分析化学
Print ISSN : 0525-1931
17 巻, 7 号
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  • 黒羽 敏明, 渋谷 晟二
    1968 年 17 巻 7 号 p. 801-805
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    溶媒抽出により微量成分を分離濃縮したのち,けい光X線で分析する場合の分離成分の固定法を検討した.
    すなわち,抽出分離した有機溶媒層にポリスチレンを混合したのち,マイラーにのせて赤外ランプで乾燥し,マイラー上に分離成分を均一に含むポリスチレンの薄膜を形成させる方法である.
    本報は有機試薬として,ジエチルジチオカルバミン酸を用い,pH5.9から四塩化炭素で抽出を行ないポリスチレン10mgを添加して薄膜を作り,銅,コバルト,鉄,マンガン,ニッケル,亜鉛など15元素について行なった結果,100秒計数の場合で3×10-8~1.5×10-6gの検出下限を得た.上記6元素については,セレンを内標準に用いて変動率を測定した結果,相対強度比法で3~5%であった.
    本法はろ紙法に比べて,成分が均一に分布すること,バックグラウンドが小さいこと,および検出下限が小さい利点を持つことが確認された.
    溶媒抽出を分離手段とし,ポリスチレンを用いる薄膜法により定量元素をマイラーの上に固定したのちけい光X線分析法により微量元素の定量法を行ない,じゅうぶん満足すべき方法を確立した.
    抽出分離にはジエチルジチオカルバミン酸を用い,酢酸ナトリウム緩衝溶液のpH5.9で四塩化炭素による抽出を行なった.ポリスチレンは四塩化炭素に溶解したものを用いマイラー上に10mgとなるように添加した.溶媒の除去には赤外ランプを用いた.
    本法によりコバルト,銅,鉄,マンガン,ニッケル,亜鉛など15元素について検出下限を求めた結果,100秒計数の場合で3×10-8~1.5×10-6gを得た.上記6元素については,セレン20μgを内標準元素に用いて定量性を検討した結果,10秒計数の場合で変動率は3~5%,検量線は0~25μgの範囲で良好な直線性を示した。
    抽出分離における錯化剤の選択,抽出条件の検討などにより微量不純物の同時定量がけい光X線分析により行なわれるための一つの方法として,今後は実際の試料について検討する予定である.
  • 大岩 幸一郎, 木村 多恵子, 牧野 秀夫, 故木下 弥兵衛
    1968 年 17 巻 7 号 p. 805-809
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ピロカテコールバイオレット(以下PVと略記)を試薬とする微量ヨウ素イオンの新接触反応による吸光光度定量法について検討した.PVは塩酸-硝酸酸性において過酸化水素により退色するが,このとき微量のヨウ素イオンが存在すると,これが触媒になり迅速に退色する.一定時間後に550mμの波長で吸光度を測定することにより0.01~0.1ppm I-の範囲を定量することができる.
    本法の妨害イオンは,過塩素酸,臭素,銅(II),鉄(II)および鉄(III)である.
  • 原子吸光分析法による生体微量金属の定量(第1報)
    大岩 幸一郎, 木村 多恵子, 牧野 秀夫, 奥田 光夫
    1968 年 17 巻 7 号 p. 810-815
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    原子吸光分析による血清および血球中亜鉛の定量における諸条件の検討を行なった.
    血清および血球とも精製水による希釈だけでは,たん白変性をきたした試料でフレームのゆらぎがあり,除たん白して測定した.本法による回収率は血清で99%,血球で96%であり,入院患者50人の血清および血球中亜鉛濃度分布は,血清において81~100μg/100ml,血球において1201~1400μg/100mlが多数みられた.定量下限は1%吸光率を与える溶液の濃度として0.02ppmであった.
  • 相対モル感度について
    三輪 三郎, 立松 晃
    1968 年 17 巻 7 号 p. 816-819
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    熱伝導度検出器で,ヘリウムをキャリヤーガスとした場合のα-オレフィンの相対モル感度については,すでにMessnerらの報告があるが,これはC2からC4までのα-オレフィンについての報告のみで,C5以上の化合物についてはまだ報告がない.著者らはC6からC14までの炭素数偶数の5種類のα-オレフィンについて相対モル感度を測定し,分子量(M)と相対モル感度(R)との関係について検討した.
    その結果,Messnerらが提出した関係式
    R=13.0+1.20M(C2~C4)
    とは若干異なる式が得られたので,それについて報告する.
  • 三輪 智夫, 沖 修一郎, 水池 敦
    1968 年 17 巻 7 号 p. 819-823
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    グラシー・カーボン電極を用いて高純度鉛中の微量銀をアノーディック・ストリッピング・ボルタンメトリーにより定量した.試料を硝酸に溶解し,蒸発乾固を2度くりかえしたのち,0.5M硝酸カリウム溶液に溶解して20mlとし,-0.1V(vs.S.C.E.)で30分間電解を行なった.ついで0.2V/minの速度で正の側に走査し,得られる溶出曲線のピーク電流値より銀量を求めた.合成試料,実際試料の定量値などから,本法が鉛中に含まれる0.02~数ppm程度の銀の定量法として満足すべきものであることがわかった.定量誤差は10%以下,定量所要時間は約90分であった.
  • 堀内 芳蔵, 西田 宏
    1968 年 17 巻 7 号 p. 824-829
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    クロムアズロールS(以下CASと略記)により微量のセリウム(III)を吸光光度定量した,セリウムを含む酸性溶液を水で10~15mlにうすめ,0.25%CAS溶液2mlを加え,7%ヘキサミン溶液でpH6.40に調節し,水で25mlにうすめ10分後,試薬ブランクを対照として510mμで吸光度を測定する.5~120μgCe/25mlにわたりベールの法則に従い,検量線から求めたモル吸光係数は1.83×104である.硫酸とフッ化水素酸によりセリウムをフッ化物として沈殿分離したのちセリウムを定量すれば,2~4価の陽イオンは妨害しない.pH9.60でCASによりランタンおよびイットリウムは発色するが,セリウムはほとんど発色しないので,分離しないで10~200μgのセリウム,7~142μgのランタンおよび60μgまでのイットリウムを定量した.
  • 浅岡 博
    1968 年 17 巻 7 号 p. 829-835
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    低濃度の硫酸酸性溶液中でケイモリブデン酸錯体を生成させたのち,硫酸濃度を高めてイソブタノールでこの錯体を抽出する.この抽出溶媒に水およびエタノールを加えて調製した均一相溶液を電解液として,ポーラログラムを記録するときは,モリブデンヘテロポリ酸の2段波が得られ,その波高はケイ素濃度に正比例する.この方法を利用して,鉄鋼中のケイ素を定量した結果は,公定値と一致した.また,抽出溶媒の一部に過塩素酸,過酸化水素水および水を加えて均一相電解液をつくり,ペルオクソモリブデン酸による極大波高を測定して,0.004ppm程度の微量ケイ素の定量も試みた.
  • セメント中の微量元素の定量(第5報)
    永長 久彦, 石井 一
    1968 年 17 巻 7 号 p. 836-842
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    バナジウム(V)を塩酸酸性溶液中よりN-ベンゾイルフェニルヒドロキシルアミン(BPA)によりベンゼン相へ抽出する場合に紫色の錯体が得られることを利用してセメント中の微量バナジウムの定量を行なうための各種条件の検討を行ない,定量方法を確立した.
    バナジウム(V)は塩酸濃度が2.8~4.6Nの範囲内でベンゼン相へ定量的に抽出され,抽出された錯体は530mμに吸収極大を有する.この錯体はバナジウム(V)が1に対し,BPAが2の組成を有し,バナジウム量と吸光度との間には直線関係が成立する(モル吸光係数:4500).
    本法によれば0.001%程度までのバナジウムの定量を行なうことができるが,実際の試料について定量を行なったところ,0.001~0.005%のバナジウムが存在することが見いだされた.
    バナジウム(V)-BPA錯体が塩酸酸性溶液中よりベンゼン相に抽出され,紫色を呈することを利用してセメント中の微量バナジウムの定量についての検討を行ない,定量方法を確立した.
    本法によればセメント中の0.001%程度までのバナジウムを定量することができ,市販品中には0.001~0.005%程度のバナジウムが存在することが見いだされた.
    なお,この研究は,小野田セメント株式会社中央研究所において行なったものである.
  • 抗ヒスタミン剤の定量法に関する研究(第3報)
    大橋 芳, 松尾 賢明, 川崎 敦子, 小池 久
    1968 年 17 巻 7 号 p. 843-846
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    金属試薬であるPlasmocorinth B[3-(5-chloro-2-hydroxyphenylazo)-4,5-dihydroxynaphthalene-2,7-disulfonic acid disodium salt](以下PCBと略記)とクロルフェニラミンとは酸性溶液中で反応し,その反応生成物はクロロホルムによく抽出され安定であり,567mμに吸収極大を持っている.この波長における吸光度は試料と0.5~3.0mg/ml の濃度範囲で直線関係を示し,光度定量に利用することができた.
    本定量法は他の方法に比べ妨害物質も少なく,操作も比較的簡単であり,じゅうぶん実用性のある方法と考えられる.
  • 荒木 峻, 鈴木 繁喬, 保母 敏行, 吉田 継親, 吉崎 皇彦, 山田 正昭
    1968 年 17 巻 7 号 p. 847-854
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    アルカリ,アルカリ土類金属は水素炎中で容易にイオン化され,炎の電導度が増す.この原理を利用し,これら金属の極微量分析を目的とした装置についてはすでに報告した.本報告では,より信頼度の高い,しかも継続的に試料が導入できるよう装置を改良し,さらにリン酸ジルコニウムを用いるイオン交換クロマトグラフィーとの結合を検討した.また実際試料への応用として,温泉水,人の血清などを選び分析したところ,炎光分析法による結果とほぼ一致する満足すべき結果を得た.
  • 小原 人司, 石橋 信彦, 藤田 三郎
    1968 年 17 巻 7 号 p. 854-863
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    トリ-n-オクチルアミンによる脂肪族カルボン酸の抽出挙動および抽出機構などについて検討した.クロル置換酢酸類は無機酸と異なり,低濃度領域からアミンに当量以上抽出される.1分子のアミンによって抽出される最大の酸分子数は約3である.トリ-n-オクチルアミンと有機酸とのイオン対と過剰の酸の間で生成する高次の錯合体は有機酸の酸強度の大きいものほどあるいは水相の酸濃度が高いほど生成しやすい傾向にある.さらにアミンの希釈溶媒を変えると酢酸では溶媒の極性の増加とともに高次の錯合体が生成しやすくなるが,クロル置換酢酸ではn-ヘキサンを用いた場合最も多量体化しやすいようである.これに対して,イオン対の生成は特に弱い酸(酢酸)の場合,溶媒の極性の大きいほうが容易であることを認めた.
    なお,酢酸,プロピオン酸および酪酸などの抽出曲線はクロル置換酢酸のそれと異なり,その抽出量はn-ヘキサンを溶媒とした場合,アルキル基の炭素数の増加とともに著しく増し,これらの酸では有機溶媒への溶解的抽出が大である.
    さらに,有機相での分子間相互作用を明らかにするため,トリ-n-オクチルアミンとジクロル酢酸を例として赤外吸収スペクトルとNMRスペクトルを測定した.その結果,アミンと酸とのモル比が1以下ではトリ-n-オクチルアンモニウム陽イオンとジクロル酢酸陰イオンがイオン対を形成していることを認めた.さらに酸を増すと遊離の酸はイオン対と水素結合を行なって多量体化し,トリ-n-オクチルアンモニウム陽イオンとジクロル酢酸陰イオンとの結合は弱められる.この多量体の酸分子数は赤外吸収法およびNMR法のいずれにおいても3分子程度で,それ以上の相互作用はかなり弱いようである.
    以上のカルボン酸の抽出挙動は酸からアミンへのプロトン移動の平衡,生成したイオン対と過剰の酸との多量体化とそれらに対する溶媒の影響や水溶液相と有機相への酸の分配などを考慮してある程度の定性的説明が可能である.
  • 辻 治雄, 日下 譲
    1968 年 17 巻 7 号 p. 864-870
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    14MeV中性子放射化法による花こう岩,粘土およびセメント試料中のケイ素およびアルミニウムの迅速非破壊分析を試みた.T-d反応により得られる速中性子により,3グラム量の試料を3分間照射後,ケイ素は28Alの,そしてアルミニウムは27Mgの光電ピークをシングルチャンネル波高分析器またはマルチチャンネル波高分析器で測定した.試料と同時に中性子照射した中性子モニター(石英ガラス)の放射能強度により,中性子束による測定値の変動を補正したのち,検量線法により定量を行なった.また共存元素,特にアルミニウムの定量を妨害する鉄の影響の除去法についても検討した.本法により,ケイ酸塩試料中のケイ素を約10分以内,そしてアルミニウムを約30分以内に定量することができ,その定量誤差は,ケイ素は約2%,アルミニウムは約4%であった.
  • 吉田 善一
    1968 年 17 巻 7 号 p. 871-878
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 太幡 利一, 保田 和雄
    1968 年 17 巻 7 号 p. 878-888
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 西川 泰治, 天野 為之, 田村 善蔵, 八木 国夫, 錦見 盛光
    1968 年 17 巻 7 号 p. 888-897
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 天野 為之
    1968 年 17 巻 7 号 p. 897-907
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 田村 善蔵
    1968 年 17 巻 7 号 p. 908-915
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 八木 国夫, 錦見 盛光
    1968 年 17 巻 7 号 p. 916-923
    発行日: 1968/07/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
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