非プロトン極性溶媒のジメチルホルムアミド (DMF), ジメチルスルホキシド (DMSO) と塩化水素,フッ化水素,硝酸との 1:1 の固体の酸付加物及びその混合物について,それらによる金属や塩の溶解性及び EDTA 伝導度滴定による金属の定量への応用について検討した. DMF, DMSO 酸付加物は塩化水素,フッ化水素,二酸化窒素などのガスを発生しにくく金属や塩を比較的低温で溶解し,その溶解力は長時間持続する.なお溶解した金属は EDTA (4H) DMF 溶液で直接伝導度滴定することにより定量できる.スズ,チタン,アンチモンなどの塩化物等塩酸溶液中では揮散しやすいものも,酸付加物により揮散による減量なく溶解できる.又ケイ酸塩も, DMSO・HCl, DMSO・HNO
3, DMSO・HF の混合物を用いて容易に溶解できる.応用例として従来操作が繁雑で測定に長時間を要した,有機物-金属酸化物複合材料中の金属,及び潤滑油製品中の金属を酸付加物で溶解後,定量することを検討した結果,従来法による分析値とよく一致した.
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