分析化学
Print ISSN : 0525-1931
21 巻, 5 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 上原 文男
    1972 年 21 巻 5 号 p. 591-596
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ケイ素化合物をフッ化水素酸と反応させて生ずるフッ化ケイ素を水酸化ナトリウムに吸収後,ケイ素を吸光光度法で定量する方法の可能性を検討した。
    ケイ素を含む溶液を白金るつぼにとり,25%フッ化水素酸0.6mlを加え,ただちに白金製のキャップ(内面に70%水酸化ナトリウム溶液1.0mlを塗布しておく)でふたをして,熱板上で加熱しケイ素をフッ化ケイ素(SiF4)とし,揮散-吸収させる.キャップの内面に付着している内容物をホウ酸溶液に溶かし,従来のモリブデン青法によりケイ素を定量した.
    本法によるケイ素の回収率は約95%,±4%程度の誤差で定量でき,ケイ素0.008~0.17%を含むアルミニウムや鉄鋼の分析に用い,標準値と比べ,満足する結果を得た.
  • 黄銅中の銅,亜鉛の分析への応用
    岩崎 廉, 根岸 良吉
    1972 年 21 巻 5 号 p. 596-600
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    銅と亜鉛はKα線の波長が近接した関係にある2元素であり,これらのKα線の強度比をとると,個々のKα線の強度に対する共存元素による吸収,励起効果などの影響が消去され,銅,亜鉛の濃度比が一定ならば,その値はほぼ一定となる.しかも,この強度比とこれら2元素の濃度比との間に,実験的に直線関係が成立するので,これら2元素の濃度比は,強度比の測定から容易に求めることができる.分析試料における銅と亜鉛の量をそれぞれx,y%とする.この試料溶液そのもの,およびWgの試料にwgの亜鉛を添加して調製した試料について,実験から求めた濃度比をそれぞれα,βとすれば,
    α=x/y,β=0.01xW/0.01yW+ω
    の関係から,共存元素の影響なく銅,亜鉛を定量することができる.実際に黄銅に応用した結果,ニッケルの含有量が0.5%以下の場合は実用性のある結果が得られた.
  • 乾式試金法における分析誤差の検討(第1報)
    矢口 公彦, 兼子 潤
    1972 年 21 巻 5 号 p. 601-608
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    乾式試金法における共存元素の影響を主とする誤差の要因について検討した.予備実験で鉛ボタンの適切な大きさが25~35gであることを確認した.
    30gの鉛ボタン中に含有される不純物量が銅2g,ニッケル0.025g,テルル0.2g,セレン0.5g,ビスマス0.2g,ヒ素0.5g,アンチモン0.5g以下の場合はこれら不純物がないものと比較して差が認められない.銅3g以上,ニッケル0.03g以上になると灰吹不能になる.テルルは融解時にほぼ全量鉛ボタンに含有され,試料中の存在量が1g以上では灰吹時にキュウペルへの吸収が増大して金0.5mg,銀10mgの場合は金銀合粒が生成されない.
    亜鉛は融解操作では鉛ボタンにはほとんど含有されず,灰吹損失への影響は小さいが,通常の黄鉄鉱などに適用する鉄くぎ法では融解時に金,銀のスラグへの損失を大きくする.
  • 宮井 良孝, 村尾 安一
    1972 年 21 巻 5 号 p. 608-613
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    食塩の水銀法電解工業におけるマッド中の水銀を迅速に定量するため,けい光X線分析法の適用につき検討し良好な結果を得た.すなわち,試料に一定量のビスマスを添加して粉砕混合して水銀とビスマスのX線強度比を測定する内標準法を検討した.HgLα1線およびBiLα1線を分析線として選定し,モリブデン管球を使用した.振動ミルで15分間粉砕混合することにより,試料粒度は約80%(重量比)が200メッシュより微細になり,再現性のよいX線強度が得られた.内標準法の採用により共存元素の影響を低減でき,検量線は良好な直線関係を示した.水銀含有率0.06,0.22,0.78%の試料の分析で変動係数にして5.0,2.7,1.0%を得た.定量値は化学分析値とほぼ一致した.分析所要時間は試料調製時間を含めて約30分であった.
  • 混合固定相によるガスクロマトグラフィーに関する研究(第9報)
    三戸岡 憑之
    1972 年 21 巻 5 号 p. 614-622
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    充てん剤混合法ガスクロマトグラフィーにおけるカラム効率を調べる目的で,液相含浸率,担体粒度または種類の異なった種々の組み合わせのスクアラン/ポリエチレングリコール混合系における代表成分の理論段相当高(HETP)を測定した.その結果,混合充てん剤カラムのHETPは単一液相充てん剤カラムにおけるHETPの中間値を示し,混合によってカラム効率が低下しないことを認めた.混合系のHETPはvan Deemterの式によく従い,混合組成にともなうHETPの変化は溶質成分の分配比の変化によることも明らかになった.
    無極性液相充てん剤に少量の有極性液相充てん剤を混合すると,極性成分のテーリングが著しく防止されることがわかった.混合充てん剤からふるい分けた無極性液相充てん剤においてもテーリングは減少し,各溶質の保持指標が元の単一液相充てん剤におけるより大きくなる事実から,二つの充てん剤を混合することにより,有極性液相が無極性液相充てん剤表面に移行して吸着活性点をふさぐためテーリングが抑制されることがわかった.
  • 菅家 惇, 井上 良夫, 渡辺 博隆, 中村 節子
    1972 年 21 巻 5 号 p. 622-626
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ルーエマン紫を用いる水銀の吸光光度定量法を検討した.この試薬は水溶液として用いることができ,生成した赤色の水銀-ルーエマン紫錯体は,水相のpHが4~7の範囲でほぼ定量的にベンゼンに抽出されるが,pH6以上ではルーエマン紫はベンゼンに抽出されない.抽出された錯体はベンゼン中で530nmに吸収極大があり,見かけの分子吸光係数の値として6.4×104の値が得られ,ジチゾン法に匹敵する感度を有している.抽出される錯体の組成を連続変化法,モル比法で調べた結果,ルーエマン紫が過剰,水銀が過剰のいずれの条件下でも水銀とルーエマン紫の結合比は1:2であることがわかった.水相(10ml)中の0~30μgの水銀と吸光度との間にベールの法則に従う検量線が得られた.10回のくりかえし精度を求めた結果,相対標準偏差は2.8%であった.共存イオンの影響,ルーエマン紫溶液の安定性についても検討した.
  • 村田 充弘, 北尾 彰曠
    1972 年 21 巻 5 号 p. 627-630
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    酸性溶液中でのアルミニウムによるチタン(IV)の還元反応は,微量の白金の共存により著しい妨害を受ける.この妨害作用の原因と,妨害除去法について検討した.
    妨害作用の原因は,次の理由によるチタン(IV)の還元効率の低下と考えられる.アルミニウムは溶解時,粒子状に分散する,そのとき,微粒子状白金が還元されて生成し,アルミニウム粒子と接触する.白金は,アルミニウムに比べはるかに小さい水素過電圧をもつ.そのため,水素イオンによるアルミニウムの酸化溶解が促進され,チタン(IV)は還元されない.
    この白金による妨害作用は,鉛イオンを還元操作前に添加することによって抑制できる.この場合には,アルミニウム還元により,微粒子状白金の表面は析出する鉛でおおわれる.鉛は大きい水素過電圧をもつため,白金のような妨害作用を起こさない.
    この妨害除去法は簡単であり,実用上有効であった.
  • 水野 謹吾, 宮地 典子
    1972 年 21 巻 5 号 p. 631-635
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    水溶液中の微量フッ素のキレート滴定について検討した結果,塩酸酸性溶液中においてランタンイオンはフッ素イオンと1:3の割合で定量的に反応し,かつこの反応生成物はヘキサミン-塩酸緩衝液(pH5.5)中において沈殿を生ずることなく安定であるため,間接的にフッ素イオンのEDTA滴定が可能であることを知り,この滴定法とフラスコ燃焼法を用いて有機化合物中のフッ素の定量を行なった.すなわち,試料を濾紙にはかりとり,吸収液として塩化ランタン標準溶液を石英フラスコにとり,酸素中で常法どおり試料を燃焼後,よく振り混ぜて10分間放置したのち,すり合わせせんを除き水浴中(70℃)で10分間内容液をかき混ぜながら二酸化炭素を除き,冷後緩衝液を加えてメチルチモールブルーを指示薬として,未反応のランタンをEDTA標準溶液で滴定することにより,試料中のフッ素量を求めた.
  • 海水,河川水中の微量有害物質の原子吸光定量法(第1報)
    日色 和夫, 田中 孝, 沢田 俊彦
    1972 年 21 巻 5 号 p. 635-640
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    微量鉄の溶媒抽出-原子吸光定量法を提案した.数種の鉄の抽出濃縮法について比較検討し,最適の抽出用試薬としてオキシンを選び,定量感度を高めるため酢酸-酢酸ナトリウム緩衝溶液を添加した大量の水相から少量のメチルイソブチルケトン相へ,微量鉄をオキシン塩として抽出濃縮したのち,原子吸光法で定量した.1000mlの水相から30mlの有機相で抽出を行なった場合,10~50ppbの鉄濃度範囲内で直線の検量線が得られ,定量感度は吸光率1%を示す水相中の鉄濃度として約0.36ppbであった.
    有機相中の大過剰のオキシンは鉄の吸光度を低下させるが,リン酸塩による妨害作用は0.1Mオキシン-MIBK溶液を使用することによって除去しうる.ここに提案された方法を,地下水や水道水中の微量鉄の定量に応用した.本法と,1,10-フェナントロリン試薬による比色法との結果の間には良好な一致が見られた.
  • 西村 雅吉, 乗木 新一郎
    1972 年 21 巻 5 号 p. 640-643
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    グリオキザール・ビス(2-ヒドロキシアニル)(GHA)によるカルシウムの抽出比色定量法を検討した.GHAによるカルシウムの比色定量法は比較的感度がよく,共存イオンの影響も少ないので多数の研究が報告されているが,カルシウム-GHA錯体の呈色が時間的に不安定なことが大きな欠点であった.その原因はカルシウム-GHA錯体およびGHA自身がアルカリ性,水の存在下で不安定なことによるものと考え,抽出法を検討し,アルカリ性溶液で生じたカルシウム-GHA錯体をゼフィラミンの存在下で1,2-ジクロルエタンに抽出することにより,その不安定性を解消した.モル吸光係数は1.3×104であった.
  • 農薬および関連化合物の分析に関する研究(第16報)
    村野 敦, 梅田 勲, 大庭 成弘
    1972 年 21 巻 5 号 p. 644-648
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    殺菌剤ペンタクロルベンズアルドキシム(ミノコール)は,N,N-ジメチルホルムアミド-水混合溶液中で,酸性でポーラログラムを測定すると,半波電位-0.595Vvs.S.C.E.に還元波を示し,ミノコール1分子が電極反応に関与する電子数は4で,他のオキシム類と同様に,次式の反応に従って還元され
    >C=N-OH+4H++4e-→>CH-NH2+H2O

    ると考えられる.限界電流の大きさは,測定液中のミノコールの濃度に比例し,ミノコールを定量できた.なお,混在する不純物ペンタクロルベンズアルデヒドもポーラログラフィー還元波を示すが,あらかじめ薄層クロマトグラフィーで分離除去すると,若干精度は落ちるが,ミノコールを正確に定量することができる.
  • 合志 陽一, 平尾 修
    1972 年 21 巻 5 号 p. 648-651
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    窒化アルミニウム-リン酸重合体中のアルミニウムの存在状態をけい光X線法で検討した.第3周期元素のKβ1,3線は,低エネルギー側にKβ'線を伴うが,この2本の線の間隔を数多くの化合物について検討した結果,隣接原子の種類によってほぼ一定のエネルギー差をもつことがわかった.この差は,隣接原子の2pと2s準位の差に近くClO4-,SO42-についての分子軌道法による計算とも一致している.したがってKβ1,3とKβ'のエネルギー差は隣接原子の推定法として使える.上記重合体のAlKβ1,3・Kβ'を測定した結果,アルミニウムの最近接原子はNであることがわかった.また,AlKα線の配位数によるシフトを測定したところ,4配位に相当する値を示した.これらの結果から,アルミニウムの近傍は結晶状態の窒化アルミニウムとほとんど変わらないと結論した.
  • 越村 英雄
    1972 年 21 巻 5 号 p. 652-654
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A method for the spectrophotometric determination of iron was studied in which pivaloylacetylmethane (PAM) was used as an extractant and a photometric reagent. Iron was extracted quantitatively with exactly 10ml of 0.1M PAM in benzene from an aqueous solution at pH 2.54.5 by shaking for 10 minutes.
    The complex had an absorption maximum at 435 nm. The calibration curve followed Beer's law in the range 0 to 120μg/10 ml of iron. The molar extinction coefficient was 4.3×103. Iron can be selectively extracted in the presence of a large number of cations.
  • 磯崎 昭徳, 内海 喩
    1972 年 21 巻 5 号 p. 654-656
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    A rapid and simple spectrophotometric method for determining boron in glasses is devised.
    A 0.100 g sample is decomposed with acid mixture of H2SO4, HF and H2O2 in a teflon beaker by heating on a water bath for 20 min. The solution is diluted to 20 ml when the content of boron is expected to be less than 10-3%, and to 200 ml when the content is 10-210-3%. To 20 ml of the sample solution in a polyethylene separatory funnel, Methylene Blue solution and dichloroethane are added and the mixture is shaken. After washing the organic phase with silver sulfate solution, its absorbance is measured at 660 nm. When the content of boron is a few %, a 0.010 g sample is taken and decomposed. After diluting the solution suitably, H2SO4 and HF are added anew to 10 ml of the sample solution, and its solution is diluted to 20 ml with water. Then, the determination can be carried out in the same way.
    Various substances usually present in glasses do not interfere with the determination of boron. It was possible to determine 2 × 10-5a few % of boron in glasses.
  • 岩附 正明, 内藤 芳夫, 深沢 力
    1972 年 21 巻 5 号 p. 656-659
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A new analytical technique was developed previously for the photometric determination of a trace of iron in water and in high-purity aluminum with sodium sulfide in alkaline media by the present authors. In the previous paper, hydrazin sulfate was used as the reducing reagent for iron (III), but no experiment was carried out by using other reducing reagents. The present paper describes the experiments carried out by using various reducing reagents, i.e. ascorbic acid, sodium hydrogen sulfite, hydroxylamine hydrochloride and hydrazine sulfate. The results showed that the use of 2 ml of 5% hydroxylamine hydrochloride gave the best results for the determination of iron in water because of the highest stability of the color and the sensitivity, and that the use of 2 ml of 0.5%hydrazine sulfate described in the previous paper or 3 ml of 5% sodium hydrogen sulfite was better than other reducing reagents for the determination of iron in aluminum. Analytical results of well and city waters obtained by the recomended procedure using hydroxyl-amine hydrochloride and those by the ο-phenanthroline method are also described.
  • 中嶋 暉躬, 吉田 久信
    1972 年 21 巻 5 号 p. 660-664
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 石井 一
    1972 年 21 巻 5 号 p. 665-671
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 松尾 力
    1972 年 21 巻 5 号 p. 671-676
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 本浄 高治, 木羽 敏泰
    1972 年 21 巻 5 号 p. 676-686
    発行日: 1972/05/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
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