脳と発達
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23 巻, 2 号
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  • 岡 英次
    1991 年 23 巻 2 号 p. 118
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 大塚 親哉
    1991 年 23 巻 2 号 p. 119-128
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    中枢神経の情報源としての髄液の有用性については多言を要しない. 1960年代にはいってから分析技術の著しい進歩が始まり, 微量物質の定量が容易になってきた. それに伴って中枢神経の情報源としての髄液は, 再び見直されるようになった. 髄液は生理学的にみて, 中枢神経の情報をその中に込めている可能性がある. すなわち, 大部分の髄液は脈絡膜叢から分泌されるが, 一部分は脳室壁から滲出した組織液であり, その組織液の中に情報が込められている可能性がある. 中枢神経の情報としては, 脳の機能に関するものと脳損傷に関するものがあり, 私どもの研究を含めて現在の知見を紹介した.
  • 動物実験の結果を中心として
    新井 康允
    1991 年 23 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    周生期の性ホルモンは脳の機能的性分化に重要な役割を果たすばかりでなく, 性ホルモン受容体含有ニューロン系のニューロン数, 軸索, 樹状突起の伸展, シナプス形成を調節し, 形態レベルで不可逆的な変化をもたらす. 性ホルモンは発生過程のみでなく, 成体レベルでもニューロンの可塑性を刺激する働きがある.
  • 鈴木 義之
    1991 年 23 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児神経学における遺伝子 (DNA) 診断の原理とその方法について述べた. 変異遺伝子の分析により, 1塩基置換, 欠失, 挿入などの構造異常が診断される. 遺伝子変異が明らかにされていない疾患でも, 連鎖解析による診断が可能となった. これらの診断操作に際し, 特にPCR増幅法は微量の臨床材料を用いる分析に有用である. 実際例として, Fabry病, ガラクトシアリドーシス, Duchenne型筋ジストロフィーの分析, 診断データを提示した.
  • 平山 恵造
    1991 年 23 巻 2 号 p. 141-143
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    下記各種の不随意運動について, 映画を以てその実際を供覧するとともに, おのおのについての基本的な症候上の特色を解説した. これらは不随意運動の核となるもので, 現象面と知識面を的確に把握することが不随意運動を理解する上で肝要である. 対象とした不随意運動は次のものである. 1. 振戦各種a) Parkinson病振戦, b) Parkinson型振戦, c) 本態性振戦, d) 小脳性振戦, 2. 舞踏運動, 3. バリスム, 4. アテトーゼ, 5. 舞踏アテトーゼ運動, 6. ジストニー, 7. ミオクローヌス各種 a) 安静時自発性ミオクローヌス, b) 企図動作時ミオクローヌス, 8. 企図振戦, 9. ヒペルキネジー.
  • 島田 司巳, 有泉 基水
    1991 年 23 巻 2 号 p. 144-146
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Main diagnostic points on the clinical signs and symptoms of various neurological disorders during the neonatal period and early infancy are briefly mentioned. Application, diagnostic values and limitation of various diagnostic measures including US, CT and MRI are then discussed.
  • 病変形成過程の早期診断
    高嶋 幸男, 宝道 定孝, 長谷川 元宏, 橋本 和広, 竹内 豊
    1991 年 23 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児低酸素性虚血性脳障害の病型は病変分布で決まり, 発生機序が異なる. その早期診断には画像診断が有力であるが, 病変形成時期の脳血流, 生化学および神経生理学的検査, とくに経時的変化の観察も大切である. さらに, 橋核鉤状回壊死例ではPCO2が有意に低いという結果を得たように, 予防や早期治療のためには, 病変形成時期での脳循環・代謝モニターが重要である.
  • 溝部 直樹, 新井 順一, 宮本 泰行
    1991 年 23 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳室周囲性白質軟化症 (periventricular leukomalacia, PVL) の早期診断における超音波断層装置 (US), X線CT (以下CT), MRIについて述べた. 新生児期のPVLの診断にはUSが最も有用であるが限界もある. 脳室周囲には正常でも高エコー域を認めることがあるが, PVLの可能性が高いものは (1) 脈絡叢より強い高エコー域,(2) 脳室周囲前角や体部の高エコー域である。またPVLと脳実質内出血のUSは初期には同じように描写されるが, 継時的変化を追うとPVLでは櫛状に内部から抜け脳室とは非交通性である. 一方脳実質内出血では櫛状ではなく大きな嚢胞として抜け早期より脳室と交通性となる. CTは, 急性期のPVLと脳実質内出血との鑑別に必要である. しかし嚢胞形成後には大きな嚢胞しか診断できず注意が必要である。最近導入されつつあるMRIは断層面の角度を自由につけられる点, 髄鞘形成の過程を評価できる点で今後はhighrisk新生児の幼児期以降のフォローアップとしてCTにとって変わると思われた.
  • 竹内 豊
    1991 年 23 巻 2 号 p. 159-164
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳室内出血の早期診断には, その発生頻度の高い極小未熟児群では常に出血を念頭に置いてルチーンな超音波診断 (US) を行う事が重要で, その結果危険因子の解明も進み脳室内出血の発生頻度も減少した. くも膜下出血や硬膜下出血, 実質内出血は比較的成熟した児に多くみられた。これらの症例は分娩時に難産の病歴を多く有していた. 最終的な診断はCTによったが注意深い観察を行うとUSにても診断できる症例が多かった.
    頭蓋内出血の症状は中枢神経症状よりも非特異的な症状のことの方が多く, 常に出血を念頭に置いた検索が重要と考える.
  • 金子 堅一郎
    1991 年 23 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児・乳児早期の中枢神経 (CNS) ウイルス感染症は症状, 検査所見が軽微あるいは非特異的で見逃されやすいが, 細菌性より頻度が高く, 神経学的後遺症が存在し, 早期診断が望まれる. 当院での経験例を中心に検討してきた早期診断については次のようであった.
    1) 単純ヘルペス脳炎では, 臨床所見によりまず疑うことが大切で, 持続・反復ミオクローヌス痙攣が重要な症状であった. 2) サイトメガロウイルス感染では, 多彩な全身症状にCNS症状を伴い, 血清IgM異常高値 (90%) を呈した場合, 診断の手がかりとなった. 3) 無菌性髄膜炎では, 臨床所見からは困難で, 血清IgM値上昇 (75%), 髄液2-5A合成酵素活性異常高値 (100%) が診断上有用であった
  • 大矢 紀昭
    1991 年 23 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児期に中枢神経障害を呈する代謝異常症の早期診断について論じた. 新生児期に代謝異常症が示す症状は, 哺乳障害, 嘔吐, 下痢, 筋トーヌスの異常, 呼吸障害, 痙攣, 昏睡といった一般的なものである. しかし,(1) 前の子供が乳児期早期に不明の原因で死亡,(2) 敗血症の合併,(3) 新生児期に発症,(4) 発育・発達の遅れ, がある時には特に代謝異常症を考えて詳細な家族歴をとる. 一般検査や診察所見に何か異常があれば, その鑑別診断に入る. この時は治療と平行してアミノ酸や有機酸の分析をする. 今回は代謝性アシドーシスと高アンモニア血症の鑑別診断について述べたが, 他に低血糖, 毛髪の異常, 眼科的異常, 顔つき, 尿の異常な臭いも重要である.
  • 熊谷 公明
    1991 年 23 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児期における中枢神経系奇形の早期診断には, 脳CT scanやMRIなどの放射線学的診断法, 超音波診断法, 羊水診断法などが極めて有効で, いまや胎児期に診断を下すことが可能になっている。しかし正確な診断を下すには, 中枢神経系奇形を正確に理解しておかなければならないので, 新生児期の遭遇しやすい中枢奇形を中心に解説してみた.また最近無脳児と臓器移植の問題が話題となっているので, 無脳児の臨床・病理についてもふれてみた. 近い将来わが国でも, 高度の中枢神経奇形の取り扱いについて, 医師がどうあらねばならないかを問われる時代が来ているものと思われる。
  • 竹内 久彌
    1991 年 23 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    中枢神経系奇形は発生頻度が高く, 予後面からも致死的なもの, 胎児治療可能なもの, 出生直後の早期治療の望まれるものなどがあり, それぞれに出生前診断が強く望まれる.現在, 奇形の出生前診断のほとんどすべてが超音波で行われているが, 水頭症, Dandy-Walker奇形, 全前脳胞症などの脳の奇形は脳室の拡大があるため超音波に描出されやすく, 無脳症, 二分脊椎などの脊柱管欠損も特徴が大きいため観察が容易である.すなわち, 中枢神経系奇形の多くのものは超音波診断法の活用で, 妊娠のかなり早期から的確に胎児診断が可能であり, とくに最近の経膣法などの技術的進歩で, 診断可能時期は一層早期化している.
  • 鈴木 文晴, 平山 義人
    1991 年 23 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    東京都における在宅の障害児, 特に重症心身障害児の死亡例を肢体不自由養護学校において調査し, その致命率, 死亡原因, 死亡に至る経過を検討した. 確認された死亡例は2年間で合計67例, 全在籍児に対する年間致命率は1.8%, 小中学部の重症心身障害児に限ってみると2.5%であった.
    重症心身障害児の死亡原因では呼吸器系の障害が約3分の2を占めた. 関係者の注意により予防可能であったのではないかと思われる死亡事例は非常に少なかった. また重症心身障害児より障害の程度の軽い比較的健康であった障害児でも, 軽症のウイルス感染症が詳細不明の急死の引金になっていると思われる例が認められた.
    従来障害児の死亡事例に関する医学的検討は施設入院児に関するものが中心で, 本報告のような在宅児の死亡事例に関する検討は初めてである.
  • 長沼 賢寛, 小西 徹, 村上 美也子, 本郷 和久, 山谷 美和, 岡田 敏夫
    1991 年 23 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    神経症状を有さない5~15歳の小児53名と成人8名を対象に聴覚事象関連電位 (ERP) を測定し, N100, P200, N200, P300潜時・振幅の小児期における年齢的変動について検討した・その結果,(1) いずれの年齢においてもP300は同定可能でありしかも再現性良好であった. (2) P300潜時は年齢と負の相関を示した (潜時=-9.81× 年齢+459, r=0.75). (3) N100, P200, N200潜時も年齢と弱い負の相関を示した. (4) P300の頭皮上分布は低年齢群では一定しなかったが加齢により頭頂部に集中する傾向を認めた.
    聴覚事象関連電位は小児においても容易に測定可能であり, 以上の様な年齢的発達を考慮することにより他覚的認知機能検査法として臨床応用可能と考えられた.
  • 堀川 瑞穂
    1991 年 23 巻 2 号 p. 200-206
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    超音波ドプラ血流計を用い, 血管抵抗の指標であるpulsatility index (PI) を前大脳動脈 (ACA), 脳底動脈 (BA) の両血管で, 新生児, 乳児水頭症8例について経時的に測定し, 対照群111名と比較した. また水頭症群では経皮的大泉門圧 (AFP), 側脳室体部径 (LVS), 血圧 (収縮期BPs, 拡張期BPd) を併せて観察し, 次の結果を得た.
    1) 正常群, 水頭症群ともACAとBAのPIは有意の相関をもって変化した.
    2) 水頭症群のACA, BAのPIはシャント術直前mean±SE;ACA: 0.80±0.0458, BA: 0.81±0.0492からシャント術後6時間でACA: 0.65±0.0510, BA: 0.70±0.0450と急激に低下し陥凹 (post shunting dip) を認めた後ほぼ一定の値をとった.
    3) AFPとPIの関係ではAFPが高いときACA, BAのPIは高い傾向があった. LVSとPIの関係ではシャント前, LVSが大きいとACA, BAのPIが高い傾向があった. BPとPIの関係ではシャント後, BPdが上昇するとACA, BAのPIが低下する傾向があった.
    以上, 水頭症児のPIを経時的に観察し, 脳血管抵抗の推移を明らかにすることは, 水頭症における脳の血行動態面の変化を推測する指標として有用であった.
  • 石川 丹, 福島 直樹, 高瀬 愛子, 我妻 義則
    1991 年 23 巻 2 号 p. 207-208
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    発作をおこすと重積状態に陥ることを繰り返し, thiamylal sodiumの静脈でしか頓挫させられなくなった難治てんかんの幼児例に対して, thiamylal sodium 30mg/kgの注腸療法を試みた. 注腸療法開始後重積状態に陥ることは減少し, 半年後以降は発作は数分ないし十数分で自然に止まることが多くなった. Thiamylal sodium注腸療法は有用であった.
  • 特にヨード欠乏症について
    山内 秀雄, 鈴木 文晴, 平山 義人, 黒川 徹, 有馬 正高
    1991 年 23 巻 2 号 p. 208-210
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    市販経管栄養剤のみを使用中の17名の重度障害児中, 2名にヨード欠乏症, 3名に無症候性の亜鉛欠乏を認めた。ヨード, 亜鉛の推定経口摂取量は全例において米国の推奨経口所要量を満たしておらず, 特にヨード欠乏症を呈した2例のヨード摂取量は著しく低かった. 重度障害児に長期間市販経管栄養剤を用いるにあたっては微量元素欠乏に留意する必要がある.
  • 栗原 まな, 今井 祐之, 熊谷 公明
    1991 年 23 巻 2 号 p. 210-212
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    17q distal trisomyの6歳女児について報告した. 本例は精神遅滞は重度であるが, 中枢および内臓の奇形は合併しておらず, 他の面では, 報告例に比べ軽症に属していた. 本例はてんかんを合併していたが, 発作のコントロールは容易であった.
  • 鈴木 文晴, 平山 義人
    1991 年 23 巻 2 号 p. 213-214
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Rett症候群患児において夜間早朝の覚醒と奇声, そして長時間の昼寝という日内リズムの異常がみられる. ドーパミン作動性のパーキンソン病治療薬であり, また神経内分泌系にも作用のあるプロモクリプチンを, 運動障害の治療を期待してRett症候群患児に内服させたところ, 2症例においてこの日内リズムの異常の改善が認められた. Rett症候群の病因検討の方向付けと, 患児の日常生活・健康管理とにあたり, 有用な知見であると考えられた.
  • 高梨 潤一, 杉田 克生, 藤本 七重, 新美 仁男
    1991 年 23 巻 2 号 p. 214-216
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Carbamazepine (CBZ) が有効でありながら, 副作用のため中断し, 他の種々抗痙攣剤では無効であった単純部分発作の12歳男児に対しoxcarbazepine (OXC, Trlleptal®) を投与し, 良好な経過をとった. 本剤の本邦での使用報告はなく, 今後, わが国でもOXCが使用できることが望ましい.
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