洗剤(陰イオン界面活性剤)の抽出/FIAについて,実用分析の観点から,装置面と試薬面について再検討した.プランジャー型ポンプを用い,従来の三流路系を二流路系とし,試薬溶液流れに試料を注入した.ポンプについて検討したところ,ダブルプランジャー型ポンプ1台で間に合い,三流路法と比較しても,感度的にはほぼ同程度であることが分かった.内径0.5mm,長さ1m以上のポリテトラフルオロエチレン製チューブを抽出コイルとして用いたとき,長さ25mmと約2mmのセグメントにおいてピーク高さはほとんど同じであった.陰イオン界面活性剤の対イオンとなる染料陽イオンについては,メチレンブルー(MB)(抽出溶媒:ο-ジクロロベンゼン)と1-メチル-4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)ピリジニウムイオン(MEP)(抽出溶媒:クロロホルム)を比較した.二つの染料陽イオンを比較すると,MB法のほうが感度は高いが,試薬から試験液のピークが負ピークとなり,又ピークのテイリングが大きいため,分析所要時間が若干長い.1×10
-6Mラウリル硫酸ナトリウムを10回注入したときのピーク高さ,標準偏差及び相対標準偏差はMB法でそれぞれ,200.6mm,0.8mm及び0.4%,MEP法でそれぞれ,121.1mm,0.3mm及び0.3%であった.
S/
N=3に相当する検出限界は両法において約1×10
-8Mであるが,実際の定量下限は3×10
-8M程度となる.分析所要時間は,1サンプル当たりMEP法で2分,MB法で3分(流量0.6ml min
-1の場合)及びメチレンブルー法で2分(流量0.8ml min
-1の場合)となる.
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