脳と発達
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22 巻, 3 号
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  • 松本 悟
    1990 年 22 巻 3 号 p. 208
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1α-OH-D3の長期投与効果とオステオカルシンの骨代謝の指標としての有用性について
    林 優子, 荒木 久美子, 森岡 直子, 倉繁 隆信, 白石 泰資, 小倉 英郎, 谷 淳吉
    1990 年 22 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    4~28歳の脳性麻痺 (CP) 男性48名について, Microdensitometry法による骨の成熟と脆弱性, 1α-OH-D3 (D3) 長期投与効果およびオステオカルシン (OC) の有用性について検討した. (1) CPにおいても, 年齢とΣGS/DおよびALPは相関したが, DおよびMCIには個人差が著しかった.骨脆弱性への影響は, 抗痙攣剤より運動量低下が強かった. (2) 骨脆弱に対するD, 長期投与は, 20歳以後は明らかでなかったが20歳未満では低年齢ほど有効であった. (3) OCは20歳未満のD3服用例で有意に上昇し, ΣGS/Dの増加との間に強い正の相関を認めたことから, 骨塩量の増加の指標およびD3の効果判定に有用と考えられた.
  • 吉川 秀人, 笛木 昇, 鈴木 文晴, 桜川 宣男
    1990 年 22 巻 3 号 p. 216-222
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Rett症候群のpositron emission tomography (PET) は, D2-dopaminereceptorおよび糖代謝に関する報告はあるが脳血流, 脳酸素代謝に関する報告はない.今回, Rett症候群患児4例 (7歳, 10歳, 10歳, 18歳) にPET施行し, 定量的に脳血流量 (CBF), 脳酸素摂取率 (OEF), 脳酸素消費量 (CMRO2) を測定し, 病態および臨床症状との関係について検討した.4例中3例でOEFの著明な低下が認められたが, 一番年少で症状の軽度な症例でOEFは正常だった.この結果本症候群においてOEFの低下をきたすような何等かのエネルギー代謝異常が存在し, またOEFは病気の進行に伴って変化する可能性が示唆された.
  • 沢石 由記夫, 冨田 豊, 水戸 敬
    1990 年 22 巻 3 号 p. 223-229
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    聴性脳幹反応無反応の17例について, 神経学的特徴, 頭部CTおよび眼輪筋反射の結果から, それぞれの病態を検討した.無反応の病態として,(1) 末梢神経障害と (2) 末梢神経障害+脳幹障害が考えられ, 頭部CTで脳幹萎縮を認めた1例, および眼輪筋反射異常の4例は全て退行ないしは重度の運動発達遅滞児であり, 病巣として脳幹も含まれることが示唆された.また, 聴覚障害が軽度で, 脱同期による無反応と考えられる症例が5例あった.聴性脳幹反応無反応例には, 種々の異なる病態が含まれ, 発達神経学的立場から脳幹障害の有無, および聴覚障害の特徴について留意すべき必要があると考えられる.
  • 小西 徹, 長沼 賢寛, 本郷 和久, 村上 美也子, 山谷 美和, 岡田 敏夫
    1990 年 22 巻 3 号 p. 230-234
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    熱性痙攣 (FC) の経過中に無熱性痙攣に移行した46例において無熱性痙攣の発作型別に熱性痙攣の特徴, 移行までの経過, 無熱性痙攣の特徴について比較した. (1) 無熱性痙攣の発作型は全般発作11例 (G群) に対して部分発作34例 (P群) と部分発作が高頻度であった. (2) FCの特徴として, 各危険因子の保有率が両群で異なっており, 特にP群では部分発作, 発作後神経症状, 脳波異常が多く, 有意に多数の危険因子を合併していた。(3) G群ではFC発症, 最終発作から短期間で移行を認めた. (4) 無熱性痙攣の発作予後は全体に良好であったがP群で難治例を認めた.以上の様にFCから移行した全般てんかんと部分てんかんでは異なった臨床背景を有しており, てんかんへの移行機序が異なることが推察された.また, 無熱性痙攣の発作予後にFCの危険因子が関係していることが推察された.
  • 小枝 達也, 冨田 豊, 竹下 研三
    1990 年 22 巻 3 号 p. 235-240
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    3歳児健診を中心に言語発達遅滞と診断された12名 (男10名, 女2名) を追跡し, 小学校2年生の時点における言語能力を調べた.その結果, 言語能力に遅れのあったものが, ITPAで5名 (42%), Token testで4名 (33%), 誤字で3名 (25%) であった.このことは, 3歳での言語能力の遅れは一時的ではなく学童期まで残存していることを示していると思われた.とくに多動など行動異常があった7名では, 言語能力の遅れが大きい傾向にあり, また3名はすでに普通学級に適応できなくなっていたことから, 3歳で言語発達遅滞に行動異常を伴う場合には予後に対する注意が必要と考えられた.
  • 側頭骨CTによる検討
    入江 勝一, 緒方 博子, 満留 昭久
    1990 年 22 巻 3 号 p. 241-246
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Waardenburg症候群3例 (そのうち2例は母子) を経験し, その側頭骨CT所見について検討した.症例1とその母親においては前庭部の低形成と外側半規管の低形成, 後半規管の欠如 (症例1は右のみ) を認めた.症例2では前庭部の低形成, 右側の前, 後半規管の欠如, 左側の前, 後, 外側半規管すべての欠如が認められた.3例とも前庭, 三半規管の形成不全および欠如が目立っていた.本症候群において形態異常としての側頭骨CT所見と前庭機能さらには難聴との関連をみていくことは興味あることと思われる.
  • 桜庭 均, David F. Bishop, 鈴木 忠, 鈴木 義之, Robert J. Desnick
    1990 年 22 巻 3 号 p. 247-252
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ファブリー病の病因を明らかにし, その結果を患者や保因者の正確な診断に応用する目的で, 日本人ファブリー病の1家系においてα-ガラクトシダーゼAの遺伝子解析を行い, その構造異常を同定した.本家系中の男性患者由来のDNAを分析し, α-ガラクトシダーゼA遺伝子の制限酵素地図と照合することにより, 本変異は第3エクソン (長さ178塩基対) を含む0.4kbの部分欠失であることを証明した.本患者のα-ガラクトシダーゼAmRNAは著減しており, 部分欠失により不安定なmRNAが作られ急速に分解するものと考えられた.遺伝子解析を利用してヘテロ接合体を同定し, 本変異の発生起源を推定した.
  • 山本 雄士, 工藤 哲也, 宮原 規夫, 宮崎 守人
    1990 年 22 巻 3 号 p. 253-261
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児期に頻回な無呼吸発作がみられた痙直型両麻痺児の発達過程に,(1) 大脳性視力障害・注視障害・連合型視覚失認,(2) 視空間性知覚・身体意識の障害,(3) 発達性行為障害などが観察されたが, 10歳頃注視が成立し精神神経機能の統合が促された.しかし発達 (脳の成熟と外界への係わり) で補えない永続的な障害,(1) 視覚線失認を示す統覚型視覚失認,(2) 構成的失行=失認症状が明らかになった.MRIでは大脳両側の後頭葉と頭頂・後頭葉移行部の白質と, 脳梁幹・膨大部に破壊病巣が存在した.本例は精神発達遅滞に含まれるが, 一般知能の全体的な遅滞と異なり, 諸機能がアンバランスに発達した.上記障害を神経心理学的諸機能の発達過程を考慮しながら検討した.
  • 松田 雅弘, 栗山 政憲, 重松 陽介, 小西 行郎, 須藤 正克
    1990 年 22 巻 3 号 p. 262-266
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    歳男児の脳底動脈閉塞症を経験し, 本症に対する神経学的補助診断の有用性につき検討した.
    脳実質病変の早期診断や範囲を知る上でMRIの方がCTよりも有用であると考えられた.IMP-SPECTもまた病変部位の範囲を見る上では有用であった.また, ABRは, こうした画像診断では把握できなかった脳幹部病変を発見するのに役立った.
  • 梶田 光春, 岩瀬 勝彦, 松本 雅裕, 久原 とみ子, 新家 敏弘, 松本 勇
    1990 年 22 巻 3 号 p. 267-273
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ホパンテン酸カルシウム (HOPA) 投与中に意識障害がみられた3歳男児例を経験した.発作時尿有機酸分析にて大量の乳酸, ケトン体, 中鎖・長鎖の飽和および不飽和ジカルボン酸に加え, ペルオキシゾーム病の際にみられる2-OH-sebacicacidも認められた.頭部CTでは後頭葉白質中心に低吸収域がみられ, MRIT、強調画像で白質に高信号域が散在していた.
    患児の基礎疾患として白質病変の存在が示唆された.大量のHOPA投与によりCoAの産生が抑制され, 特に感染によってミトコンドリアおよびペルオキシゾームのβ酸化障害が顕著となり, さらにジカルボン酸が増加し, 糖新生系・電子伝達系等への障害が加わり低血糖・意識障害が発症したものと考えられた.
  • 石田 喬士, 服部 重徳, 上田 剛, 難波 弘志
    1990 年 22 巻 3 号 p. 274-278
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Benign paroxysmal torticollis in infancyの1歳男児例を報告した.患児の発作性斜頸は生後2カ月から出現し, 以後2週間に1度の頻度で周期的に繰り返した.斜頸は朝覚醒直後に気づかれ, その後5~6日間持続するが, 発作期間中も睡眠によって消失した.その間随伴症状として不機嫌, 嘔吐, 不安定歩行および姿勢異常が認められた.非斜頸時神経学的に正常で, 頭部CT, 脳波および聴性脳幹反応等各種の検査で異常は認められなかった.斜頸の頻度は2歳以後減少し始め3歳0カ月で消失した.最終診察年齢は6歳5カ月であるがその間激しい頭痛やめまいを訴えたことはない.
    本症は予後が良好なために臨床上余り重要視されていないが種々の原因で生じる後天性斜頸の鑑別において重要である.また現在解明されていない本症の原因解明のためには多数の症例の集積が必要であり, 特に年長児から発作時の自覚症状を詳細に聴取し分析することが重要と思われる.
  • 新田 温英, 麻生 誠二郎, 岩崎 康夫
    1990 年 22 巻 3 号 p. 279-283
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    我々は乳児期より片側痙攣, 片麻痺発作を反復し, 特異な頭蓋内静脈病変を有する症例を経験したので報告する.本症例の特徴は脳血管造影上の脳表静脈の広汎な造影欠損および99mTc-DTPAによる脳血流シンチグラムによる脳局所のRNの集積および排泄遅延である.これらはSturge-Weber症候群 (S-W症候群) における所見に類似し, 本症例において脳軟膜の血管腫の存在が強く推定された.また, 脳血管拡張薬である塩酸フルナリジンの投与が臨床症状の改善に有効であった.
    頭蓋内血管腫性病変の診断においてシンチグラムは部位診断とともに質的診断に有用である.また脳軟膜血管腫の治療に脳血管拡張薬は有効であると思われた.
  • 中村 みほ, 渡辺 一功, 小林 達也, 根来 民子, 麻生 幸三郎, 古根 淳, 高橋 泉, 山本 直樹
    1990 年 22 巻 3 号 p. 284-289
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    両側大脳基底核に病変を生じたgermcelltumorと考えられる1例を経験した.症例は11歳男児で, 左錐体路症状にて初発し, ついでジストニア, 知的退行, 動作緩慢, 言語緩徐などの諸症状の進行を呈した.本例はCT上両側大脳基底核に病変を認め, 血中B-HCG高値であったこと, 放射線治療に反応良好であったこと等の特徴を有した.germ cell tumorについての若干の文献的考察も含め報告した.
  • 吉川 秀人, 松尾 多希子, 桜川 宣男
    1990 年 22 巻 3 号 p. 290-292
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    日内変動を有し, 午前中は無症状で夕方歩行すると右足の内反尖足, ジストニアが出現した-女児例を報告した.症例は8歳時発症し, 歩行時のジストニアは休息により改善した.L-dopa内服後, 症状は消失していたが14歳時, 一過性の症状悪化を認めた.L-dopa内服後, 睡眠時の体動の増加およびdopamineの増加を認めたが, 5-HIAAはかえって低下した.本症例は, 瀬川病の近縁疾患と考えられたが, 運動によって悪化し休息によって改善する点が最も異なっていた.また病態としてdopamine系のみならずserotonine系の何等かの関与が示唆された.
  • 市山 高志, 林 隆
    1990 年 22 巻 3 号 p. 292-294
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    外傷性てんかんの1例で核磁気共鳴像で左眉毛部から左尾状核頭部, 左視床に至る線状の病変を経験した.脳波上, 左前頭極部, 左中心部, 右中心部, 左頭頂部, 右頭頂部にそれぞれ独立した棘波を認めた.棘波の発生について視床と尾状核の病変が強く関与していると考えた.
  • 小川 厚, 竹下 佐和, 満留 昭久
    1990 年 22 巻 3 号 p. 294-297
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    汗腺細胞の興奮は種々の刺激に対して反応しgalvanic skinresponseと称される電位を発生するが, この電位差を手掌一手背間において定量的に評価しようとしたものがsympathetic skin response (以下SSR) である.SSRは皮膚の汗腺機能を指標とした交感神経活動の評価法であり, 汗腺を支配する無髄C線維の電位と関係していると考えられている.我々はこの方法が小児に対して応用可能かどうか検討した.振幅の大きいものから5反応につき振幅および潜時について検討した.安定した反応を示した20例では最小潜時を上肢長で補正した値と年齢との相関が認められた.またSSRは一肢の刺激で四肢に反応が認められ, 中枢神経系を介するpolysynaptic responseであると考えられた.
  • 山本 仁, 斉藤 尚子, 江川 文誠, 加久 晶子, 宝樹 真理, 目黒 嵩, 山田 兼雄
    1990 年 22 巻 3 号 p. 297-299
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児から11歳までの一般髄液所見が正常だった小児10例および髄膜炎のみられた小児5例を対象として, 髄液 (CSF) 内神経化学物質を最近開発されたNeuroche・mical Analyzerを用いて測定した.また成人コントロール値とも比較検討した.
    Tryptophan (TRP), tyrosine (TYR), hydroxy indoleaceticacid (5-HIAA), homovanillic acid (HVA), methoxy hydroxyphenyl glyco1 (MHPG) は新生児期に高値を示したが加齢とともに低下し1歳以降に成人コントロール値に近づいた.髄膜炎のあった児では急性期にTRPの著しい低値および5-HIAA, HVAの高値を認めた.小児のCSF内神経化学物質は年齢, 疾患により特徴的変化を示すことがわかった.
  • 山下 裕史朗, 河野 洋子, 堀川 瑞穂, 浦部 富士子, 大滝 悦生, 片渕 幸彦, 寺澤 健二郎, 松石 豊次郎, 白木 博文, 宮崎 ...
    1990 年 22 巻 3 号 p. 299-300
    発行日: 1990/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Rett症候群に対する小児神経科医の認識が高まるにつれ, 多くの患者が診断されているが, 本邦におけるRett症候群患児および家族への援助体制は, 欧米に比べて遅れているようである.1988年1月にRett症候群親の会 (さくらんぼ会) を結成し1年半活動を続けてきた.活動の内容と問題点を, 欧米の現状とも比較して紹介した.
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