市販のイオンクロマトグラフィー(IC)用陰イオン交換体より大きな交換容量を有するはん用のイオン交換体(シリカ系強塩基性陰イオン交換体)と大きな溶出力を有する芳香族トリカルボン酸(トリメリト酸)系溶離液の組み合わせから成る無機陰イオンの導電率検出ICを開発し,酸性雨に関連する実際試料に対して適用した.その結果,1.25mMトリメリト酸溶離液(pH4.65)と内径4.6mm,長さ100mmの分離カラムを用いることにより8種の陰イオン(PO
4-3,Cl
-NO
2-,NO
3,I
-,SO
42-,SCN
-及びS
2O
32-)を25分以内で良好に分離,導電率を検出することが可能であった.最適IC条件下の検量線は,一価陰イオンにおいて,0.3mMまで,二価陰イオンにおいて0.2mMまで各々直線であり,これらの検出限界(
S/
N=3)は,10ng/mlオーダー(Cl
- 10 ng/ml,NO
3-25ng/ml及びSO
42-28ng/ml)であった.本法を酸性雨及び酸性雨による土壌(黒ぼく土及び赤ぼく土)溶出(抽出)水中の無機陰イオン分析に適用したところ,その中に含まれるCl,NO
3-及びSO
42-を良好に分離定量することが可能であった.その結果,土壌のSO
42-吸着量は,雨水中の全陰イオン濃度及びpHに依存することが明らかとなった.
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