分析化学
Print ISSN : 0525-1931
46 巻, 4 号
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  • 田尾 博明
    1997 年 46 巻 4 号 p. 239-263
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    誘導結合プラズマ質量分析法と各種の分離法(液体クロマトグラフィー,ガスクロマトグラフィー,超臨界流体クロマトグラフィー,キャピラリー電気泳動法)をオンラインで結合することにより,微量元素の化学種別分析を行う方法について,最近の進展と将来への展望を論じる.又,環境試料や生物試料中の有機金属化合物の抽出法や誘導体化法についても概説する.
  • 森重 清利, 岡部 道明, 西川 泰治
    1997 年 46 巻 4 号 p. 265-270
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    佐賀県東松浦郡肥前町産の木村石[CaY2(CO3)4・6H2O]は紫外線照射により赤紅色の蛍光を発する.この発光は鉱物中に含まれるEu(III), Tb(III), Gd(III)及びDy(III)イオンの輝線スペクトルに起因することを明らかにした.これら発光性希土類金属(III)化合物の蛍光スペクトルの帰属とその分光特性を詳細に検討した結果,木村石の蛍光スペク.トルはそれぞれEu(III):Ex.395(7F65Le)/Em.615nm(5D07F2);Tb(III):Ex.380(7F65D3)/Em.545nm(5D47F5);Gd(III):Ex.275(8S7/26D3/2)/Em.312nm(6P7/28S7/2);Dy(III):Ex.352/Em.575 nm(4F9/26H13/2);の4f電子の許容遷移に基づく発光であることを明らかにした.
  • 並木 博, 上田 浩太郎, 長島 珍男, 釜谷 美則
    1997 年 46 巻 4 号 p. 271-274
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    試料液をpH 10~11及びEDTA 0.01Mとなるように調整した後,銅・亜鉛カラムに通し(2ml/min),硝酸イオンをアンモニアまで還元した.生成したアンモニアはインドフェノール青吸光光度法により定量した。本法は,試料中にEDTAを共存させることにより,カラム内通過時における調整試料液中の亜鉛イオンを減少させ,カラムによるアンモニアまでの還元を完全としている.EDTAの濃度が高くなるとインドフェノール青の発色に負の影響が見られたが,0.01Mの共存では,1~10mgN/lの濃度範囲で硝酸イオン還元による検量線とアンモニウム塩による検量線は1%以内で一致した.硝酸イオン(2.0 mgN/l)の測定値の標準偏差パーセントは0.91%であった.又,ペルオキソ二硫酸カリウム酸化法を用いて,実海水中の全窒素を硝酸イオンに変換後,本法により測定し,海水中の共存物質の影響のないことが分かった.
  • 張 経華, 大久保 明, 山崎 素直
    1997 年 46 巻 4 号 p. 275-279
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    キャピラリー電気泳動を用いて,簡便・迅速な植物中のベタインの分析法を開発した。まず,ベタインをフェナシルエステル化し,反応液をそのままキャピラリー電気泳動に導入した。pH3付近の低pH領域で泳動することにより,6種のベタインエステルの良好な分離ができたばかりでなく,未反応の試薬とも分離できた。又,反応液を前処理することなく直接キャピラリーに導入できるので,操作が簡便になった。6種のベタインエステルは214あるいは262nmで感度よく測定できた。グリシンベタインでは,0.050~5.0mMの範囲で良好な直線性を示した。5回の繰り返し測定の相対標準偏差は,泳動時間に対して0.61%,ピーク面積に対して4.13%であった。リジン以外の19種類のアミノ酸は妨害しない。この方法を用いて中国塩類土壌地帯で採取した植物試料中のグリシンベタインを分析し,簡便・迅速なベタインの定量法として有効であった。
  • 松崎 浩司, 能美 政男, 佐田 俊勝
    1997 年 46 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    チタン炭化物でコーティングしたパイロ黒鉛チューブを用いるバナジウムのAASによる定量法について検討した.マトリックス修飾剤としては,硝酸ニッケル,硝酸ストロンチウム及びホウ酸の混合物が最適であり,それらをそれぞれ0.01Mとなるよう試料溶液に添加した.この方法でのバナジウムの検出限界は1.4μgl-1であり,バナジウム0.4mg l-1の場合の相対標準偏差は3.2%であった.共存金属塩の干渉は,硝酸塩や塩化物ではそれらが0.01M以下であれば認められなかった.硫酸塩はやや負の干渉を示したが,(NH4)4EDTAの添加により抑制できた.確立した方法をニッケル合金及びアルミニウム中の微量バナジウムの直接定量に応用したところ,良好な結果が得られた.
  • 石山 高, 広門 孝雄, 田中 龍彦
    1997 年 46 巻 4 号 p. 287-291
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    カソーディックストリッピングボルタンメトリーにおける前電解と溶出過程の電解液を換えることにより,ミリグラム鋼試料中のμgg-1レベルの硫黄を定量することができる簡便な高感度分析方法を開発した.酸分解した試料溶液中の硫酸イオンをヨウ化水素酸-ホスフィン酸混液で還元し,発生した硫化水素を0.2M水酸化ナトリウム溶液(4 ml)に吸収した後,-0.4 Vvs. SCEで30分間前電解し,約70%の硫化物を回転銀ディスク電極上に硫化銀として電着した.溶出は,2M水酸化ナトリウム溶液中,50mV s-1の速度で-1.5 Vvs. SCEまで電位を走査し,示差パルス法により電流-電位曲線を記録した.検量線は2.5~40ng ml-1の範囲で原点を通る直線となり,10ng ml-1でのRSD(n=5)は2.9%であった.支持電解質溶液変換法を採用した本法は,単一のピークが得られるため,複数個発生するピーク高さの和から硫黄を定量する既報の方法よりも感度,精確さが優れ,検出限界は0.25ng ml-1,分析所要時間は約2,5時間であった.
  • 後藤 正志, 小林 幹男
    1997 年 46 巻 4 号 p. 293-296
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A new method using flow-injection analysis (FIA) with electrochemical detection for determining acetylcholinesterase activity was developed by using micro-enzyme electrode. The micro-enzyme electrode was made by directly cross-linking choline oxidase using glutaraldehyde vapor on a micro-platinum disk (diameter 200 pm). The detection limit of acetylcholinesterase was 0.005 U/ml (S/N=3) and the relative standard deviation of its activity measurement at 0.1 U/ml level was ± 1.6% (n=6). The present method was superior to the conventional methods with respect to the detection limit and precision.
  • 渡辺 邦洋, 成田 聡, 板垣 昌幸
    1997 年 46 巻 4 号 p. 297-300
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A continuous extraction method was applied to separating Co(II) and Ni(II). 8-quinolinol (Ox) was used as extraction reagent because it is a well-known chelate reagent. In the present measurement, the Ox concentration in the extraction solvent was 1.0 × 10-4 mol/l and the pH of the aqueous phase containing the metals was 6.0, which was adjusted with an acetate buffer solution. When the Ox reagent concentration was lower than 5.0×10-4 mol/l, Co(II) and Ni(II) formed CoR2·2H2O and NiR2·HR in the aqueous phase, respectively. Since NiR2·HR can be extracted more easily than CoR2·2H2O, the only NiR2·HR is extracted using the above - mentioned conditions with present continuous extraction method. As a result of extraction, Ni(II) was carried into the distillation flask and separated from Co(II) in a single operation.
  • 橋本 佳巳, 千葉 良子, 小林 善美, 森山 弘之, 松本 宜明, 田中 彰, 松本 光雄
    1997 年 46 巻 4 号 p. 301-305
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    An analytical method for the determination of propofol (2, 6-diisopropylphenol) in human serum was investigated by high-performance liquid chromatography using a semimicro bore column and a column-switching technique. The semi-micro bore column {TSKgel ODS-80Ts (2 mm i.d. × 150 mm) } gave a higher peak height (ca. 3.5 folds) compared with that of a conventional column (4.6 mm i.d.). As the result of an examination of some pretreatment columns, higher recoveries of propofol on TSK precolumn BSA-ODS and TSKprecolumn PW were obtained. TSKprecolumn PW was adopted as a pretreatment column, because its less adsorptive ability was considered to be effective in eliminating the hydrophobic compounds in human serum. Under the optimized analytical conditions, the linearity of the calibration curve was obtained over the range of 5300 ng/ml and the detection limit was 1.5 ng/ml (S/N=3). The relative standard deviation against a practical sample was 2.4% (n =6). As a consequence, this method was suggested to be utilized for a highly sensitive quantitative analysis of propofol in human serum of an anesthetized patient.
  • 上蓑 義則, 中根 清, 森川 久, 柘植 明, 石塚 紀夫
    1997 年 46 巻 4 号 p. 307-312
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    サイアロン焼結体中の不純物定量を目的に,テフロン製容器を用いる加圧酸分解条件について検討した.試料を粉砕すると多量の粉砕容器成分が試料中に混入し,定量結果は著しい影響を受けるので行うべきではない.,試料は塊状(約0.15g)のままフッ化水素酸6ml+硝酸4mlで分解する.その際生じた沈殿は母液から分離して,10mlの硫酸(1+4)で加熱分解するとよいことが分かった.母液の希釈は純水で行えばよいが,沈殿の分解液を純水で希釈すると,試料によっては再びフッ化アルミニウム沈殿が生成する場合があり,これを防ぐために希釈液には硫酸(1+9)を用いる必要があった.母液を希釈した測定溶液中に含まれるアルミニウム濃度は全ての試料で150μg/ml以下で,不純物成分の発光強度には影響せず,検量線作成用標準溶液は,酸とケイ素濃度を実試料に一致させて用いればよい.ICP-AESによる不純物18元素の検出限界はほとんどの元素でμg/gレベル以下であり,不純物の精度よい定量が可能であった.
  • 玉利 祐三, 小椋 広道
    1997 年 46 巻 4 号 p. 313-317
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    水素化物発生原子吸光法(HG-AAS)では,一定条件下でセレン(VI)が検出されずセレン(IV)のみが検出されるので,試水中の全セレンを定量するためには,全セレンをセレン(IV)に還元しなければならない。種々の還元剤について検討したところ,低塩酸濃度の溶液では臭化カリウムを用いる還元法が優れており詳細な検討の結果,0.5mol/l塩酸酸性とした1.5%臭化カリウム溶液で60分間煮沸処理することにより,セレン(VI)がセレン(IV)に定量的に還元できることが分かった.本法を日本分析化学会より供給されている河川水標準物質に適用したところ,満足し得る結果が得られた.
  • 船戸 已知雄
    1997 年 46 巻 4 号 p. 319-325
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    (社)日本セラミックス協会化学分析分科会では,窒化アルミニウム微粉末の化学分析方法を確立するため,共同実験を行った。試料溶液の調整には,硫酸による加圧分解法を採用した.窒素の分析には,加圧酸分解/水蒸気蒸留/酸アルカリ滴定法と直接アルカリ分解/水蒸気蒸留/酸アルカリ滴定法を確立し,両方法間に有意差は認められないことを確認した.アルミニウムの分析では,CyDTA-Zn逆滴定法について検討し,従来法より簡便な定量方法を確立することができた.微量成分は,ICP-AESを用いて測定した。検量線溶液作製時,アルミニウムの溶解に用いていた有害な水銀の触媒をコバルトに替えた.又,窒素,炭素及び酸素の分析機器を検討し,問題点を明らかにした.フッ素の分析には,酸化鉄を用いた熱加水分解法を検討し,イオンクロマトグラフィー,吸光光度法の両法の適用を可能にした.
  • 西村 雅之
    1997 年 46 巻 4 号 p. 327-328
    発行日: 1997/04/05
    公開日: 2009/06/30
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