分析化学
Print ISSN : 0525-1931
25 巻, 2 号
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  • 電極反応の速度論的パラメータデータベースの作成と検索
    山田 明文, 加藤 良清, 佐藤 光男, 佐々木 真理, 田中 信行
    1976 年 25 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ミニコンピュータを利用したリアルタイムデータ解析システム(RETDAS)を活用して,電気化学データのうちから電極反応の速度論的パラメータデータベース及び検索システム(CORKIPER)を作成した.データベース及び検索システムは1.2M語のディスクカートリッジ上に形成され,取り扱いも容易であり,研究者ファイルとして非常に有効であった.
    データベースはオンライン評価,シミュレーションなどへの活用,及び他のラボラトリーシステムとの互換性を考慮して自然語データベースとして作成した.データベース作成のためのオンラインエディタも開発した.又,CORKIPERは一部アセンブリー言語を使用しているが,大部分はFORTRANIVで記述しているので極めてはん用性が高い.
  • 松下 秀鶴, 嵐谷 奎一
    1976 年 25 巻 2 号 p. 76-80
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    コールタール及びピッチ中のベンゾ(a)ピレン[BaP]の簡易迅速分析法について研究した.その結果,コールタール及びピッチをベンゼンに溶かし,clean-upすることなく二層一次元薄層クロマトグラフィーを用いてBaPを分離し,このスポットをかきとり,ジメチルスルホキシド[DMSO]を用いて溶出し,分光けい光光度法で同定,定量する方法を見いだした.
    本分析法は二層一次元薄層クロマトグラフィーを用いているため,従来のクロマトグラフィーに比べて,試料塗布時の熟練が不要となり,試料塗布に基づく定量誤差も少なく,試料塗布に要する時間も少ない.又,本分析法では薄層上で分離したBaPスポットをこれと隣接するスポットの一部とともにかきとり,DMSOで溶解し,narrow base line法を用いて定量しているため,抽出率もよく,定量精度も良好なことが分かった.
    本法を用いてコールタール6種及びピッチ9種中に含まれるBaPの定量を行った結果,コールタール中に含まれるBaPは(5890~11800)ppm,ピッチ中に含まれるBaPは(8580~16500)ppmであることが判明した.
  • 坂本 武志, 河口 広司, 水池 敦
    1976 年 25 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ヒ素をヒ化水素として還元気化した後,マイクロウェーブプラズマ検出器を用いるガスクロマトグラフィーで定量を行った.水素,ヒ化水素及び水を分離するために,極性及び重合度の異なる5種の充てん剤について調べPEG 6000/C-22{(80~100)メッシュ}を2.5mガラスカラムに詰めて用いた.ヒ化水素が金属部分に接することなくガスクロマトグラフに導入できるようテフロン製六方コックを用いた配管をした.ヒ化水素の回収率はおよそ95%で,保持時間は約50秒であった.検量線は1μgまで直線関係が得られ,検出下限は0.2ppmであった.本法を土じょう中のヒ素の定量に応用した.全分析所要時間はおよそ1時間であった.
  • 坂本 武志, 岡田 正志, 河口 広司, 水池 敦
    1976 年 25 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ベリリウム-トリフルオルアセチルアセトンキレートのガスクロマトグラフィーに発光分光型検出器を応用した.分光器内に石英振動板を入れ光学的波長走査を行うことにより,アルゴン及び溶媒のバックグラウンドが除去でき,従来の方法では不可能であった極微量のベリリウムが定量できた.検出下限は0.001ngで,検量線は(0.002~1)ngの範囲で直線であった.本法をアルミニウム地金及びアルミニウム-マグネシウム合金中のppmレベルのベリリウムの定量に応用した.全分析所要時間は(1~1.5)時間であった.
  • 水庭 文雄, 酒井 馨, 海野 竜男, 菅原 寧
    1976 年 25 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    脱気水のような極めて低濃度の溶存酸素をインジゴカルミンで発色させ,吸光度を測定して定量する方法を検討した.
    555nmにおける吸光度は溶存酸素濃度と比例し,試料水温度35℃以下で安定であった.定量範囲は0~80ppbで繰り返し分析の標準偏差は3.4ppbで0.54ppb,50ppbで1.2ppbであった.検量線の作成に当たって酸素の添加量は,試料水を電解セルに通し電流値と流量から求めた.
    本法を火力発電プラントのボイラー給水及び原子力発電プラントの冷却水の溶存酸素の測定に適用し,ウィンクラー電流滴定法と比較した結果,両者は良く一致した.
  • 佐藤 達夫, 滝本 慎吾, 上坂 至
    1976 年 25 巻 2 号 p. 94-97
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ガス(液体)クロマトグラフのデータ処理装置に,マイクロプロセッサーを適用,小形で安価ではあるが,コンピューターシステムに近い高性能なデータ処理装置が開発できた.
    本装置は,主としてアナログディジタル変換器,マイクロプロセッサー,半導体メモリー,カセットテープメモリー,表示装置などで構成されている.カセットテープを128k語の補助メモリーとして使用し,データ処理に必要なプログラムなどはすべてこのテープに入れておき,分析に必要なものだけをその都度半導体メモリーに自動的に移し替えて使用する方式を採ることにより,データ処理装置の機能を大幅に拡大することができた.
  • 大野 幸雄, 田中 誠之
    1976 年 25 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    配合用潤滑油添加剤及び潤滑油製品中の石油成分の分離定量にシリカゲルを充てん剤とする連続溶出カラムクロマトグラフィーを応用する場合,障害となる添加剤の一つである金属スルホネート系清浄分散剤のゴム膜透析法による分離性状を検討した.スルホネート系添加剤のうち,カルシウム,バリウム及びマグネシウムの塩基性スルホネート類はいずれの市販衛生用ゴム膜を用いても定量的に分離でき,連続溶出カラムクロマトグラフィーの前処理に利用できることを示した.しかし,油中の溶存状態に違いを示すカルシウムスルホネートは透析挙動を異にし,一部は基油とともに透析され,ゴム膜透析法の適用には限界があることを明らかにした.
  • 佐々木 与志実
    1976 年 25 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    アルミニウムのクペレートをつくり,これのクロロホルム溶液を用いて,溶媒抽出を行うと,アルミニウムより抽出定数の大きい鉄(III)が選択的にイオン交換抽出される.アルミニウムのクペレートのクロロホルム溶液は無色であるが,鉄(III)のクペレートは黄かっ色なので400nmで吸光光度定量できる.この方法をアルミニウム合金及び試薬1級品のアルミニウム金属,コバルト塩,ニッケル塩,マンガン塩,亜鉛塩中の微量の鉄の定量に適用した.
  • 佐々木 与志実
    1976 年 25 巻 2 号 p. 108-112
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    アルミニウム-クペレート{Al(Cup)3}のクロロホルム溶液を用いて溶媒抽出を行うと,アルミニウムより抽出定数の大きい銅(II)が選択的に抽出される.有機相をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(Na-DDTC)の水溶液と振り混ぜると,銅(II)-クペレートは配位子交換により,銅(II)-DDTCキレートに変わることを見いだした.この反応を利用して,微量の銅(II)を選択的に定量した.抽出剤に用いたAl(Cup)3は無色で,Na-DDTCと配位子交換を起こさないので,黄かっ色の銅(II)-DDTCキレートを436nmで吸光光度定量できる.この方法を,アルミ合金及びニッケル,コバルト,亜鉛,カドミウム,銀塩などの試薬中の微量の銅の定量に適用した.
  • 水野 謹吾, 宇和野 敦子, 宮谷 義六
    1976 年 25 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    パラジウム(II)のPARによる簡易,かつ迅速吸光光度定量法について検討した.すなわち,試料溶液(10~20)mlに pH 10.5の0.1M EDTA 5ml 及び 0.1% PAR 水溶液 0.5ml を加えた後,必要あれば 0.1M 水酸化ナトリウム水溶液を添加して pH を 10.3~10.5 とし,水浴中で10分間加熱し,冷後全量を水で一定量に希釈して,520nmにおける吸光度を測定する.コバルト(II),鉄(III)などが共存するときは,0.1M EDTA(2Na 塩)2ml, 0.1M リン酸二水素ナトリウム 5ml及びリン酸を加えてpH2とし,PAR を加え10分後に生成した緑色錯体を MIBK と数秒振り混ぜて抽出し,この有機相に0.1M EDTA (pH10.5)5mlを加えて逆抽出し,水相をそのまま水で一定量に希釈し,520nmで吸光度を測定する.モル吸光係数は約2.5×104で(0.1~2)μg/mlにおいてベールの法則に従い,吸光度0.001に対する感度は0.0043μg Pd2+/cm2であった.
  • 佐藤 省三, 松本 紳一郎, 近藤 耕二
    1976 年 25 巻 2 号 p. 118-122
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    著者らが開発した既報の多孔性アルミナを充てん剤とし,水溶性高分子のゲルパーミエーションクロマトグラフィーの研究を行った.平均粒径9μで,粒径分布の狭い充てん剤を用い,最高約20μのHETPを得た.デキストランとポリスチレンにつき,GPC検量線を比較,考察した.その他の水溶性高分子のうち,ポリスチレンスルホン酸カリウムの測定では,良好な分解能が得られ,溶出容量をポリスチレン標準試料の検量線と比較することによって得た分子量分布は,粘度測定から推定された平均分子量とよい一致を示した.しかし,デキストラン,ポリアクリルアマイドでは,アルミナ表面との相互作用のため真の分子量分布が得られなかった。本充てん剤を種々の水溶性高分子に対してはん用性のあるものとするためには,今後アルミナ表面とこれらの高分子との相互作用の機構につき,詳細な検討が必要とされよう.
  • 海水,河川水中の微量有害物質の原子吸光光度定量法(第4報)
    日色 和夫, 応和 尚, Mercedes TAKAOKA, 田中 孝, 川原 昭宣
    1976 年 25 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    クロム(III)の共存する海水中の微量クロム(VI)を定量するため,クロム(VI)をジエチルジチオカルバミン酸塩としてメチルイソブチルケトンに溶媒抽出し,アセチレン-空気フレームあるいは黒鉛炉による原子吸光法で測定する方法を提案した.
    クロム(VI)の抽出はpH5で最大であるが,クロム(III)の影響がないpH4で抽出した.最適のジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム濃度は,水相中のクロム(VI)濃度0.5ppmについて2.0×10-3Mである.水相の容量を100,200,300,500及び1000ml,有機相の容量を10,15,15,20及び30mlとした場合,いずれも直線の検量線が得られ,水相の容量が多くなると感度はほぼ直線的に向上することが分かった.水相と有機相の容量が1000mlと30mlの場合の感度は,フレーム法で1%吸収当たり0.4ppbのクロム,フレームレス法で0,02ppbである.
    10ppmのストロンチウム(II),1ppmのバリウム(II),10ppbの銅(II),鉛(II),亜鉛(II),カドミウム(II),水銀(II),ニッケル(II),ヒ素(III),マンガン(II),コバルト(III),ベリリウム(II),アルミニウム(III),鉄(III),モリブデン(VI)の共存は,1.0ppbのクロム(VI)の定量を妨害しない,本法で合成海水及び数種海水試料中のクロム(VI)を定量した.更に海水試料に一定量のクロム(VI)を添加し,クロム(VI)を定量したところ,満足すべき回収率が得られた.
  • 水野 孝一, 鈴木 孝, 板倉 正勝, 小玉 数信
    1976 年 25 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    東海無機分析化学研究会では,これまで5回にわたって2種のマグネシアクロム質耐火物{東芝セラミックス(株)提供}の共同分析を行った.マグネシアクロム質耐火物の定量分析はクロムの妨害があり困難とされてきた.
    しかし,次の方法により満足すべき共同分析結果が得られた.
    あらかじめ200メッシュ以下に粉砕された試料約0.5gを約5gのホウ酸-炭酸ナトリウム混合融剤で融解する.
    放冷後,温水に溶かし40mlの過塩素酸を加える.熱板上で弱く煮沸しながら濃塩酸を約4回滴加し,更にすりつぶして温めた塩化ナトリウム少量ずつを2回加える.クロムは塩化クロミルとして揮散させる.無水ケイ酸は常法により定量する.酸化アルミニウムと酸化第二鉄はEDTA-銅逆滴定法により定量する.酸化第二鉄は過マンガン酸滴定法により定量する.カルシウム及びマグネシウムはアルミニウム及び鉄を水酸化物として除いた後炭酸塩として分離する.沈殿は洗浄せず塩酸に溶かしEDTA滴定する.酸化カルシウムは原子吸光法によっても良い結果が得られる.
  • 古沢 源久, 木羽 鈴子, 林 秋一
    1976 年 25 巻 2 号 p. 132-134
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Monoguanylmelamine was separated from its related compounds on a cation exchange column (AG-50WX 4 in Na-form, 8 φ×300 mm) by stepwise elution with Sorensen's buffer solution (pH 10.210.4 and pH 11.611.8) at the flow rate of 1.5 ml/min and the column temperature 30°C. The interfering compounds such as melamine, acetoguanamine, acetoguanide, ammeline, acetoguanamide and cyanomelamine were completely removed from the column by (100150) ml of the first buffer solution (pH 10.4) and then, monoguanylmelamine was eluted by (5070) ml of the second buffer solution (pH 11.611.8) without interference of diguanylmelamine. Quantitative determination of monoguanylmelamine was performed by calibrating the peak area of chromatogram monitored by the absorbance at 255 nm. Monoguanylmelamine could be determined down to 5μg by the proposed method.
  • 竹田 津富次, 能田 真理子, 高杉 真美子
    1976 年 25 巻 2 号 p. 134-137
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    One of the present authors reported that the patterns of absorption spectra of heavier rare earth-chlorophosphonazo III chelates changed from α- to β-type and that of the lighter rare earth chelates did not change with an increase of the mole ratio of each rare earth to the chelating agent. Since the mole ratio of rare earth to the chelating agent in the α-type chelate was known to be 1 : 1, the mole ratio method was applied to estimate the purity of the chelating agent by using of the standard solutions of lighter rare earths (La3+, Nd3+, and Gd3+) and magnesium. The results show that the purity is about 76%. The result of the determination of phosphorus in the chelating agent used shows 85% as the purity. The continuous variation plots were carried out on the assumption that the purity was 65, 76, and 85%. The maximum peak of the absorbance, in the case of 76%, is observed at mole fraction [La3+] /([La3+] [chelating agent]) of 0.5. The purity of the chelating agent was estimated by determining phosphorus in the precipitate because the solutions of the heavier rare earth (Tm3+, Yb3+, and Lu3+) chelates gave the β-type spectrum and the chelating agent was completely precipitated from the solutions in the presence of an excess amount of rare earths. The result shows the purity of about 76% and this value agrees well with that of the mole ratio and continuous variation methods.
  • 河淵 計明
    1976 年 25 巻 2 号 p. 137-139
    発行日: 1976/02/10
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A combined method of ion-exchange separation and spectrophotometry was described for determination of copper, gold and palladium in dental alloys. The sample of about 50 mg was taken and treated with a few ml of nitric acid and then aqua regia and diluted. The silver chloride precipitated was filtered off, and the filtrate was diluted to a definite volume to give ca. 0.2 M in hydrochloric acid. One ml aliquot was taken and mixed with 19 ml of acetic acid and transferred to a column (φ 1×6 cm) of one gram of weakly basic anion exchanger diethylaminoethyl cellulose in the chloride form.
    Au(III) and Pd(II) were retained on the column, while Cu(II) was easily removed from the column with 60 ml of acetic acid-0.5 M hydrochloric acid (9:1). Subsequently, Au(III) was eluted from the column with 50 ml of acetic acid-2 M hydrochloric acid (9:1) and finally Pd(II) was recovered by elution with 50 ml of acetone-6 M hydrochloric acid (9:1). An aliquot of each effluent was taken and the metal ion was determined spectrophotometrically by use of diethyldithiocarbamate for copper, rhodamine B for gold and p-nitrosodiphenylamine for palladium, respectively.
    The proposed method is reasonably simple and can be applied successfully to the determination of copper, gold and palladium in a variety of dental alloys.
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