分析化学
Print ISSN : 0525-1931
18 巻, 1 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 固体質量分析法による鉄鋼中極微量元素の定量分析法の研究(第1報)
    山口 直治, 鈴木 良一, 神森 大彦
    1969 年 18 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    高周波スパーク型イオン源を備えた二重収束質量分析器による分析の定量精度および正確さの向上を目的として,イオン加速電圧,スパーク電圧,パルスくりかえし周波数およびパルス幅などの測定条件がイオン強度に与える影響について,低合金鋼,耐熱合金,銅合金,アルミニウム合金および亜鉛合金の市販標準試料を用いて検討した.その結果,測定条件の影響は試料物質および元素によって異なり,精度のよい,より正確な分析を行なうには,測定条件を一定に保ち,分析試料と同じ組成の標準試料を用いて,両者を同一条件で測定して感度補正を行なう必要があることがわかった.また,スパーク電圧およびパルスくりかえし周波数によるイオン強度の変化は,主元素と各成分元素の昇華熱に関係あることがわかった.
  • 山口 直治, 須藤 友義, 神森 大彦
    1969 年 18 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    鉄鋼中の窒素定量法として,試料に酸化鉛などの酸化融剤を加えてヘリウム気流中で加熱溶融し,分解生成ガス中の酸素,水素および二酸化炭素などを,酸化銅,金属銅およびモレキュラーシープなどを用いて除去したのち,熱伝導度セルを用いて熱伝導度の変化を測定して窒素量を求める方法を開発した.本法は反応管が開放式のため,試料のそう入および交換が迅速容易で,また分析操作も簡単であった.検量線はよい直線性を示し,窒化物はほぼ完全に分解,抽出され,普通鋼およびステンレス鋼について,湿式化学分析法の値とよい一致を示した.再現性は変動係数で3~5%で,定量下限は10ppmであった.なお,本法は磁器るつぼを用いるため分析価格が低れんで,処理量の多い日常作業分析に適している.
  • 配位子交換クロマトグラフィーに関する研究(第1報)
    舟阪 渡, 藤村 一美, 栗山 智
    1969 年 18 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    配位子交換クロマトグラフィーによってフェニレンジアミン異性体を相互に分離することを目的とし,その際に固定相として使用する陽イオン交換樹脂ならびに金属イオンの種類,あるいは移動相として使用するアンモニア水の濃度などがフェニレンジアミンの分配係数に及ぼす影響についての基礎的検討を試みた.その結果,非常に希薄なアンモニア水(5×10-3M)を展開液とした場合には,Fe(III)形のスルホン酸樹脂を固定相に使用したとき,異性体の分配係数比は大となり,φ18mm×753mmのカラムを使用すれば異性体は完全に分離することができた.またこの場合Fe3+の漏出はほとんど認められなかった.しかしP-異性体の配位子交換速度は著しく小さいため,その保持容量は移動相の流速によって変化することが認められた.
    Fe(III)形のAmberlite CG-120を詰めたφ18mm×753mmのカラムならびに5×10-3Mアンモニア水をそれぞれ固定相ならびに移動相に使用する配位子交換クロマトグラフィーによれば,フェニレンジアミンの異性体が良好に分離できることが明らかとなった.一般に水溶性有機化合物の異性体の分離においては,塩析クロマトグラフィーがすぐれた分離効果を示すことがしばしば認められるが,配位子となりうる物質の分離においては,配位子交換クロマトグラフィーのほうが異性体の分離には,より有利になるものと期待される.
  • イオウを含むキレート試薬に関する研究(第21報)
    横山 陽, 千熊 正彦, 林 紘子, 田中 久
    1969 年 18 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    メルカプト基とカルボニル基とを配位基とするキレート試薬の系統的な研究の一部として,β-メルカプトヒドロ桂皮酸アニリドおよびβ-メルカプト桂皮酸アニリドのニッケル,コバルトの抽出比色定量試薬への応用について検討した.これらの化合物とニッケル,コバルトとの反応は前に報告したβ-メルカプトヒドロ桂皮酸,β-メルカプト桂皮酸のそれとよく類似しているが,これらのメルカプトカルボン酸類が水溶性キレートを生成するのに対し,β-メルカプトヒドロ桂皮酸アニリドはニッケルとクロロホルム可溶の赤かっ色キレートを,β-メルカプト桂皮酸アニリドはコバルトと酢酸イソアミル可溶の黄緑色キレートを生成する.それぞれの溶媒で抽出し,ニッケルでは430mμ,540mμ,コバルトでは640mμの吸光度を測定することにより,10~100ppm程度の定量が可能であることを認めた.
  • 熱検出液体クロマトグラフィーに関する研究(第2報)
    鈴木 義仁, 石井 大道, 武内 次夫
    1969 年 18 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    酸および塩類の水溶液の濃度はサーミスターを用いて,イオン交換熱を検出する方法で決定できる.陰イオン交換樹脂は内径8mm,長さ5cmの検出カラム中に充てんしサーミスターをそう入したのち,30℃に保った恒温そう中に入れた.展開液は注入する試料と同種類の陰イオンをもつ酸または塩類水溶液を用いた.
    注入する試料溶液の濃度が展開液の濃度と異なるときは,サーモグラムに発熱および吸熱による変化が現われた.このときのピーク高さは,試料の注入量が一定ならば試料溶液の濃度に依存し,ピーク高さより未知濃度溶液の濃度の決定ができた.
    陽イオン交換樹脂を用いて,イオン交換熱を検出する前報の結果と比較すると,陰イオン交換樹脂を用いる本報の場合はより高感度であって,酸および塩類水溶液の濃度決定に利用できる.
    (1)陰イオン交換樹脂を,サーミスターをそう入した検出カラム中に充てんし,酸および塩類水溶液を展開液として使用し,展開液と濃度の異なる試料溶液をカラム中に注入したときのサーモグラムを明らかにした.
    (2)展開液と同種の試料水溶液を用いるとサーモグ
    ラムは試料溶液の濃度差による温度変化を示し,そのときのH(ピーク高さ)は試料溶液の濃度と直線関係(検量線)があった.
    (3)試料溶液の注入量を一定とすれば,H(ピーク高さ)より濃度決定ができる.(4)使用する樹脂は一般に粒度の細かいほうがよい.
    (5)陽イオン交換樹脂を使用するよりも,陰イオン交換樹脂を用いて,酸,塩類水溶液の濃度決定を行なったほうがよい.検出感度は陰イオン検出法で16.5倍程度向上する.
  • 希土類元素の発光分光分析に関する研究(第1報)
    大角 泰章, 加藤 明彦, 東 国茂, 三宅 義造
    1969 年 18 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    溶液試料中の微量希土類元素を定量する目的で,回転電極-スパーク励起による希土類元素の発光分光分析における共存成分の影響について検討した.標準試料溶液は100ppm希土類元素を含む溶液に種々の共存成分を加えて調製した.分析元素のスペクトル線強度は共存元素の種類と濃度によって影響されることがわかった.スペクトル線強度は6eV以下のイオン化電圧の元素の添加によって強められる.特にセシウム,ナトリウム,ルビジウムおよびバリウムは感度を著しく増大することができた.スペクトル線強度の最も強くなる共存元素の最適濃度は共存元素のイオン化電圧に直線的に依存しており,共存元素のイオン化電圧が低くなるにしたがって,その最適濃度は高くなる.エチルアルコールの添加はスペクトル線強度と感度を高めることができた.
  • 校正ガスの標定に関する研究(第1報)
    武者 宗一郎, 額田 正巳, 大八木 紀久, 札野 新太郎
    1969 年 18 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    計測器もしくは分析計の校正に用いられる校正ガスの標定法はまだ規格化されていない現況にある.本研究は校正用二酸化イオウガスの標定を試みたものである.約1000ppmの二酸化イオウガスを,ヨウ素,過酸化水素,テトラクロロ水銀酸塩の3種の吸収液に吸収させたのち定量した.試料ガスの吸収方法は次の2法を検討した.(1)静的方法:試料ガスを採取びんに採取し,その中に吸収液を入れて振り混ぜながら吸収させる.(2)動的方法:試料ガスを試料採取容器からインピンジャーに導いて,吸収管中で吸収させる方法.これらの定量方法のうちで,ガスの吸収を静的方法で行ない,吸収液にテトラクロロ水銀酸塩を用い,電量滴定で定量を行なう組み合わせの場合,精度が良好であった.
  • 柘植 盛男, 田中 隆, 田中 誠之
    1969 年 18 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    フェノール-ホルムアルデヒド樹脂(以下フェノール樹脂と略記)とクレゾール-ホルムアルデヒド樹脂(以下クレゾール樹脂と略記)の定性分析法を熱分解ガスクロマトグラフィーにより研究した.熱分解温度は800℃で,フィラメント型の直接分解法によった.熱分解のくりかえし精度は約20%であった.フェノール樹脂はクレゾール樹脂に比較して,その熱分解生成物のうち,フェノールと,ο-クレゾール量が多いことを利用して,半定量的基準により定性分析ができることがわかった.
    定性分析の裏づけとしては,樹脂のメチル基よりもメチレン橋の切断が起こりやすいことに基づいていることが考えられる.本法により未硬化および硬化樹脂を定性分析することができた.
  • 後藤 秀弘, 柿田 八千代, 高田 九二雄
    1969 年 18 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ホウ素は硫酸-酢酸溶液中でクルクミンと赤色錯体をつくり,メチルエチルケトン-クロロホルム-フェノール混合溶媒に抽出され,555mμの波長に極大吸収を示す.555mμにおける分子吸光係数は170,000mol-1l・cm-1で,検出限界は0.025μgB/10mlである.
    これを鉄鋼中の微量ホウ素の定量に応用し,大部分の鉄をメチルイソブチルケトンで抽出して除去したのち,この反応を用いてホウ素の光度定量を行なう分析操作を創案した.この方法により比較的簡易な操作により,鉄鋼中の1ppm程度のホウ素の定量を可能とした.
  • 林 英夫
    1969 年 18 巻 1 号 p. 58-61
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    スズは,酢酸-酢酸アンモニウム-アスコルビン酸支持電解質中で,良好な還元(2+→0)く形波ポーラログラムを得ることができる.この支持電解質を用いて,かんジュース中の溶出スズの定量法を検討した.定量法は,試料1gを硫硝酸で加熱分解後,尿素を加えて加熱処理し,水に溶かして定容とする.この一部をとり,あらかじめ除酸素した酢酸-酢酸アンモニウム,およびアスコルピン酸を加え,水で定量とし,-0.3~-0.8V(vs.S.C.E.)のく形波ポーラログラムを記録し,-0.6V近傍のスズ波の波高を測定し,定量する.
  • スペクトル線強度に影響する諸因子の検討
    武内 次夫, 勝野 泰光
    1969 年 18 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    プラズマジェットを発光分光分析の光源としたときの連続放射バックグラウンドを減少させ,高感度,高精度を得る動作条件を検討した.その結果試料を噴霧するスプレーガス圧力を大きくすることが有効であり,アークガス流量Ar12+He8l/minのとき1kg/cm2が最良の結果を与えた.内部標準としてはスペクトル線のバックグラウンドをとるのが最も精度がよかった.1例として2ppmのカルシウム水溶液の変動係数は2.9%であった.試料水溶液に水に可溶な有機溶媒を混合すると一般に感度の上昇がみられ,アセトン50vol%溶液では10倍以上感度が上昇した.しかし,スプレーガス圧力を大きくしても水溶液のときほどバックグラウンドが減少しないのでS/N比はあまり向上しない.また分子発光スペクトルにより,スペクトル線が干渉を受けることもある.
    プラズマジェットを発光分光分析の光源として応用した場合の問題となる連続放射バックグラウンドを減少させ,高感度,高精度を得る動作条件を検討した.その結果スプレーガス圧力を大きくすることが有効であった.内部標準としてはスペクトル線のバックグラウンドをとるのが最も精度がよかった.試料水溶液に有機溶媒を混合すると著しく感度が上昇した.しかし水溶液のときほどバックグラウンドが減少しないのでS/N比はあまり向上しない.また,分子バンドによりスペクトル線が干渉を受けることもある.
  • 重松 恒信, 本浄 高治
    1969 年 18 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ベンゾイルトリフルオルアセトン-TOPO系でコバルト(II)をシクロヘキサン抽出して吸光光度定量した.コバルトはTOPOの存在しないときはトレース量のときに定量的に抽出されるにすぎないが,TOPOの存在により20ppmのコバルトも抽出できる.抽出錯体の組成はCo(BFA)2(TOPO)と考えられ,この分子吸光係数は3700(380mμ)または2300(390mμ)である.2~20ppmコバルトの検量線は直線になる.
    ニッケル,マンガン,銅,鉄,クエン酸,EDTAなどが妨害する.
  • 大西 一義
    1969 年 18 巻 1 号 p. 72-74
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A method for the determination of zinc in dust by chelatometric titration after an extraction with TOPO-benzene was presented.
    The sample was taken up with hydrochloric acid and hydrogen peroxide. The acid concentration was adjusted to 1.53.0N, and ferric iron was reduced to ferrous by ascorbic acid. Thirty milliliters of the benzene solution of 0.1M TOPO was added, and zinc was extracted by 3 min. shaking. The aqueous layer was separated, and 20 ml of perchloric acid (1 + 15) was added to the organic layer for back-extracting zinc by 1 min. shaking. Hydrogen peroxide, ammonium fluoride and sodium thiosulfate were added to the back-extracted layer for masking, respectively, traces of Fe2+, Al3+ and Cu2+. After the adjustment of pH with hexamine, zinc was titrated with 0.02M EDTA solution by using XO as an indicator. Zinc in dust was determined in 40 min. with sufficienc accuracy and reproducibility.
  • 舟阪 渡, 安藤 貞一, 富田 与志郎
    1969 年 18 巻 1 号 p. 74-75
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    X-ray fluorescence method was applied to the determination of iron in phosphate rock. The standard specimens required for the calibration curve were prepared by mixing pure reagents so that the mixture had the average composition (except Fe2O3) of phosphate rock, to which was added definite amounts of standard ferric oxide. The iron contents thus determined by the X-ray method, being in the range of 01%, were nearly identical with but slightly higher than those by a colorimetric method.
  • 遠藤 芳秀, 畑 俊彦, 中原 悠紀
    1969 年 18 巻 1 号 p. 76-77
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    The determination of Al2O3, FeO and MnO in the isolated slag-inclusion in steel was done by atomic absorption spectrophotometry, in which the inclusion was calcined, decomposed by potassium pyrosulfate and sodium carbonate fusion, made up to volume, and was subjected to the analysis. The method was simple, accurate, efficient and applicable to the practical samples. By the aid of a scale expander, the lower limits of determination were, Al : 0. 1 ppm, Fe : 0.02 ppm and Mn : 0.01 ppm.
  • 河野 隆年
    1969 年 18 巻 1 号 p. 78-80
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Magnesium in iron usually determined by either extractive, colorimetric or electrolytic method, but the separation of iron as ferric hydroxide is not preferred because of the interefering coprecipitation of magnesium.
    The author found that the coprecipitation did not occur at pH 5.56.0 provided that more than 200 mg of silver ion was present with 1 g of iron and 0.11 mg of magnesium, and this fact was applied successfully to the determination of magnesium in cast iron.
  • その分析化学的応用(その2)
    上野 景平, 斎藤 幹彦, 玉奥 克己
    1969 年 18 巻 1 号 p. 81-95
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 大山 勲
    1969 年 18 巻 1 号 p. 96-108
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 松浦 二郎
    1969 年 18 巻 1 号 p. 109-118
    発行日: 1969/01/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top