ, を批判的に展望した. 世界保健機構の診断基準第10版 (ICD-10) の新しい多動児の診断概念である多動性障害に基づくと, 4から6歳までの時点での通常の健診において, 122例の極小未熟児 (出生体重1,500g未満) 中12例 (9.8%) に多動性障害を認めた. 学校の休暇中の休薬である「drug holiday」法は, 子どもの中枢刺激剤への反応を再確認できるばかりか, 成長障害の副作用も避けることができるため推奨される. 多動への薬剤治療に反応した3典型例を示した. 症例1は19歳の男性で, 自閉傾向とチック症状を示していた. 10歳から13歳までpemolineが投与されたが, 副作用はなかった. 症例2は15歳の男児で, てんかん性脳波異常を示していた. やはり, pemolineが6歳から10歳まで処方された. 薬剤処方後2カ月で二次性全般化を伴う部分発作が発症した. 抗けいれん剤carbamazepineの追加で発作の再発は防ぎ得た. 症例3は13歳の男児で, 夜尿症と数回の熱性けいれんがあった. 4歳から6歳まで, 三環系抗うつ剤であるclomipramineが投与された.本薬剤は多動とかんしゃくには著効したが, 夜尿症には無効であった.
  • 教育学の立場から
    坂本 龍生
    1994 年 26 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    動きが激しく注意の集中出来ない多動児の指導に際しては心理的環境とともに, 個体の神経過程を吟味して, 指導方法を選定することが大切である. ここでは感覚統合的観点から次の側面を重視した. (1) 平衡系の特徴: 前庭-網様体系の機能の遅れを示す行動特徴を知る. (2) 触覚系の特徴: 触覚に対する総体的防御反応などの特徴を見る. (3) 運動系の観察: 前庭-固有運動系の統合不全を観察する. 発達障害に多動を伴う児童の指導では, 多刺激的状況から刺激を選択できるポテンシャリティを助長し, 感覚入力の受容が, 運動としての出力に至る神経過程の変数と多動行動変数の関係を明らかにすることが大切である.
  • 小野 次朗, 岡田 伸太郎, 安島 英裕, 小松 幹夫, 桜井 隆, 児玉 荘一
    1994 年 26 巻 2 号 p. 182
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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