分析化学
Print ISSN : 0525-1931
15 巻, 5 号
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  • 吉田 正雄, 荒田 実
    1966 年 15 巻 5 号 p. 441-445
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    亜鉛末中の酸化亜鉛の定量は従来塩化第二鉄溶液による簡易定量法によっていたが,この方法では,酸化亜鉛が微量の場合精度がわるく不正確である.試料中の金属亜鉛は水素気流中で水銀とアマルガムを生成させ,酸化亜鉛は塩化アンモニウムとアンモニア水の混合液で溶解し,これをポーラログラフ法により定量することにより,よい精度で正確に定量することができた.
    本法の精度は亜鉛末中の酸化亜鉛含有量0.1%に対し変動係数は約8%であった.
    本実験の結果をまとめると下記のとおりである.
    (1)亜鉛末中の酸化亜鉛は,酢酸アンモニウム,塩化アンモニウム,およびアンモニア性塩化アンモニウムのいずれにも溶解する.
    (2)酸化亜鉛の溶解に際し,あらかじめ水銀を加えておき,容器中の空気は水素あるいは窒素ガスで置換しておけば,金属亜鉛は溶解しない.
    (3)空気を駆逐するための水素ガス通気時間は3分間以上が必要で,水銀添加量は5mlでじゅうぶんである.
    (4)溶解に際し,加温の必要はない.
    (5)本法の精度は,0.1%酸化亜鉛程度で変動係数は約8%程度である.
  • 固体電極を用いるボルタメトリー(第1報)
    北川 豊吉, 高尾 弘也, 藤川 芳己
    1966 年 15 巻 5 号 p. 446-452
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    水銀溶出電位より陽電位で日常分析に使用しうる電極としてカーボンペースト電極を用い,フェロシアン化カリウム,フェリシアン化カリウム,オルトジアニシジンおよび過マンガン酸カリウムの電極反応をクロノポテンシオメトリーおよびボルタメトリーを用いて,白金電極の場合と比較検討した.白金電極表面の酸化などの影響もなく,ほぼ理論式と一致する結果を得,電極面積は±3%以内で幾何学的断面積と一致した.
    水銀溶出電位より陽電位で,日常分析に用いうる指示電極としてカーボンペースト電極を用い,その基礎的な検討を行なった.著者らはこの電極を用い,主として分析化学的に有用な有機試薬について,その電極反応機構を検討しており,EDTA類縁化合物の陽極酸化反応について興味ある知見を得ている.上述の基礎的な検討をもとにして得た結果を次報に報告する.
  • 固体電極を用いるボルタメトリー(第2報)
    北川 豊吉, 津島 章一郎
    1966 年 15 巻 5 号 p. 452-458
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    EDTA類縁化合物の陽極酸化反応では,pHの増加とともに1段波から2段波となり,アルカリ性では2波が合一してふたたび1段波となる.アルカリ性のピーク電流は酸性の2倍で,NTA,EDTAおよびDTPAのピーク電流は同一濃度に対し1:2:3となり,1分子中に存在する窒素の数に比例する.pH2.0~2.3のNTAのクロノポテンシオメトリーおよびボルタメトリーの解析より,NTAの陽極酸化反応は不可逆2電子反応であった.陽極酸化波を用いるEDTAの分析法では,pH1.8~5.0がよく,特に0.1M酢酸-酢酸ナトリウム,ポリアクリルアミド0.005%の存在下で10-5~10-3Mの範囲で良好な比例性が認められる.
    EDTA類縁化合物の陽極酸化反応について検討し,NTAのpH2.0近傍の反応は不可逆2電子酸化であることを確認し,分析化学的に最もよく利用されるEDTAについて酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液中での陽極酸化波を用いる場合の定量条件について検討した.この酸化波を利用することにより,金属EDTA錯イオンの組成および安定度定数の決定,金属EDTA錯イオンの生成速度の測定,およびポーラログラフ的に不活性な金属イオンの電流滴定法への応用と多くの利用面が考えられる.これらについては目下検討中であり,その成果は次報で報告する.
  • アルセナゾIIIによる鉄鋼分析法の研究(第5報)
    神森 大彦, 田口 勇, 吉川 建二
    1966 年 15 巻 5 号 p. 458-466
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    アルセナゾIIIによる鉄鋼分析法の研究の一つとして,鉄鋼中のスカンジウムの光度定量法を検討した.すなわち,同試薬とスカンジウムの呈色反応を検討し,共存する多量の鉄をL-アスコルビン酸で還元したのち,スカンジウムを2-テノイルトリフルオルアセトンで抽出分離する方法を併用して迅速に定量する方法を確立した.本法によれば鉄鋼中の0.05~0.5%のスカンジウムを約90分間で定量することができ,一般の鉄鋼に含まれる21元素の影響は無視しうる.なお,さらに0.01~0.05%のスカンジウムの定量についても方法を検討した.
  • 強リン酸溶解-ポーラログラフ分析法(第1報)
    山内 省三
    1966 年 15 巻 5 号 p. 466-473
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    強リン酸の強力な溶解力を利用して難溶性試料をすみやかに溶解したのち,ただちにポーラログラフ定量を行なう簡単な工業分析法の研究を行なうにあたり,強リン酸を主体とした支持電解質溶液について基礎的に検討した.
    強リン酸希釈溶液中における各種金属イオンの半波電位および拡散電流を測定するとともに,pHの影響,錯化剤併用の1例として,EDTAの影響について調べた.その結果,強リン酸希釈溶液(pH<0.5)中ではビスマス,鉛,アンチモン,カドミウムが良好な波形をもつ還元波を与えた.また銅,鉄,ウラン(VI)は0電位より生ずる還元波を,モリブデン(VI)は微小先行波を有する還元波を与えたが,いずれの場合も電流0よりの波高がイオン濃度と比例した.ヒ素は拡散電流を正確に測定しにくい波形をもつ還元波を与えた.また支持液のpHを高くするにつれて,これら各イオンの還元波はいずれも負電位方向に移動した.
    EDTA-強リン酸複合支持電解質中でもPHを適当に調節することにより,銅,モリブデン,バナジウムが良好な波形をもつ還元波を与えた.
  • 武内 次夫, 四条 好雄
    1966 年 15 巻 5 号 p. 473-477
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ピロガロールレッド(PR)はドデカノールトリメチルアンモニウムブロマイド(DTMA)の存在でモリブデン(VI)と鋭敏に反応して青色の水溶性キレートを生成する.このキレートの吸収極大は587mμにあり,その吸光度はpH5.0~5.3において一定である.感度はきわめて高く分子吸光係数は8.15×104で10cmのセルを使用すればppb単位のモリブデン(VI)の定量が可能である.
    EDTAとフッ化カリウムの使用によって,モリブデンの50倍量程度共存する20余種類の金属をいんぺいできる.バナジウム,タングステン,スズ,アンチモン,金は妨害するが,モリブデンと同量程度の共存は許容される.
  • 前川 静弥, 鈴木 孝範
    1966 年 15 巻 5 号 p. 477-482
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    モリブデンを含む低合金鋼中のスズの定量を,Sn 3175.02Åの線を用いて行なう分光分析において,Mo 3175.049Åの線が妨害すること,およびその程度をスペクトル写真によって確認した.直流低圧弧光的発光では,Mo 3175.049Åの線はモリブデン含有量が0.15%以上の場合は妨害する.それゆえ誤差の原因となる妨害を適宜補正しなければならない.
    採用した補正曲線は広く適用され,各種の試料に同様に有効であることを立証した.この分光分析結果は化学分析法の結果とよく一致し,その変動係数はスズの含有量が0.003%,0.042%,0.089%のとき,それぞれ18.4%,3.4%,3.2%であった.
  • 上杉 勝弥, 村上 敏治
    1966 年 15 巻 5 号 p. 482-487
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    トリンによるリチウムの吸光光度定量法について検討し,海水,にがり中のリチウムの定量に適用する条件について検討した.水酸化カリウムの強アルカリ性溶液でトリン濃度を200ppm,アセトンの濃度を30vol%とし,482mμにおける吸光度を測定することによって2~15μg/10mlのリチウムを定量できる.ナトリウム,カルシウム,マグネシウム,アルミニウム,鉄(III),亜鉛,銅(II)などが妨害する.リチウムの分離はイオン交換クロマトグラフ法を適用した.リチウムの回収率は97%以上で,海水の場合ナトリウムが微量混入するが,リチウムの吸光光度定量には影響しない.
    海水,にがり中のリチウムを定量し,海水には0.14~0.18mg/l,31~33°Béのにがりには6.4~7.2mg/lの値を得た.
  • Bruno BREYER, 藤永 太一郎, 沢本 博道
    1966 年 15 巻 5 号 p. 487-493
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    オキシンおよびその誘導体のオキシン-5-スルホン酸,7-ヨード-オキシン-5-スルホン酸(フェロン),2-メチル-オキシンは二つの交流波を生ずる.オキシン-5-スルホン酸とフェロンはより正側の第一波は必ずしも明りょうではないが,この第一波はいわゆる移行波であり,もう一つの第二波はテンサメトリー波であると考えられる.
    第二波に関しては,その波高がpHの影響を受け,オキシンおよびその誘導体でおのおの最大波高の存在するpH領域が異なっている.オキシンおよびその誘導体にはpHにより三つの型が存在するが,フェロンではその酸性型と中性型,他のものは中性型が主として交流波に貢献していることが明らかとなった.
    この第二波はある種の金属イオンの添加により定量的に波高が減少し,これを利用する滴定はすでにテンサメトリー滴定と名づけられている.これをオキシン誘導体に応用してみると,オキシンでは中性近傍でのみ可能であった滴定が,酸性側,アルカリ性側に広がり,その滴定可能な金属イオンも特異的になった.
  • ゼノタイム中のイットリウムの定量
    重松 恒信, 西川 泰治, 平木 敬三
    1966 年 15 巻 5 号 p. 493-498
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    5,7-ジクロルオキシンを用いる微量イットリウムのケイ光定量法の各種条件を検討し,これを応用してゼノタイム中のイットリウムの定量法を確立した.ゼノタイム試料は硫酸溶解により溶液としたのち,シュウ酸法(pH2.2)により希土類元素のシュウ酸塩を分離した.このシュウ酸塩を強熱後塩酸に溶解し,その一部について5,7-ジクロルオキシンによりイットリウムをケイ光定量した.5,7-ジクロルオキシンケイ光法により0.1~5μgのイットリウムが誤差±3%以内で定量できる.スカンジウム,ルテチウム,ランタンはイットリウムに対し5倍量程度共存すると妨害するが,他の希土類元素は比較的多量共存してもさしつかえない.したがって,ゼノタイム鉱より分離した希土酸化物の塩酸溶液を適当にうすめた溶液について,本法により直接かつ簡便にイットリウムを定量することができた.
  • ガラス成分のポーラログラフィー(第2報)
    能代 誠, 杉崎 満寿雄
    1966 年 15 巻 5 号 p. 498-502
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    スズ(IV),亜鉛(II)は塩化カリウム-塩酸支持電解液中で良好な還元波を示す.ポーラログラフによるガラス中の微量スズ,亜鉛についての定量に本支持電解液を応用し満足すべき結果を得た.
    定量方法は,試料100~500mgをフッ化水素酸と硫酸で分解し,蒸発乾固する.残留物を塩酸に溶解したのち塩化カリウムを加え,1.0M塩化カリウム-0.2N塩酸の溶液とする.溶液の一部を電解びんにとり水銀池を対極とし,スズに対しては-0.2~-0.7V,亜鉛に対しては-0.7~-1.3Vのク形波ポーラログラムを記録し,あらかじめ作成した検量線で各成分を定量する.
    本法は複雑な化学的分離操作をまったく行なわず約3時間でガラス中の両成分の定量ができる.
  • 小田 仲彬, 土橋 五郎, 小野 成男
    1966 年 15 巻 5 号 p. 502-506
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    トリレンジイソシアナート(以下,TDIと略記)中の全塩素定量法を確立するために種々の方法につき検討を行なった.その結果,n-ブチルアルコール中でTDI中の塩素化合物を金属ナトリウムと反応させ,生成する塩素イオンに硝酸銀を加えて沈殿する塩化銀を微量重量法により定量する方法を得た.本法は装置,操作ともに簡易であり,試料量2mlの場合,分析所要時間は1試料の場合は約1時間,多数試料を分析する場合は1試料あたりの所要時間を40分以下に短縮することができる.分析の精度は塩素含有率約0.05%のTDIの場合,標準偏差(%)は約3%であり,分析下限は約0.003%である.
  • リン酸塩の工業分析法の検討(第1報)
    酒井 昭四郎, 大蔵 律子
    1966 年 15 巻 5 号 p. 507-509
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Since condensed chain phosphoric acids have a titratable strong-acid hydrogen for each phosphorus atom and a titratable weak-acid hydrogen corresponding only to terminal phosphorus atoms, the average number of phosphorous atoms per chain (polymerization degree) can be calculated from titrant volume consumed for two inflexion points on pH titration curve.
    In the determination of polymerization degree of chain polyphosphates, pH titration was carried out after phosphates had been changed to acid type by ion exchange resin. The values obtained by this method showed a good agreement with those calculated from chemical analysis of Na/P.
    The method will be applicable to routine analysis for production control of chain polyphosphates.
  • 水谷 義彦
    1966 年 15 巻 5 号 p. 509-511
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    The apparatus proposed consists of a 100ml glass syringe and a small gas buret. Good accuracy is obtained for low residual gas/water vapor ratios in volcanic gases.
    Volcanic gases are drawn into gas buret, which contains a known amount of concentrated alkaline solution (>5N), with the syringe through a glass tubing inserted into the fumarole. By this process, water vapor in the gases is condensed in the gas buret, and the alkali-soluble gaseous fraction is dissolved in the solution. After cooling, the amount of residual gas is measured with the gas buret, and the total amount of condensed water and residual gas is measured with the syringe. The solution obtained is determined for carbon dioxide, hydrogen sulfide, sulfur dioxide, hydrogen chloride, etc.
  • 高橋 祥三, 松島 正義
    1966 年 15 巻 5 号 p. 511-513
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    鉄鋼中のタングステンはJIS G 1220によれば,タングステン含有量に応じて,重量法(0.5%<W),ハイドロキノン吸光光度法(0.5%>W).チオシアン酸アンモニウム吸光光度法(0.5%<W<5%)のいずれかによるものと規定されている.ハイドロキノン吸光光度法では磁気水銀陰極電解装置を必要とするので不便である.著者らは微量タングステンをメタスズ酸に吸着沈殿させて分離したのち,チオシアン酸アンモニウム法で定量する西田の方法1)を一部改良して,鉄鋼中の微量タングステンの定量に応用し好結果を得たので報告する.
  • 吉田 博之, 永井 斉, 大西 寛
    1966 年 15 巻 5 号 p. 513-516
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Spectrophotometric methods for the determination of cerium with thenoyltrifluoroacetone (TTA) were developed by Khopkar and De, and Onishi and Banks. The composition of the cerium-TTA complex extracted with xylene from 1N sulfuric acid solution containing bromate (the conditions of Onishi and Banks) is probably CeT4, where HT is the enol form of TTA. The extraction constant of this system is calculated to be 2×103. An attempt to obtain a precipitate of the complex under similar conditions was not successful.
    The composition of the cerium-TTA complex extracted under Khopkar and De's conditions could not be determined, because the plot of log DCe versus log [TTA] was not a straight line (DCe : distribution ratio of cerium). Apparent molar absorptivities for cerium (IV) in benzene are 4.1×103 and 3.6×103 at 440 and 450mμ, respectively.
    Although Khopkar and De suggested the oxidation of cerium(III) by bromate and dichromate in slightly acid solution, this oxidation is incomplete. The oxidation of cerium(III) (1020mg) is almost complete when 10ml of a solution that is 1N in sulfuric acid and 0.3M in sodium bromate is heated at 70°C for 1 hour.
  • 神原 富民, 斎藤 紘一, 大関 邦夫
    1966 年 15 巻 5 号 p. 517
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 花木 昭, 赤星 三弥
    1966 年 15 巻 5 号 p. 518-526
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 中村 敏夫
    1966 年 15 巻 5 号 p. 527-529
    発行日: 1966/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
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