分析化学
Print ISSN : 0525-1931
24 巻, 5 号
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  • 緒方 惟治, 坂口 武一, 市川 芳子, 出口 富美子, 船岡 紀子, 清田 千生美
    1975 年 24 巻 5 号 p. 279-283
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    テトラブロムフェノールフタレインエチルエステル(TBPE)を用いて第3級アミン誘導体である4,4′-diethylaminoethoxy-α,β-diethyldiphenylethane・2HCl(I),10-diethylaminopopylphenothiazine(II),3-phenyl-5-diethylaminoethyl-1,2,4-oxadiazol・citrate(III),3-diethylaminoethoxycarbonyl-pyri-dine・citrate(IV)及び3-(β-diethylaminoethyl)-4-methyl-7-carbothoxy-medloxy-2-oxo-(1,2-chro-mene)・HCl(V)をアルカリ水溶液から1,2-ジクロルエタンに抽出すると,有機相はλmax 600nm付近に極大吸収を示した.この波長において至適pH,定量範囲,結合比及び変動係数について検討したところTable 1の結果を得た.また本法での呈色機構を明らかにするため,モデル実験としてTBPEとトリエチルアミン(TEA)との結合体を酢酸エチル溶液から結晶として単離し,その構造を赤外吸収スペクトル及びマススペクトルから検討したところ,色素とアミンはイオン対結合体を形成していることを認めた.
  • 桜井 定人, 仁木 栄次
    1975 年 24 巻 5 号 p. 283-288
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    拡散電流をディジタル化して測定するディジタルポーラログラフ法を使用して,10-3M~5×10-6Mのカドミウムイオンとニッケルイオンとのポーラログラムの拡散電流を変動係数として0.09%~0.18%で測定した.実際の定量分析の際に問題になる,同一試料溶液の拡散電流の測定日間のばらつきと,同一測定日内のばらつきとの不偏分散間には,有意水準 5% で有意な差がないことが分かった (試料10-3MCd2+, Ni2+). また試料調製に基づくく形波ポーラログラムのピーク電流のばらつきと,同一試料についてのばらつきとの不偏分散間には,有意水準 1% で有意な差が認められた(試料5×10-4MCd2+).更に近接した半波電位を有するインジウムイオンとカドミウムイオンとを,濃度比1:1~1:10で含有した溶液のポーラログラムから,カドミウムイオンのポーラログラムを示差法によって差し引いて,少量成分であるインジウムイオンのピーク電流を変動係数として,0.1%~0.6%で測定した.
  • 保母 敏行, 小倉 孝, 鈴木 繁喬, 荒木 峻
    1975 年 24 巻 5 号 p. 288-293
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    水中の極微量塩化メチル水銀(以下MMCと略記)をガスクロマトグラフ法で分析する際に必要となる濃縮分離法(前処理法)として起ほう分離法の適用を検討した.すなわち,pH 9においてn-ブチルキサントゲン酸カリウム(以下n-BuXnと略記)とMMCとを反応させた後,界面活性剤として臭化トリメチルアンモニウム(以下CTABと略記)存在下で窒素ガスを通して起ほうし,ほうまつ中に MMC を濃縮分離する.
    検討の結果,水銀(II)イオン,銅(II) イオンなどが妨害すること,これらの妨害はイオン交換樹脂筒に通せば除けること,ppbオーダーのMMCを分析できることなどが明らかとなった.
  • 家庭用品に含有される有害化学物質の分析(第1報)
    小嶋 茂雄, 大場 琢磨
    1975 年 24 巻 5 号 p. 294-298
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    衣類中に含有される遊離ホルムアルデヒドを正確に定量するためには,抽出や発色などの操作の過程で樹脂加工剤などが酸や加熱によって分解し,ホルムアルデヒドを新たに発生するのをできるだけ抑える必要がある.まず,抽出法については,抽出温度が高くなるにつれて分解がより一層促進され,ホルムアルデヒドの測定値が急激に増加することや人体に接して用いられることを考慮して,試料1gに対して水100mlを用い,40℃で1時間浸せきした後,ガラスフィルター(G2)でろ過する方法をとることとした.また,定量法にはアセチルアセトン法を採用し,樹脂の分解の少ない発色条件を検討した.ホルムアルデヒド標準液についての検討の結果,試液を添加した後,40℃において30分間加温して発色させる方法を見いだした.これと従来よく用いられている60℃で10分間加温する方法とを,N,N'-ジメチロール尿素溶液や尿素樹脂で加工した布の抽出液について比較したところ,前者のほうがはるかに樹脂の分解が少なく,遊離ホルムアルデヒドの定量には,最も適当であると判断された.この方法により市販の衣類について分析したところ,尿素樹脂加工を施したキュプラ,パーマネントプレスのワイシャツ(特に,カラーのしん地)及びブラジャー(特に,内張りの不織布)などから高濃度のホルムアルデヒドが検出された.
  • 神田 正雄, 堀 宜喜, 松本 勲
    1975 年 24 巻 5 号 p. 299-303
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    二酸化チタン中の微量鉛について,酸処理などの前処理を行わず,迅速に定量するための諸条件を検討した.その結果,炭素粉末とよく混ぜ合わせた試料を直接,グラファイトアトマイザーを用いた原子吸光分析に供試することにより定量的な吸光度が得られたので,次のような定量方法を設定した.すなわち試料(50~100)mgを精密にはかりとり,約(5~9)倍量の炭素粉末を正確に加え,めのう乳ばち中で10分間混ぜ合わせる.試料中の鉛濃度に応じて,その混合物の(1~5)mgをグラファイトアトマイザーに供試する.
    本法の所要時間は約15分であり,5ppm前後の試料について変動係数は3.1%で,30ppm前後の試料について変動係数は2.4%であった.
  • 橋谷 博, 安達 武雄
    1975 年 24 巻 5 号 p. 303-307
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    金属タンタル中のこん跡ニオブの定量にスルホクロロフェノールS吸光光度法を用いた.硫酸をはじめ多くの鉱酸及び酒石酸が影響するので,呈色条件を詳細に検討した.タンタルは硝酸-フッ化水素酸系の陰イオン交換法で定量的に除いた.
    試料をフッ化水素酸と硝酸で溶解し,1M硝酸-5Mフッ化水素酸溶液からニオブとタンタルを陰イオン交換樹脂に吸着させ,5M硝酸-0.2Mフッ化水素酸溶液でニオブを溶離する.過塩素酸発煙処理で硝酸とフッ化水素酸を除いた後,アセトンとスルホクロロフェノールS溶液を加えて呈色させ,60分放置後650nmの吸光度を測定する.
    本法によれば金属タンタル1g中1ppmまでのニオブを定量することができる(ε=4.2×104).
  • 中川 勝太, 芦谷 重明, 神崎 由美子, 北原 新哉
    1975 年 24 巻 5 号 p. 308-310
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフを用いて,クロロアニリン異性体を迅速に分離定量するために,カラムとして強酸性陽イオン交換樹脂Zipax-SCXを充てんした内径2.1mm,長さ1000mmのカラムを用い,移動相としてリン酸二水素カリウムとリン酸水素二ナトリウムの溶液を用いpHを6.1,5.5,4.5と変えて検討した.その結果リン酸二水素カリウム濃度をM/15に調節し,温度25℃,圧力1500psi(流量1.2ml/min)で分析することによりクロロアニリン各異性体の完全分離が可能となった.そこで,同条件においてp-アニシジンを内標準に用いて検量線を作成した.検量線の直線性における変動係数はいずれも2.0%以下で十分定量が可能であるという結果が得られた.
  • キャリヤーガス法による酸素の定量(第8報)
    栗木 武男, 大沢 敬子, 今枝 一男
    1975 年 24 巻 5 号 p. 311-314
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    反応キャリヤーガス法によるインジウム化合物中の酸素の定量について実験した.
    有機化合物中の酸素の定量に使用されている方法では,インジウム化合物中の酸素の定量は,一部の化合物についてはできなかった.
    しかし,この化合物について水素を添加する反応ガス添加キャリヤーガス法で行ったところ,全酸素を定量することができた.
    1回の分析所要時間は約40分間である.
  • けい光分析におけるヒドラゾン誘導体について(第5報)
    谷口 寛一, 手嶋 かず江, 柘植 敬子, 中野 三郎
    1975 年 24 巻 5 号 p. 314-318
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2010/01/18
    ジャーナル フリー
    銅は2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド安息香酸ヒドラゾン(HNBH)と1:1の無けい光性錯体を生成し,スカンジウムはHNBHとけい光性錯体を生成することを利用した銅のけい光光度滴定法を検討した.銅溶液に少量のスカンジウム塩を加え,これをHNBH標準液で滴定を行うと,銅量に対してHNBHが1:1以上に加えられたときにスカンジウム-HNBH錯体のけい光が現われた.このけい光強度(励起極大: 440nm, けい光極大: 500nm)を測定して滴定終点を求めると銅(0.2~100)μg/mlの定量が可能であった.
    共存イオンのうち,銅と同量以上で本法を妨害する鉄(III)は硫酸酸性溶液から鉄-クペロン錯体としてエーテルで抽出除去することができた.
  • 寺島 滋
    1975 年 24 巻 5 号 p. 319-321
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    A method is proposed for the determination of tin in silicates by atomic absorption spectrometry after extracting tin (IV) iodide with benzene. Take 0.1 to 0.5g of sample in a platinum dish, add 10 ml of HF, 5ml of HClO4, and 3 ml of HNO3, and evaporate the solution to dryness. Dissolve the residue by heating with 5 ml of HCl (1+1). Transfer the solution into a separatory funnel, add 10 ml of HClO4, 0.5 ml of 50% sodium hypophosphite, 5 ml of 5M NaI, and extract tin for 3 min with 10 ml of benzene. Wash the organic phase with 16 ml of 5.5M HClO4-0.3M NaI solution. Shake the organic phase for 3min with 10 ml of 0.6M HCl-0.004M MgCl2, and withdraw the aqueous phase into a beaker. Cover the beaker, immerse in boiling water for about 15 min to remove the dissolved benzene, and introduce this solution into a premix type slot burner. The sensitivity is 0.02 μg/ml/1% abs., and the limit of detection 0.4 ppm of tin in rock samples. The relative standard deviation in the determination of 2 to 100μg tin is 2 to 9%. The time required for 10 samples is about 4 hours. The method is satisfactorily applied to the standard silicate samples.
  • 森重 清利, 佐々木 栄, 平木 敬三, 西川 泰治
    1975 年 24 巻 5 号 p. 321-324
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    Scandium in several minerals { (0.0020.3) % Sc} was determined by the fluorometric method. The procedure is as follows : (0.050.1)g of mineral sample is treated with 30 ml of concentrated sulfuric acid for 3 hrs on a sand bath, and the solution is evaporated to dryness. The residue is dissolved in (35)ml of concentrated hydrochloric acid, and the solution is diluted to (7080)ml with water and filtered. Seventy milligrams of Ca2+ as a carrier and oxalic acid solution are added and the pH of the solution is adjusted to 2.0. After the solution has stood for ten minutes, the precipitate is centrifuged and decomposed by evaporating with perchloric acid to dryness. The residue is dissolved in 5 ml of 6M HCl. Scandium is separated by extracting at pH 1.6 with 10 ml of 0.2M TTA-benzene followed by backextracting with 10 ml of 1M HCl. The solution is made up to 25 ml, and an aliquot of the solution is taken. Two ml of 0.1% 2, 4-dihydroxybenzaldehyde-semicarbazone solution, 2 ml of 20% ammonium acetate solution are added, and the pH of the solution is adjusted to 6 with hydrochloric acid or ammonia, and the solution was diluted to 25 ml with water. The fluorescence intensity of the solution is measured (λexcitation360nm, λemission 425 nm).
    In this procedure, the recovery of scandium was found to be about 95%. Several mineral samples (naegite, allanite, yamaguchilite, lepidomelane, hokutolite) were analyzed.
  • 内田 弘, 足立 文雄, 森 修身, 根岸 良吉
    1975 年 24 巻 5 号 p. 325-326
    発行日: 1975/05/10
    公開日: 2009/06/19
    ジャーナル フリー
    Multielement analysis of individual air-borne particulates is nesessary for air-pollution research (e. g., search for their origins). Particles are collected on a Mylar film by a cascade impactor at a flow-rate of 9 liter per minute for 1 hour. The Mylar film is supported on a hollow tube after drying. A particle suitable for analysis is selected microscopically, evaporated by a laser beam emitted from neodymium glass, and excited by a high voltage spark discharge (100 μH, 6 μF, 1 Ω, and 2.5 kV). Magnesium, aluminium, silicon, calcium, iron, copper, and zinc are detected in particles of 4, 6, 8, and 10 μm diam. The content of light elements seems to be greater than that of heavy elements. The amount of each element increases with increasing particle size. The chemical composition of each particle differs in spite of the same diameter, and the variation of spectral line intensity of heavy elements seems to be slightly larger than that of light elements.
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