分析化学
Print ISSN : 0525-1931
47 巻, 8 号
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  • 城田 修, 大津 裕
    1998 年 47 巻 8 号 p. 465-472
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    カラム内径をマイクロメートル領域まで小言径化した液体クロマトグラフィー(ミクロカラムLC)の試みは1970年代までさかのぼる.しかし,ミクロカラムLCはカラム自身の問題,装置上の制約等のためにLCが活躍するほとんどの領域で受け入れられていないのが現状である.対照的にセミミクロカラムLC(内径が1~2mm)はミクロカラムLCとはん用LCの両者の利点を享受でき,最近,様々な分野での応用例が紹介され始めている.小口径カラムの使用ではカラム外拡散が問題となりやすいが,セミミクロカラムLCでは通常の方式の装置系に若干の配慮を行えばはん用LCにそん色のない分離効率が得られる.セミミクロカラムLCの感度上の優位性が最も現れるのはカラムスイッチングシステムと言える.本稿ではこういったシステムの鑑定分析,ストレスホルモンの分析等への応用例を交え,セミミクロカラムLCの優位性を議論する.
  • 野口 秀雄, 松谷 成晃, 田中 正一, 堀口 恭伸, 保母 敏行
    1998 年 47 巻 8 号 p. 473-479
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    家庭用洗剤や香粧品中の界面活性剤のアルキル組成分析は煩雑である.二次元HPLCを用いた迅速な分析法が開発された.陰イオン界面活性剤の場合,カルボン酸塩や硫酸塩のような活性剤は,陰イオン交換カラム(ID)で,陰イオン基のタイプ別に分離され,単一のピークとして溶出する.溶出した界面活性剤は,C8の短いカラムに補そくされた後,カラムスイッチングにより,C18の分析カラム (2D)に導かれる.アルキル同族体は40分以内に分析される.陽イオン界面活性剤や両性界面活性剤の場合,1Dカラムには,陽イオン交換カラムが用いられる.本法は,家庭用組成物のカルボン酸塩,硫酸塩,スルホン酸塩,四級アンモニウム塩,アルキルピリジニウム塩,アミドベタイン及び他の界面活性剤の分析に応用された.
  • 田辺 顕子, 水戸部 英子, 川田 邦明, 坂井 正昭
    1998 年 47 巻 8 号 p. 481-489
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    農薬90種及びその分解化合物10物質の合計100化合物を対象として,環境水中の粒子状物質(PM)中に存在している農薬の分析法を確立した.試料500mlを1μmガラス繊維濾紙で濾過し,濾液を更に0.5μm親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)濾紙で濾過した.各々の濾紙にアセトン24mlを加えて20分間超音波抽出後,遠心上澄みを20ml分取し,1mlに減圧濃縮してGC/MS法により測定した.対象農薬を河川水へ添加し,本法により河川水中のPMへの農薬の分配率を測定した結果, PMに3%以上分配された農薬は13種であり,20%以上の分配率があったのはエトフェンプロックス, ベンフルラリン及びトリフルラリンであった.本法による各農薬の回収率は74~109%,相対標準偏差は1農薬を除いて10%以内であり,PMへの分配率が高かった農薬も良好に測定することができた. 又,本法を環境試料測定に適用した結果,PMからエトフェンプロックス及びピリブチカルブが検出された.
  • 松本 健, 北川 真由美
    1998 年 47 巻 8 号 p. 491-495
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    難溶性の酸化セリウム(IV)の分解方法として,硫酸水素アンモニウム融解法を検討し,迅速簡便な方法を確立した.すなわち,硬質ガラス製試験管にセリウム化合物試料と硫酸水素アンモニウム約3gを入れて混合した後,バーナーの小さなフレームで350~450℃に加熱する.約数分から10分間の加熱で分解は十分であり,分解と同時に黄色のセリウム(IV)はセリウム(III)に還元され,融解物は無色になる.固化した白色の融解物を水で溶解し,溶液中のセリウム(III)を吸光光度法あるいは滴定法で定量する.本法を難溶性セリウム化合物であるチタン酸セリウム(IV)及びジルコニウム酸セリウム(IV)等の分解に応用し,試料中のセリウム,チタン及びジルコニウムを再現性良く正確に定量した.定量値は計算値と良く一致した.本法は試料の分解過程を目視で確認でき,容器の損傷がなく,高濃度のアルカリ金属を含まない試料溶液を容易に調製できるなどの特色がある.
  • 奈良 一幸, 斎藤 貴
    1998 年 47 巻 8 号 p. 497-502
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(バソクプロイン)を含有したポリ塩化ビニル(PVC)膜を感応部とした,フローインジェクション分析によるCuイオンのオプティカルセンシング法を開発した.バソクプロイン,ο-ニトロフェニルオクチルエーテル及びPVCが,それぞれ1,65及び34wt%から成るPVC膜を装着したフロースルーセルを吸光光度計のセルホルダーに入れ,水酸化ナトリウムでpH6.6に調製した5×10-2mol dm-3硫酸ヒドロキシルアンモニウムと5×10-2mol dm-3の塩化ナトリウムを含む水溶液を移動相として液体ポンプにより,流量0.5 ml min-1で送液した.システム内に注入されたCuイオン試料は,フロースルーセル内でPVC膜と接触した際,膜上でCu(I)-バソクプロイン錯体を形成して発色する.このときの吸光度変化を波長481.5nmで出力電圧変化として測定した.Cuイオンに対する応答は,5×10-6~1×10-4 mol dm-3の濃度範囲で直線応答を示した. 5×10-3 mol dm-3のCuイオン試料を7回繰り返し測定したところ,その出力電圧変化の誤差は相対標準偏差で3.8%であった.本法と原子吸光分析法による定量値とは,高い相関(傾き1.05,相関係数0.997)を示した.
  • 小川 信明, 菊地 良栄, 後藤 博, 梶川 正弘, 尾関 徹
    1998 年 47 巻 8 号 p. 503-511
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    日本は海に囲まれており,降水中には海塩起源と考えられるイオンが多量に含まれる.そこで,降水中でも海水中のイオン組成比が保持されると仮定し,Na+又はCl-イオン濃度を基準に,降水中の汚染物質を海塩起源(ss)と非海塩起源(nss)に区分することが一般的になされてきた.しかし,汚染物質を含んだ雨雲や乾性浮遊物が移動する途中にガス状酸性物質とイオン交換する可能性などがあり,必ずしもss/nssという区分は正しくないという意見もあつた.そこで,1993年4月から1995年3月までの期間,秋田市と湯沢市で1日ごとの降水を採取し,そのイオン組成を化学分析し,それらのデータに,著者らが開発した制限斜交回転因子分析法を適用し, 降水中の汚染起源を抽出し解析した.その結果,海水中の塩組成に非常に近い海塩由来の汚染起源が抽出された.しかし,Na+及びCl-イオンを含む海塩成分の一部が降水を酸性にする硫酸酸性の汚染起源の中にも含まれていることが分かつた.この因子は,冬季と冬季以外,又海に近い秋田と内陸の湯沢で組成の違いを示した.このことは,海塩由来の汚染物質が採水地点に到達するまでに,組成の変質を受けていることを強く示している.
  • 大島 光子, 大崎 隆史, 本水 昌二
    1998 年 47 巻 8 号 p. 513-517
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    極微量の鉛イオンを定量するための濃縮法として,膜濾過捕集系を改良し,微小膜捕集濃縮/溶解法を用い,黒鉛炉AASにより測定する鉛の高感度定量法を開発した.試料溶液に3.5×10-5Mゼフィラミンを加えた後,鉛イオンをピロリジンジチオカルバミン酸イオンと錯形成させ,微小メンブランフィルター(MF)を用いて濾過し,膜捕集濃縮する.用いたMFは膜直径5mm,濾過有効径2mm,孔径0.2μmのニトロセルロース製であり,鉛キレートを捕集後,MFをポンチで3mmにカットして用いた.これにより,膜溶解溶媒であるメチルセロソルブの量を100μlまで減少させることができ,高倍率濃縮を達成することができた.試料量10mlの濾過時間は15分であった.試料10mlを用い,メチルセロソルブ200μlに溶解したときの鉛の定量下限は,10 pptであり,鉛40pptを含む試料を用いたときの相対標準偏差は4.51%(n=4)であった.本法により,水道水,河川水中の鉛を定量した.
  • 陳 智棟, 清永 崇広, 長岡 勉
    1998 年 47 巻 8 号 p. 519-521
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    The authors have prepared colloidal dispersions of polypyrrole-poly(vinylalcohol) composites doping carbobenzoxy-L-aspartic acid, using the oxidative polymerization technique. The colloid was used to resolve the enantiomers of glutamic acid (glu) and valine (val). When 15 mg dm-3 colloid was a-dded to a solution containing 1.0×10-4 mol dm-3 D-glu or L-glu and 2.0×10-4 mol dm-3 cupric ion, about 50% and 10% of D-and L-glu were extracted into the colloid, respectively.
  • 井原 俊英, 高津 章子, 野村 明
    1998 年 47 巻 8 号 p. 523-527
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    The Comité Consultatif pour la Quantité de Matière (CCQM) was established by the Comité International des Poids et Mesures (CIPM) in response to the issue of international comparability and traceability of chemical measurements. At its second meeting, in 1996, the CCQM working group on metrology in chemistry decided upon international comparisons for organic compounds using isotope dilution mass spectrometry (IDMS). The first CCQM inter-comparison concerning the determination of a solution of (p, p'-dichlorodiphenyl) dichloroethylene using IDMS was carried out by eight national laboratories, including our institute. Two-level (low and high) sample solutions were provided by the pilot laboratory. Our results for high-level samples showed good agreement within 1% of the reference values. Further, we had attempted an IDMS measurement using three different types of mass spectrometers : a magnetic sector, a quadrupole and an ion trap for comparing the sensitivity or reproducibility among these instruments.
  • 鎗田 孝, 吉谷川 真司
    1998 年 47 巻 8 号 p. 529-532
    発行日: 1998/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
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