ストロンチウム-90,イットリウム-90および鉛-212,ビスマス-212の放射平衡物を薄層クロマトシート(東洋シリカゲル,5cm×2cm)の電気泳動法でKohnの報告した装置を用いて分離,同定した.
泳動は5分間,300V/5cm,0.15
Mクエン酸電解液で行ない,試料はクロマトシートの陰極側から1cmの位置に点じる.
この方法の特長は,(1)分離帯が小さくまとまり,(2)操作が容易で分取しやすい,(3)冷却そうが不要で再現性がよい,(4)1枚のクロマトシート(20cm×20cm)から40枚得られるので経済的であり,また,放射性物質に利用するときは使い捨てができ安全である.(5)本法は特に半減期10.6時間,および60.5分の鉛-212とビスマス-212を分離するのに便利であり,高級なラジオアイソトープ学生用基礎実験として推薦できる.
トリウムの硝酸塩およびバリウムパルミチン酸塩から鉛-212を捕集するときの電圧と捕集時間,収量の関係を検討した.
ストロンチウム-90,イットリウム-90の検出と同定はロジゾン酸ナトリウムとオートラジオグラフ法,鉛-212,ビスマス-212の検出にはジチゾン-クロロホルムを用い,検出部分の放射能は2πガスフロー計数装置(Qガス使用)で確認した.
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