脳と発達
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17 巻, 4 号
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  • 鈴木 義之
    1985 年 17 巻 4 号 p. 286
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 石川 丹
    1985 年 17 巻 4 号 p. 287-292
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    昭和55~57年度の3年間に札幌市児童相談所の小児科嘱託医の診察 (以下医診と略記) を受けた368名について検討した.
    1) 医診件数は3年で1.5倍に増加した.2) 対象児の平均年齢は5歳, ピーク年齢は3~4歳であった.3) 診察目的は福祉手当のためと経過観察が年毎に増加していた.4) 診断は精神遅滞, ダウン症候群, てんかん, 言語遅滞, 脳性麻痺などが多く, 自閉症は少なかった.5) 発達の遅れを取り戻した例は23名と少なかった.6) 改めて病院での医療を必要とした児は1/6もいた.
    これらの結果から発達障害に関わる神経小児科医と児童相談所のあり方について若干論じた.
  • 周産期障害を中心に
    小出 博義
    1985 年 17 巻 4 号 p. 293-300
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺のない精神薄弱4例, 核黄疸後遺症4例, 脳炎・脳症後遺症4例, 仮死を伴う周産期障害後遺症15例, 総計27例に, その脳幹病変を検索し, 臨床症候, 大脳・視床・基底核・小脳病変と比較検討した.
    重症脳性麻痺例では, 脳幹病変を認める例が多かった.周産期障害例の脳幹で傷害を受け易い=部位は, 下オリーブ核・前庭神経核・迷走神経核・橋核・二次変性としての錐体路であり, 延髄網様体・上丘・下丘・黒質・赤核・動眼神経核・三叉神経核・舌下神経核にも認めた.
    神経細胞病変が軽度なものでも, アストロサイトの反応性増殖を認めるものが多い.
    脳性麻痺に高頻度に前庭神経機能障害を認めることの神経病理学的裏付けが得られた.
  • その1. Landau反応
    神田 豊子, 有井 悦子, 弓削 マリ子, 家森 百合子, 鈴木 順子, 友吉 瑛子, 谷岡 賢一
    1985 年 17 巻 4 号 p. 301-306
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺は, 正常な姿勢反応能がそこなわれた状態であると理解されている.しかし, 周産期にうけた脳障害のため, 異常となった姿勢反応がどのような発達をみるかについての報告はない.本園に3カ月未満で初診した中枢性協調障害児100例 (内訳: 脳性麻痺群14例, 訓練群40例, 正常群46例) のLandau反応につき検討した.結果は,(1) 新生児期相当の頸部伸展欠如のものは, 脳性麻痺群の50.0%を占めたが, 訓練群・正常群では, おのおの15.0%, 21.7%を占めるにすぎなかった. (2) 脳性麻痺群は, 初診時のパターンから, 徐々に頸部伸展欠如, 体幹低緊張, 下肢伸展のパターンに移行した. (2) 長期訓練で, 現在minimal CPである1例は, 初診時より1年以上, 頸部伸展欠如, 体幹低緊張, 下肢伸展の典型パターンを示していたが, 3歳8カ月頃より, 頸部伸展欠如・体幹低緊張・下肢屈曲の, 正常成熟新生児のパターンをとりつつある.したがって, Landau反応の発達の方向性は, 運動発達の予後と, 密接な関連をもっていた.
  • 自験24例の臨床分析
    大井 静雄, 山田 洋司, 福田 邦明, 安藤 章子, 田村 保憲, 古川 正強, 城福 直人, 伊地智 昭浩, 桑村 圭一, 松本 悟
    1985 年 17 巻 4 号 p. 307-313
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児の脳血管障害につき小児総合病院における入院患者総数13,131人を対象に調査し, 120例 (0.85%) にその診断を得た.うち, 24例 (20.0%) にCT上明らかに動脈分布領域の低吸収域を示す脳梗塞像を認めた.梗塞像は中大脳動脈に発症するものが最も多く11例 (45.8%) を占めた.小児の脳梗塞の最も際立った特徴としては, その機能予後が極めて不良であることで, CT所見上も, 同側大脳半球の発達不全や骨の肥厚像を多くに認め, IQ20以下の症例が9例 (42.8%) にも及んだ.小児の脳梗塞は, その原因が明確でない場合も多いが, 大多数は1歳までに発症し, 未成熟の脳が発達してゆく過程に重大なinsultを与えるものであると推測した.
  • 若年発症糖尿病について
    橋本 俊顕, 田山 正伸, 福田 邦明, 遠藤 彰一, 白川 悦久, 宮尾 益英
    1985 年 17 巻 4 号 p. 314-317
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    若年発症糖尿病の腓骨神経刺激による短潜時体性感覚誘発電位について検討した.
    若年発症糖尿病では末梢神経伝導速度, 脊髄内伝導速度およびN1を除く各成分波の身長1m当りの潜時が遅延していた.身長1m当りの頂点間潜時は正常児と差がなかった.誘発波の波形は正常児と差はなかった.個々の症例についてみると, 臨床的に神経学的徴候のない者でも短潜時体性感覚誘発電位に何らかの異常がみられるものがあり, 糖尿病に合併する神経障害の診断に有用であると思われた.
  • 舘 延忠, 石川 幸辰, 続 晶子, 渡辺 睦子, 南 良二, 若井 周治, 佐々木 公男, 篠田 実
    1985 年 17 巻 4 号 p. 318-324
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Hereditary motor & sensory neuropathy type I (Dyck) の3家系4症例の臨床所見と腓腹神経所見に付き報告した.全例, 歩行開始の遅延, 失調性歩行を主訴とし, 失調性歩行は, 年齢が進むにつれて改善し, 病状の進行は認めなかった.尺骨神経MCVは全例20m/sec以下と著明に遅延し, 組織像でhypertrophic型を示唆していた.腓腹神経生検所見では, 有髄線維の著明な減少から, 軽度減少まで種々であった.onion-bulb形成の程度, demyelinationおよびremyelinationの程度も症例により一定していなかったが, 母子間では一定の傾向を示した.腓腹神経所見の程度と臨床所見の程度は一致していなかった
  • 上田 亨, 村田 良輔, 武田 公子, 一色 玄, 蔭山 勝弘, 川上 勝彦, 山形 健三
    1985 年 17 巻 4 号 p. 325-329
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児, 乳幼児の脳は薬剤により, 種々の影響をうける.我々はACTH投与による脳組織内水分含量の変化についてラットを用いて検討した.実験には生後0日目 (A群), 7日目 (B群), 12日目 (C群) のWister系ラットを用い, コートロシンZ (tetracosactide acetate 1mg/2ml) 0.1ml~0.15mlを皮下に連続6日間投与した.水分量測定は脳組織片にメタノールを加えてホモジネートし上清液をガスクロマトグラフィー法にて行った.脳重量は対照群に比して, A, B, C群ともに有意に減少していた.脳組織内水分含量は, A群では対照群に比し有意に少なかったがB, C群では有意差が認められなかった.ACTH投与時期が早い程ラット脳に及ぼす影響は大であった.
  • 佐藤 順一
    1985 年 17 巻 4 号 p. 330-340
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    頭てんかんの既往を持つ剖検例22例の神経病理学的所見を検討した.出生前要因による11例のうち, 5例は肉眼的に明らかな中枢神経系奇形を呈していたが, 6例は微小な形態異常のみを示す例であった.周生期要因によると考えられる10例および6カ月時の急性脳症による1例の計11例のうち, 高度の大脳外套病変を示すものは6例あり, なかでも皮質病変に比べて白質の線維性グリオーシスが著明である症例が注目された.また各障害時期の症例を通じ, 脳幹被蓋の低形成, 海綿様状態, グリア瘢痕を高率に認めた.脳幹被蓋病変の存在は, 患児の臨床像および精神運動発達に対する理解やリハビリテーションの方向性を考慮する上で重要であろう
  • 宮尾 益知
    1985 年 17 巻 4 号 p. 341-347
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    後脛骨神経刺激による脊髄SEP, 皮質SEPを用い末梢伝導速度 (PVC), 脊髄伝導速度 (SCV), 中枢伝導速度 (CCV) を正常小児および神経疾患について検討した.記録は皮膚表面の双極誘導にて行い, L4 (N16), T12 (N19), C,(N23), Cz'(P29, P34) の各SEPを認めた.各伝導速度は末梢より中枢に加齢により増大しCCVは約8歳で成人域に達した.末梢神経疾患では主にPCV, SCVの異常, 脊髄疾患では病変部位に応じた脊髄SEPの消失を認めた.Globoidcell白質ジストロフィーではPCV, CCVの低下, ウィルソン病ではCCVの低下, リー症候群では脊髄および皮質SEP, テイ・サックス病では皮質SEPの欠如を認めた.各伝導速度を評価することは末梢より中枢へ至る神経系の病変の同定に有用である.
  • 松浦 浩, 中沢 省三
    1985 年 17 巻 4 号 p. 348-351
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    症例は10歳の女子で頭痛, 発熱, けいれん発作を主訴として入院.髄液の細胞数増多を認め, 化膿性髄膜炎と診断して化学療法を施行した.脳波は右側誘導に徐波を認めた.入院時のCTスキャンにはPlain, enhanceとも, 異常を認めなかったが発症15日後のCTスキャンで大脳鎌右側に沿って細長い低吸収域を認め, 造影剤静注によってその辺縁は増強された.大脳半球間裂部硬膜下膿瘍と診断し開頭手術を施行した.被膜の切開排膿を行い治癒せしめた.
    硬膜下膿瘍は小児, 若年者に時に見られる疾患であり, また大脳半球間裂部に単独に見られた硬膜下膿瘍はごくまれであるので報告し, CT診断, 外科治療法について知見を述べた.
  • 宇都宮 琢史, 山脇 保, 安倍 義明, 島田 司已
    1985 年 17 巻 4 号 p. 352-356
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    著しい小頭症児にCT上lissencephalyと左側脳室後角の嚢状拡大が認められた.このほか, CBCで血小板の異常増多, 腎動脈撮影で左腎の低形成と右腎の軸異常も明らかにされた.本症例は双胎の1子であり, 他児は推定妊娠20週頃に死亡し, 浸軟児として分娩まで共存していた.本症例の脳, 腎, 血小板数等の異常は死亡胎児との共存, おそらく胎内血管内凝固に起因するものと思われる.
  • 木村 晶子, 京谷 征三, 松島 昭広, 入道 秀樹, 小池 吉子
    1985 年 17 巻 4 号 p. 357-362
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    仮死にて出生, 生後2日目より痙攣出現, 3カ月半より点頭てんかんの症状を呈した4カ月男児の症例.ACTH療法にて発作抑制困難であり, 高乳酸, 高ピルビン酸血症, 高アラニン血症を認めたため, 各種負荷試験を行い, 肝生検による酵素検索で, ピルビン酸脱水素酵素 (E1) の著明な低下を認め, 上記の如く診断した.生後8カ月のCTスキャンでは, 脳室拡大を伴った脳萎縮と白質のびまん性低吸収域を認め, demyelinationの所見と思われた.また, 11カ月時の筋生検所見では, 光顕, 電顕ともに, ミトコンドリアに異常は認められず, mitochondrialmyopathyとの関連は得られなかった.治療では, サイアミン, リポ酸による効果は, ほとんどなかった.
  • 三宅 捷太, 多田 博史, 林 美智子, 岩本 弘子, 宮沢 要一朗
    1985 年 17 巻 4 号 p. 363-368
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Romano-Ward症候群 (失神発作, 心電図上QTの延長を認めるが, 心器質的異常を伴わないことを主徴とし, 時にてんかんと誤認される) の2例を報告した.症例1は12歳女児.運動中に急に悪心の後, 失神しもたれるように倒れ手足を硬直した.同様の発作が3回ありてんかんとして治療.改善せず来院.症例2は7歳男児.遊泳中, 急に水面に浮き, 眼球上転, 全身硬直が3分続いた.既往に同様の発作が4回.抗痙攣剤服用するも無効なため来院.2例とも初回のみに発作性脳波異常を示した.また, 心電図上QTの延長を示し, 同様所見を家系に多数認めた.失神発作のみの2家系も併せて報告した.
  • 高木 卓爾, 松本 隆, 春日 洋一郎, 堀江 昌代, 森下 秀子, 安井 洋二, 石川 達也
    1985 年 17 巻 4 号 p. 369-373
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児における天幕上の脳内出血は皮質出血, 白質出血, 基底核部出血の3型に区分され, おのおので治療方針が異なる.最近, 私どもは左基底核部の大きな血腫に対して非観血的な治療を行い, 良好な結果の得られた成熟児例を経験した.新生児の基底核部血腫は, germinalmatrixからの出血が脳室内へも穿破するが基底核部に血腫を形成したものである.したがって基底核部の血腫と脳室内出血に対する治療を同時に考慮する必要がある.私どもの症例は脳室内出血の治療に準じて, 反復腰椎穿刺ならびにacetazolamide (diamox) とfurosemide (lasix) の投与を行い, 血腫除去術は施行せずに, 後遺障害を残すことなく治癒した.今後, 更に症例を重ねて基底核部血腫の治療法を検討したい.
  • 反復投与時の薬物動態
    皆川 公夫, 三浦 寿男, 水野 諭, 白井 宏幸
    1985 年 17 巻 4 号 p. 374-375
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    5~24カ月の熱性けいれん患児6例に1回量0.5mg/kgのdiazepam (DZP) シロップを経口的に投与し, 血中濃度の推移をtwo compartment modelにより解析した薬物動態値を用いてcomputer simulationを行い, 1回量0.5mg/kgのDZPシロップを8時間間隔で2回経口投与した場合のDZP血中濃度-時間曲線を予測した.
    DZP血中濃度はDZPシロップ初回投与後5分で有効血中濃度下域 (>150ng/ml) に入り, 約8時間有効域を維持するが, 2回目投与後血中濃度は再度速やかに上昇し, これら2回の反復投与により初回投与後約36時間有効濃度域を維持することが示唆された.
  • 山田 和孝, 杉田 克生
    1985 年 17 巻 4 号 p. 376-377
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Hand-Schuller-Christian病 (HSC) に中枢性尿崩症を合併した11歳男児例に対し, nuclear-magnetic resooance tomography (NMR) を用いて頭蓋内病変の検索を行った.治療前の頭部X線CTでは, 造影剤により橋上部に結節性の高吸収領域が描出されるのみであったが, 同じ治療前のNMRでは視床, 視床下部, 橋, 大脳, 小脳と広範囲に所見を認め, 治療後のNMRでは, 一部を除き多くの所見は消失していた.以上の事より, NMRはHSCにおける頭蓋内病変の検索に有用と考えられ, 同時に治療効果を観るに適していると考えられた.
  • 林 隆, 中野 千鶴子, 水戸 敬, 冨田 豊
    1985 年 17 巻 4 号 p. 378-379
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    8歳頃よりこむら返りをくり返し、尖足歩行となった14歳男児例を報告した.機械的刺激によって筋は収縮しやすく, また, 筋のmounding現象が認められた.筋力低下ばなく, 筋萎縮や仮性肥大は認められず, ミオトニア現象もなかった.患児と, 無症状の父, 姉に高クレアチンキナーゼ (CK) 血症が認められたが, 母の血清CKは正常値であった.上腕二頭筋の筋生検で軽度の壊死再生線維が認められた-本症例は特発性高CK血症の範疇に属すると考えられ, mounding現象と筋線維の軽度の崩壊像は筋細胞の内部膜系に共通の病的背景があることで説明されると考察した.
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