分析化学
Print ISSN : 0525-1931
7 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 生物体中の痕跡元素の分析法に関する研究(第13報)
    山本 勝巳
    1958 年 7 巻 6 号 p. 343-346
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    植物体灰分中に存在する微量の鉄,亜鉛,マンガンおよびもし存在すれば銅の,ポーラログラフ法による同時定量に際して,それらの元素を分離,濃縮する目的で抽出法を応用した.
    酸性度を調整した試料溶液中の鉄およびもし存在すれば銅を,クペロン-クロロホルムにより抽出,分離する.ついで水溶液層に酒石酸およびアンモニアを加えてpH=5.6としジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム-クロロホルムを用いて,亜鉛およびマンガンを抽出,分離する.それぞれ硫酸および硝酸を用いて,有機物破壊後,塩化物として蒸発乾固する.
    鉄およびもし存在すれば銅の部は塩酸にて溶出し一定容としたのち,EDTA-NaOAC基礎液でpH=6.2において定量する.亜鉛およびマンガン部は水を加えSO2ガスを通じて溶出し一定容としたのち,塩化リチウムおよび水酸化リチウムを用いてpH=6.2となし定量する.
    本法をドクダミ,ゲンノシヨウコおよびオホバコの灰分について行い鉄,亜鉛およびマンガンの含量を求めた.
  • シュウ酸を用いる分析化学的研究(第7報)
    松本 保
    1958 年 7 巻 6 号 p. 346-350
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    銅をシュウ酸銅として定量することは第5報で報告したが,その際鉄が共存しておればどのような影響をおよぼすか,つまり銅と鉄との混合溶液にシュウ酸を加えてシュウ酸塩の沈殿を作るとき銅と鉄とがその沈殿とロ液とにどのように分配されるかを調べてみた.その結果モル比で鉄が銅の約1/2以下であれば,銅は沈殿に,鉄はロ液にそれぞれほとんど完全に分離されてゆくことがわかった.したがって渚の程度の量の鉄の共存はシュウ酸法による銅の定量に悪い影響をあたえないことを知った.
  • シウュ酸を用いる分析化学的研究(第8報)
    松本 保
    1958 年 7 巻 6 号 p. 350-354
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    前報につづいて,カドミウム,ヒ素,アルミニウムなどの共存がシュウ酸法による銅の定量にどのような影響をあたえるかを調べたところ,銅はシュウ酸塩の沈殿に,銅と共存する金属はロ液にそれぞれほとんど完全に分離されることを知ったので,これらの金属の共存は銅の定量に差支えないことがわかった.
  • 安盛 善一
    1958 年 7 巻 6 号 p. 354-359
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    水銀滴が落下して後一定時間経過した時期に短期間のみ記録計が動作することき滴下同期記録式ポーラログラフについて装置を試作しそれによって得られるポーラログラフの波形,半波電位のずれを検討し濃度-波高曲線の直線性について実験した.その結果,波形,半波電位のずれはほとんど認められず,濃度-波高曲線の直線性の精度も通常のポーラログラフ法と差がなかった.
  • EDTAを用いる電解分析の研究(第1報)
    早川 久雄
    1958 年 7 巻 6 号 p. 360-362
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    アンチモンが共存する場合およびヒ素が共存する場合に,EDTAを用いる銅の電解定量法について検討した.アンチモン(III)と銅が共存する場合は,モル比で両金属の2倍以上のEDTAと,塩酸ヒドロキシルアミン,硝酸アンモニウムを含む溶液のpHを3.1前後に調節し,60~70℃で,陰極電位を一定に保って電解する.このとき.陰極電位を-0.40V(対S.C.E.,以下同じ)とすれば,15mgのアンチモンの共存が許され,-0.38Vとすれば,37mgのアンチモンの共存時に銅を定量できる.ヒ素(III)と銅が共存する場合は,上と同様にEDTAなどを加えて溶液を調製して定電位電解すると,陰極電位が-0.36~0.41Vであれば,1mgのヒ素が共存しても銅の定量値に正誤差をあたえる.陰極電位を-0.33Vとすれば,24mgのヒ素の共存が許されるようになるが,電解時間が非常に長くかかる.ヒ素を酸化して完全にヒ酸塩とすれば定電位電解法によらなくても,浴電圧を限定する普通の電解法で銅を分離定量できる.電着銅はどの場合でも非常に光沢がよく美しい.
    EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)は各種の金属とそれぞれの金属に応じた特有のpHで非常に安定な錯イオンをつくるので,分析化学の各部門において広く用いられており,EDTAを用いる分析法の研究報告は非常に多く,それについての総説および著書も多数出ているが,電解重量分析にはほとんど利用されていない.
    著者はEDTAとの錯イオン生成を利用して,各種金属の電解重量分析および電解分離を試み,まず銅の電解定量を行って非常に光沢のよい,定量的な電着を得ることができた.ついで電解分離が非常に困難であるといわれているビスマスと銅の分離をEDTAを用い,自動定電位電解法によってなし得た.しかも多量のビスマス共存時に銅の分離を行い得ることを認めたので,これを両金属のEDTA錯イオンのボーラログラフ的挙動の研究結果とともに発表した.
    本報告ではひきつづいて行っているEDTAを用いる電解分析の研究のうち,アンチモン共存時およびヒ素共存時における銅の定量法を検討した結果について述べる.
    アンチモンとEDTAの錯化合物については,そのポーラログラフ的挙動が述べられているほかはあまり調べられていない.V価のアンチモンはEDTAと安定な錯イオンをつくらないで,すぐに沈殿する.本実験ではEDTAと錯イオンをつくると考えられるアンチモン(III)の共存が銅の電解定量にあたえる影響について研究した.
    EDTA溶液におけるヒ素の挙動については研究報告がない.本実験では,ヒ素(III)の共存が銅の電解定量にあたえる影響について調べ,その妨害除去の方法について検討した.
  • 横須賀 繁, 白川 彰一
    1958 年 7 巻 6 号 p. 363-368
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    微量の硫酸バリウムの比濁定量を行うにあたり,エタノール+プロピレングリコールを溶媒として選び,その最適濃度を決定し,塩化バリウム濃度,酸濃度,混合方法,共存塩類,および共存不純物の影響などについて検討を行いそれぞれの最適条件を定めた.また主成分であるセレンの分離には臭化水素酸を用い,全セレンを臭化物として完全に分離した.この際硝酸ナトリウムの一定過剰量を共存させて硫酸塩の損失を防止するなどの対策を行った.これらを総合して精製セレン中の0.0005%までの硫黄を±4%程度の精度で定量した.操作所要時間は約8時間である.本法は吸光度測定であるために,比濁のために特殊の装置を必要とせず工業分析に利用できるものと考える.本法の特徴は,吸光度測定法では困難とされた微量硫酸バリウムの比濁定量を精度よくおこなうための特別の条件を吟味決定したところにあると考える.なお本法の条件をnephelometricな方法に応用した結果についても併記したが,この方法によれば0.00001%程度以上の硫黄を広い範囲にわたって定量することができる.
  • 横須賀 繁, 白川 彰一
    1958 年 7 巻 6 号 p. 368-372
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    試料中の全硫黄を硫酸塩としたのち,ヨー化水素酸+ギ酸+赤リンの還元剤を用いて硫化水素としてとり出し,酢酸亜鉛溶液に吸収させ,塩化鉄の存在でパラアミノジメチルアニリンと反応させて生成したメチレンブルーの吸光度を測定する方法で微量の硫黄を定量した.
    ここに定めた条件のもとでは硫酸塩→硫化水素の反応における銅,亜鉛,コバルト,鉄,アルミニウム,ヒ素,アンチモン,ビスマス,スズ,鉛,マンガンなどの共存の影響はない.硫化水素→メチレンブルーの反応における各種要因中,酸濃度の影響は特異的でかつ大きく,吸収曲線の形に大きな変化をあたえる.この方法をニッケル地金に応用して0.0001%までの硫黄を±3%程度の精度で迅速(所要時間は約6時間)に定量した.
  • 若松 茂雄
    1958 年 7 巻 6 号 p. 372-376
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    高合金鋼試料を王水あるいは適当な酸で分解したのち,溶液を蒸溜フラスコに入れ硫酸およびリン酸を加え,加熱,蒸発して硫酸白煙を発生するにいたらせ,試料の分解に使用した酸を駆除する.つぎに蒸溜装置を連結し蒸溜フラスコにメチルアルコールを加え加熱してホウ素をホウ酸メチルとして蒸溜する.蒸溜液をアルカリ性とし80~90℃で加熱し蒸発乾固したのち,硫酸およびカーミン溶液を加えて70±5℃で加熱しホウ素を呈色させ,吸光光度法によってホウ素を定量する.
  • リン酸の定量分析(第8報)
    石橋 雅義, 田伏 正之
    1958 年 7 巻 6 号 p. 376-380
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    PO43-をZnNH4PO4として沈殿させ,沈殿中のZnをEDTA溶液で滴定しリン酸を定量する方法について検討した.
    ZnNH4PO4はMgNH4PO4と異なり,pH10のNH4Cl-NH4OH緩衝溶液に可溶であり逆滴定の必要がない.Mgの滴定では共存するPO43-が終点を不明確にするが,Znの場合には明瞭な終点が得られる.またZnNH4PO4重量法,ZnNH4PO4-(COOH)2-KMnO4定量法に比較して,操作簡便で所要時間も少い.
    リン鉱石試料中のリン酸をリンモリブデン酸アンモニウムとして分離したのち,本法により誤差0.2~0.3%で定量し得た.
  • 神尾 英雄
    1958 年 7 巻 6 号 p. 381-382
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 向山 朝之
    1958 年 7 巻 6 号 p. 382-385
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    過マンガン酸カリウム溶液の標定は,基準物質としてシュウ酸ナトリウムを用い,McBrideの指針によって行う方法が最近まで常法とされてきた.しかしだいぶまえから,この方法で標定した濃度は重クロム酸カリウム(硫酸第一鉄溶液を用いる間接法),純鉄あるいは亜ヒ酸などを基準物質として標定した濃度よりも0.1~0.4%ほど高い値を示すことが指摘されている.
    Fowler-Brightは,標定時の酸度,液温,滴定の速さおよびかきまぜかたなどの諸条件を詳細に検討した結果,シュウ酸ナトリウムを用いる従来の標定方法とはかなりことなる方法を提案した。かれらの方法は,他種の基準物質を使用した場合の値とよく一致する結果をあたえる良法とされ,最近では外国の著書や米国の諸規格などにも次第に多く採用されるようになっている.
    またBrightは亜ヒ酸を用いるLangの方法をFowler-Bright法と精密に比較した結果,信頼できる方法であると発表した.Kolthoffも亜ヒ酸法を推せんし,またシュウ酸ナトリウム法のなかではFowlerらの方法がよいことを認めた.
    これらの研究は,いずれもバカリビュレットを用い,主として電位滴定法で,0.1N過マンガン酸カリウム溶液について厳密に行った実験結果の発表である.
    著者は実用的の見地から,0.1N溶液だけでなく,しばしば用いられる0.05Nおよび0.2Nの3種濃度の過マンガン酸カリウム溶液について,一般の分析実験,すなわち50ml容量ビュレットを用い,終点を液色によって判定する実験で,シュウ酸ナトリウムを用いるMcBride法,現行JIS法,Fowler-Brlght法および亜ヒ酸を用いるLang-Bright法の4種の標定方法の間に,差があるかどうかを検討してみたので,これを各指針の操作に関する比較所見とともに報告する.
  • 綿抜 邦彦
    1958 年 7 巻 6 号 p. 385-386
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    強酸型陽イオン交換樹脂は,塩形では安定であるが水素形では不安定であることが指摘されている.筆者はフィールドにおける硫酸イオンの定量に陽イオン交換樹脂を応用した際,水素形樹脂の分解によって硫酸イオンが溶出し大きな誤差をあたえることを認めた.
  • 石橋 雅義, 藤永 太一郎
    1958 年 7 巻 6 号 p. 386
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 塚野 豊
    1958 年 7 巻 6 号 p. 387-393
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 1958 年 7 巻 6 号 p. 393
    発行日: 1958年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 加藤 多喜雄
    1958 年 7 巻 6 号 p. 394-397
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    沈澱をこしやすい大きい粒子にする操作に関しては,すでに述べたところである.しかし得られた沈澱については,こんどは完全に能率よくこすことを考えなければならない.
    濾過の方式の一つは濾紙によるものであり,その二は濾過るつぼ,その三はメンブランである.それぞれ要求に応じた発展をみている.以下その用法にふれてみよう.
  • 向山 朝之
    1958 年 7 巻 6 号 p. 402-408
    発行日: 1958/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    過マンガン酸カリウム滴定法は古くからおこなわれ,ひろく利用されている容量分析法であるから,この標準溶液の標定法についてはすでに最も信頼しうる方法が確立されたものと考えられ,“シュウ酸ナトリウムの硫酸性熱溶液をはげしくかきまぜながら,これを徐徐に滴定し60℃以上で終点をさだめる”という指針は最近まで分析化学の常法とされてきた.ところが終戦後輸入された書物には従来法とは大分ことなった“27℃附近のシュウ酸ナトリウムの硫酸溶液に,所要量の90~95%に相当する過マンガン酸カリウム溶液を急速にくわえ,ついで55~60℃に温めてから徐徐に滴定を継続して終点をもとめる”という指針がしだいに多く採用され,Treadwell-Hallの分析化学書9版や米国の諸規格などにも採用されるようになった.この指針をはじめ,他の基準物質にたいしても,過マンガン酸カリウム溶液の標定方法に関しては,詳細な追試検討がすでに大分以前からおこなわれており,特別目新しい問題とはいえないが,な書こぶん基本的な問題であるから,これらに関する従来の研究者の所論などを簡単にまとめてみることにした.
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