分析化学
Print ISSN : 0525-1931
21 巻, 7 号
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  • 石塚 紀夫, 砂原 広志, 田中 一彦
    1972 年21 巻7 号 p. 847-852
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    酸化イットリウムおよび硫化酸化イットリウム中の銅,鉄,鉛,亜鉛の定量をピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム(APDC)-メチルイソブチルケトン(MIBK)による抽出後,原子吸光分析法で行なった.各金属の抽出に最適なpHは3~4である.濃縮効果を考え,金属イオン溶液量対MIBK容量比は2:1で行なったが,その際,銅,鉛は98%以上が抽出される.鉄は85%,亜鉛は80%しか抽出されないが,抽出の再現性は鉄±4%以内,亜鉛士3%以内である.多量のイットリウムが共存しても各金属の抽出になんら影響しない.実際試料は王水に溶解後,pHを3に調製してAPDC-MIBK抽出を行ない分析した.その結果,いずれの金属もppmオーダー存在し,精度は銅2.7~5.3%,鉄3.3~14.2%,鉛4.0~11.1%,亜鉛0.7~12.3%である.
  • サンプリング点数の極小化に関する研究(第1報)
    岸本 賢一, 宮内 博, 武者 宗一郎
    1972 年21 巻7 号 p. 852-856
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフから,デジタルコンピューターにデータを収集する際のサンプリング点数を極小にするための新しいサンプリングアルゴリズムを提出した.
    サンプリング点数は式 (1) に従って連続的に変化するサンプリング時間間隔(以下サンプリング間隔という)を用いれば最小になるが,実用的な見地から式 (2) による簡便法について検討した.また,サンプリング間隔を変更する時間(t2, t3)の選び方,およびその場合のサンプリング点の減少率(Ns/Nc)について検討した.
    実例としてアルコールの混合試料について三つの異なったサンプリング方法(全サンプリング点数が最小になるよう変更する,ピークあたりのサンプリング点数が最小になるよう変更する,一定のサンプリング間隔)による結果が示され,式 (2) によるサンプリングアルゴリズムの正当さを裏づけた.
  • 加藤 春美, 上村 信夫, 河合 聡, 大野 武男
    1972 年21 巻7 号 p. 856-860
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    β-サリチリデンアミノ-エタノールは亜鉛と励起極大波長375mμ,けい光極大波長440mμのけい光性錯体を形成する.溶媒には90%N,N-ジメチルホルムアミドを用い,緩衝液としてはpH5.6の0.2M酢酸-酢酸ナトリウム溶液を選んだ.検量線は0.1μmol以下の亜鉛に対して直線を示す.本法は鉄,ニッケル,銅,クロム,スズ,アルミニウム,ガリウム,ベリリウムおよびリン酸の共存によって妨害され,これらはあらかじめ分離しておく必要がある.
  • 特にから試験について
    井沢 君江, 青柳 寿夫, 吉田 善行, 高橋 正雄
    1972 年21 巻7 号 p. 860-867
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ナトリウム中の酸素のアマルガム分離-滴定法についてから試験を主に検討を行なった.操作条件をできるだけ一定にして行なったから試験値を標準とし,これと条件を一つだけ変えて行なったから試験値を比較しながらグローブボックスふんい気,反応容器,水銀,試料採取管などに基因するから試験値を調べた.その結果,常法のから試験値は7~10μgでそのうち4~5μgはアマルガム反応容器の内表面から,1~3μgは全操作を通してのナトリウムの汚染であることがわかった.他方グローブボックスのふんい気の純度や水銀の精製法のから試験値に対する影響はそれほど問題にはならなかった.また外そう法により得られたから試験値とナトリウム酸化物を含まないアマルガムを用いて得られたから試験値とはほとんど一致した.
  • 混合固定相によるガスクロマトグラフィーに関する研究(第12報)
    三戸岡 憑之
    1972 年21 巻7 号 p. 867-877
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    相互溶解性のよい極性の異なった2種類の液相を均一に混合したのち,これを担体に含浸させる固定相液混合法ガスクロマトグラフィーと,単一液相を含浸させて調製した2種類の充てん剤を混合する充てん剤混合法ガスクロマトグラフィーを,種々の液相と溶質を用いて比較検討した.その結果,極性の低い二つの液相の組み合わせでは両法に顕著な差は認められず同様に取り扱いうるが,二つの液相の極性が高くなるにしたがって特に固定相液混合法における有極性溶質の保持値が充てん剤混合法におけるよりも低くなる傾向が認められ,これは二つの高極性液相を均一に混合することによって生じた液相分子間相互作用が溶質保持を減少させる方向に働くためと考えられた.カラム効率やテーリング防止効果については両法とも同様の傾向を示した.また,スクアラン/テトラクロルフタル酸ジ-n-プロピル(DPTCP)混合系を用いて芳香族炭化水素-DPTCP分子化合物の安定度定数を測定したが,この場合も充てん剤混合法と固定相液混合法とは同様に取り扱うことができた.
  • 海水,河川水中の微量有害物質の原子吸光定量法(第2報)
    応和 尚, 日色 和夫, 田中 孝
    1972 年21 巻7 号 p. 878-883
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    海水中のppbオーダーのカドミウムの原子吸光定量法を確立した.海水中の微量カドミウムを濃縮するため,第1段階には共沈濃縮法を,第2段階には溶媒抽出法を採用した.海水試料2lに塩化ストロンチウムと炭酸アンモニウムを加えてカドミウムを炭酸ストロンチウムとともに共沈させたのち,沈殿を炉別洗浄後,塩酸に溶かし,pHを7に調節してジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(DDTC)を加えメチルイソブチルケトン(MIBK)で抽出し,有機相の原子吸光測定を行なう.
    マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウムの炭酸塩でカドミウムの共沈を検討し,カドミウムの共沈濃縮には炭酸ストロンチウムが最適であり,溶液量100mlに対し100mgのストロンチウム量で,その回収率はほぼ100%であった.カドミウムの原子吸光定量に対し,ストロンチウムの妨害は最も小さい.炭酸アンモニウムの使用量としては,溶液100mlにつき20%溶液5mlを採用した.炭酸ストロンチウムの沈殿の洗浄法は温水で3回がよく,沈殿の溶解法は,濾紙をビーカー内壁に広げ希塩酸で沈殿を洗い落とし,濃塩酸で溶解する方法が最良である.
    沈殿を溶解した塩酸溶液,およびこの溶液からDDTCとMIBKで抽出した有機相について検量線を作成したところ,最初の溶液量2l中のカドミウム濃度それぞれ10~100ppb,および1~10ppbの範囲内で直線の検量線が得られた.後者の場合の感度は,吸光率1%あたりの濃度として0.1ppbである.大量の塩化ナトリウムの存在は検量線作成に影響を与えない.
    炭酸ストロンチウムの沈殿を塩酸に溶解させ,アンモニア水で中和するとき,pH 8以上になると白沈が生成する.この沈殿生成は緩衝溶液を用いてpHを7に調節することによって防止できる.
    本法で模擬海水中の0.5~8.0ppbのカドミウムを定量し,回収率はほぼ100%であった.また瀬戸内海と日本海の海水実試料中のカドミウムを定量し,約0.1~10ppbの値を得た.本法によって大量の海水試料中の微量カドミウムを効果的に短時間内に濃縮し,高感度で定量することができる.
  • 木原 壮林, 本島 健次, 藤永 太一郎
    1972 年21 巻7 号 p. 883-890
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    繊維状炭素を陰極とする二段階フロークーロメトリーを用いて迅速な金属イオンの捕集,分離,定量法について検討した.0. 5M過塩素酸支持電解質溶液を二段階フロークーロメトリー用カラム電極中に流し,第1段(E-I)および第2段(E-II)カラム電極の陰極をじゅうぶん負の電位に保って10-7mol程度の数種の金属イオンを注入し,E-Iの入口付近に電着させる.ついでE-Iをより正の適当な電位に変えて金属イオンを分離溶出させる.溶出した金属イオンはE-IIにはいり,ここでふたたび電着する.このとき流れる電気量によって金属イオンを定量する.検討の結果,速い酸化還元反応を行なう2種の金属の分離は酸化還元電位に20mV以上の差があればじゅうぶんであり,酸化還元電位の差のないものでも電子移動速度に差があれば分離の可能性のあることがわかった.また,本法によって10-3Mのウラン濃度の溶液10l中に含まれる2×10-7molのカドミウム,鉛,銅を濃縮,定量できた.
  • 農薬および関連化合物の分析に関する研究(第19報)
    村野 敦, 藤原 聖, 小坂 憲範
    1972 年21 巻7 号 p. 890-897
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフ法により,光学活性アレスリンおよびフタルスリンを分析することを試みた.水素炎イオン化型検出器を装着した装置で,LAC-2R-446あるいはDEGSを分離液相として,内標準法で全含量を求め,次に,これらの殺虫剤を加水分解して生ずる第一菊酸をl-メントールでエステル化してジアステレオマー誘導体とし,QF-1のカラムで,d-トランス型,l-トランス型およびシス型(d+l)を分離して,ピーク面積から各異性体の割合を求めた.第一菊酸の光学異性体の分離については,すでに報告したが,各ピークの分離が不完全であり,特にl-トランス型やシス型の含有量の多い試料では,ピーク面積を正確に求めることができなかったが,液相の含浸率を上げてカラムを長くすることによって各ピークはほとんど完全に分離でき,カラムにホウ酸ナトリウムを添加すると分離はさらによくなった.
  • 山崎 美紗子, 森 逸男, 榎 健寿
    1972 年21 巻7 号 p. 897-901
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ガレインは第4級アンモニウム塩の塩化セチルピリジニウム(CPC)の共存下に,鉄(III)と水溶性の青藍色錯体を弱酸性域で生成する.したがって0~28μgの鉄(III)の溶液に2.0×10-2MCPC液1.5ml,酢酸-酢酸アンモニウム液(pH4.2) 3.0ml, 2.0×10-3Mガレイン液10mlを加え,ついで水を加えて全量を10.0mlとして45℃で約10分加温後,10分静置し,水を対照にガレイン2:鉄(III) 1: CPC 1の錯体の吸光度を700mμで求め,鉄(III)濃度を定量する.
  • 小野 弘文, 星野 清, 伊原 卓
    1972 年21 巻7 号 p. 901-907
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    チタン中の酸素を簡便,迅速かつ高精度で定量する方法として,鉄-スズ浴を用いたアルゴン送気融解電量滴定法について,分析条件,分析時間などにつき検討した.本法において適切な量および組成の金属浴で満たしたるつぼを,試料の分析ごとに交換するという手法を用いることは,ガス抽出を完全にするうえで効果的であった.このためには,従来のものよりも小型のるつぼおよび内容積の小さな黒鉛抵抗炉を用いた.従来の高周波加熱炉を用いて試料を連続的に投入していく方式ならびに上記黒鉛抵抗炉を用いて毎回分析ごとにるつぼを取り替える方式とで,それぞれの方式における試料からのガス抽出効果につき比較を試みたところ,前者においては,第1番めの試料についてはほぼ満足できる分析値が得られるが,第2番め以降は,しだいにガス抽出が困難となり分析値の大幅な低下が認められたのに対し,後者の方法によれば常にほぼ完全なガス抽出と良好な再現性が得られた.炉内における試料の融解条件につき調べた結果,次の点が明らかとなった.すなわち試料0.2gに対し金属浴として鉄のみを使用する場合には分析値は大幅にばらつくが,1.5g以上の鉄および0.7gのスズを使用すれば,分析精度は大幅に改善される.また融解温度は1900℃以上必要である.しかし融解時間については注意を要し,浴の固化を避けるために10分以内におさえる必要がある.本法による分析結果は,真空融解-白金浴法の値と良好な一致を示し,1試料あたりの分析所要時間はるつぼの脱ガスを含め10分で足り,精度は変動係数で2~4%であった.本法は日常分析法として適した方法であるといえる.
  • エレクトロセラミックスおよびその材料の分析に関する研究(第1報)
    村田 充弘, 北尾 彰曠
    1972 年21 巻7 号 p. 907-911
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    チタン酸鉛の迅速分析法として,キシレノールオレンジを指示薬とする鉛標準溶液による逆滴定法を検討した.チタン(IV)のマスキングに,フッ化アンモニウム-ホウ酸が有効であることを見いだし,分離操作を必要としない分析法を確立した.
    すなわち,試料溶液に既知量の0.02M EDTA溶液を加え,pH5.0で過剰EDTAを0.01M 鉛標準溶液で逆滴定して鉛,チタン合量を定量する.別に,フッ化アンモニウム-ホウ酸によりチタン(IV) をマスクし,同様に滴定して鉛を定量する.両定量結果から鉛,チタン量が求められる.本法による定量値の変動係数(C. V. %)は,チタン,鉛に対してそれぞれ0.37, 0.23%である.
    チタン酸鉛,チタン酸バリウム,チタン酸バリウム鉛固溶体の分析に本法を適用し,好結果を得た.
  • イオン電極に関する研究(第1報)
    小宮 弘隆
    1972 年21 巻7 号 p. 911-916
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    臭素イオン電極を用いてチオシアン酸カリウム溶液の起電力を測定することにより,直接その濃度を求めることを試みた.電極電位の再現性,応答速度,pH特性,共存イオンの影響などの検討により,10-1~10-6Mの範囲のチオシアン酸イオンが測定できることを知った.10-1~10-5Mの範囲で検量線は約50mVの電位こう配の直線である.10-5M以下では検量線は曲がり,10-6Mが検出限界である.pHは2.0~11.0の範囲では影響はない.フッ素,硝酸,硫酸,炭酸イオンの共存はほとんど妨害とならないが,多量の塩素イオンは妨害する.フェリシアン,フェロシアンイオンなどの錯イオンにもわずかに応答するので妨害となろう.
    また,この電極はチオシアン酸イオンの滴定終点検出に用いることができ,そのときの標準偏差は±0.5%であった.硝酸銀,硝酸第二水銀による両方の滴定において,通常のS字形の滴定曲線が得られた.金属銀電極をも終点検出に用いて比較したが,第二水銀イオンによる滴定のときだけ滴定曲線に差がみられた.
  • 佐々木 慎一, 落合 周吉, 広田 勇二, 工藤 喜弘
    1972 年21 巻7 号 p. 916-919
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    パラフィン類の構造同定を13C NMRと電子計算機を用いて行なった.演算システムは分子式から異性体の構造組み立て,各構造の化学シフト予測という流れで進行し最後に予測値と実測値が照合され一定の誤差範囲内にあるものを正解として採用する.この結果少なくともC9までのパラフィン類は13C NMRと分子式を入力するだけでほとんどすべて同定できることがわかった.
  • 蟻川 芳子, 小沢 竹二郎, 岩崎 岩次
    1972 年21 巻7 号 p. 920-924
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    スズ-強リン酸を加えて加熱融解することにより,岩石中のイオウを硫化水素として分離したのち,チオシアン酸水銀法により,火成岩中の全イオウを定量する方法を検討した.粉末にした試料に,スズ-強リン酸を加えて二酸化炭素気流中で280℃に加熱し,発生した硫化水素を硫酸亜鉛溶液に吸収させ,生成した硫化亜鉛の沈殿に,チオシアン酸水銀メチルアルコール溶液と硝酸鉄-過塩素酸溶液を加えて発色させ,吸光度を波長460nmで測定する.硫酸塩または硫化物としてのイオウを加えて添加実験を行なった結果,良好な回収率を得た.本法によれば,岩石試料0.1~0.3gを用い,定量下限は0.001%,含有量0.02%のとき相対誤差士5%以内で,迅速かつ簡単に定量できる.標準岩石試料W-1, G-1中のイオウの定量を試みたところ, W-1 (0.012%), G-1 (0.004%)の結果を得た.
  • 黒羽 敏明, 渋谷 晟二
    1972 年21 巻7 号 p. 925-929
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    クリスタルバイオレットを用いる銅中の微量水銀の抽出吸光光度定量法を検討した.
    EDTAを含む銅のアルカリ溶液からジエチルジチオカルバミン酸-トルエン抽出により水銀を分離したのち,ヨウ化カリウム,臭素酸カリウムおよび臭化カリウムを含む硝酸(0.7N)溶液で水銀を逆抽出し,ついでクリスタルバイオレットを加えトルエンで水銀を抽出し光度定量することにより銅中の水銀の定量ができた.
    本法を妨害する元素として銀と金があるが,銀はジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの添加量を増すことで,金はジエチルジチオカルバミン酸錯塩としてトルエンで抽出したのち,0.5Nの硝酸溶液で洗浄することにより水銀の損失を招くことなく金を除去することができた.
    銅2gを採取すれば0.25ppmまでの水銀の定量が可能である.
  • N,N-dimethylformamide 中におけるクロム(VI)のEDTA による定量およびその錯体について
    吉村 長蔵, 田村 邦彦
    1972 年21 巻7 号 p. 929-935
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    N,N-dimethylformamide (DMF)中において,クロム(VI)が安定であることを見いだしたため,クロム(VI)のカルボン酸類およびアミノポリカルボン酸類による定量を光度法および電導度法により検討した.クロム(VI)の塩としては,クロム酸,重クロム酸のカリウムおよびアンモニウム塩,無水クロム酸を用いた.クロム(VI)のDMF溶液一定量に対してEDTAのDMF溶液を加え,60~80℃で数分間加温すると,溶液は黄色より紫色となる.この溶液の可視吸収スペクトルを測定した結果564mμと385mμに極大吸収を得たため,モル比法により反応比を求めたところ,クロム(VI):EDTA=1:1に変曲点を得た.また,この溶液の電導度測定を行なった結果も同様の反応比を得た.その他のカルボン酸類についても同様に行ない,光度法,電導度法ともに,クロム(VI): NTA=1:1,2:3,マレイン酸=1:1,1:2,マロン酸=1:1,酒石酸=1:1,フタル酸=1:1,などの反応比を得て定量ができた.また,DMF溶媒中,銀およびタリウム(1)がクロム(VI)と沈殿反応を行なうことを見いだし,銀およびタリウムのEDTAによる間接定量を試み,銀およびタリウムに対して過剰のクロム(VI)を添加し,この過剰のクロム(VI)をEDTAによる光度定量を行なうことにより,銀およびタリウムの間接定量が可能となった.
  • 高橋 正雄, 大内 操
    1972 年21 巻7 号 p. 936-938
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A vacuum distillation method is described for the determination of oxygen in sodium. Water absorbed on inner surface of distillation vessel causes high blank values. In order to remove the water, about 1g of sodium in a nickel crucible is distilled prior to the analysis of actual sample. After the empty nickel crucible is removed from the distillation vessel in an inert atmosphere glove box, a stainless steel crucible containing 35g of sodium sample is placed in the vessel and the vessel is taken out of the glove box.
    Following the evacuation of the vessel, the crucible is heated at 350°C under vacuum. When the distillation is complete and the vessel has cooled, argon is allowed to enter into the vessel in the glove box, and the crucible is removed through a glass tube to avoid sodium contamination. Residue in the crucible is dissolved in water and titrated with 0.001N sulfuric acid. From the amount of alkali in the residue, the corresponding oxygen can be determined. The results are in good agreement with those obtained by the amalgamation method.
  • 山本 大二郎, 上田 隆
    1972 年21 巻7 号 p. 938-940
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A small amount of arsenic has been determined colorimetrically by using silver diethyldithiocarbamate in pyridine (Ag-DDTC method). On the other hand, H. Bode reported that a similar reaction also occured in Ag-DDTC chloroform solution by an addition of several solid organic bases such as ephedrine. Recently, S. Nakao et al. obtained a good result by an addition of dimethylformamide.
    In this paper, 24 kinds of liquid organic bases were examined. This method based on the fact that AsH3 reacts with Ag-DDTC in chloroform containing the bases, and the light absorption and the calibration curve of colored products were examined.
    The amount of Ag-DDTC and of organic bases in the samples were 1.03×10-4 mole and 3×10-2 mole in 10ml of chloroform solution, respectively. However, in the case of triethylamine, 0.26×10-4 mole of Ag-DDTC in 10ml of chloroform was enough for this purpose. It was concluded from the results that the bases which give an absorption in the visible region to the solution are triethylamine, 2, 4-lutidine, 2, 6-lutidine, α-picoline, β-picoline and γ-picoline. The calibration curves obeyed Beer's law in the concentration range from 1 to 25ppm.
    Among these bases, triethylamine gave the best results, namely, in the case of triethylamine, the amount of Ag-DDTC necessary was quarter of other cases. Therefore the authors concluded that triethylamine, which has less offensive smell and is cheaper than pyridine, can be used for the determination of arsenic with Ag-DDTC instead of pyridine.
  • 梶浦 輝夫, 志野 英雄, 村石 修一
    1972 年21 巻7 号 p. 940-942
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A study was made on the sample press technique for laser Raman spectroscopy. Although Raman scattering can of course be observed using a powder sample, a pellet sample can provide Raman spectra with a better S/N ratio. An observation of Raman spectra of L-cystine pellet using back illumination showed that the Raman intensity was scarcely affected by the change in pellet thickness. Therefore, it has become clear that the pellet thickness should be made as small as possible in order to reduce the sample amount. A test was conducted on newly devised pellet making technique which would require the smallest possible sample amount. One method is to put sample powder on potassium bromide powder and to press them into a pellet. Another is to make a pellet out of potassium bromide only, drill a small hole in it, put the sample powder into the hole, and again press the pellet. The sample quantity required by the latter method is 0.51.0 mg. The pellets produced by this method provide Raman spectra with a good S/N ratio.
  • 中谷 光雄, 阪上 正信
    1972 年21 巻7 号 p. 942-944
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    It was proposed that a sharp and effective electrophoretic separation of metal ions can be made by applying complex forming agents in a narrow band on the supporting medium (“Cellogel”) moistened uniformly with the background electrolyte (0.1M NaClO4). As an example, the mixture of 90Sr-90Y in a radioactive equilibrium was tested by using 0.1M EDTA (pH=3 or 9) as a complexing agent. The Yttrium ion migrating to the cathod reversed its way to the anode after encountering with the front of EDTA band and the radioactive band of yttrium was detected more sharply than the case when no complexing agent was applied. Furthermore, the mobility of Y-EDTA complex was found to be less than that of free EDTA. This method may be applied to separate several metal ions in groups by applying various kinds of complex-forming agents at one time.
  • 不破 敬一郎, 原口 紘〓, 岡本 研作, 永田 忠博
    1972 年21 巻7 号 p. 945-946
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2010/02/15
    ジャーナル フリー
    Molecular absorption spectrum of PO was observed for the first time in the flame using the usual type of atomic absorption spectrophotometer and the continuous H2 lamp as the source, when 1M aqueous solution of H3PO4 was aspirated into air-acetylene flame. This absorption spectrum shows γ system of PO near 2300Å, 2380Å, 2460Å and 2500Å, but the absorptions near 2595Å, and α and β systems, which was reported by emission spectrometry, were not observed. As the absorption band near 2460Å gives the largest absorbance of four bands, the line at 2460Å can be used for the determination of phosphorus. The absorption spectrum of PO gives the considerably high background, which may be due to the absorptions of P2O5 and other phosphorous compounds. Moreover, the interferences by some cations such as Na, K and Ca were observed, whereas there was no enhancement of absorption by addition of iso-propylalcohol, which was observed in flame emission. Detection limit was 2mg P/ml at 2460Å.
  • 有機編
    山根 靖弘
    1972 年21 巻7 号 p. 947-956
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    有機化合物は無機化合物に比べ,その数が非常に多く,それぞれ個々の化合物について分析法を述べることは困難である.したがって,一般有機化合物を取り上げ,アルコール類,ケトン類,アミン類などと官能基別に大別して,けい光分析の最近の進歩をたどってみた.また,生体成分としてアミノ酸,ビタミンなどがあるが,これらの有機物質は薬学,医学,農学,生物学などの領域でけい光分析法によって盛んに分析されているので,この点にも重点をおいた.なお,紙面のつごうによって,医薬品,環境汚染物質および酵素活性測定法におけるけい光分析は省略させていただいたので,ご了承いただきたい.
  • <第4回>光化学スモッグ
    光沢 舜朋
    1972 年21 巻7 号 p. 957-977
    発行日: 1972/07/05
    公開日: 2009/06/30
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