分析化学
Print ISSN : 0525-1931
60 巻 , 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総合論文
  • 山田 悦, 布施 泰朗
    原稿種別: 総合論文
    2011 年 60 巻 6 号 p. 459-476
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    揮発性有機化合物(VOCs)はオゾン形成などに関与し,地球温暖化の原因の一つと考えられ,ベンゼンをはじめいくつかのVOCsは発がん性など有害性があるため,VOCs汚染実態の把握とリスク評価が急がれていた.そこで著者らのグループはまずパッシブサンプリング法による大気中VOCsの長期モニタリング法を開発し,その環境動態や発生源を明らかにした.さらに,VOCsによる人の健康リスクや環境負荷を明らかにするために,ポータブルな小型VOCs連続測定装置を開発し,実験室内や大気環境中のVOCsの濃度の連続モニタリングに適用し,その挙動や発生源を明らかにすることができた.
報文
  • 阿部 善也, 権代 紘志, 竹内 翔吾, 白瀧 絢子, 内田 篤呉, 中井 泉
    原稿種別: 報文
    2011 年 60 巻 6 号 p. 477-487
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    国宝 紅白梅図屏風(尾形光琳作)は,先行研究でその金地が金箔製ではない可能性が指摘され,社会的に注目された.その一方で,金地が金泥で描かれたものであると判断するに足る科学的根拠は得られておらず,金地の製法に関して疑問が残されていた.本研究では最先端の可搬型分析装置を用いたオンサイト非接触複合分析により,金地の製法解明を図った.特に金箔の延伸過程で生じる金結晶の配向現象に着目し,新規の手法として粉末X線回折法を導入し,金箔・金泥の判定を行った.粉末X線回折測定により屏風金地を分析した結果,屏風の金地部分では金結晶がa軸方向に選択配向していることが明らかとなった.この結果は屏風に先立って分析された現代の金箔の結果と一致した.さらに屏風の金地全体に格子状に浮き上がって見える部分については,金の厚みが2倍以上になっていることが蛍光X線装置による線分析によって示され,2枚の金箔が重なった箔足部分であることが判明した.以上の結果より,屏風の金地は金泥ではなく,金箔であることが明らかとなった.
  • 戸田 敬, 廣田 和敏, 徳永 航, 須田 大作, 具志堅 洋介, 大平 慎一
    原稿種別: 報文
    2011 年 60 巻 6 号 p. 489-498
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    本研究では,簡易でかつ時間分解能の比較的高いイソプレンの分析装置を開発し,森林大気のオンサイト分析に応用した.測定では4分間の大気サンプリングに続いて,加熱脱着によって化学発光セルに導入した.本装置によりppbvレベルのイソプレンを10分ごとに測定することが可能になり,検出限界は0.15 ppbvであった.植物をチャンバー内に設置したラボ実験では,チャンバー内イソプレン濃度は光照射とともに増大し消灯とともに減少した.この結果は加熱脱着-ガスクロマトグラフ-質量分析による結果とよい一致を示した.森林内測定においては有意な日内変化がみられ,日中イソプレン濃度が増大し夜間はほとんど見られなかった.これに対し同じ植物起源のα-ピネンは夜間濃度のほうが高く,α-ピネン放出の常時性と日中の高い分解速度に起因していると考えられる.このほかホルムアルデヒド,オゾン,窒素酸化物,有機・無機酸についても測定を行い,日内変化の追跡や季節変動の考察を行った.また,発生・消失のモデル構築を行い,日内変動よりイソプレンやα-ピネンの森林内発生のシミュレーションを行った.さらに実大気におけるイソプレンの発生とオゾン増幅の関係について考察を行った.
  • 村田 光明, 池田 貴昭, 三枝 正彦, 石田 誠, 澤田 和明
    原稿種別: 報文
    2011 年 60 巻 6 号 p. 499-506
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    著者らは,水田土壌中で利用可能な5 mm以下の分解能を持つ,二次元的に酸化還元電位を測定できる酸化還元電位アレイセンサーを作製した.酸化還元電位アレイセンサーは,市販の参照電極,電圧計,Si Complementary Metal Oxide Semiconductor技術を用いて作製した作用電極で構成されている.作用電極は,Si基板上にPt電極を平面的に縦横5×5に配置した.まず,酸化還元電位標準溶液の測定を酸化還元電位アレイセンサーで行うことができた.さらに,水田土壌中の米粒周辺に生じる水田土壌の還元過程を酸化還元電位アレイセンサーでモニターできた.また,水田土壌中の水稲根圏で生じる土壌の酸化過程を酸化還元電位アレイセンサーで測定した.水稲根圏の測定では,水稲根周辺の土壌の酸化還元電位が,水稲根から離れたその他の土壌より非常に酸化的であった.これらの結果から,酸化還元電位アレイセンサーは,水田土壌の土壌微細構造における酸化還元状態の変化を定量的に評価できる可能性があるデバイスであることを検証した.
  • 村居 景太, 本多 宏子, 奥村 浩, 岡内 完治
    原稿種別: 報文
    2011 年 60 巻 6 号 p. 507-514
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    水中に溶存する数十ppbレベルのマンガンを,現場で目視比色定量する方法を確立した.溶存マンガンをIO4によって紅色のMnO4に酸化し,ベンゼトニウムイオン(Ben)を添加してナイロン製メンブランフィルター表面に濃縮した.酸化剤として過剰に加えたIO4とBenから生じたエマルション粒子状のイオン会合体相中にMnO4・Benが抽出され,会合体相ごとフィルターに捕集されることを見いだした.捕集後のフィルターはMnO4量に依存して紅色を呈したので,標準色列との目視比色によりマンガンを定量した.操作を簡便化するために,発色試薬を封入したポリエチレンチューブと,直径4.0 mmのろ過面を持つフィルターを装填したろ過器をキット化した.試料水1.5 mL中の溶存マンガンの目視定量範囲は0.02~1 mg L−1であり,約3分間の所要時間で水道水質基準0.05 mg L−1が判定できた.本法を地下水および河川水試料に適用し,ICP-MSとよく一致する結果を得た.
技術論文
  • 中山 慶子, 山本 保, 波多 宣子, 田口 茂, 高村 禅
    原稿種別: 技術論文
    2011 年 60 巻 6 号 p. 515-520
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    液体電極プラズマ発光分析法(LEP-AES)は小型化可能な元素分析法であり,ガス供給や大型電源が不要なため,現場分析に適する.本研究では,LEP-AESと微小体積に短時間で高濃縮できる有機イオン会合体抽出法による濃縮を組み合わせ,微量金属(Cu,Mn,Pd,Zn,Cd,Pb)の一括濃縮/同時定量法を開発した.試料水40 mLにキレート試薬を加え,重金属を錯体とし,水相から生成させた有機イオン会合体中に抽出した.この会合体の体積はμLレベルである.これをメタノールに溶解し,硝酸溶液を加え400 μLとした.40 μLを分取してLEP-AESで測定した.濃縮倍率は100倍である.以上の濃縮/定量法より,短時間で高感度な現場元素分析が可能となり,検出限界は数μg L-1~数百μg L-1となった.いくつかの元素は濃縮倍率以上に感度が上昇した.また,廃液の認証標準物質に適用したところ,測定値は認証値の許容範囲内であった.
ノート
  • 加藤 亮, 長坂 隆広, 周 紅波, 孫 尚鉉, 服部 敏明, 山田 幸司
    原稿種別: ノート
    2011 年 60 巻 6 号 p. 521-526
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    A method for simply measuring water mixed into oil is restricted. In the present study, we synthesized a solvatochromic organic fluorescence dye. Changes in the fluorescence spectra and the luminescent color to change of the amount of water in the oil of this fluorescence dye were investigated. In dioxane, which is a low dielectric constant solvent, the color changed from green to yellow and a bathochromic shift of the fluorescence spectra was observed by the increase in moisture. These results suggested that the water selectively solvated to the fluorescence dye. On the other hand, in acetonitrile, which is a high dielectric constant solvent, the bathochromic shift observed by the increase in water showed almost the same tendency as the bathochromic shift accompanying the increase in the dielectric constant. However, the color showed only yellow in a visible observation. The visual detection of water will be applied to some low-dielectric organic solvents and lubricating oils.
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