分析化学
Print ISSN : 0525-1931
29 巻, 5 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 田村 禎夫, 田辺 和俊, 平石 次郎, 佐伯 慎之助
    1980 年29 巻5 号 p. 279-283
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    相関係数法を用いた赤外スペクトルの検索について,455種の液体・固体試料のスペクトルをモデルとして研究した.試料調製の方法の相関係数への影響及び適切な波数領域について検討した.検索に要する時間を短縮することを目的として,最強吸収帯の波数,1次から4次までのスペクトルのモーメントをふるいとして用いたところ,時間を短縮できるとともに,検索の効率も向上し,赤外スペクトルのみでは,本質的に識別できないような化合物を別とすれば,すべての化合物を識別しうる可能性のあることが分かった.
  • 試薬ゲルカラムを用いる微量金属イオンの簡易半定量分析法(第3報)
    李 龍根, 上野 景平
    1980 年29 巻5 号 p. 283-287
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    架橋ポリスチレンピーズ{ジビニルベンゼン2%,乾燥時粒径(70~100)mesh}を,6-プロモ-2ベンゾチアゾリルアゾ-2-ナフトール(BTAN)の0.02%クロロベンゼン溶液に24時間浸せきすると,ポリスチレン粒子は膨潤ゲル化する.この紅色ゲル粒子を内径2.5mm,長さ120mmのガラス管に100mmの長さに充てんして分析カラムを調製する.このカラムにpH10(Clar-Lubs緩衝液)にした試料溶液を0.2ml/minの流速で流すと試料中のカドミウムの量に応じてカラムの流入端から赤紫色に変化する,変色帯の長さはカラムに流入したカドミウムの全量に比例するので,一定量の試料溶液を流した後,変色帯の長さを測定し,あらかじめ作成した検量線からカドミウムの濃度を求める.この方法で(0.05~0.1)ppmでは±10%,(0.2~0.5)ppmでは±5%の相対誤差でカドミウムを定量することができる.アルミニウム,コバルト(II),水銀(II),ニッケル(II),鉄(III),銀,クロム(VI)などは10倍ないし数十倍まで,銅(II)は5倍まで,又亜鉛はカドミウムと同量まで,ジンコン,タイロン,チオ尿素,フッ化ナトリウムなどでマスキングすることができる.各種環境水,排水などに本法を適用して好結果を得た.
  • 三木 正博, 前野 又五郎, 丸橋 一夫
    1980 年29 巻5 号 p. 288-293
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    無水フッ化水素酸中の微量水分と伝導率の関係を,密閉系添加方式により調査した.高純度フッ化水素酸に既知量の水その他の成分を添加したときの伝導率変化の挙動を解析することによって,100ppm以下の微量水分(カールフィッシャー法の適用困難な領域)と伝導率の関係を明らかにし,フルオロ硫酸,ヘキサフルオロケイ酸及び亜硫酸のそれぞれ数百ppmの存在は伝導率に影響しないことを確かめた.又,貯そう及び流送管中で伝導率を直接測定する,バイパス型及びオンストリーム型のフローセルを開発した.以上により伝導率10-5Ω-1cm-1けたの無水フッ化水素酸中のppmけたの微量水分の連続測定が可能となった.
  • 永瀬 誠
    1980 年29 巻5 号 p. 293-297
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    酒石酸塗布のガラスビーズを充てんした捕集管に室温で空気中のトリメチルアミンを捕集し,捕集管内の空気を窒素を用いて置換後,捕集管を加熱し,直ちにアンモニア水を捕集管に注入してトリメチルアミンを脱離させ,水素炎イオン化検出器(以下,FIDと略記)付きガスクロマトグラフに導入して定量する方法を検討した.その結果,本法は回収率の平均値が99.7%,変動係数が3.5%であり,簡便,迅速に精度良く空気中のトリメチルアミンの定量を行うことができた.又,捕集管に捕集されたトリメチルアミンは,捕集後96時間が経過しても安定であった.
  • 高エネルギー予備処理放電の適用
    柴田 勉, 浜田 栄, 奥山 祐治, 柏尾 義隆, 田中 勇, 佐藤 公隆
    1980 年29 巻5 号 p. 297-303
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    硫化物介在物の偏析や金属組織などの影響のために困難とされていた硫黄快削鋼の発光分光分析を可能にするとともに,発光分光分析による鋼中硫黄の定量精度の向上を図るために,高エネルギー予備処理放電,すなわち予備放電に先立って高静電容量励起によって試料放電面の蒸発気化が平衡状態に達するのを速める方法の適用について検討した.その結果,硫黄快削鋼の発光分光分析が可能になり,例えば(0.035~0.32)%の45試料に対する硫黄の正確さ(σd)は0.0048%で分析できること,又炭素鋼中の(0.011~0.027)%の硫黄(23試料,平均:0.020%)に対する正確さは0.0096%から0.0014%に向上することを明らかにした.
  • 林田 一良, 吉田 仁志, 多賀 光彦, 蟇目清一郎
    1980 年29 巻5 号 p. 304-309
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    過塩素酸イオンは銀(1)及び1,10-フェナントロリン(以下phenと略記)の存在下で難溶性三元錯体,Ag(phen)2ClO4を形成する.この三元錯体の生成反応を利用する過塩素酸イオンの簡便な電導度滴定法について検討した.(6~34)mgの過塩素酸イオンを含む試料溶液に酢酸塩緩衝溶液を加えてpHを5.0とした後,Ag(phen)2+錯体標準溶液(40%エタノール溶液)で滴定する.本法によれば,0.2%以下の相対誤差と,0.9%以下の相対標準偏差で過塩素酸イオンを簡便に定量することができた.共存イオンの影響についても詳しく検討した.本法を過塩素酸アンモニウムの純度検定に応用したところ,従来法と良く一致した結果が得られた.生成する三元錯体の見掛けの溶解度積(logKsp')は-24.25であり,この値から反応熱が36.7kcalと算出された.
  • 斉 加実彦, 池田 友成
    1980 年29 巻5 号 p. 309-313
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    微量スズの黒鉛炉による電気加熱原子化原子吸光分析法について,原子化条件を定めた後,試料の液性について検討して条件を定めた.共存成分の影響については12種の金属イオンなどについて実験し,妨害成分のアルミニウム,アンチモン,テルル,ヒ素や酒石酸などは硝酸ランタンを添加することにより影響を防止できた.ランタンはスズの定量に増感効果を示し,又アンモニア性においてスズを共沈させるのでこれを分離法として用い,亜鉛地金などのスズの定量に適用した.
  • 高速液体クロマトグラフィーの化粧品分析ヘの応用(第6報)
    中村 淳, 森川 良広, 松本 勲
    1980 年29 巻5 号 p. 314-318
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    オクタデシル基を導入したシリカゲル(TSKゲル,LS 410,5μ)を固定相に,1.0M硫酸ナトリウム水溶液(pH:2.2)を溶離液に用いる高速液体クロマトグラフィーで化粧品中に配合されているクエン酸,乳酸,ウロカニン酸及びピログルタミン酸の分離定量を行った.
    固定相に強く吸着される各種界面活性剤や油脂類などはアニオン交換樹脂を用いた前処理操作で除去した.
    それぞれの検量線は,原点を通る直線となり,既知濃度試料からの平均回収率は96%以上,変動係数は2.5%以下であった.本法を市販の化粧水,乳液などに応用した結果,妨害成分を認めることなく定性.定量を同時に行うことができた.
  • 中川 孝一, 緒方 敏夫, 原口 謙策, 伊藤 三郎
    1980 年29 巻5 号 p. 319-322
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    非イオン性界面活性剤トリトンX-100を用いて可溶化した2-(2-チアゾリルアゾ)-5-ジメチルアミノフェノール(TAM)錯体とEDTAとをストヅプド・フロー法を用いて反応させ,吸光度の時間変化から銅(II)を定量する方法を検討した.本法に対し銅-TAM錯体の反応速度に近い反応速度を持つカドミウム及び亜鉛錯体は影響を与える.更に鉄(II)は量に共存する場合にはTAMを大量に消費するため定量誤差を与える可能性がある.そのため本法ではクエン酸によるカドミウム及び亜鉛のマスキング法,及びペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いて鉄を酸化するマスキング法を用いた.本法により亜鉛(II),カドミウム(II),ニッケル(II),コバルト(II),マンガン(II),鉄(II,III)と共存する1μg/50cm3以上の銅を簡単迅速に定量できる.定量誤差は3%以内である.ハロゲン化イオン,硝酸イオン,硫酸イオン,酢酸イオンなどの陰イオンは全く影響しない.
  • 橋場 稔, 三浦 英二, 塗師 幸夫, 日比野 泰三
    1980 年29 巻5 号 p. 323-326
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    硫酸アンモニウム融解法の酸化アルミニウム,酸化チタン(IV)及び酸化ニオブ(V)への適用性を検討した.酸化アルミニウム,酸化チタソ(IV)及び酸化ニオブ(V)に対し融剤量は,それぞれ,20倍,20倍,10倍,融解時間は2時間,1時間,1時間,融解温度は400℃,450℃,400℃の条件で融解を行った結果,酸化アルミニウム,酸化チタン(IV),酸化ニオブ(V)の回収率はそれぞれ(99.2±0.4)%,(100.1±0.2)%,(100.1±0.2)%であった.この結果より,これら酸化物は定量的に分解回収されていることが明らかとなった.
  • 河野 隆年
    1980 年29 巻5 号 p. 326-331
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    フレーム原子吸光分析におけるアルミニウム定量時の窒素化合物添加による増感作用について検討した.フレームは空気-アセチレン-酸素サンドイヅチフレームを,窒素化合物はヘキサメチレンテトラミン(以下ヘキサミン),酢酸アソモニウム,尿素,塩化アンモニウム,過塩素酸アンモニウムを用いた.
    各溶液の加熱による水酸化アルミニウムの生加速さ,焼成による性状変化,ミスト分布変化,乾燥粒子の分布,乾燥粒子の性状などをX線回折,電子線マイクロアナライザーなどにより検討した結果アルミニウムの増感は炎温度,炎の還元性の増加に加え炎中で生成される乾燥粒子の性状が支配的と考えられた.又,炎中でのミストから乾燥粒子形成過程について想定した.
  • 伊藤 哲雅, 河口 広司, 水池 敦
    1980 年29 巻5 号 p. 332-336
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ラインサンプルインジェクターを普通のガラス同軸型ネブライザーの先に取り付け40μlの試料をICPに導入した.試料が希釈されるのを防ぐために,短時闇キャリヤーの吸い上げ口を水面から出し,約50μlの気ほうを作ってその気ほうの中に試料をマイクロシリンジから導入した.スプレーチャンバーは容積の小さい(~35cm3)ものを使用した.40μlの試料を導入したときのスペクトル線強度は,連続的に試料を入れた場合の約65%で,検出下限は約5倍高かった.しかし,共存元素の影響は連続的に試料を入れる場合より小さく,カリウム5%によるクロム,ホウ素のスペクトル線強度の影響は10%以下であった.本法ではエタノールなど,有機溶媒試料を導入しても安定なプラズマが得られた.再現性は検出下限近くの濃度を除いて約4%であり,ダイナミックレンジは(5~6)けた得られた.
  • 松尾 博, 熊丸 尚宏, 原 茂樹
    1980 年29 巻5 号 p. 337-341
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    コバルトのチオシアン酸錯イオンは塩化テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム(ゼフィラミン)溶液と反応してイオン対を形成し,クロロホルムに定量的に抽出されるので,この溶媒抽出系を利用する微量コバルトの黒鉛炉原子吸光分析法について検討した.水相/有機相の容積比(Vw/Vo)が25ml/5mlの場合,水相中のチオシアン酸カリウム濃度を(0.04~0.4)M,又ゼフィラミン濃度を(2×10-3~8×10-3)Mに保てば,生成したチオシアナトコバルト(II)酸イオンは4M塩酸酸性からpH8の範囲においてゼフィラミン陽イオンを伴ってクロロホルムに定量的に抽出される.試料(水溶液)採取量が20mlの場合,検量線は試料中のコバルト濃度が0.7μg/20ml(35μg/1)以下で直線性を示し,又その濃度が0.5μg/20mlの試料についての10回の繰り返し実験による変動係数は2.0%であった.共存イオンの影響は極めて少なく,鉄,ニッケルなど多くのイオンがコバルトに対して10000倍量共存しても妨害しなかった.本法を銅鉱山坑廃水及び化学薬品の鉄塩とニッケル塩中のコバルトの定量に応用し,満足な結果を得た.
  • 久我 和夫
    1980 年29 巻5 号 p. 342-345
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Rapid determination of trace amounts of copper, iron and manganese in polyimide resins by graphite furnace atomic absorption spectrometry has been investigated. The standard solutions used were prepared as follows; after evaporating 1 ml of each stock solution (1000 ppm in nitric acid medium), the residue was dissolved in 100 ml of dimethyl formamide. The following procedure was used. Resins 08g were dissolved in (26) ml of dimethyl formamide, and an aliquot of standard solution of each element was added to it and diluted to 10 ml with dimethyl formamide. A 10μl of the solution was pipetted into graphite furnace atomizer and the atomic absorption signals were measured. The peak height and peak area methods were compared. The peak height values of copper, iron and manganese increased with increasing atomizing temperature, while the peak area values of the three elements approached to a constant value above 2300°C (Cu), 2400°C(Fe) and 2200°C (Mn). Calibration curves were linear in the range of 010 ng (peak area method) and05 ng (peak height method) for the three elements. The standard addition method was used in practical analysis. The standard deviation were (1.84. 9) % (peak area method) and (3.25.9) % (peak height method). The analytical results obtained by the proposed method agreed with those obtained by a dry ashing flame atomic absorption spectrometry. A single determination took about 10 min, which was about a twentieth of the time required by a dry ashing flame atomic absorption spectrometry.
  • 大内 昭, 下井 守, 畑沢 智, 吉野 諭吉
    1980 年29 巻5 号 p. 345-347
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Halogeno or carboxylato groups in their triaryl- or trialkylantimony (V) derivatives have been determined by alkalimetry after their hydrolysis. The standard analytical process is as follows. About 0.2 mmol(70 150 mg) of the sample is taken into a 200 cm3 beaker, and is dissolved into 20 cm3 of acetonitrile. The mixture is boiled if the sample is hardly soluble. After the complete dissolution, it is diluted with 20 cm3 of water, and is kept for several min. The solution is then titrated with 0.1 M sodium hydroxide aqueous solution. Acetone, N, N-dimethylforrnamide, tetrahydrofuran, and dimethylsulfoxide can also be used in place of acetonitrile (N, N-dimethylforma mide solution should not be boiled). Satisfactory results could be obtained for 13 organoantimony compounds, such as dibromotriphenylantimony (V), diacetatotriphenylantimony (V), bis (benzoato) tris (p tolyl) antimony (V), dibromotrimethylantimony (V) etc. (The samples used were over 99.7% in their purity estimated from their carbon analyses). This method is conveniently applicable to check the composition of the samples of these compounds.
  • 原口 紘〓, 高橋 純一, 田辺 潔, 赤井 義朗, 本間 厚, 不破 敬一郎
    1980 年29 巻5 号 p. 348-349
    発行日: 1980/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    A KBr-coated photocell has been evaluated as a detector of a non-dispersive vacuum ultraviolet (VUV) atomic absorption spectrophotometer for mercury. The photocell shows high quantum yield in the VUV region, and lower quantum yield in the UV region of longer wavelength. This characteristics of the photocell provides selective detection of the Hg I 185.0 nm line, which is more sensitive in mercury atomic absorption than the Hg I 253.7 nm line, and allows to build a non-dispersive measurement system. The sensitivity (1% absorption) and detection limit (concentration corresponding to S/N = 2) were 0.26 ng and 0.043 ng, respectively, using a 30 cm (length) absorption cell. The detection limit may be improved by the use of a logarithmic amplifier and by reduction of dark current in the system.
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