β-ジケトン型キレート抽出剤1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロ-7,7-ジメチル-4,6-オクタンジオン (FOD) の
n-デカン溶液を含浸したテフロン製のメンブランフィルター膜によるランタノイド (III) イオン (Ln
3+; La
3+, Pr
3+, Nd
3+, Eu
3+, Er
3+, Lu
3+) の上り坂輸送における, 外部溶液 (供給相) のpH及び液体膜へのルイス塩基添加の影響を検討した. 外部溶液のpHの上昇もしくは液体膜中のルイス塩基濃度の上昇に伴い, Ln
3+の輸送速度は大きくなった一方で, Ln
3+間の分離は悪くなった. その際, 疎水性の高い二座ルイス塩基である4,4'-ジオクタデシル-2,2'-ジピリジル (DODpy) を添加した場合には, 一座ルイス塩基であるトリオクチルホスフィンオキシド (TOPO) を添加した場合と比べ, 軽希土イオン-重希土イオン間の分離能の低下を抑えることができることが分かった. ルイス塩基を添加したときに観測されたこれらの効果は, 液体膜中におけるLn
3+のβ-ジケトナトキレートとルイス塩基との間の付加錯体形成により説明できた.
抄録全体を表示